第0話 前編 明るい世界
まずは閲覧いただき誠にありがとうございます。
今回初投稿というわけで稚拙な文章であると思いますが、どうか楽しんでいって下さると幸いです。
今作は、本編の少し前のお話です。
PPP…PPP…PPP…P…ガコン…!
目覚まし時計が私に朝を伝える。
「んー…もぉ朝なの…?」
気持ちのいい朝。
シャ!
カーテンを開けてまばゆい朝日をガラス越しに浴びる。
「ふぅ…よし…!今日からがんばろ…!レッツ高校生……不安だぁ…!」
今日から高校生の私…東 春
厳しい受験を乗り越えて、見事難関高校…東京薬学産業中央高校に入学したのだ!
正直受験云々の前に高額な入学費を見て受験を断念しようとしていたが、それを知った両親が無理をしてお金を工面してくれた。本当に感謝しかない。だからこそ私はこの高校を卒業して、世界的なあの大企業…
URO製薬会社に入って両親に沢山の…本当に数えきれないほどの感謝と恩を返そうって思う。
「春ーそろそろ起きなー!」
「はーい!」
これからの私の明るい世界に夢を膨らませる私にお母さんが一階から声を張る。
私は急ぎ足で一階に向かい身なりを整える。
髪を解かし、結んで、歯を磨く。身なりを整え食卓に着く。
「いただきます。むぐむぐ…?お母さん、お父さんは?」
「ん?あぁお父さん?お父さんは今日早番なんだって。お父さんったら、春の入学式の日は一緒に家出たかった~って泣いてたんだよ?」
「え~お父さんが?」
「そうだよ?お父さんって結構泣くんだから。」
「へ~知らなかったや。」
お父さんは寡黙な人って感じではないけど、そんなに感情が表に出ることがない人だと思ってた。
お父さんは結構おしゃべりだけど、その声にはあまり感情が乗らない感じだったから…いや…お母さんちょっと話盛ったのかな?
「お母さん話盛ってない~?」
「持ってないわよ。お父さんだって人間よ?もしかしてお父さんのこと、感情がない人だとでも思ってたの?」
「そんなには思ってなかったよ?でも泣く姿が想像できなくて…」
「そうかい?まぁわからんでもないよお母さんも最初そうだったし。」
「へ~…ご馳走様!おいしかった!」
「はいはい。」
食器を片ずけた後すぐに部屋に戻り身支度の確認する。
「よし!問題なし!」
カバンを背負って玄関へ向かう。
「忘れもんは無いかい?」
「無い!」
ドアノブに手をかけて力を入れる。
しかしそのドアノブはとても重かった。
その重みの正体は不安だった。
とてつもない不安に思わず息をのんでいるとお母さんが声を出す。
「春。」
名前を呼ばれ思わず振り返ると腕を組んで壁に寄りかかりニコニコしたお母さんがいた。
「行ってらっしゃい。」
当たり前のことだったのに忘れていた、なんてことはないいつもの呼びかけ。だけど不安が一気に消えていった。いつもの安心感に思わず涙が出そうになった。だけどその涙をぐっとこらえてお母さんに答える
「行ってきます。」
再びドアに顔を向けドアノブに手をかける。
とても軽かった。
ドアを開けて何度も見たはずの外の世界がまばゆい光を放っていた。
それは私が進んでいく明るい世界。
私はその世界に向かって歩を進めた。
登校中ふと空を見た。
青い世界。
とてもきれいな晴天。
心が躍った。
これからの生活に希望を見出すのには十分だった。
しかし…突然だった。
そうやって歩いていた時に突然空の一端に雲が集まり四方に大きな角笛?が生えてきた。そして、笛の上に天使の輪っかが出てきた。
【ゴホン!えー人類皆様聞いていますでしょうか?私 ¨神¨ と呼ばれるものです。】
「…え…?」
以外にも私は冷静だった。
確かに混乱はしそうだったが、いきなりすぎて一周回って冷静だった。
語り掛けてきたのは空ではなくどうやら神とやららしい。
