母が大学に電話した。「娘は外で体を売っています」と――二十歳の私にGPS腕輪をつけた毒親の末路
大晦日の夜、家族がそろうはずの日。母から罵倒の電話がかかってきた。外で凍えながらカップ麺を食べてでも、家に帰って年を越したくないのか、と。理由は、母が私に買ってきたブレスレットを、私がつけたくなかったからなのか。
私は淡々と答えた。
「そう。そのブレスレットのせいだよ」
そのあと、電話ごと母をブロックした。母が私に買ってきたのは、子ども用のGPSブレスレットだった。女の子が外で大学に通うのは危ないから、という理由で、母はそれを私につけさせた。十分ごとに位置情報を送ること。
毎晩十時にはビデオ通話で寝室確認をすること。一度でも返信が遅れれば、母は輔導員に電話し、私が外で体を売っていると言った。私がシャワーを浴びるためにブレスレットを外すと、母は学校まで押しかけ、寮の部屋で全員の前で私を恥知らずだと罵った。本来なら、私は泣きながら説明して、信じてほしいと頼むべきだったのかもしれない。
けれどあの日、母が私をトイレに閉じ込め、男とホテルに行ったと認めろと迫った瞬間、私はもう説明したくなくなった。電話をブロックしたあと、これで終わりではないと分かっていた。私は母が三年間録音してきた監視、脅し、罵倒を、すべてファイルにまとめた。案の定、その後、母は私の会社のビルの下に来て、跪いて泣いた。
私が親不孝だと。私は全員の前で、再生ボタンを押した。最初に流れたのは、母自身の声だった。
「言うことを聞かないなら、あんたを潰してやる」
1
「沈栀、ブレスレットを外したのは、誰と寝に行くつもりだったから?」
母の声がスマホから炸裂したとき、私は浴室の入り口に立っていた。体にはバスタオル一枚しか巻いていなかった。ブレスレットは洗面台の上に置いてあり、画面はまだ光っていた。オフライン十二分。
たった十二分。そのあいだに、母は二十七回も電話をかけてきていた。私はスマホを握ったまま、髪から垂れた水が足の甲に落ちるのを感じていた。
「お母さん、シャワー浴びてたの」
「シャワーでブレスレットを外す必要があるの? 誰に教わったの? 学校のどの男?」
私は目を閉じた。隣のシャワーブースでは、誰かが水を止めた。聞かれている。母はまだ怒鳴っていた。
「今すぐ動画を撮って送りなさい。浴室に誰かいないか、見せなさい!」
喉が締めつけられた。
「ここ、公共浴室だよ」
「公共浴室だから何? やましいことがないなら、何を怖がるの?」
何を怖がるのか。私は怖かった。二十歳にもなって、シャワーを浴びるだけで、母親に男がそばにいないことを証明しなければならないと、階中に知られるのが怖かった。私はスマホを胸元に押し当て、声を低くした。
「撮らない」
向こうが二秒だけ静かになった。それから母は冷たく笑った。
「沈栀、ずいぶん偉くなったのね」
「十分以内に動画を送らなければ、輔導員に電話する。あんたたちの学校が、どんな汚い女を育てているのか見てもらうから」
指が震えた。怖かったのではない。寒かった。骨の隙間から染み出すような寒さだった。
母はこのやり方が一番うまい。小学生のころ、私が一位を取れなかっただけで、母は答案用紙を親族グループに送った。中学生のころ、男の同級生と二言話しただけで、母は教室まで来て、私が早恋していると怒鳴った。高校三年のとき、私が日記帳に鍵をかけただけで、母は引き出しをこじ開け、中身を一ページずつ撮って担任に送った。
そして大学生になった今、母は私にGPSブレスレットをつけさせた。保護だと言った。けれどそれは十分ごとに位置情報を送信し、毎日の行動軌跡を作成した。食堂に四十分以上いると、母は男と食事しているのかと聞いた。
図書館に閉館までいると、母は真面目なふりをしていると罵った。校内病院へ風邪薬をもらいに行くと、婦人科ではないと証明するために診療記録をはっきり撮れと言った。私は一日たりとも、人間らしくいられなかった。むしろ、母がスマホの中で飼っている囚人だった。
浴室の外で誰かがドアを叩いた。
「沈栀、大丈夫?」
ルームメイトの林夏だった。私は声が出なかった。スマホがまた震えた。母から音声メッセージが届いていた。
再生すると、母の声は針のように尖っていた。
「もう輔導員には連絡したから。後悔しないことね」
次の瞬間、本当に輔導員から電話が入った。画面を見つめていると、急に笑いたくなった。母は絶対に遅れない。私を壊すことに関してだけは、誰よりも時間に正確だった。
電話に出た。輔導員の声は疲れていた。
「沈栀、お母さんが、あなたが夜に外で連絡を絶っていて、危険かもしれないと言っています。今どこにいますか?」
壁の時計を見た。夜九時十七分。私は女子寮の浴室にいた。
「先生、私はシャワーを浴びています」
電話の向こうが沈黙した。私は電話を切った。母からまた電話が来た。声はさらに大きくなっていた。
「ビデオをつなぎなさい。今すぐ! 本当に浴室にいるなら、どうして見せられないの?」
浴室の外が完全に静まり返った。ドライヤーの音まで止まっていた。私はスマホを握りしめ、爪が手のひらに食い込んだ。
「お母さん、結局、何を証明したいの?」
母は言った。
「あんたが私を騙していないこと。あんたが汚れていないことよ」
その瞬間、自分が小さく笑う声が聞こえた。とても軽い音だった。何かが割れたような音だった。
「じゃあ、お母さんは?」
電話の向こうが止まった。私は洗面台の上に置かれたブレスレットを見つめ、一字一句尋ねた。
「一日中、娘のシャワーやトイレや着替えを見張っているお母さんは、きれいなの?」
