恋焦がれる夢のうち
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
作者の寝る前のルーティンなんですよ。
頭の中御花畑なので。
夜寝る時は何時も同じ方の事を考える。夢にたった一度だけ姿を現しになった方。鮮やかな黒髪に、白い素肌の、目を逸らしたくなる程、綺麗な方。今一度、お会いしては下さないだろうか。
けれどもどれだけ私が渇望しても、夢に現れる事は無いのである。それでも諦められないのは、一重にこれが――。
今日も今日とて布団に包まって、あの方の事を考える。鮮やかな黒髪をしていて、肌が透き通る様に白くて、その白魚の指で、風を当てる様に私の髪にお触れになられる。それだけで胸が一杯になって、ぐりぐりと布団に顔を押し付ける。
抱き着きたくて、離したくなくて仕方がない。もっともっと可愛がって戴きたい。
その思いを受けて、あの方の指がつっ……と項に移動する。指先で滑る様に撫でられると、心が満たされた様な感じがする。そうして何時もの様に眠りに落ちた。
気が付くと私は布団に顔を押し付けていた。柔らかい羽毛の感触が顔一杯に感じられる。何時もの朝だ。けれども違う事が。髪と項には、何時もと異なる感触があった。
風が当たる様に、誰かの指が髪を滑る。するり、するりと下ったら、時折悪戯に流れを掻き分けて、項に触れる。私が好きな触れられ方。そうされるとどうしようもなくなって、何かにしがみつきたくなる程。
あの方、なのだと思う。寝る前に想像していた、否、それ以上の感触がそこにあるから。
けれども振り返る事は出来なかった。振り返ったら溶けて無くなるか、別のものに変貌してしまいそうだったから。だからただ布団に顔を押し付けて、興奮を抑え付けるようにして、やり過す。
一定のリズムで触れていた指が止まる。もう、お終いなのだと知った。
「……次、同衾しても、私から逃げないでいてくれる?」
代わりに届いたのは砂糖菓子の様な問い掛け。軽く髪を弾いて吹き掛ける様にそう仰った。
其れは土台無理な話で御座いますよ。貴方が綺麗だから。綺麗過ぎるから。
「寝る前に好きな人の事を考えると夢に出るってあれ、一切信用してない」
「そう? 寝る前に幸せになれるから、良いと思うけど」
作者の寝る前のルーティンなんですよ。
かれこれ幼少期からやってる癖なので、今更治すつもりがサラサラないという。
何時も同じ様に撫でられる夢を見ながら眠るんです。
それで夢を見たことはほぼないのですが、生きてて良かったと思います。
今日も幸せな夢が見たいです。