それも全人類に向けたメッセージ?らしい。
【私は神を代表して人類諸君に語り掛けています。さて、ここからが本題です。人類諸君にはたった今から、ゲームに参加してもらいます。】
ゲーム?一体何が始まろうとしているのだろうか。
気が付くとあたりから沢山の声が聞こえてくる。
その声は、不安や恐怖といったものから宗教的な声までさまざまであった。
その中でも宗教的な声で、聞こえる限り二つの意見が出ていた。
神を騙るな。という声と…
神を称えよ。という声。
【ふははは!なんと滑稽な!取り乱すなよ人類共。見苦しくて敵わんわ!いや?見苦しいのは元からか?ふはは…まあいいか、とりあえずゲームの説明から始めようか。ルールは簡単!私たちが生み出す誠醜き化け物から生き残り給え!おっと…言うのを忘れていたね。これはただのゲームじゃない。
¨神と人類のデスゲームだ¨。】
デスゲーム…?何それ…あまりに聞きなれない単語に町は一瞬、静寂に包まれすぐにザワザワと騒々しくなる。私はそこでハッとして急いで母に電話をかけた。
『春!?そっちは大丈夫かい?電話をかけてきたってことはそっちもやっぱり聞いてるんだね?』
「うん…どうなるんだろう。」
『とりあえず家に帰ってきな。学校はそのあと考えな。』
「うん…わかった。」
『ケータイはあんまり使うんじゃないよ、いざってときのために充電残しときな。』
「わかった。」
お母さんは本当にすごい。ほとんど何も私はしゃべってないのに、私の不安要素を理解してくれた。
私は携帯を閉じ神の声に耳を傾けながらたったいまきた道を戻った。
その道中でさえ神の言葉が続く。
【では詳しいルールを改めて解説していくよ。まず…
一つ。世界各国で同時に開催します。
二つ。開催する区間は各国で異なる。
三つ。人類は神の生み出す化け物を殺しきれ勝ち。
四つ。神はその区間にいる人類を殺し殺しきれば勝ち。
五つ。化け物は人類にはない¨神の力¨を使うものとする。
六つ。神は気に入った特定の人類に神の特別な力を与えるものとする。
七つ。神は人類のあらゆる武器の使用を容認するものとする。
八つ。人類が敗北した場合ぺナルティを与えるものとする。
九つ。神も人類もみんなで楽しみましょう。
以上ルール説明でした!では三十分後に第一回…えーっと何て言おうかな?ウーム。
あ…思いついた!……ゴホン!それでは命名します!では第一回¨ゴッドフェスティバル¨を開催際します。
人類諸君!我らが神たちよ!楽しみ給えよ。ではまた三十分後に。】
なんて言った?殺しきれば勝ち?なんだそれ…とにかく急いで帰らないと。
私は一心不乱に走り出した。
家に着き勢いよく玄関のドアを開ける。
「お母さん!帰った……よ…?」
「春!来ないで!」
ドアを開けて目に入った光景はリビングにいる母の姿と、黒く大きな翼を生やした骸骨の頭の異形な者の姿だった。
「お母さん…?」
【おやおや、お子さんでしたね?名前は確か…】
「あの子は関係ないんでしょ?妙なことに巻き込まないでほしいね。」
【おっと…それは失敬。では話を戻します。お子さんもいらしたことですし改めて申し上げます。
貴方に私の力を授けたい所存でございます。】
「お母さん…それって…。」
「…私もわかんないよ、だがこうして目の前に現れちゃあさっきの神様とやらの一旦は信じなきゃあならないみたいだね。」
【えぇその通りでございます。残念ながら先ほどの演説は事実であり現実でもあります。そして例の
¨ゴッドフェスティバル¨に備えて私の力を使っていただきたいのです。】
「……先に聞きたいことがあるんだけど、いいかい?」
【はい。何でしょう?】
「あんたら神様の目的は何だい?」
【目的…なるほど……わかりました。では簡潔に、我々は知りたいのです。】
「知りたい?何をだい?」