母は悲鳴のように叫び出した。私は電話を切った。浴室の外で、林夏が小さく言った。
「栀栀、付き添おうか?」
私は歯を食いしばり、涙を落とさなかった。
「いい」
けれど服を着替えて外に出たところで、寮のグループチャットにメッセージが飛び込んできた。輔導員からだった。
【沈栀のお母さんがすでに校門前に来ています。今夜、必ず沈栀本人に会うと言っています】
続けて、母からのメッセージが届いた。
【今すぐ出てきなさい】
【そうしないなら、あんたがどんなものか、全校に知らせてやる】
2
母は想像より早く来た。彼女は寮の下に立っていた。手には透明のファイル袋を下げていた。中には印刷された紙がぎっしり詰まっていた。
私の位置情報の軌跡。私の消費記録。それから、母が私のモーメンツからスクリーンショットした写真。母がいつ、私の投稿を隅から隅まで漁ったのか、私はまったく知らなかった。
寮の下には、かなりの人が集まっていた。寮管理のおばさんが母を止めていたが、母は階段に座り込んで泣いていた。
「うちの娘はちゃんとしなくなったんです。母親である私が管理しているだけなのに、うるさいと言うんです!」
「まだ二十歳なのに、外泊を覚えて、男と乱れて。あなたたちの学校はちゃんと管理しないんですか?」
私は人だかりの外に立ち、足が地面に縫い付けられたように動けなかった。林夏が私の手を握った。
「怖がらないで。私がいる」
それでも私は怖かった。母が切り貼りして作った証拠を出すことが怖かった。他人が母を信じることが怖かった。それ以上に、私がまた以前のように先に謝ってしまうことが怖かった。
母は私を見つけると、すぐに飛びかかってきた。手を振り上げて、私を叩こうとした。林夏が間に入った。平手は林夏の肩に落ち、大きな音がした。
林夏の顔色が変わった。
「おばさん、何をするんですか?」
母は彼女を睨みつけた。
「あんたは何様? 私が娘をしつけているのに、口を挟む資格があるの?」
母は私の腕をつかみ、爪を肉に食い込ませた。
「行くわよ。輔導員の事務室に行く」
「行かない」
「もう一回言ってみなさい」
私は母を見た。
「行かないって言った」
その一言が、母に火をつけた。母はその場でファイル袋の紙を全部ばらまいた。一枚の写真が私の足元に落ちた。私が実験棟の入り口で男子学生と話している写真だった。
写真には赤丸がつけられていた。横にはこう印刷されていた。
【恋愛相手の疑い】
別の一枚は、私が夜十時三分に寮へ戻った記録だった。母はそこにこう書き込んでいた。
【帰寮が遅い。行動異常】
一番ばかげていたのは、校内病院の薬の受け取り明細だった。私はただ胃薬を買っただけだった。母は赤ペンでこう書いていた。
【婦人科疾患を隠している可能性】
周囲の視線が変わった。驚き、気まずさ、そして見物する興奮。母はさらに大声で泣いた。
「みなさん見てください。私は理不尽なことを言っているわけじゃありません。証拠があるんです!」
「父親が家で必死に働いて学費を出しているのに、この子は学校でこんなめちゃくちゃなことをしているんです。私が管理したら、変態呼ばわりされました!」
私は足元の紙を見下ろした。ふと気づいた。この数年、母が私に貼ってきたラベルは、私が書いた課題よりもずっと厚かったのだ。私はしゃがみ込み、一枚ずつ拾い集めた。
母は私が怖がったと思ったのだろう。声を低くして、私の耳元に口を寄せた。
「今ここで跪いて謝りなさい。そうすれば、少しは顔を残してあげる」
私は紙をファイル袋に戻した。それから顔を上げ、母を見た。
「お母さん、自分が今、何に見えるか分かる?」
母は眉をひそめた。私は言った。
「証拠が見つからないから、自分で証拠を作る狂人」
母の顔色が一瞬で変わった。また平手が飛んできた。今度は避けなかった。顔が横を向き、耳がじんと鳴った。
林夏が叫んだ。
「沈栀!」
唇の端に血の味がした。不思議だった。思ったほど痛くなかった。たぶん、この数年で叩かれることに慣れすぎていたのだ。
母は私の鼻先を指差して罵った。
「あんた、私を罵る気? やっぱり学校に悪く染められたのね」
「今夜、退寮しなさい。私と家に帰るの。あんたみたいな女を外に置いておいたら、いつか家の恥になる」
私は笑った。
「帰らない」
母はすぐ輔導員を見た。
「先生、聞きましたか? この子は管理に従いません。こんな学生を、あなたたちの学校は置いておけるんですか?」
輔導員の顔色はひどく悪かった。彼女は私を見て、小さく言った。
「沈栀、まずはお母さんとちゃんと話して。大ごとにしないで」
大ごとにしないで。その言葉を、私は何度も聞いてきた。母に日記をめくられたとき、担任は大ごとにしないでと言った。母が教室に押しかけて私を罵ったとき、親戚は大ごとにしないでと言った。
今、母が私を寮の下に晒し者にしても、先生はやはり大ごとにしないでと言った。私は急に、とても静かになった。
「先生、母は私を叩きました」
輔導員は固まった。私は寮の入り口の監視カメラを指差した。
「ここには監視カメラがあります」
母はすぐ甲高い声で言った。
「自分の娘を叩いて何が悪いの? 言うことを聞かないなら、叩けないの?」
寮管理のおばさんが、とうとう我慢できずに言った。
「今は昔じゃありませんよ。子どもさんはもう成人しているんです。こんなことはできません」
母は彼女を激しく睨んだ。
「あなたたち、みんなこの子の味方をするつもり?」
母はいきなりバッグから小さなハサミを取り出した。それを自分の手首に押し当てた。人だかりから悲鳴が上がった。母は泣き叫んだ。
