総意
三日目。シロヤはゆっくりと身を起こした。
今日は皆が出した答えを聞く日、それがどんな答えであろうとも、シロヤは受け入れるつもりでいた。
「・・・。」
眠気を吹き飛ばし、表情を引き締めて気合いを入れて、シロヤは服を着替えて剣を背中にかけた。
「・・・よし!」
声を出して気合いを入れ直し、シロヤは自室を出て作戦会議室に向かった。
「!?」
作戦会議室のドアを開けたシロヤは、目の前にいた人達に驚きの表情を浮かべていた。
「もうお兄様!遅いよぉ〜!」
頬を膨らませて怒ったような表情でシロヤを見るローイエ。その手には、見たこともない程に銀色に光輝く大きな槍が握られていた。
「ロ!ローイエ様!?その槍は!」
「あぁ、それ俺が造った。」
側にいたレジオンが笑いながら手を上げた。
シロヤはそのまま視点を右にシフトさせた。
「・・・リーグン様!その傷は!」
「いえ、少し転んだだけです。お気になさらずに。」
転んだだけではこうはならないと思いつつも、シロヤはそれ以上を聞かないようにした。
「・・・。」
「・・・バルーシさん?」
バルーシの視線に気づいたシロヤ。その視線は、何かお礼を言っているような気がした。
「・・・あれ?」
一通り周りを見渡して、シロヤはあることに気がついた。
「プルーパ様とクピン様が・・・いない?」
そう思った瞬間、
バァァァン!
「ぐわっ!」
勢いよく開かれた扉に背中を打たれ、シロヤは勢いよく前に倒れた。
「あら?シロヤ君!?」
「シロヤ様!?あわわ!申し訳ございませんでした!」
作戦会議室に入ってきた二人、プルーパは倒れたシロヤの頭をさすり、クピンは慌てた様子で頭を何度も下げていた。
「いえ、気にしないでください・・・いてて。」
そう言って、シロヤとプルーパとクピンは作戦会議室の奥に歩いていった。
「そう言えばシロヤ様、シアン様はどちらへ?」
その言葉を聞いて、シロヤはすっとんきょうな声を上げた。
「へ?まだ来られてなかったのですが?」
「え、えぇ・・・最初に来たのは私達ですから・・・。」
その言葉を聞いて、シロヤの表情が慌てるような表情に変わっていく。
その時、
バァン!
扉が勢いよく開かれた。その先には四人が立っていた。
「シロヤさん!お待たせしました!」
元気一杯に四人の内の一人―――キリミドが口を開いた。
「シロヤ。すまぬ、ゴルドーに言わなければならぬことがあって遅れてしまった。」
さらに横にいたシアンが、シロヤに小さく頭を下げた。
「・・・そうだ!シロヤ君!あなたに言いたいことがあったわ!」
シアンの隣にいたフカミがシロヤに駆け寄って、懐から一枚の紙を取り出した。
「これは・・・?」
そう言って渡された紙に目を通した。
前線復帰は近い内に果たす。迷惑かけてすまない。必ず力になるぜ。
ランブウ
「これって・・・ランブウの直筆!?」
「えぇ!順調に回復してるわ!」
その言葉を聞いて、その場にいた全員の表情が安堵に包まれた。
「これで・・・全員揃う!」
シロヤの言葉に、全員が歓喜の表情へと変わっていった。
「・・・。」
それを見ていたゴルドー。緩んでいた表情を再び引き締め、シロヤ達全員に向かいあった。
「それで・・・戦う意思は固まったのか?」
その言葉に、シロヤ達全員が決意を秘めた表情に変わった。
「私達は皆様のために生きるため、戦います!」
バルーシが言った。
「絶対に離れ離れにならないから!皆で一緒に生きて帰るからね!」
ローイエが言った。
「誰も一人にならない。一人にさせない。誰も死なせはしないわ。」
プルーパが言った。
「過去を断ち切らせてくれた、未来を歩ませてくれた人のために。」
フカミが言った。
そして、シロヤは一歩前に出た。
「これが俺達の答えです。誰一人欠けることなく、ラーカに立ち向かいます!」
それがシロヤの、そしてこの場にいる全員が出した共通の答えだった。