【我々が知りたいものとは、我々¨神の力の可能性¨です。】
「はぁ…可能性ってどういうことだい?しかもたったそれだけでこんなでかい事をしたのかい?」
【無論それだけではありません。】
「…聞かせな…。」
【わかりました。我々神に関してあなた方人類がどれほどの知識があるのか分かりませんが、話しましょう。
我ら神は同じ神と争うことが禁じられていました。神同士で争いが起これば人類の行動で賭け事をして解決していましたね。しかしある時に自身の力を思うように使うことが出来ないと、しびれを切らした神たちが暴動を起こした結果、模擬戦を称した神の戦争…神たちが三つの派閥に分かれて戦った。
¨三冠神大聖争¨が始まりました。その聖戦はとある神、三冠神の一柱が封印されることで終結しました。しかし今回の件は溜まりに溜まった不平不満が爆発した事が問題であるとして、神のお偉い方…大神達が会議をし、今回のゲームにて神たちの持て余した力の可能性を人類に貸すことで新たな使い方を見る事が出来る。つまるところ人類に神の力を渡すことでどのような扱い方があるのか見てやろうとなり、今回のゲームの開催に至りました。】
「あんた説明が下手だね。要は神の力を人間が持った場合どう扱うかが見たいってことだろ?」
【その通りでございます。】
「それとこれは疑問なんだが、神同士で争うことって何が悪いんだ?喧嘩もダメなのか?」
【我ら神にはたった一つだけ¨命約(盟約)¨があります。それは¨神同士の醜き争いをなくすこと¨。それを破れば神は¨消滅¨します。消滅とは人類で言うところの死に近いものですが、少し異なります。人類の死とは輪廻の輪に還ることを指します。しかし神の消滅とは、完全なる無になるということなのです。我々神は消滅を恐れました。無論命約以外にも神を消滅させることは可能です。しかし誰もしません。消滅の恐怖を皆知っているからです。我々神が無から生まれた存在だからです。そしてその時のことを覚えています。故に我らはあくまで平穏に穏便に暮らしていました。】
「はぁそうかい…?……それで私にあんたの力をよこそうとしたわけね。…それであんたはどういう力を私によこしてくれるんだい?」
【あなたは本当に聡明なお方だ。私の名は¨シックシック・シックラン¨…¨病の神¨です。あなたには、すべての生物にあらゆる病に感染させることも病を癒す事も出来る力を与えましょう。】
「わかった、だが…本当に私でいいのかい?私はただのおばさんだよ?」
【いえいえ、あなたは極めて聡明なお方であり、さらに実際に会ってみてですが、このような非日常的な状況で一切の動揺を見せないその胆力に魅力を感じあなたしかいないと感じました。】
「そうかい…」
「お母さん!だめだよそんな危なそうなの!」
「春。拒否権なんてないんだよ私たちには。」
「え…」
「相手はこの世界…人類を相手にゲームを仕掛けようとしてるんだろう?そんなことができる連中に私が今反抗してみな?私どころかあんたも危ないんだよ。つまり私たちは今、人質にされているんだ。」
「…でも!」
「わかってるよ、こんなの引き受けるべきじゃないって。でも私はあんたのお母さんなんだ…あんたを守ることが優先事項なんだよ。」
【素晴らしい!確かに私はその気になればあなたたちだけでなくこの町の人類を殺しきることができますが…私はそんなことはしません。面白くありませんから。】
「面白くない…ねぇ。」
【せかす様で申し訳ありませんが、力を渡すための契約をしましょう。お手を。】
お母さんは一瞬私の方を見てすぐに神の方を向きゆっくりと手の甲を差し出した。
この時お母さんが何を考えていたのか全く分からなかったが、一瞬だけ見せた顔には微かに不安があった気がする。
お母さんはまっすぐと頭蓋骨を見据えている。