「沈栀、今日私と帰らないなら、私はこの学校の前で死んでやる!」
頭の中が一瞬、真っ白になった。まただ。またこれだ。小さいころ、私が母の申し込んだオリンピック数学教室に行きたくないと言うと、母は包丁を首に当てた。
高校三年、私が地元を離れた大学を志望すると、母はビタミン剤を一瓶飲んで、睡眠薬だと言った。毎回、母は勝った。なぜなら、誰もが最後には私を見るからだ。母が死ぬかどうかは、私が親孝行かどうかで決まるかのように。
今回も同じだった。輔導員は焦った。
「沈栀、まずはお母さんに従って。刺激しないで」
林夏は私の手を強く握った。
「行かないで」
私は母の手の中のハサミを見た。とても小さなハサミだった。宅配のテープすら切れなさそうだった。でも母は知っていた。
それだけで、全員を脅せることを。私は一歩前に出た。母の目に得意げな光がよぎった。彼女はまた私が負けると思ったのだ。
私はスマホを取り出し、母に向けた。
「お母さん、さっき私が一緒に帰らなければ、ここで死ぬって言ったよね?」
母の表情が強ばった。私は録画ボタンを押した。
「もう一回言って」
3
母の泣き声が喉で詰まった。誰かに喉をつかまれたようだった。母は私のスマホを睨み、目つきは驚愕から憎悪へと変わった。
「沈栀、実の母親を録るの?」
私は言った。
「そう」
「良心はないの?」
「ハサミで私を脅して退学させようとしたとき、お母さんにはあった?」
周囲で小さなざわめきが起きた。母はそれを最も恐れる。苦しみを演じることはできる。でも、取り乱してはいけない。
自分の手口を見抜かれてはいけない。母はハサミをしまい、振り返って地面に座り込み、胸を叩きながら泣いた。
「私はなんて不幸なの。白眼狼を育ててしまった。小さいころ熱を出したとき、私は何晩も眠らず看病したのに。大きくなったら、私を録音して、私を防いで、私を憎むなんて」
母の泣き方は慣れていた。涙の一滴一滴に、置き場所があった。子どものころからその泣き方を見ていなければ、私も信じてしまったかもしれない。輔導員が私を少し離れたところへ呼んだ。
「沈栀、お母さんはかなり興奮しています。学校としても事故が怖いです。今夜だけでも、お母さんとホテルに泊まったらどうですか?」
私は彼女を見た。
「先生、母はハサミで私を脅しました。それでも一緒に行けと言うんですか?」
輔導員は私の目を避けた。
「でも、あの人はあなたのお母さんだから」
その言葉は、腐った雑巾のように、私の逃げ道を全部塞いだ。私は頷いた。
「では、警察を呼びます」
輔導員の顔色が変わった。
「そこまでする必要はないでしょう?」
「あります」
私は彼女の目の前で110番にかけた。指が通話ボタンに触れた瞬間、母は地面から跳ね起き、私のスマホを奪おうと突っ込んできた。林夏が私の前に立った。寮管理のおばさんも母を止めた。
電話がつながった。私はゆっくり話した。
「もしもし。私は成人しています。母が学校の門前でハサミを持ち、自傷すると脅して、退学して家に帰るよう迫っています。さっき私を叩きました」
母は狂ったように罵った。
「あんたは畜生だ! 母親を警察に突き出すのか!」
警察はすぐに来た。彼らは母を横へ連れていって事情を聞いた。母は制服を見るなり、さらに本物らしく泣いた。
「警察の方、私は悪い人間じゃありません。娘が心配なだけなんです。最近おかしくて、GPSブレスレットがよくオフラインになるから、何かあったらと思って」
警察は私を見た。
「GPSブレスレット?」
私は手首を差し出した。その子ども用ブレスレットは、まだ手首にはまっていた。ピンク色だった。文字盤には笑顔のマークがついていた。
まるで冗談だった。
「母に、ずっとつけているよう要求されています」
「シャワーのときも外せないのですか?」
母はすぐ言った。
「女の子が外にいるのは危ないでしょう。私は心配しているだけです!」
私はスマホを差し出した。中には今夜の母の音声があった。それ以前のものもあった。
【位置情報を切ったら、お父さんに学費を止めさせるから】
【恋愛なんかしたら、学校に行って騒ぐから】
【大学に入ったくらいで、私の手のひらから逃げられると思うな】
警察は聞き終えると、眉をひそめた。母はまだ言い訳しようとした。けれど母の言葉は、そのたびに過去の母自身の音声に遮られた。最後に、警察は母に学校から離れるよう伝え、これ以上私を騒がせてはいけないと言った。
母が去るとき、目はじっと私を睨んでいた。まるで私は彼女の娘ではなく、彼女が失くした所有物のようだった。母からメッセージが来た。
【沈栀、あんたは終わりよ】
【母を裏切ったらどうなるか、思い知らせてあげる】
【課金ポイント推奨】
その二行を見つめていると、胃がひっくり返るようだった。林夏が温かい水を渡してくれた。
「警察を呼んだのは正しいよ」
私は頷いた。でも分かっていた。これは始まりにすぎない。母は止まらない。
決して止まらない。案の定、翌朝、私がまだ眠っているうちに、寮のドアが叩かれた。輔導員がドアの前に立っていた。顔色は昨夜よりさらに悪かった。
「沈栀、お母さんがあなたのことをネットに投稿しました」
私はスマホを開いた。地域掲示板のトップに、熱いスレッドが立っていた。
【女子大生が外泊し、母に見つかったあと、実母を警察に通報】
添付画像は、私が寮の下に立っている写真だった。さらに母が書いた長文がついていた。母は私を虚栄心が強く、拝金主義で、私生活が乱れていると書いた。家の金で彼氏を養っているとも書いた。
監視から逃げるために、わざと母に精神の問題があると中傷したとも書いた。コメント欄はひどかった。
