対面
あのまま俺はすぐに家に帰って寝た。
今日は土曜日ということで爆睡dayだ。
こんなにも幸せなことはない。
日常がどれだけ有難いことかわかるような一週間だった気がする。新しく友達になったりあ、そして新しい世界、さらにフェリシダットという組織にフェリスという魔法使いに、、、
俺がカラーミとか言う化け物と戦えるのかという不安もあるし最悪死ぬ。
なのに俺は不安はあるが恐怖がない絶対におかしいのだが、死ぬ気はしない。
おそらく空絵りあ並みに強いフェリスは沢山いて、さらにエボさんもハセリさんもいるしフェリシダットは最強だと思う。
寝るだけの休日をいつも過ごしてるわけだが、今日は考えることが多すぎる。
しかし、俺以外の人はいつもと変わらない休日なのでもうじきあいつが来るだろう。
「レアト〜おはよ!なにしてんの!」
元気よく俺の部屋を開けてしおんが入ってきた。
「まず人の家に勝手にあがるな、いつも通り寝てたよ!」
少し驚かされて不機嫌になりながらいつもする会話を続ける。
「今日こそ前言ってた漫画探しにいくぞ!
どうせ忘れてたんやろーけど!」
「あーあれね、準備するから待ってて。」
この漫画はりあがハセリさんに話してた物だったから結構俺も興味があった。
人気なのかどうかわからないが、それなりに知られているのは確かだろう。
結局休日もしおんと過ごすのだが外の天気が良かったので少し機嫌は治った。
せっかくなので歩いて大型ショッピングモールの本屋に向かう。
しおんはずっとその漫画の話をしてくるのだが、りあさんがしおんぐらい話しかけてきていると想像したらなぜか不快ではなかった。
実際にハセリさん以外に話す時はどんな感じなのかと気色の悪い妄想していると本屋に着いた。
驚く事に本屋の漫画コーナーに異彩を放つりあが立っていた。
「おいレアトあれ空絵リアやんな。」
「あの人もしおんと同じ漫画読むんだね。」
まぁ俺は知っていたがあえてここは知らないふりをした。
「レアトとりあえず話しかけてこいよ!」
「別にそれは大丈夫だけど、しおんその間どうするの?」
「それは適当にその辺いるからまた連絡してくれや!じゃ!」
そういってしおんは颯爽と消えていった。
こういったプライベートでりあと話すのはとても緊張するが今後関わる機会が多い気がするので、話しかけれるようにはしておきたい。
「もしもしりあさん??」
「あ、レアトくん。」
驚いた表情で返事をするりあ。
「奇遇だね、こんなところで会うの。漫画探してたの?」
「ハセリ様に話さなければいけないし、明日集まるからそこでね。」
たしかに集まるとか言われていた気がする。
「それってなんの集まりがあるの??」
「明日はフェルテが全員集まる。久しぶりの機会なの。」
「誰なのそのフェルテって。」
「ハセリ様に認められたフェリスの最強戦力の人達。一応私もフェルテのトレスフェリス、こう見えて強いので。」
確かにあのりあの魔法は凄まじいものだった。
あのレベルの人が他にもいるというのはフェリシダットは安全な場所に違いない。
「その人たちが集まるって結構凄いことだよね??」
「そうね、しかもこのタイミングでレアトくんも新しいフェリスになることだし。いいタイミングだと思う。」
「あ、ちなみにレアトくんの師匠のエボもそのフェルテでクワトロフェリスの称号を貰ってるよ。」
「え、あの人そんなに凄い人なんだ。」
そんな人に見てもらっていたのかと感動した。
相当凄い魔法が使えるに違いない。いつかエボさんの魔法は見てみたいと心底思った。
「明日になったらみんな集まるしまたそこで改めて自己紹介よろしくね。」
「ほどほどに頑張るよ。」
そう言ってりあは漫画を買って帰っていった。
そういえばしおんのやつはどこに行ったのだろうか、まぁ正直どうでもいいが、
明日のこともあるしもう帰ろうと思う。
***
雲一つない空の中俺の部屋の携帯が鳴り響く。
フェリシダットでもらった方の携帯だ。
俺はその音で目が覚める。時間は12時の正午。
正直寝過ぎた、携帯の着信音の相手はりあだ。
「もしもし、」
少し寝ぼけた顔で電話に出る。
「おはよう、レアトくん。ちなみにもうすぐ集まりの集合時間だけど大丈夫そう??」
「何時集合なの??」
「あと30分よ、その調子だと知らなかったのね。とりあえず急いでね。」
そう言われると集合時間なんてものは聞かされていなかったし、エボさんがどれだけ適当なのかは理解できた。
準備に関してはいつものことがあるので余裕ではある。
いつもと違うのは行き先が学校ではないこと。
