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Summer Vacation! 2

すみません、更新だいぶ遅れました。活動報告のほうにも書きましたが、ただいま忙しい毎日を送っています。なんとか頑張って書きましたので、どうぞ!

 ■■■


 海風に吹かれ砂が舞い上がる。風の音と海の押し寄せる音がその空間を支配した。


 そして、戦いが始まった。


 「やぁっ!」

 先攻アテネが放ったサーブが真理を襲った。


 「甘いな」

 真理は落ち着いて剛速球で襲いかかるボールをレシーブした。

 「任せろ!」

 真理のレシーブを大輔がトスする。

 「喰らえっ!」

 大輔の絶妙なトスによって打ち上げられたボールをレオが相手チームの隙間に向かってスマッシュを撃った。

 レオの腕から撃ち出されたボールはトップスピードを保ったまま砂浜に突き刺さった。


 「よし」

 「この調子でガンガン行くぜ」

 「おう!」

 上から順に真理・大輔・レオである。特に普段落ち着いた印象である(好物(ようじょ)を目の前にしているときを除く)大輔がこんなにもテンションが上がっているのは意外だった。

 それもそのはず。

 大輔はこのビーチバレーの勝負の賞品を狙っているのだった。

 賞品は、1000円分のナニカ。たかが1000円とはいえ、最近金欠気味の大輔にとってそれは魅力的だった。

 そのため、大輔は必死になって勝利をつかもうとしていた。




 「なんでこんなにやる気になったのかな・・・」

 「そうね、ここまでやる気になるとは思わなかったわ」

 「安倍君ってそんな人だったの?ますますわからなくなってきたわ」

 「しおりんに同感」

 「私もしおりんに同感」

 「えっ?!私いつから“しおりん”なんて渾名付けられたの?」

 「気にしちゃ負けだよ、ほら向こうのサーブが来る」

 「えー」


 女性陣も負けたくないという意思で統一されていた。


 



 ■■■


 そして、17-20で女性陣がマッチポイント、女性陣からのサーブとなった。


 「くそっ、あと向こうが1点取ったら俺らの負けか」

 「あぁ、ここでなんとか抑えないといけないな」

 「なんとしてもここは頑張らなきゃな」


 真理はサーブする早苗の視線を見た。

 (どうやら左端を狙うつもりか)


 案の定とでもいおうか、早苗は守りの薄い左端のコースを目掛けてサーブを撃った。その早苗のサーブは重くそして速いため生半可には受けることができない代物だった。

 

 「よしっ」

 真理はコースを見切り、なんとかレシーブした。

 真理のそのレシーブをレオが引き継ぎ大輔へ繋げる。

 上に上がったボールを見て、大輔はスマッシュする態勢に入った。


 そして、

 大輔は

 スマッシュを

 外した。


 「「・・・・・・」」

 ボールが砂浜に力なく落ちる音をバックに、真理とレオは一気に意気消沈した。

 ここにきてまさかのミスだ。

 真理とレオが思わず大輔を睨みつけてしまうのも仕方ない。


 「あぁ・・・悪い。俺のせいだ」

 大輔は呆然と、自分のミスを認めた。



 「やった!向こう側のミスだったけどこっちが勝ったよ」

 「ふふふ、これで1000円分頂き!」

 「なんとか勝てたね、ふぅ」

 アテネ・早苗・詩織は喜びの声を上げた。




 というわけでこの戦いは女性陣の勝利に終わった。

 賞品として、アテネは布カバン(998円)を、早苗はぬいぐるみ(小)(948円)を、詩織は有名洋菓子店である虹屋のスペシャルショートケーキ(889円)を選んだ。男子陣はこの後、これらを買うことになった。




 ■■■

 

 ビーチバレーを楽しみ、一行は思い思いに海を満喫することになった。

 大輔は小さなお(んなのこ)を求めどこかに行き、レオは砂浜でビーチバレーや砂の城作りをしているところへ乱入しに行った。

 早苗は先程のビーチバレーで疲れているようだった詩織を連れて海へ行った。


 そして荷物を置いてあるビーチパラソルのところに、アテネと真理が取り残されたようにいた。

 二人とも改めて何かをしたいというわけではなく気が付いたらそこにいたというわけだ。


 「暑いね」

 「そうだな」

 アテネが呟いたセリフに真理が答える。


 「せっかくこんなシチュエーションになるんだったらサンオイルでも塗ってもらいたかったけど残念ね。もう塗ってしまったわ」

 「なんで俺がオイルなんか塗らなきゃいけないのか?」

 「だって、海だよ!目の前に麗しき女の子がいるんだよ!

 サンオイルを塗るという名目で女の子の肌を触って興奮しちゃう真理が見たかったわ」

 「おいおい、俺はどんな変態だよ!」

 「えっ、興奮しないって言える?真理の部屋の大きな引き出しの上から4段目の裏側に隠してある本にそういうシチュエーションだけを扱ったものがあった気がするけど?」

 「すみません、それ以上言わないでください」

 「わかればよろしい♪」

 「・・・・・・なんでバレたんだろ」


 「まぁ、いいわ。一つ聞きたいんだけどいい?」

 「なんだ、改まって。別に構わないぞ」

 「あの、『水蛇の女王』を倒したときにね、私ドラゴンになったじゃない」

 「あぁ、そうだったな」

 「あれ見てどう思った?」

 「・・・?カッコいいと思ったぞ」

 「怖いとかは・・・?」

 「全然、だってアレはアテネなんだろ。姿かたちは変わっていたとしても。だったら怖くはなかったよ。むしろ頼もしかったな。俺の相棒がこんなにも命張って戦ってくれるなんてな」

 「・・・」

 「ん?どうした?いきなり黙りこくって」

 「別に・・・ ふふっ、相棒か・・・そう言ってもらえるなんて」

 「なんか言ったか?」

 「ううん、ありがと真理」

 「あぁ・・・これからもよろしくなアテネ」

 「私だって」


 二人は互いを見つめあって、微笑みを返しあっていた。





 ■■■


 「あーもう夕方か、楽しかったな」

 「あぁ、だけどもう帰らないと夜までに家に着けないぞ」

 「むふふ、心のファインダーに焼き付けたぞ。後はこれを・・・」

 「楽しかったね、あーちゃん」

 「そうね。どうだったしおりん。こういうのも楽しかったでしょ?」

 「そうだね、私あまり遊びに行ったりとかしなかったから。楽しかったよ」


 橙色から闇色に変わろうとしている空を背景に6人は駅までの道のりを歩く。


 「また来ような」

 誰が言ったセリフかは分からなかったが、全員同じ思いを抱いていた。



 




 Summer Vacation! 完


なんとかSummer Vacation!終わりました。ほんとはもう少し長くなる予定だったのですけれども、次に進みたくなって・・・

今回のお話は夏でしたが、次回は秋です。

どうぞ、お楽しみに。

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