初任務②
この王国の真相を知るべく派遣された2人だが、新たな目的が2人には出来た。
「この炎を放ったやつを見つけ、倒す。」
「さすがに許さない。絶対に倒す。」
このことをきっかけに先ほどまでの臆病なレアトは消えていた。
「とりあえずいつこの人達に手を合わせましょう。それが今の私達にできる事です。」
「そうだな。」
ドンドンドンドンドン!!
2人が手を合わせたその瞬間。まるでタイミングを見てたかのように炎の向こうから大きな足音が聞こえてくる。
「やはりいたのね。」
「なにが!!」
少し慌てるレアトに落ち着いているりあ。戦場の経験の差がやはり出る。
「カラーミーよ!おそらくブルーかそれ以上!」
ドンドンドン!
大きくなっていく足音。2人はまだかと待ち構える。
ドン!!!
今までで1番大きい音がする。それと同時に大きな影が2人の真下に現れた。
「ハッ!危ない!」
りあはレアトを押しその落ちてくる影から守った。りあもなんとか避けることに成功し2人はその影の正体を確認する。
「オ、オレンジ???」
上から落ちてきた物体はカラーミーだと2人は予想していだが、オレンジ色に染まった肌のカラーミーだとは思っても見なかった。
驚く暇も無く、オレンジ色のカラーミーは攻撃してくる。
巨大な体から放たれる右の大振り。当たれば威力は絶大だが、巨大なので動きが遅く2人ジャンプすることで避けることに成功した。
スタッ
2人は同じ場所に着地する。
離れるとあぶないと分かっているからだ。
「レアト君私がこのカラーミーを倒します。でも情報が欲しいのですぐには倒さず徐々に倒すので隙があれば攻撃してください。私が技を出す時は手出し無用で!」
コクッと頷くレアト2人が会話する時間などなくりあが早々と言った言葉をレアトは聞き逃さない。
りあとレアトの2人がカラーミーに向かう。
りあのレベルになるとカラーミーなどは一撃で倒せる。しかし新種のオレンジともなると話が違ってくる。今後のためにできるだけ情報はほしい。ブルーカラーミーの時とは違い今はこの一体しか確認できていない。時間をかけて倒すとりあは決め、最小限のダメージを与えていく。
りあは基本的に体一つで戦う。その拳は刃のごとく相手を切り刻むほどの威力。
カラーミーにたくさんの切り傷ができていく。
その攻撃にカラーミーが痛がるのは目に見えて分かる。
(隙があればって、、隙ねーじゃん。)
りあの戦いが前初めてりあを見た時と違いすぎて驚いている。
ドカン!
大きな音がした。カラーミーの大振りがりあに直撃したのだ。
スタッ!
遠くまで飛ばされたりあ。しかし、華麗な受け身でダメージを最小限にする。
しかし、その隙をカラーミーは見逃さない。
口から炎を出してきた。
ボウッ!
炎がりあの方に向かっていく。少し出遅れたりあ。もしこれが先ほどのまでの炎と同じ温度なら少し危ないと踏んだりあ。風翔で迎撃する。。
炎の風翔の強風がぶつかる。
炎と風の押し合い。少しずつ炎をかき分けて行くが負けじのカラーミーも炎の威力を上げていく。
(隙があれば攻撃してください。)
レアトはこの言葉を忘れていなかった。
「武器を操るもの」
レアトがミハエルアルマで大剣を出す。
「能力を操るもの」
ガキツカイで自分の身体能力を上げ、カラーミーのうなじ目掛けて大剣を降る。
ザシュ!
見事に大剣がうなじを切る。
それと同時に炎も消え、りあは助かる。
りあの元へ駆けつけるレアト。
「少し油断したけど攻撃してくれると思ってた。ありがとう。」
どうやらあの隙はわざとらしい。
避ける事もできたが、レアトのために隙を作ったというなんとも危なっかしい行動に出た。
「あの炎を受けて分かったけど、この炎の原因では無さそうね。温度が違いすぎる。オレンジというのもおそらく火を扱うというところだけね。」
「そしたらあのカラーミーを調べて、」
ムクッ
カラーミーが起き上がる。レアトの大剣での攻撃はダメージはあったものの絶命までは行かなかった。
カラーミーは死ぬ未来が見えているので全ての力を振り絞って炎の攻撃をしてきた。
「うなじを切ったのに!!また来るよ!」
ビュー!!!