【こんな娘、育てて何になるの?】
【お母さんもこの子のためを思っているんでしょう。今の子は怖いね】
【どう見ても遊び慣れて、管理されたくないだけ】
私は下へスクロールした。手がどんどん冷たくなった。そして一枚の写真を見た。高校時代の私が、パジャマ姿で自分の寝室に立っている写真だった。
撮影角度は高かった。本棚の上から撮ったように見えた。全身の血が止まった。それは母が私のスマホから手に入れたものではなかった。
寝室の監視カメラだった。十八歳になる前の私の寝室には、ずっと監視カメラがあったのだ。林夏もそれを見た。彼女は低く罵った。
私はその写真を見つめ、自分の呼吸音しか聞こえなくなった。大学に入ってから始まったのではなかった。もっと前だった。もっと前から、私は彼女の檻に閉じ込められていた。
輔導員が聞いた。
「沈栀、大丈夫?」
私はスマホを机に伏せた。
「先生、休みをください」
「どこへ行くの?」
私は顔を上げた。
「証拠を探しに行きます」
4
最初の証拠は、古いスマホの中から見つかった。そのスマホは画面が割れていて、充電口も接触が悪かった。私は充電コードを輪ゴムで縛り、寮の床にしゃがみ込んで起動するのを待った。林夏は隣に座り、一言も話さなかった。
画面が光った瞬間、手のひらは汗でびっしょりになっていた。アルバムには、たくさんの古いスクリーンショットが残っていた。母が私を罵ったもの。父がそれに同調したもの。
親戚が私に言うことを聞けと諭したもの。そして高校の担任から送られてきた私信。
【お母さんがまた学校に来ました。あなたが男子生徒と不適切な関係だと言っています。沈栀、最近は少し世間体に気をつけなさい】
そのとき、私はただペンを一本借りただけだった。二つ目の証拠は、近所のおばさんが送ってくれた。ネットの件を知ったあと、こっそり私に連絡してきたのだ。
【栀栀、あなたのお母さんが昔、家に監視カメラをつけていたでしょう。私、止めたことがあるの】
【あの人が人に自慢していた動画があるんだけど、役に立つか分からない】
動画の中で、母は団地の東屋に座り、瓜の種をかじっていた。母は言った。
「娘は小さいころから、徹底的に管理しないとだめなの。女の子っていうのは、少し目を離すとすぐ汚れるから」
「私は娘の部屋にカメラをつけたのよ。本人はまだ知らない。あの子が言うことを聞かなくなったら、どうにでもできるわ」
見終えたあと、手が震えてスマホを落としそうになった。林夏は目を赤くして聞いた。
「お父さんは知っていたの?」
私は笑った。
「知らないわけがない」
三つ目の証拠は、クラウドストレージの中から見つかった。母は私の電話番号で、家庭安全アプリに登録していた。私は試しにパスワードを再設定した。認証コードは私のスマホに届いた。
ログインすると、管理画面にずらりと録画記録が表示された。十六歳から十八歳まで。寝室。机。
ベッドの横。そのファイル名を見ただけで、胃がむかついた。林夏が画面を手で覆った。
「見ないで」
私は言った。
「見なきゃ」
母が私を何だと思っていたのか、知らなければならなかった。でも一本目を開いた瞬間、私は後悔した。動画の中で、私は制服を着て机に向かって宿題をしていた。母がドアを開けて入ってきて、私の通学かばんを漁った。
中から一枚の付箋を見つけた。それは男子同級生が班全員に書いた実験分担だった。母はその紙を持ち、私を床に跪かせた。
「言いなさい。これは誰?」
十六歳の私は、息も絶え絶えに泣いていた。
「お母さん、これはグループ課題だよ」
母は私の髪をつかみ、顔を床に押しつけた。
「まだ嘘をつくの? 卑しい子ね」
私は動画を閉じ、トイレへ駆け込んで長いあいだ吐いた。何も出なかった。酸っぱい胃液だけだった。林夏が外からドアを叩いた。
「沈栀、開けて」
私はドアにもたれて座り込み、涙がパジャマの上に落ちた。自分はもう麻痺していると思っていた。違った。ただ、これまで痛がる時間がなかっただけだった。
スマホがまた鳴った。父からだった。父はめったに私に電話してこない。口を開けば命令だった。
「すぐにネットの説明を削除して、お母さんに謝れ」
かすれた声で聞いた。
「お父さん、家にカメラをつけていたこと、知っていたの?」
向こうが一瞬止まった。
「お母さんもお前のためを思っていたんだ」
私は笑った。またそれだ。世界で一番汚い布は、全部『あなたのため』という名前をしている。私は聞いた。
「私の着替えを撮ることも、私のため?」
父は苛立った。
「女の子なんだから、そんな言い方をするな。お母さんがどれほど苦労してお前を育てたと思っている。お前は数本の動画のために、母親を潰すつもりか?」
私はスマホを握りしめた。急に震えが止まった。
「母を潰したのは私じゃない」
「沈栀、恩知らずなことを言うな。お母さんが言っていたぞ。家に戻って謝らないなら、もっと多くの写真を出すと」
呼吸が止まった。
「何の写真?」
父は言った。
「お前が小さいころ、よく分からなかった時期に撮ったものだ。とにかく、お前に恥があるなら、俺たちを追い詰めるな」
トイレの明かりはとても白かった。刺さるほど白かった。私はゆっくり立ち上がり、録音を保存した。林夏がドアを押し開け、私を支えた。
「何て言ったの?」
鏡の中の自分を見た。顔色は紙のようだった。でも目は逸らしていなかった。
「両親は、私の裸の写真も持っているって」
林夏が汚い言葉で罵った。私はスマホを取り、輔導員にメッセージを送った。
【先生、警察に行きます】
送った直後、母から電話が入った。私は出た。母の声は得意げだった。
