表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

死と共に

見知らぬ人に声を掛けられ、何故か…

「こんな所にいても、寒いだけですから帰りましょう。」

そう促されて、一緒に歩き出した。

私が泣いている理由を聞くでもなく、ただ黙ったまま一緒に歩いてくれている。

今年一番の寒さのはずなのに、何故だか心地よく感じる。

一瞬だけでも苦しみから救われたような気がした。

薄暗かった道が、明るい街頭に照らし出され、まばらだった人影もぶつかり合う人波へと賑わいを見せる。

「ゆっくりで良いと思いますよ。ゆっくりいきなさい。大丈夫、また明日。」

そう言って、その人は笑顔を見せて去って行った。

ゆっくりいきなさい…。

私が使ってきた、いくは逝くしか選択肢が無かった。

だけど、あの人が使った、いくは逝くなのか、生くなのか、行くだったのかは分からない。

いつも逝く事を考え、夜に怯えながら過ごしてきた私は、明日、また逝こうとするだろう。

そして、あの橋に向かい、川底を見つめ、寒くて飛び込めそうにないと、呆れながら、あの人の言葉を思い出すのだろうか。

いつか立ち直れる日を迎えて、平穏な夜を過ごせる日が訪れるのだろうか。

そう思いながら、明日を迎えるのも良いかもしれない。

そうやり過ごしながら、逝く日を迎えても良いのかもしれない。

これから先も私は逝く事を諦めないだろう。

仕方がない、また死と共に明日を迎えよう。

あー、明日死ねればそれで良い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