カラーミーの炎が空気を切り裂く音と共にレアトはどうしよかと考えていた。
「大丈夫。今回は出遅れてないから。」
「雷降1の型 瞬光雷撃」
一瞬にしてりあが目の前から消えた。
「え?」
炎がレアトの目の前にきた瞬間レアトの視界は変わっていた。カラーミーが自分の目の前にいて右を向いている。
ゴトッ
レアトがこの状況を理解出来ずいるまも目の前のカラーミーの首が地面に落ちる。
ドガン!
それと同時に体も倒れ、レアトはカラーミーが絶命したと理解する。
それと同時に真横にりあが現れた。
「どぉ?トレスフェリスの技は、」
「技なのは分かったけど何が起こったのかがわからないから説明を、、」
「私の魔法は空。空に関するものならなんでもできる。その中で雷降。雷を発生させる技の応用の1の型瞬光雷撃、自分が雷になることで高速移動が可能になるってこと。それでレアト君を移動させてカラーミーを倒したの。」
「で、でも首なんてどうやって、」
「手刀だけど?」
「しゅ、しゅとう?」
「そ、手刀。手に刀で手刀。知らない?」
「いや知ってるけど。」
(大剣での攻撃でもダメージを与えるほどだったのに、雷の早さの手刀で首を落とすなんて、)
「まっ!これがフェルテフェリスの力ですよ!」
りあのテンションが上がっている。
りあは魔法を使う時なぜかテンションが高くなりいつもの性格では無く陽気になるのだ。
「す、すごいね。」
ドンドンドンドンドン!
先ほどと同じ音が再び聞こえる。休む暇もなく次の戦いだ。
「休暇する時間ないよ!」
「うん。」
構える2人だが、実際現れたカラーミーには驚いた。数が多すぎる。10体のカラーミーがこちらに走って来ていた。
「第二ラウンドにしては数多くない?!レアト君はそうだな、、2体相手にしてほしいかも。ちょっと本気出すから頑張って2体倒してね!」
「ガ、ガチか。了解。」
無理やり決まったがやるしかない。なにせりあは8体を相手にするからだ。
「そーりゃ!」
ボカン!
りあがカラーミー2体を蹴り飛ばす。
「じゃあ後頑張ってね!」
りあの声援にやる気が出る。
(さて頑張るしかないか。)
レアトとカラーミー2体が対峙する。
***
(さぁ頑張ると決意はしたもののどうする。
一体は倒せるけど、、)
「おい!カラーミー!俺はお前らを叩きのめす。覚悟しやがれ!!」
「ガァーーー!!」
「ヴァーーー!!」
レアトの煽りに応えるかのようにカラーミーが叫び出す。それと同時にカラーミーの口から炎が飛び出してきた。
「なっ!武器を操るもの!」
ミハエルアルマで盾を出すレアト。
バン!
弾けるような音と共に盾で炎をガードするレアト体を丸めて炎が当たらないようにする。
「バァー」
耐えているレアトを嘲笑うかのようにもう一体のカラーミーが顔を覗かせてくる。
ドギャン!
カラーミーがレアトを蹴り飛ばす。家屋の燃えた後の炭に飛ばされたレアト。
「ウォエ!」
腹を蹴られた衝撃で胃の中のものが逆流してきた。そのまま吐ききったレアトには相当はダメージが入っている。
「体力を操るもの」
ダメージが回復していく。
力が減るからあまり使いたくない、、、熱いのはいやだけどやるしかないか、、)
「硬化を操るもの」
みるみるうちにレアトの体が硬くなっていく。
炎ではもう溶けないほどの皮膚が硬化したレアト。カラーミーに向かっていく。
カラーミーはそれを気にせずに攻撃をする。炎の連続玉をレアトに向けて放つがレアトはそれを気にせず受けとける。もう一体は炎では無意味は事に気づきレアトに近づき渾身の蹴りを飛ばす。レアトはこの攻撃は受けずに避け、カウンターを喰らわす。硬化した体での攻撃なのでかなりのダメージがカラーミーに入る。
それに応じてもう一体のカラーミーも打撃に切り替えて攻撃してくる。それも華麗に避け反撃を喰らわしていくレアト。
これではダメだと気づいたカラーミーは2体1で打撃戦をすることに決めた。
一体のカラーミーが蹴りを飛ばすそれを綺麗なジャンプで避けるレアト。ジャンプで避けた先にもう一体のカラーミーが打撃で攻撃し、レアトにダメージが入る。
ただダメージが入るのはいいもののレアトは硬化しているのでその分カラーミーにもダメージが入る。
(お、、い、し、う、、ね、か。、、だ。)
ズキン!!