「沈栀、怖くなった?」
私は黙っていた。母は笑った。
「今すぐ家に帰って、跪いて私に三回頭を下げなさい。そうすれば、何もなかったことにしてあげる」
「そうでなければ、明日、全ネットにあんたの小さいころからの姿を見せてあげる」
私は録音ボタンをさらに強く押した。母は一字一句、はっきり言った。
「あんたは私が産んだの。私がどう扱おうと、私の自由よ」
5
警察が録音を聞き終えたとき、顔色は完全に沈んでいた。私は派出所の椅子に座り、使い捨ての紙コップを握っていた。中の水はとっくに冷めていた。林夏がそばにいた。
輔導員も来ていた。彼女は今回はもう、大ごとにしないでとは言わなかった。ただ言った。
「沈栀、ごめんなさい」
私は彼女を見なかった。恨んでいないわけではない。ただ、力がなかった。警察が聞いた。
「被害届を出す意思はありますか?」
私は頷いた。
「あります」
「相手はご両親です。今後、かなりの圧力がかかる可能性があります」
私は机の上の資料を見た。録音、スクリーンショット、動画、チャット記録。厚い束だった。私が奪われた半分の人生のようだった。
「分かっています」
警察は言った。
「盗撮、プライベート画像の拡散脅迫、侮辱・名誉毀損に関わる可能性があります。法律に基づいて対応します」
法律。その二文字が落ちてきたとき、私は泣きそうになった。本当に、これを犯罪として扱ってくれる人がいるのだ。家のことではない。
私のためでもない。私がわがままなのでもない。派出所を出ると、母がすでに門の前で待っていた。誰が知らせたのか分からない。
髪は乱れ、目は真っ赤だった。私を見ると、母は飛びかかって顔を引っかこうとした。警察が止めた。母は胸が裂けるように泣いた。
「沈栀、本当にお母さんを訴えるの? 十月十日お腹で育てて産んだのに、そんなふうに返すの?」
私は母を見た。この顔を二十年見てきた。昔の私は、その顔の中から少しの愛を探そうとしていた。ほんの少しでも。
今はもうなかった。あるのは計算と怒りだけだった。
「私を産んだからといって、私を壊していい理由にはならない」
母は一瞬固まった。それから罵った。
「こんなに良心のない子だと分かっていたら、産まれたときに絞め殺しておくべきだった!」
横で調書を取っていた警察が眉をひそめた。母はすぐ言い換え、さらに大声で泣いた。
「違うんです、これは怒りに任せた言葉です。この子に追い詰められたんです!」
私はバッグからブレスレットを取り出した。ピンク色の笑顔がまだ点滅していた。それを母の足元に置いた。
「返す」
母はブレスレットを見つめ、急に声を低くした。
「警察に行けば勝てると思っているの?」
私は何も言わなかった。母は一歩近づき、毒のような目で私を見た。
「沈栀、あんたの学校、あんたの将来の就職、あんたの未来の彼氏、私は全部に行って騒いでやる」
「私が楽に暮らせないなら、あんたも楽に暮らせると思わないことね」
私は母を見た。
「なら、試してみて」
母は笑った。
「誰があんたを信じると思うの? 私はあんたの母親よ。どれだけ証拠があっても、世の中には『天下に悪い親はいない』と言う人がいるの」
その言葉は正しかった。ネットには確かにそういう人がいた。私が警察に行ったことが広まると、コメント欄は二つに割れた。私を勇敢だと言う人がいた。
私を狼心狗肺だと罵る人もいた。
【親が厳しく管理したくらいで何が悪いの?】
【盗撮はいけないけど、警察はやりすぎじゃない?】
【今の子どもは怖いね。実の母親まで突き出すなんて】
その言葉を見ても、私は崩れなかった。おそらく、最もひどい言葉はすでに家で聞き尽くしていたからだ。翌日、学校で臨時会議が開かれた。私は事務室に呼ばれた。
学校の幹部、輔導員、学院の書記がいた。母の投稿は大きく広がり、学校の評判にも影響していた。私はドアの外に立ち、中から誰かが話す声を聞いた。
「まず学生に説明文を出させよう。学校を巻き込ませないように」
「家庭内の問題をここまで大きくされると、学校としても困る」
「母親もネットで泣いて、学校が隠蔽していると言っている」
私はノックして入った。全員が静かになった。書記が咳払いした。
「沈栀さん、学校はあなたの境遇を理解しています。ただ、今は世論が広がっています。学校としては、あなたにも協力してもらい、個人的な感情をいったん置いてほしいのです」
私は聞いた。
「どう協力するんですか?」
彼は一枚の紙を私の前に押し出した。そこには謝罪声明が書かれていた。大意は、私と母のコミュニケーション不足により誤解が生じた、学校の配慮に感謝し、これ以上拡散しないでほしい、というものだった。私は読み終えると、笑った。
輔導員の顔が白くなった。
「書記、これは不適切です」
書記は眉をひそめた。
「小陳、あなたは黙っていなさい」
彼は私を見た。
「沈栀、成人した人間なら、大局を見るべきです」
私はその紙を机に戻した。
「誰の大局ですか?」
事務室はさらに静かになった。私は言った。
「母は私を盗撮し、脅し、デマを流しました。今、あなたたちは私に謝罪させ、これは誤解だと言わせようとしている」
書記の顔が沈んだ。
「あまり興奮しないでください」
「興奮していません」
私はバッグからUSBメモリを取り出した。
「学校が処理できないなら、自分で処理します」
彼は聞いた。
「どういう意味ですか?」
私は言った。
「メディアにも、弁護士にも連絡しました。今日の午後三時、すべての証拠を公開します」
書記は勢いよく立ち上がった。
「沈栀、そんなことをしたら学校にどれだけ迷惑がかかるか分かっているのか?」