この状況で変だとは思うけれど、頭蓋骨を見据えるお母さんの顔がとても美しかった。
元ヤンだったお母さんは、とても凛々しい顔立ちをしている。
お母さんの横顔に見とれているとお母さんの手と神の手が触れ合うとまばゆい光が放たれた。
それでもお母さんは、一切の瞬きもせずまっすぐに見据える。
そしてお母さんは光に飲み込まれてゆく。
やがて光の中から神の声が聞こえて来る。
【汝…我が病の恐ろしさを知り給え
汝…我が病の無情を知り給え
汝…我が病の気高さを知り給え
汝…我が病のすべてを知り給え
さすれば汝に神の病の業を背負わせよう
病と死を司りし、病神シックランが契ろう
我に見せ給え
我を喜ばせ給え
契約はここに結ばれた
汝神の力を使い神の反逆者となるが良い。】
光が消えてゆく。光の中からお母さんが現れる。
お母さんは泣いていた。
光の中でお母さんは何を見たのだろう。
私は声を出すことが出来なかった。
声をかけることが出来なかった。
【これで契約は完了した。あなたは既に神の力を扱うことの出来る人間になった。気分はいかがかな?】
「気分か…すこぶる悪いね。」
「お母さん!大丈夫なの!?」
「うん大丈夫少し嫌なものを見ただけだよ。」
【さぁゲームが始まってしまう。生き給え、行き給え。世界を救うのはあなたかもしれませんよ?】
「あぁ行ってくる。」
「お母さん!絶対だめ!」
「春、私が行くのは世界を救うなんてたいそうな理由じゃないよ。ただ我が子を守りたいだけだ。」
「なんでお母さんが行かなきゃいけないの!他の人でもいいじゃん!なんで!なんで…なんでなの…」
「春。お母さんは見たの。だから行くの。」
「え…?わかんない。わかんないよ…」
【パンパカパーン!!人類の皆様!!楽しい楽しいゲームの時間だよ!!さぁさぁよってらっしゃい、見てらっしゃい!地獄のような世界が始まるよ!さぁさ出給え出給え人類を蹂躙する化け物のお出ましだー!!今回の化け物の名前と簡単な紹介をしよう!!司会はこの私!喜びの神!¨ファムノス¨がいたしましょう!
一体目!名前は¨癌¨!元人間であり医者だった彼は癌の罹患者を救えず心を痛め自ら命を絶った悲しきモンスター!
二体目の名前は¨盲翼¨生前空を羽ばたくことを夢見たが道半ばで息絶えた少年だ!少年は空を駆け空を支配する少年だ。
三体目は、¨安寧¨生前彼女は素晴らしく強い女であったが、怒りによってすべてを失った!故に彼女は心に安寧を求めたのだ!
四体目!こいつはすごいぞ!この国の歴史の中で、最高に有名なこの男!天下を夢見。天下を統一する一歩手前で家臣に裏切られ道半ばに世を去った男。¨織田信長¨だぁぁぁぁ!
以上今回の化け物の簡単な紹介でした!人類共!楽しんでくれ給え。タイムリミットは朝日がさすその瞬間だ!それまでに化け物を殺せなかった場合は、もう一つの町が消える事でしょう。せいぜい頑張ってください!それでは!】
「春。行ってくる。」
「…」
【春様。お母様は強いお方だ。きっと生きて帰るでしょう。】
私はまっすぐ前を向いて歩きだすお母さんをただ見る事しか出来なかった。
「春。急いで県外に走って逃げな。」
もはや私を見ることなく声をかける。
しかしお母さんはドアノブにすでに手をかけている。
その手は微かに震えている。
その震えは、恐怖によるものには見えなかった。
「お母さん。絶対生きて帰ってきて。」
「うん、行ってきます。」
ドアを開けて家を出る。
そこから会話はなかった。
私たちは、お互いの道をまっすぐに見て歩き出した。
最後まで閲覧本当にありがとうございます。
後編も作成中ですが、内容が内容だけに少し長くなるかと思われます。
それでも、もっと読みたくなるような作品にしていきますのでどうか後編もぜひ見て行ってください。