少し新鮮で少し興奮していた。
どんな人がいるんだろう。
凄い人達がたくさんいるから楽しみで緊張と五分五分と言ったところか。
異世界との入り口に向かっている途中でりあと合流したので一緒に向かう。
「今日はフェルテのみんなが集まるからレアトくんは気合い入れといてね。結構しんどいと思うから。」
「まぁ緊張はしてるけど大丈夫だと思うよ。」
「とりあえず良かったわ。」
フェリシダットに到着するといつもの雰囲気とは違うような気がした。その正体はすぐ分かるのだが、
りあはそんなことは気にせず早々とした足取りでハセリさんの部屋に向かう。
ハセリさんの部屋は部屋というにはおかしいぐらい広く例えるなら学校の体育館ぐらい大きい。
いざ気を引き締めて部屋のドアを開けると体育館の広さにしては少なすぎる5人とハセリはんいなくそのうちの2人はアリスとエボさんがいるが、他の3人は知らない人だ。
足を一歩踏み入れた時にそれは起こった。
一昨日の訓練で感じたあの痛みだ。
外から押しつぶされそうな痛み。しかし、ここはハセリさんの部屋だし、体の中からの痛みはない。
「ガッ、、ハッ、、、、なん、で、」
視線の先のりあは俺の顔を見向きもしない。
これはどうしようもできないと半分諦めていたところで痛みは急に無くなり、エボさんが近づいてきた。
「大丈夫かい??レアト??」
「いや、大丈夫ではない、、ですね。」
「そりゃそっか!フェルテの全員が君に敵意を示したからね!!よく耐えたと思うよ!まぁまだ1人敵意を示しているやつはいるけど、僕が相殺してるから安心してね。」
「エスパ君はちょっとイラつきすぎだよ〜。」
「チッ!!」
エボさんの視線の先には怖い目で舌打ちをしながらこちらを睨みつけてくる青年がいた。関わるのはやめておこう。
「フェルテ全員の魔力であそこまで耐えたら上出来だよ!!まぁりあさんはアリスのことが心配だったから魔力出してなかったけどね。」
りあがこちらをみてなかった理由はアリスもフェルテの魔力の一部を耐えているのを心配してたかららしい。
「アリスちゃんもよく耐えたね〜。あ、とりあえずりあさんお久しぶりです!!」
「久しぶりエボ、相変わらずその態度なのね。もう慣れたけど。」
りあが堂々としている姿はかっこよかった。
ドォオオン!!
すごい音と同時に俺の目の前に左右で目の色が違う俺より少し年下っぽい男の子の顔が来た。
「君!レアト君って言うんだよね!!あとでちょっと勝負しない!?」
「え、え??」
少し戸惑いながら頭の中で状況を整理した。
爆発音の正体はまずこの目の前の人が床を蹴った音でこの人は身体能力がやばいと言うこと。
なぜか勝負を挑まれていること。
そして、この人はフェルテだと言うこと。
つまり勝負すると確実な死が待っている。
「多分死ぬのでお断りします。」
「ちぇ!残念だなぁ〜、あっ!俺の名前はマンストロー セルカ!ストローでいいよ!呼びやすいでしょ?!」
確かに呼びやすいし、面白い。
「わかりました。ストローさん。」
「ありがとう!」
クスッとした笑い声が隣から聞こえた。
「ハハッ!マンさん初めてストローって呼ばれて喜んでるじゃないですか!」
エボさんがストローさんを馬鹿にしたと同時にエボさんが視界から消えて壁に打ち付けられていた。
「もぉ〜エボはうるさい!」
やばい人らだと思ったと同時に壁に打ち付けられたエボさんは消え僕の隣に戻っていた。
「まぁ良かったじゃないですか!!」
「ふん!もういいし、エボいじめても面白くないし!全員揃ったから!!」
少し不貞腐れているストローさんはなんか可愛らしかった。
「はーい!みんなこっち来て〜!!」
ハセリさんがみんなを呼ぶ。しかし、今思うと前来た時はここまで大きくなかった気がする。
「ねぇりあ、前来た時ってここまで大きくなかったよね??」
「あーこれはハセリ様の魔力で大きくなってるだけハセリ様は気分屋だから。」
前のことがあったので気分屋には同感した。
「みんな集まってくれて嬉しいよ!!」
ハセリさんの前にはフェルテフェリス。
1人は仮面をかぶっていて、1人は僕に勝負を挑んでくるし。
1人は敵意剥き出しで怖い。エボさんでさえマシな方でそこにひっそりといるりあ。
フェルテフェリスはやばい人らだと感じた。
そしてアリスと僕の7人が並んでいた。
「まずばみんなと再開の会話でもしていくから、その間にりあはみんなの紹介しといてあげて。」
「わかりました。とりあえずここにいるレアトくんとアリス以外はフェルテフェリスだから。」
「それは分かってるよ。」