私は彼を見た。
「迷惑を持ち込んだのは私ではありません」
「被害者の口を塞ごうとする人たちです」
輔導員が突然口を開いた。
「書記、私は沈栀を支持します」
私は固まった。彼女の目は赤かったが、もう目を逸らしていなかった。
「以前の私は間違っていました。彼女に我慢しろと言うべきではありませんでした」
書記は怒って机を叩いた。けれどドアの外から拍手が聞こえた。林夏がそこに立っていた。後ろには何人もの同級生がいた。
寮管理のおばさんもいた。林夏はスマホを掲げていた。
「すみません。さっきの話、全部録音しました」
書記の顔色が完全に変わった。林夏は私を見て、笑った。
「栀栀、三時のライブ配信、私が準備しておいたよ」
6
ライブ配信が始まる前、私は空き教室に座っていた。カーテンは半分閉まっていた。陽光が隙間から切り込むように差し込み、机の上に落ちていた。林夏がリップを一本差し出した。
「塗って。顔色が少しよく見えるから」
そのリップを見た。昔、母は私に使わせなかった。女の子が化粧をするのは不良だと言った。高校卒業の日、私はこっそり一本買ったことがある。
まだ封を開けていなかったのに、母に見つけられてゴミ箱に投げ込まれた。母は私を罵った。
「小さいくせに、男を引っかけようとしているの?」
私はリップを受け取り、スマホの黒い画面を鏡にして塗った。色は濃くなかった。けれど私は、自分が少し生き返ったように感じた。ライブ配信の人数はどんどん増えた。
千人。五千人。二万人。コメントは読めないほど流れていた。
罵る人がいた。騒ぎを待つ人がいた。私が実母を警察に通報した女子大生なのかと聞く人もいた。私はマイクを入れた。
「私は沈栀です」
思ったより声は安定していた。
「今日は同情を売りません。証拠だけを出します」
最初の音声は、母が私にGPSブレスレットをつけさせた録音だった。
【十分钟ごとに位置情報を送ること。一度でも抜けたら学費を止める】
【シャワーでも外してはいけない。誰知道、シャワーを口実に外へ男と遊びに行っているかもしれない】
コメント欄が一瞬止まった。それから爆発した。二つ目は、母が寮の下でハサミを持って私を脅した動画だった。母は地面に座って泣き、私が家に帰らなければ死ぬと叫んでいた。
画面の中で、私の顔は腫れていた。コメントが変わり始めた。
【この母親、病気だろ】
【これは管理じゃない。脅迫だ】
三つ目は、近所のおばさんが送ってくれた東屋の動画だった。母は瓜の種をかじりながら言っていた。
【私は娘の部屋にカメラをつけたのよ。本人はまだ知らない】
【女の子は少し放っておくと汚れる】
その言葉が流れた瞬間、ライブ配信は一時的に固まった。視聴者数は十万人に達した。私は泣かなかった。ただ証拠を一つずつ出した。
盗撮動画の管理画面のスクリーンショット。父が私のプライベートな写真を公開すると脅した録音。母が投稿したデマの原文。そして、母が裏で高級車、ブランドバッグ、高額エステカードを自慢していたモーメンツ。
母は投稿では、自分を苦労して貧しい母親だと書いていた。けれどその一方で、モーメンツにはこう載せていた。
【今日も六桁消費した一日】
コメント欄は荒れ狂った。林夏が横でファイルを切り替えてくれた。輔導員は教室の一番後ろに座っていた。ずっと下を向いていた。
彼女が何を考えているのか、私には分からなかった。最後に、あの電話の録音を流した。母は言った。
【あんたは私が産んだの。私がどう扱おうと、私の自由よ】
私はカメラを見た。
「私は以前、そうだと思っていました」
「だから母がスマホを調べても、我慢しました。日記をめくられても、我慢しました。監視カメラをつけられていることを知らず、知ったあとも、自分が悪かったのかもしれないと思いました」
「でも今は分かります」
少し止まった。喉が少しかすれていた。
「産んだことは、所有権ではありません」
「私は人間であって、母の私物ではありません」
ライブ配信のコメント欄では、罵声、慰め、謝罪が入り混じっていた。スマホが激しく震え続けた。親族グループ。親戚。
知らない番号。一つも出なかった。やがて、母からの着信が表示された。林夏が私を見た。
「出る?」
私は頷いた。スピーカーにした。母の声はほとんど裏返っていた。
「沈栀、今すぐライブを切りなさい!」
コメント欄が一瞬で埋まった。私は言った。
「もう遅いよ」
母は荒い息をしていた。
「あんたは私を潰した! 近所も見ている、会社の人も見ている。私にこれからどう生きろと言うの?」
私は聞いた。
「私のパジャマ姿の写真を投稿したとき、私がこれからどう生きるか考えた?」
母は叫んだ。
「同じにできるわけないでしょう。私はあんたの母親よ!」
私は笑った。
「ライブのみなさん、聞きましたか?」
母の側は、一瞬で死んだように静かになった。数秒後、母は声色を変えた。泣き声はすぐに出てきた。
「栀栀、お母さんが悪かった。お母さんはただ、あなたを愛しすぎて、道を踏み外すのが怖かったの」
以前なら、私は揺れていた。母に愛されたかったからだ。たとえ母が私に渡したものが刃物でも、その柄に愛と刻まれているのではないかと疑ってしまった。でも今は違った。
「お母さんは私を愛していない」
「私がもうお母さんを怖がらないことを、受け入れられないだけ」
電話の向こうで、母の呼吸は恐ろしいほど重くなった。
「沈栀、覚えていなさい」
私は通話を切った。ライブ配信では、まだ今後どうするのかというコメントが流れていた。私はカメラを見て、最後の一言を言った。
「この先は法律に任せます」
