出陣
「何だよ!結局こいつもダメじゃねぇか!」
暗い空間の中にドレッドの怒声が響き渡る。
「王様よぉ!攻撃は二日後じゃなかったのかよ!」
奥の暗闇に向かって吠えるドレッド。
それに答えるように、奥の暗闇から声が響いた。
「完全な復活は果たした・・・しかし何か障害があったようだな。」
「・・・障害?」
ドレッドの後ろにいた鎧の男が聞いた。
「忌まわしきチラプナの子孫共め・・・星をも完全に味方につけているとは・・・。」
「星は私達にとっても驚異ってことね。」
壁に背を預けていたルーブが小さく呟いた。
その横には、まるで石像のように動かない生きる屍、グンジョウが立っていた。
「王様、彼らは恐らく"禁断の地"へと足を踏み入れるでしょう。どうか、彼らの駆逐は私に任せていただけないでしょうか。」
ドレッドの後ろにいた鎧の男が一歩前に出た。
「ならば行け・・・奴等を抹殺しろ・・・。」
その声と共に、鎧の男は立ち去っていった。
「待て・・・。」
歩いていく鎧の男を呼び止めたのは、さっきまで動かなかったグンジョウだった。
「奴等を・・・守る・・・つもり・・・か・・・?」
途切れ途切れに言葉を発するグンジョウに、鎧の男は振り向いて口を開いた。
「俺は過去を捨てた。もはや奴等は敵だ。」
そう言って、男はそのまま去っていった。
「・・・お前も・・・私と・・・同じ・・・では・・・ないのか・・・?」
グンジョウはそう呟いて、去っていく鎧の男の背中を見続けていた。