「エボはまぁ知ってるでしょう。クワトロフェリス。あとはわたしがトレスフェリスで、マンさんがドスフェリス。そしてあなたにまだ魔力をとばしている敵意剥き出しの人がエスパシオ
ブログエア。スィンコフェリスで私にも敵意剥き出しよ。多分こちらの世界の人が嫌いなんでしょうね。」
「最後にウノフェリス。ハセリ様と同等かそれ以上って噂の人。名前はハズロレアル。誰も仮面の下の顔を見たことがないらしい。」
仮面をかぶる人がいたのだが、並ぶまで気が付かなかった。どこか懐かしい気がするその仮面。ハセリさんより強いか同じくらいと聞いて寒気がたった。
今はあまり見ないでおこう。
「一応フェルテフェリスはこの5人よ。フェリスは結構多いしアリスもフェリスだから、レアト君はもっと頑張って私たちぐらいまで強くなってね。」
「、、う、うん。」
正直無理な気がするがここまで来たならやってやる。
「やぁ久しぶりだね!レアト!」
「嫌そこまで久しぶりではないです。」
思わずしおんにするかのようにツッコミを入れてしまった。
「ハハッ!ツッコミなんて初めてだよ!レアトは面白いね!りあとアリスも久しぶり〜」
「お久しぶりです。ハセリ様。」
「お久しぶりです!」
「アリスちゃんはフェリスなってばかりだけどすごい魔法だと思うから頑張ってね!」
「ありがとうございます!」
「りあはレアト君と仲良くしなよ!」
「承知しています。」
そんな会話をしている中俺はフェルテフェリスたちの威圧のせいかなにか分からないが気分がずっと悪い。
エスパさんの敵意の件はエボさんが中和してくれているらしいので、そのせいではない。
ほかにもっと敵意とまでは行かないが、何か感じる。
これはきっとフェリスになるために訓練したおかげで気づけることが出来たのだろう。
エスパさんの威圧ほどでもないし、この違和感はほっておいても大丈夫なやつだろう。
この違和感に気づけると言うことはきっとフェリスになれる日も遠くはないはずだ。
「さて!みんなとの再開の会話も終わったし、とりあえずレアト!!みんなに挨拶しよっか。」
「え、挨拶ですか?」
「普通の挨拶だよ。はいさっさとする!」
ハセリさんに呼ばれて彼の横に立つ。
フェルテフェリス達の視線を一斉に浴びて緊張が走る。
「こら!エスパは威圧しすぎ!ダメだよ〜。期待の新人なんだから!」
「すいません、ハセリ様。」
この一言でエスパさんの敵意は全くと言っていいほど無くなった。
「えっとー結城レアトです。りあと同じ世界から来ました。」
同じ中学から来ましたの感覚ですごいことを言っていることは分かる。同じ世界からなんて一生に一回言うかどうかだろう。
「フェリスになるために頑張ります。」
「よし!レアトの挨拶終わり!」
「え、もう終わりですか??」
「他に知りたいことなんてみんな無いしね。エボぐらいかな??マンちゃんは強さだけ気になる子だし。もういいよ!」
「えぇ〜ハセリ様〜もっとレアトの話聞きたいですよ〜。」
「はいはい。あれは無視しますよ〜。」
エボさんがハセリさんに変な文句を言いつつ俺の自己紹介??は終わった。
「とりあえずここから本題!明日か明後日ぐらいし大量のカラーミーが色んな方向から来るんだけどー数も多いから兵士の子たちだけじゃあきついから君たち5人だけでいいかなぁって思って!みんな鈍ってるでしょ??」
「え、暴れていいの?!ハセリ様!」
戦闘狂のストローさんは大喜びだ。
「了解です。」
りあは冷静な返事を返す。
「ハセリ様が言うのなら。」
俺に敵意剥き出しだったエスパさんもハセリさんの言うことは聞くらしい。
「よっしゃ!!もちろんレアトも連れて行けってことですよね?!」
エボさんはいつも通り、、
「え?????」
「そーゆーこと。エボはレアトの訓練がてら暴れてきてね。」
「いきなり戦いの場に出るんですかーー!!??」
「そうだよー習うより慣れろって言うでしょ?」
いきなりにもほどがある。しかもエボさんとだなんて何をされるかわからない。
「まぁ!そーゆーことだし!また明日集まってね!!あ、ハズロだけ残ってて〜。」
「了解」
とても男らしい声を発するハズロレアル。
今日彼が発した声はこの言葉だけだった。
***
ハセリさんの部屋を後にして俺はエボさんと訓練室にいた。
「つーわけでレアト!明日戦いの場に行くわけだが、このまま行ったら確実に死にはしないが怪我はする!!」
「でしょうね。」
「理由は簡単!魔法がまだ使えないからだ!なので、レアトの魔法を開花させる!もう開花はしてるんだけどあとは使うだけだな!