配信を切ったあと、教室は静まり返っていた。林夏が私を抱きしめた。彼女は言った。
「勝ったね」
私は何も言わなかった。まだ勝っていないと分かっていたからだ。母のような人は、私の髪の毛一本でもつかめるうちは、決して手を離さない。案の定、その夜十時、知らない番号からメッセージが来た。
【あなたのお母さんが寮の下にいる。記者を連れてきている】
7
私が寮の下に着いたとき、母はすでに地面に跪いていた。今回は髪を振り乱してはいなかった。洗いざらしの古いコートを着て、顔には灰のようなものを塗っていた。横にはスマホで撮影している人が二人いた。
母は泣きながら言った。
「私はたしかに厳しすぎました。でもすべて娘のためだったんです」
「今、娘は外の人間と組んで私をネットリンチし、私に死ねと追い込んでいるんです」
「みなさん見てください。母親である私が娘に跪いて、許してほしいと頼んでもだめなんですか?」
また人だかりができた。私は本当に母を尊敬しそうになった。何度暴かれても、母は別の皮をかぶって演じ続けられる。記者がマイクを私の前に差し出した。
「沈さん、お母様はすでに謝罪されています。許すつもりはありますか?」
私は聞いた。
「母は誰に謝ったんですか?」
記者は固まった。私は母を見た。
「自分が悪かったと言ったよね。では、何が悪かったのか言ってみて」
母の泣き声が止まった。
「私は……管理が厳しすぎた」
「ほかには?」
「感情的になりすぎた」
「ほかには?」
母の目に怒りが灯り始めた。私は母の代わりに言った。
「私を盗撮した。プライベートな写真を拡散すると脅した。私生活が乱れているとデマを流した。退学を強要した。自殺を持ち出して私を脅した」
「これを認める?」
記者のカメラはすぐに母へ向いた。母の顔は白くなった。
「違う、私はただ……」
「ただ私のため?」
私は笑った。
「その言葉は警察に言って」
私は新しく受け取った受理証をカメラの前に掲げた。
「警察はすでに受理しています」
記者たちは一瞬で興奮した。母は飛びかかって奪おうとしたが、寮管理のおばさんに止められた。母はとうとう演じ続けられなくなった。私を指差して罵った。
「沈栀、この白眼狼! 本当に実の母親を中に入れるつもりなの?」
私は言った。
「法を犯したなら、入るべき場所に入るだけ」
母は怒りで全身を震わせた。今回、見物人は母の味方をしなかった。母を自業自得だと罵る人がいた。警察を呼べと言う人もいた。
スマホを掲げて、母の取り乱す姿を撮る人もいた。母が一番大切にしているのは面子だ。彼女はカメラを避けながら、外へ逃げ出した。連れてきた二つの撮影アカウントも慌てて、機材を落としそうになった。
林夏が走ってきた。息を切らしていた。
「学校が声明を出した!」
私はスマホを開いた。学校の公式アカウントが、たった今通告を出していた。
【調査の結果、本校学生の沈某は、長期にわたり家族から違法な監視、脅迫、ネット上の誹謗中傷を受けていたことが確認されました。本校は学生に対し、法律支援および心理的支援を提供し、学生の合法的権益を断固として守ります】
コメント欄の流れはすぐに反転した。以前私を罵った人たちは、コメントを削除し始めた。私信で謝ってくる人もいた。輔導員からメッセージが届いた。
【沈栀、助学金の申請は通りました。学校も臨時困難補助を申請する手伝いをします】
画面を見ていると、目が酸っぱくなった。そのお金のためではなかった。初めて、誰かが私の側に立ってくれたからだった。その後の進展は、思ったより早かった。
盗撮動画のクラウドストレージは、警察が証拠保全した。両親は呼び出された。母は最初、まだ強気だった。あれは家庭内教育だと言い張った。
警察が、プライベート画像の拡散脅迫は違法の疑いがあると伝えるまでは。母は泣いた。父も慌てた。彼は私に電話をかけてきた。
「栀栀、お父さんが悪かった。事件を取り下げてくれ。お母さんに本当に前科が残ったら、この家は終わる」
私は聞いた。
「私は?」
父は分からなかった。私は言った。
「私が何年もあなたたちに壊されていたとき、この家は終わっていたの?」
父は沈黙した。そして逆上した。
「お前は俺たちを死ぬまで追い詰めるつもりか?」
私は電話を切った。ブロックはしなかった。証拠を残すためだ。学期が終わる日、私は元の寮から引っ越した。
怖かったからではない。学校が新しい部屋を用意してくれたからだ。心理相談室にも近かった。林夏が荷物運びを手伝ってくれた。
彼女は箱の底からあのGPSブレスレットを見つけた。
「これ、まだ残しておくの?」
私は一目見た。
「残す」
彼女は固まった。私は言った。
「証拠品として」
林夏は笑った。
「いいね。牢飯でも食べてもらおう」
私も笑った。廊下に陽光が差し込んでいた。とても明るかった。明るすぎて、少し慣れなかった。
荷物を運び終えたあと、私は髪を切りに行った。長い髪をばっさり切った。美容師が、惜しくないかと聞いた。鏡の中で軽くなった自分を見た。
「惜しくないです」
彼女はまた聞いた。
「失恋ですか?」
私は言った。
「違います」
「じゃあ何ですか?」
少し考えた。
「出獄です」
8
三年後、入社したその日、私はまた母に会った。母は会社の受付に立っていた。色あせて洗い古された服を着ていた。髪はぼさぼさだった。
手には一枚の紙を掲げていた。そこにはこう書いてあった。
【娘は月給三万元なのに、実の母を養わない】
私はエレベーターの入り口に立ち、笑い出しそうになった。この三年、母の暮らしはよくなかった。あの事件で、結局母は刑務所には入らなかった。だが行政処分を受け、盗撮と名誉毀損で私に賠償金も払った。