レアトの頭に痛みが走った。
頭痛を感じだレアト。
次目を覚ました時には目の前に2体のカラーミーの死体が転がっていた。
***
〜遡る事3分前〜
「あはっ!やっと変われたぜ!おいカラーミー遊ぼうぜ〜!」
驚く2体のカラーミー。細胞レベルで死を覚悟する。
ズサッ
一体のカラーミーは腰が引け倒れる。
もう一体は走って逃げる。
「おいおい、遊ぼうっていったよなー?おもんな。死ねや。」
ブシュ!
腰が引けたカラーミーの首が潰される。
「すぐ終わるのもあれだから!あいつで遊ぼっと!!」
逃げるもう一体のカラーミー。嘲笑うかのように追いつき先に回る。
「バァ!お前の真似〜」
ドン!
蹴り飛ばされるカラーミー。
ガシッ!
頭を掴まれて無理やり起こされたカラーミー。
「反撃しろよ。チャンスやるからよ〜。ほら!」
頬を差し出され、反撃のチャンスを貰うことが出来たカラーミー。だが、カラーミーが起こした行動は意外なものだった。
ブシャッ!
自害したカラーミー。
「あーあ、死んじまったじゃねーか。おもんね〜。まぁいっか。」
スッ
レアトの視界に広がるカラーミーの死体。何が起きたか分からないレアトだが、そんな時間はない。
(りあの援護に行かないと!)
トン
肩を叩かれたレアト。
「お疲れレアト君!なんとか倒せたみたいだね。」
「う、うん。僕の力じゃないんだけどね。」
「また後でその話は聞くよ。今日は戻って休もう。魔力尽きたし。」
そして、2人は崖を上りテントを立てていた場所に戻った。
この車にはいろいろな物資があるので生活には困らない。
車といってもキャンピングカーに似ておりシャワーまで付いているのでりあとレアトは戦いで出た汗を流す。
「レアト君。あのびっくりさせてごめん。技使う時テンション高くなるの癖で、、」
「くすっ。良いよ、なんか今いうのもアレだけど面白いというか意外だったし。」
「笑うのは良くないですね。とりあえずご飯食べながら話聞くから。」
2人は車にあったご飯を食べ、話に戻る。
「それであの暴走は何?」
「え、なんで暴走って、、」
「なんでって見てたからよ?助けようとしたら暴走してすぐに倒しちゃうから?」
「りあは大丈夫だったの??」
「私は一瞬で片付けたよ。正直10体も余裕だったけどレアト君の為に2体あげたの。」
あれ10体が余裕なんて驚きにも程がある。
「一体なんでそんなに、」
「あんなカラーミー達、終奥使ったら一瞬。」
「終奥使ったの?!見たかった。」
「終奥はあんまり使わないからね。使う時全魔力が尽きちゃうから。」
驚愕のデメリットを聞いてしまったとレアトは思った。
「そんなに驚かなくても終わりの奥義っていってるじゃん。」
確かに今言われて気づいたが終わりの奥義だとあまり使いたくは無いだろう。そんなに強い技実際気になる。
レアトは終奥の妄想を頭の中で繰り広げていた。
(僕も終奥修得したい。)
「ねぇりあ、終奥って、」
「あ、あのー」
シャッ!
レアトがりあに質問をしようとした時知らない誰かの声が聞こえりあとレアトは物凄い速さで戦闘態勢に入った。
「あ、違うんです!僕ゾージーニ王国の生き残りで、、」
みるとその子はレアト達よりも遥かに年下の少年だった。
「君、名前は?」
「オーガンです!」
「オーガン君はなんでここに?」
「僕の故郷がずっと燃えてていつか消えないかなってずっと毎日見に来てたんだ。そしたら今日消えてるところがあったから上から見たら2人が戦ってて跡付けてきちゃったんです。」
「オーガン君は今どこに住んでるの?」
「近くの小さな村に、家族で、、ゾージーニが燃えた時僕たちは地上にいたから助かったんです。けど、友達とか、みんなが、死んじゃって、、みんなが生きてたよって証の何かが欲しくてずっと見に来て、そしたら、、炎消えてて、ぐすっ。」
「あー!!ごめんね。大丈夫だよ!!僕たちがあの炎全部消すから!」
「ほんと??」
「ほんとさ!な!りあ!」
「消すことは可能ですが、何か遺品を見つけるのはあなたの役目ですよ?」
「分かってる。分かってるよー。ウァゥウェーン!」
泣き出したオーガン。
「ちょっとりあ!言い方!」
「え!?今の言い方は大丈夫なはず、、ごめんね、オーガン。」
「グスッ、うん。」
「でもこの子が探すってことはこの子を連れて行くってこと?」
「別に居ても居なくても変わらないので大丈夫です。私強いので。」
「オーガン君は大丈夫なの?怖く無い?」
「、う、うん大丈夫。」
オーガンという少年と出会った2人は彼の為に明日の行動を再確認し、オーガンを寝かしつけた。
「明日は一気に中心まで向かいます。カラーミーに遭遇しないためと今日の風翔で大体の場所はわかりましたので。オーガン君はレアト君がおんぶしてあげてください。行動開始時間は朝の7時頃気温が低いのでまだマシだと思うからこの時間にします。では寝ましょう。」
「う、うん」
(だいぶ早いな、眠いのかな?)