「え、もう開花してるんですか?」
「魔力の制御ができたらもう開花してるのも同然!あとは自分の魔法を知るだけ!!」
「あのりあが使ってた雷落とすやつですか??」
「お、りあの魔法見てたのね。ちなみにりあは空の魔法を持っている。空に関するものならなんでもできる。うまく使えば最強だな。」
空に関するものとか最強だろと思いつつもそれに匹敵する人があと4人もいるのに驚いた。
「他のフェルテフェリスの魔法はまぁ話すと長いから生で見た方がはやいかな。俺の魔法も見たほうが早い、、いくぞ。」
「はい。」
そう言って瞬きをし次目を開けるとそこには2人のエボさんがいた。
「じゃじゃ〜ん、さて俺の魔法はなんでしょー?」
困惑する俺に2人のエボさんが話しかける。
「え、いやわかんないですよ。分身とかですか???」
「残念、まぁ確かにこの使い方じゃそう思うか。じゃあこっちだな。」
すると目の前には2人のエボさんしかいなかったのに剣や本、食べ物や犬など様々なものが一斉に生成されていった。
「これで分かったでしょ。まぁ簡単に言うと創造の魔法だね。俺の知っているものは魔力が尽きない限り造ることができる。しかも生き物もできるからこうやって自分を造ったら一生創造できるというわけだ。あ、ちなみに生き物は耐久性は脆いよ。」
「チートすぎるでしょ。」
「あぁチートだよ。だから俺はクワトロフェリスなんだ。今日マンさんに蹴られた時に壁に打ち付けられてたのは俺が創造した俺だ。」
初めて魔法と対面したが、ここまですごいのは知らなかった。フェルテの人たちはチートだし他のフェルテフェリスの魔法も気になる。
「りあ以外のフェルテは説明が大変だし、俺もしらない人がいるからね。明日の戦いさっさと終わらして見に行こう!」
「それは頑張ります。」
「一個言うとりあの側近のアリスは音の魔法の持ち主。もしかしたらフェルテフェリスになる可能性はあるね。」
「気になってたんですけどフェルテフェリス以外のフェリスは何人ぐらいいるんですか。」
「え、知らなかったの?ハセリ様も適当だね。確かね〜フェルテフェリスを抜いて10人くらいかな?いつもは彼らが兵士を引き連れてカラーミを倒すんだよね。よっぽど強そうだったら俺らが単体で行くんだけど。」
「え、でもりあは前兵士と一緒だった気が、、」
「あーりあはフェリスになってすぐにフェルテフェリスになったからね。まだ1人では心配ということで兵士を連れて行ってる。」
りあは天才だったのだ。フェリスになりたてでまだ魔法の可能性が残っている状態でトリスフェリスになった。
「一個嫌なのは俺よりも番号が上にいっちゃったところかな。一応フェルテ達は番号順だし。」
「まぁそういう話は時間がもったいないから辞めるとして、レアトの魔法を開花させるためにに君は今からフェリスと戦ってもらう!」
「え、フェリスですか??」
「うん、俺だと勝負にならないからね。じゃあやろっか。」
「でも、まだ来てないんじゃ。」
「後ろみろバーカ。」
振り返るとそこには自分とよく似たフェリスが立っていた。