母が最も愛していた面子は、粉々になった。知人の間で、母が何をしたか知らない人はいなかった。昔、自慢していたアカウントも徹底的に掘り返された。その後、親戚から聞いたところでは、父は投資詐欺に遭い、家は車を売った。
そこでようやく、彼らは私を思い出した。受付の若い女性は困った顔をしていた。
「沈さん、この方はお母様だと言っています」
私は頷いた。
「そうです」
母は私を見るなり泣き出した。
「栀栀、お母さんは間違っていたわ。あなたは今、立派になったんだから、お母さんを見捨てることはできないでしょう」
周囲の同僚が少しずつ集まってきた。母は慣れた様子で跪いた。三年前よりもずっと慣れていた。
「私はあなたを大きく育て、大学まで行かせたのよ。今、お母さんは病気で、薬代もない。こんなに冷たくできるの?」
誰かが小声で話し始めた。私は母の前まで歩いた。
「いくら欲しいの?」
母の目が一瞬光った。だがすぐに抑えた。
「お母さんはお金が欲しいんじゃない。ただあなたに会いたかっただけ」
私は言った。
「言わないなら行く」
母は歯を食いしばった。
「まず二十万ちょうだい。それから毎月の給料はお母さんが管理する。あなたは三千元だけ生活費として残せば十分。女の子が手元にお金を持ちすぎると、ろくなことにならない」
聞き慣れた言葉。聞き慣れた匂い。私はスマホを取り出した。
「今の、録音しました」
母の顔色が変わった。
「沈栀、あなた、まだそんなことをするの?」
私は言った。
「お母さんに教わったから」
母は演技を続けられなくなり、声がすぐ尖った。
「私はあなたの母親よ。あなたが私を養うのは当然でしょう!」
私は頷いた。
「いいよ」
母は固まった。
「本当?」
私はファイルを開いた。
「法律上、扶養義務は履行できます。ただし、あなたが本当に生活に困っているのか、労働能力がないのかは、裁判所が認定する必要があります。裁判所がいくらと判断したら、その分は払います」
私は弁護士の名刺を母に差し出した。
「訴えて」
母は名刺を見つめ、顔を青くした。
「そんなに冷たくするの?」
私は母を見た。
「私はただ、規則に従っているだけ」
その言葉で、母は完全に崩れた。昔、母は私に規則を作るのが大好きだった。何時に起きるか。何時に寝るか。
誰と話すか。どの道を歩くか。今、ようやく母が規則に阻まれる番になった。母は突然床に寝転がった。
「みなさん見てください。不孝な娘が実の母を死に追いやろうとしています!」
けれど今回は、誰もすぐに私を責めなかった。同僚たちは三年前のニュースをすでに見つけていたからだ。誰かが小声で言った。
「あの、娘を盗撮した母親じゃない?」
「え、彼女なの?」
「よく顔を出せるね」
母はそれを聞いた。彼女は床から起き上がり、顔を覆って逃げようとした。私は呼び止めた。
「待って」
母は振り返った。目の中には、まだ少しだけ希望があった。私はバッグから箱を取り出し、母に差し出した。
「送るよ」
母はためらいながら受け取った。箱を開けると、中にはあのピンク色の子ども用GPSブレスレットが入っていた。画面は壊れていた。笑顔のマークは二つに割れていた。
母の顔は一瞬で白くなった。私は言った。
「覚えてる?」
「昔、お母さんは、これをつければ私は安全だと言った」
私は一歩前に出た。
「今、これを返す」
「お母さんも、安全にね」
母の手が震え、箱が地面に落ちた。ブレスレットが転がり出た。母の足元で止まった。母は幽霊でも見たように後ずさった。
最後には、みっともなく会社から走り去った。同僚たちは、それ以上私を囲んで質問しなかった。上司が歩いてきて、一言だけ言った。
「半日休む必要はありますか?」
私は首を振った。
「大丈夫です」
彼は頷いた。
「では、入社を歓迎します」
その夜、私は遅くまで働いた。街の灯りが一つずつともり始めた。ショッピングモールの前を通り、私は自分にとても高いワンピースを買った。カードを切るとき、店員がレシートは必要かと聞いた。
私は一瞬固まった。それから笑った。
「いりません」
店を出ると、林夏からメッセージが届いた。
【入社、順調だった?】
私は手に持ったショッピングバッグを撮った。
【順調。ワンピースも買った】
彼女の返信は早かった。
【可愛い?】
私は下を見た。
【可愛い】
彼女は大量の笑いスタンプを送ってきた。
【明日着て見せて。逃げるなよ】
私はスマホをバッグに戻した。風が吹いた。寒くなかった。家に戻ると、引き出しを開けた。
中には証拠のバックアップが入っていた。録音、スクリーンショット、判決書、受理証。それから、あのブレスレットの写真。私はもう見なかった。
ただ引き出しを閉じた。昔の私は、誰かから逃れるには、きれいに勝たなければならないと思っていた。あとになって分かった。振り返らないだけで、もう勝ちなのだ。
翌日、私は新しいワンピースを着て出勤した。エレベーターの鏡に、自分の姿が映っていた。髪はすっきりしていて、口紅は鮮やかで、背筋はまっすぐだった。スマホに位置情報アプリはない。
命を削るような電話もない。自分の清白を証明しろと命じる人もいない。エレベーターのドアが開く直前、知らない番号からメッセージが届いた。
【沈栀、本当に私を見捨てるの?】
私は二秒だけ見た。ブロックした。ドアが開いた。ガラス窓の外から陽光が差し込み、床に広がっていた。
私はその光の上を歩いて出ていった。背後から誰かが呼んだ。
「沈栀、会議だよ」
私は振り返って笑った。
「今行きます」




