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謎の男

 次の日、あたしはその洞窟の前に立っていた。

 あたしの今の仕事はファームの次期王位継承者(仮)であるエバの護衛。今日は休みをもらってここに来た。エバからこんなに離れるのは出会ってから初めてかもしれない。

 あいつ、めちゃくちゃ身体弱いから一人にしとくと心配だけど、旅をしてた頃とは違って今はお城の人たちやフェルがいるから多分大丈夫、だと思いたい。

 あたしは岩肌にぽっかり空いた穴を見る。中は暗くて、荘厳というか、なんだか神秘的で、ちょっと怖い。

 が、入り口には、でかでかと『立ち入り禁止』と書かれた旗が掲げられている。それが妙に俗っぽくてなんだか少し安心する。

 まぁ、禁止と言われても入るけどね。

 そう思い、洞窟に足を踏み入れようとしたとき、

「何をしている」

 振り返ると、いつの間にいたのかそこには男が一人立っていた。

 年はフェルくらいか。見たことのない男だ。動きやすそうな赤黒い服を着て、剣士、なのかな?腰にやたらとごつい剣を提げてる。

 背が高くて、髪は黒、なんだが、染めているのかなんなのか、前髪の一房が灰色になっている。

 しかし、このタイミングでそう声をかけてくるってことは、

「あんた、ここの番人か何か?」

 ·······································。

 なんだ、この間は。

「違う」

 男がやっとそう言った。なんなんだ。

「じゃあ何?」

 ····························。

「その間はやめて」

「···用があるわけじゃない」

 ぼそっと答える。ホントになんなんだ。この男は。

 まあまあイケメンだけど、なんとなく雰囲気がフェルに似てるような気がして苦手だ。

「用はないが、そこには入らない方が良い」

「なんでよ」

 ··················································。

 また間!!

「もういい!!入る!」

 あたしが洞窟に足を踏み入れたとき、


 にょいんっ にょにょにょっ


 地面から何か黒い靄のようなものが生えてきた。

 それに、更ににょにょっと手が生える。なんなら足まで生えてきた。

「なんかいっぱい出てきたーーーー!?」

 あたしは男の胸ぐらを掴むと、

「何あれ!」

「···」

「間は無しで喋れ!!」

「···あれは、亡者どもだ

 ここは魂が集まる場所

 そこに生きている人間が入ると、亡者たちはその人間の持つ生きる活力という光を求めて暴れだす」

「え。でも、知り合いは昔何度かここに通ってたって言ってたよ?」

「生への活力がなければ何も起こらない

 その知り合いは、生きる意志が弱かったんじゃないか?」

 ああ、それで勇者(?)は立ち直ったフェルにもう来るなって言ったのかーって、今はそれどころじゃねえ!!

 黒い塊、亡者?たちはこちらへのそりのそりと近付いてくる。逃げることは出来そうだが、放っておくわけにもいかない。こんなんがもし街に入りでもしたらとんでもないことになる。

「だから危険だと言っただろう」

 いや、言ってないだろ。

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