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鬼狩りの魔法少女  作者: ひかるこうら
第3章 『破壊を呼ぶ魔法少女』
123/123

最終話

これ以上書く気力がなくなってしまったのでこのような形で失礼します。最終話です。

 ■■■


 魔王の復活。


 かつて何の力も持たない一人の少女は、身に降りかかる凌辱に絶望した。そんな最中、ふと湧いて出た希望に身を売渡し、魔法少女となった。力を得た少女は力で持って現実をねじ伏せ、平和を手に入れた……かのように見えた。しかしその少女の体には世界の汚さがこびりついていた。少女はやがてこのくそったれな世界を己が思う綺麗な世界に改変しようと、奔走する。世界の泥を啜り、同志を募り、偽善者を食い散らかす。


 そして、少女は覚醒した。

 かつてまっさらな世界を悪意と欲望に染め上げた魔王の力をその身に宿して。

 少女は魔王となった。




 ■■■


 “破滅を喜び、破壊を楽しむ”

 その願いを体現した少女は、その時生まれて初めて絶望した。いや、少女が魔法少女となった時からずっと絶望していたと言えばそうなので言い換えるなら、その時生まれて初めて虚無感に取りつかれた。

 世界の破壊と再構築。それが為され、一人の神を前に全てが調整された世界。

 それを前にして、少女はどうしようもない虚無に包まれた。自分の力ではどうにも抗うことができなかった。


 少女の力は、元より持つ電気を操る力と、もう一つ。

 様々な種類の魔法。それはあくまで趣味の範疇ではなく、得意とする“爆発”、“破壊”、“消滅”、といった分かりやすい魔法。という訳でもなく、その本質は『破壊と再生』。壊し、それを元の姿に戻す、人の領分を犯し神の所業であるその能力。

 それだけの力があっても、たった一人を倒すことは叶わなかった。


 戦いに敗れた少女にはわずかな時間しか残されていなかった。

 少女は己の全力を以て、一つの実験を行った。

 望まぬ世界に挑むための楔を穿つ、そのために。


 少女はわずかな記憶を以ていつかの過去へ舞い戻った。




 ■■■


 突如、魔王である少女が街の上空へ出現し、大規模な魔法を以て世界を侵食したことから始まった。


 夢を操る、だけだったはずの力。

 それがかつて世界を席巻した魔王の力を以て世界を構築・変革・展開する力へ変質した。


 それへ応戦する魔法少女たち。しかし、魔王の力を前に歯が立つはずがなかった。

 次々と屍を晒す魔法少女たち。

 そこへ一人の少女が迷いを宿した目で魔王の前に躍り出た。

 迷い持つ者。迷い持たぬ者。

 迷いを持つ者は、持たぬ者に一蹴され地面に叩き落された。


 絶望に包まれる街。

 そこへ現れるは、勇者ではなく死神。記憶は完全でなくとも魂がそれを理解している死神は魔王へ全力を以て突撃した。


 鬼狩りと名を持つ少女はその光景に歯噛みする。

 自分は何をやっているのか、と。

 かつての自分は迷い持たずに敵を屠った。

 それが今では己の力に疑問を持ち、その刃を鈍らせた。


 そこへ少女の想い人が姿を現す。

 一言二言言葉を交わし、少女は立ち上がる。そして戦いに身を投じた。


 激化する戦い。

 魔法少女に、能力者に、鬼が戦いに身を投じる。

 その中心で、3人の魔法少女がいた。

 一人は魔王。

 一人は死神。

 一人は鬼狩り。

 互いの信念を賭してその身を削り合う。


 そして、一人戦線から外れた。

 その身に宿す信念が他の二人に競り負けた。

 その少女は鬼狩り。

 彼女の持つ信念はまだ曇ったままだった。

 かつての自分のまま。今の自分足り得なかった。


 少女は地に墜ちる。

 それを一人の少年が受け止める。

 彼は彼なりの信念を持っていた。

 かつて何も持たなかった少年が一人の少女と出会い見つけたもの。それを持っていた。

 少年は決断する。

 少女のために、自分のために、その身を削り取ること。

 運命の悪戯によってその身に宿した天使の力。世界の穢れを浄化する力。


 少年は願う。

 少女が再び立ち上がることを。


 少女は誓う。

 地に伏した少年が託してくれたものを守るために。

 世界のため、みんなのため、と口が裂けても言うつもりはなかった。

 戦いに身を投じる理由は自分のため。自分のため、少年のために、その身を削り切っても戦いを制することを誓った。


 少女は深紅に染まる衣装を身に纏う。それは誓い。

 少女は深紅に染まる鎌を握り締める。それは願い。


 鬼狩り。

 それは自分と少年に振る掛かる(わざわい)を切り開くこと。


 少女は空を翔び、刃を振るった。






 戦いは終焉を迎えた。

 魔王はその野望を打ち砕かれ消滅し、死神は無理が祟り力を失った。

 鬼狩りは結果的に世界を守った。

 少女は少年が託したものを守った。

 少女は凱旋する。少年と共に。


 それ以降、世界は少々の傷を残し平和を取り戻した。


 やがて少女は少年と契りを結び、幸せに暮らした。





 ここまで読んでいただきありがとうございました。本当ならば最後までちゃんと書き終えたかったのですが、どうにも筆が進まずこのままでは話途中で消えてしまうと思い、このような形で終わりにしました。大変申し訳ありません。

 初めてネット小説を書き始めて様々なことを知りました。話の構築やら文法やら。この『鬼狩りの魔法少女(旧題:鬼狩りのアテネ)』と共に今の今まで走り続けてきました。それを一緒に見届けてきてくれた読者の皆様に感謝を申し上げます。

 ありがとうございました。

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