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Sand Land Story 〜砂に埋もれし戦士の記憶〜  作者: 朝海 有人
第三章 白の勇者と古の記憶
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死者

「うぅ・・・何が起こったんだ・・・?」

 シロヤはゆっくりと体を起こした。

「ここは・・・何だ?」

 周りを見渡すが、どこを見ても真っ白な景色しかなかった。それはさながら、巨大な光によって包み込まれたかのようだ。

「まさか・・・あの男がやったのか・・・?」

 王族の墓場で向き合ったあの男。あの男から放たれた光によって、自分は気を失って、今ここにいるのだ。

「・・・。」

 握っていた剣に力を込める。


「!!!」


 後ろから気配を察知して、シロヤは後ろを振り向いて剣を構えた。

「待て、私は君と戦うつもりはない。」

 そこに立っていた男は、シロヤの剣を手で制した。

「初めまして・・・ではないんだっけな。」

 男はシロヤに向かって小さくお辞儀をした。

「初めて・・・じゃない?」

 シロヤは記憶を回想した。

「・・・!!!」

 そしてシロヤは、思い出したかのようにハッと表情を変えた。

「お前は!・・・いや、あなたは!」

 男は再び小さくお辞儀をした。

「確か、私と会うのは二度目だったね・・・。」

「いえ・・・会うって言うか、見たことがあるだけですが・・・。」

 信じられないと言った表情で固まるシロヤ。

「でも・・・何故・・・あなたがこんな所に・・・あなたは確か死んだはずでは・・・。」

 それを聞いた男は、ゆっくりと暗い声で話始めた。

「・・・君だけにでも説明しなければならない。君達が戦う敵、そしてゴルドーが知らない私達の真実を・・・。」

「真実・・・?」

 男はさらに続けた。

「私の名はグンジョウ。知っての通り、砂の竜王時代を築いた先代の国王だ。」

 シアンの心の中で見た姿とは少し違うが、確かに目の前にいるのはあの時見たシアン達の父親、先代国王の姿だった。

「何故あなたがここに・・・?あなたは確か・・・魔を封じるために命を」

「あぁ・・・確かに私はあの時に命を失った・・・。」

 そう言ってグンジョウは、来ていた服をはだけて見せた。

「!!!」

 グンジョウの体は、普通では考えられないような姿だった。痩せこけた体で、皮膚は腐敗してボロボロだった。

「これが証拠だ。私の体はいわゆる"生ける屍"。この世には存在してはいけなかった・・・。」

 はだけた服を直し、グンジョウはさらに続けた。

「しかし・・・封印が解けて奴が復活した時、何故か私は大地に立っていた。言葉も発することもできない私の傍らにいたのは、ドレッド、ルーブ、そしてもう一人の謎の戦士だけだった。

 直感でわかった。奴には何か企みがある。それを遂行する道具として、奴は死者である私をこの世に召還したのだ。」

「奴・・・企み・・・?」

 シロヤの呟きを聞いて、グンジョウは説明に入った。

「奴とは君達が戦う敵。かつてこの地を闇で統治した悪魔、名はラーカ。」

「ラーカ・・・?」

 シロヤの頭に、バスナダを出ていこうと国境に行ったときが蘇る。

「確かラーカって・・・シアン様の」

「いや、私達はラーカの女だったチラプナと国を救った勇者の子孫。本来ならば正当な王位を継ぐものではなかった。」

 グンジョウは少し表情を暗くした。

「私達は勇者とチラプナの封印を代々受け継いでいき、その封印を守ってきた。だが、私の代によって封印が解かれ、ラーカは目を覚ました。」

 そこまで聞いたシロヤは、ずっとわからなかった疑問を投げ掛けた。

「その封印の鍵とは・・・一体何なのですか?」

「・・・。」

 グンジョウは一瞬言葉をつまらせた後、ゆっくりと口を開いた。

「代々受け継いできた鍵・・・それは鍵として産まれた者が幸せになること。」

「鍵として産まれた者・・・それは一体・・・。」

 グンジョウは一息置いて、鍵として産まれた者の名前をシロヤに告げた。




「・・・シアンだ。」




「!!!」

 シロヤは耳を疑った。

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