どうでもいい疑問を抱きながらレアトは眠りについた。
パラパラパラ
何か本のようなものを読んでいるりあ。
「やっぱりね。」
***
「レアトくーん。起きなさーい。朝ですよー。」
母が自分を起こしている。
ハッ!
目が覚めたレアト。目の前にはりあがいた。
レアトを起こしてたらしい。
母と勘違いしてたレアトは勝手に恥ずかしくなっている。
「何してるんですか、さっさと準備してください。」
「了解です。」
赤くなった頬を隠すようにレアトは顔を洗いに行った。
再び車に感心するレアトほとんど家と変わらない空間に驚いている。車モードと家モードという二つのモードに変形するという優れものらしい。製作者はもちろんエボさん。
(あの人すげ〜)
ダブルピースをするヌエボが頭に出てきたレアト。イラッとしてしまう前に消す。
(頭の中のヌエボ)
「うわ〜。」
3人でご飯を済ませていざ戦地に向かう。
「良いですか?レアト君はガキツカイを使って私についてくる。オーガン君はとりあえず耐えてください。」
「わ、分かった。」
「では行きましょう。」
崖の上からこんなに気合を入れなくてもと思っていたレアトだった。
ゆっくり昨日のように降りていくかと思いきやりあがレアトに投げ掛ける。
「ガキツカイ使わなくてもいいんですか。」
そういってりあは崖から落ちていった。
(「1人の時は飛んでいくんだけどね。そっちの方が早いし。」)
(ガチかよ!!)
「能力を操るもの!」
飛んでというより落ちていくりあ。レアトはそれに追いつくために崖を駆け降りていく。
オーガン君を体に縛っておいてよかったと心底安心するレアト。
りあに追いつくために高速で崖を走る。
地面が見えて来たので思いっきり崖を蹴り着地する。
ドン!
ビリリリリ!
受け身をせずに着地したので衝撃が走るがギリギリ耐えた。
「カラーミーが来る前に行きますよ!!」
ボワーーー!!!
風が空を切る音が凄まじい。低空飛行するりあの後ろを全力でついていく。空気抵抗を極力避けるためにと昨日言われている。低空飛行と同時に前方に風翔を使ってるりあ。
時間をかけると魔力が減るので時間をかけずに中心に向かう。
「着きました。」
「え?」
急に着いたと言われて慌ててブレーキをかけるレアト。幸い周りの炎は消えていたので100メートルほど進んだところで止まった。
タッタッタ
走ってりあのところへ向かう。
「炎先消してくれてたんだな、ありがとう。」
「いやここは元から消えてます。台風の目みたいに。」
周りを見渡すと確かに炎がない。
そして目の前には教会のようなものがあった。
「オーガン君。これは?」
「国1番の教会です。それ以外の情報は全く。」
「そうですか。」
ギィギィ
教会のドアが開く。
バッ!
りあとレアトの視線がそちらを向く。
ドアを開けたのは昨日も倒したカラーミーだ。
「やはりここにはエスピリトがありますね。」
エスピリトとはカラーミーが生まれてくる魔力の塊だ。レアトは特訓していた二ヶ月で知っている。もちろん対処法も。
「レアト君!サプレシオンは持ってますね?今から私がカラーミーを倒しながらエスピリトを探すので後ろをついてきてください。」
「了解。」
サプレシオンとはエスピリトを破壊するために作られた。魔力抑制剤だ。フェリシダットの中に充満しているのもサプレシオンである。
ドカン!
教会から出て来たカラーミーをいとも容易く蹴り飛ばし、3人は教会に乗り込んでいく。