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鬼狩りの魔法少女  作者: ひかるこうら
第2章 『餓鬼』の騒乱
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14話 ワタシハモウ

お久しぶりです。

しばらくの間更新停止してしまい誠にすみませんでした。

完結を目指して前へ前へ進ませていただきます。


それでは、どうぞ。



 「オマエは、ナニモノだ?コムスメ・・・?」


 『殺戮の少女(キリング・キティ)』は体を起こし、自らに銃撃をしてきた少女に問い掛けた。



 「アナタなんかに名乗る名前はないですわ。おねぇさまのピンチにさっそうと現れる魔法少女といった所でしょうか」

 「・・・コムスメ、ガ!?そのスガタ、そのジュウダン・・・・・・もしかして、あなたハ、」

 「・・・?」

 「あなたハ、レイナ?」

 「!?」

 「レイナ・・・レイナなんだよネ」

 「まさか・・・!」


 『殺戮の少女(キリング・キティ)』は両手に持つ2つの刀をだらりと下に下げた。『殺戮の少女(キリング・キティ)』の、輝きをとうに失った目からきらりと光るものが流れ落ちた。

 対する麗奈の脳裏に半年前の記憶が蘇った。

 あの時まで一緒に行動していた少女。苦労を分かち合った仲間。そして、半年前突如として姿を消した魔法少女のことを。

 麗奈は魔女を前にして、その面影を捉えた。いや、捉えてしまった。


 「レイナ、ごめンネ・・・」

 「凛・・・なの?」


 『殺戮の少女(キリング・キティ)』は顔を伏せた。腕はぷるぷると衝動に抗うように震えていた。


 「本当に凛なの・・・?」

 「ごめンネ、レイナ。わたしモウ・・・」


 『殺戮の少女(キリング・キティ)』の体から周りの空間が歪むほどの瘴気が撒き散らされている。その場にいる誰の目からも『殺戮の少女(キリング・キティ)』の姿が歪んで見えた。


 「わタシハモウ、モトにはモドレナイ!」




 『殺戮の少女(キリング・キティ)』はきっと口を噛み締めて、麗奈に向かって飛び出し、刀を振るった。



 「凛・・・っ!」

 麗奈は後ろに大きく下がりながら『殺戮の少女(キリング・キティ)』の攻撃を紙一重で躱す。銃のトリガーに手をかけることなく麗奈はただ逃げ惑うだけだった。


 「麗奈、どういうことなの!?」

 アテネが『殺戮の少女(キリング・キティ)』の攻撃に割り込むようにして鎌を振るいながら麗奈に尋ねた。


 「彼女はおそらく私の"友達"であり"仲間"だった向島(むこうじま)凛です。半年前に姿を消していました。それが・・・」

 「見間違えかもしれない。目の前の魔女が以前は魔法少女だったなんて考えられない」

 「でも・・・!」

 「とにかく今はそのことは後にしておきなさい、でないと死ぬわよ」

 「・・・・・・」


 アテネは鎌:グリフィンに魔力を送り込みその力を増幅させ、瘴気を撒き散らす『殺戮の少女(キリング・キティ)』と剣戟を交わし渡り合った。


 「私だけでは保たないわ。覚悟を決めなさい、麗奈。仮にこの魔女が友達だったとしても、一旦その力を下さないと助けようにも助けられないわ!」

 「・・・!・・・っ」


 麗奈は悩み苦しみ、そしてかつての友達のなれ果てに対し、涙し、銃を向けた。


 「ごめん」


 ダンダーンと音を立てて銃弾を発射させた。


 「レイナレイナレイナレイナ・・・あぁあああああがあああアァアアガアアアアハアアあああああああアァアアアアァアアアアああああああアァアアアアアィアアア」


 『殺戮の少女(キリング・キティ)』は銃弾を身に受け、苦しみの声を上げた。


 「凛・・・」

 「ふっ」


 アテネはグリフィンを片手に『殺戮の少女(キリング・キティ)』の懐に入り込んだ。


 「アァアアアアアアぁ、ナニを・・・」

 「罪余る者よ」


 アテネはグリフィンの刃を一閃させた。その刃は血塗れながらも翠に輝いた。


 「罪を龍の導きに従いて」


 『殺戮の少女(キリング・キティ)』の体は軽く吹き飛び、アテネが斬った傷口からおびただしいほどの血が吹き出した。


 「消し飛ばす『翠洗』!」


 アテネの言葉に導かれるようにして、『殺戮の少女(キリング・キティ)』の体から流れ出る瘴気がなぎ払われた。


 「アァアアアアアアアアぁぁぁぁ・・・はぁはぁ・・・」


 『殺戮の少女(キリング・キティ)』は腹からだくだくと血を流しながら、アテネと麗奈の方を睨みつけた。そして、自分の体から流れ出す瘴気がなぎ払われ、自分の意識が保っていられることに驚いた。『殺戮の少女(キリング・キティ)』は手に持った刀を地面に落とした。


 「あなたが何であろうと、私はあなたを倒さなくてはいけない。それが私の信条だから」

 アテネはグリフィンを『殺戮の少女(キリング・キティ)』へ向けた。

 「だけど、もしあなたが正気を取り戻せるのならば少し待ってあげても構わないわ」


 アテネの言葉に麗奈は驚いた表情を浮かべた。

 「少しなら話せるだろうから、話でもしてなさい」

 「・・・お姉さま、ありがとうございます」


 麗奈は変わり果ててしまった友達の許へ走り寄った。




 「ねぇ」

 アテネは背後にいる魅羅に話しかけた。


 「魔法少女が魔女になるってありえる?」


 その言葉に魅羅はこう返した。


 「私は魔法少女がどういうものかはあまり知らない」

 「そうか・・・」

 「だけど、あくまで噂の範疇なんだけどね。七つの大罪『暴食』のところが魔法少女を捕まえて研究をしているという話があるんだ」

 「!?ほんと?」

 「わからない。それでその噂には続きがあって、どうやらその研究と言うのが、魔法少女を魔女にするという・・・」

 「っ!それじゃあ、まさか・・・」

 「その噂がほんとならば、この子は」


 「そうですよ、彼女は魔法少女から魔女へ"進化"した唯一の個体ですよ」

 アテネと魅羅がそんな話をしている後ろから突如膨大な魔力を持った者が現れ、会話に割り込んできた。


 「「!」」


 アテネと魅羅は振り返り、瞬時に得物を構えた。


 「いやはや、そんなに警戒しなくとも」

 「誰だ、貴様は!」

 「そうですね、自己紹介をしましょうか、竜崎アテネ様、鏡袷魅羅様」

 「なにっ!」


 アテネと魅羅の放つ殺気に動ずることなく、白衣を着た犬が慇懃無礼にお辞儀をした。


 「私の名前は、Dr.クロワ─ル。七つの大罪『暴食』を司ります盟主餓鬼様の配下の許、研究部門主任を務めさせていただいています。以後お見知りおきを」


 アテネは歯を食いしばり、グリフィンを強く握り締めた。





次話は10月20日0時更新を予定しています。お楽しみに。

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