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バックフォース 〜僕は異世界の救世主〜  作者: 阪岸春
第1章 発見と成長編
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転機

「フェリスにならないかい???君才能ある気がするんだけど、りあはどう思う?」


「正直なところ少し共感する部分があります。」


「だよね!トレスフェリスのりあが言うんだもん結城レアト君フェリスになるよね??」


「は、はい。」



めちゃくちゃ強引な誘いだと思うのだが、俺は断ると何故か人生が終わる気がした。


「良かった良かった!いい返事が返ってきたよ。」


すると急に汗がひいていき悪寒も無くなった。空絵りあの方を見ると彼女の額の汗を無くなって落ち着いた表情になっていた。


電話が来た時からハセリ様は怒っていたのか感情が荒ぶっていたらしい。

だから彼女は少し焦っていたのだ。


しっかりと落ち着き俺はハセリ様の顔を見ることが出来た。

白い綺麗な髪にとても透明感のある目、本当に整った顔立ちに俺は懐かしさを感じていた。


「そこまで顔を見られると恥ずかしいんだが、、」


「あ、申し訳ございません。」


「ところでレアト君はりあと少し顔立ちが違うが何故なんだい??」


「それは多分ハーフだからかと思います。母が外国人な者なので、僕は母の血でこのような顔になりました。」


「向こうの世界は顔が違う人が何人もいるんだね〜。興味がさらに沸いてきたな、いつかいきたいんだけどね。」


「行かないんですか???」


「行かないというより行けないからね。だからりあや他の人から向こうの世界の話を聞くんだ!今日はたまたま君がいたけどね。」


空絵りあ以外にもこっちの世界の人がいるんだと思いつつも、ハセリがこっちの世界に興味があるのは驚いた。


「こっちの世界とここの世界を繋いだのはその目的があったからなんですか??」


「それはちょっと違うな。繋いだの僕じゃないし。そんな事より早く向こうの世界の話しようよ!」


「かしこまりました。今日はこちらになります。」


空絵りあが出したのはしおんが喋っていたアニメの原作だった。

どんな話かと思えばアニメの話の事だなんてハセリ様もそうとう子供らしい。


俺も少し興味があったので空絵りあの話に夢中になり時間など忘れていた。

どれくらいたったか分からないが、部屋の外から声が聞こえてきた。


「失礼します!アリスオペラ!入室します!!」


アリスが大きな声と共に部屋に入ってきた。


「どうかしたの?」


「りあ様と結城レアト様の世界の時間が遅いので、そろそろ帰るべきかと思い報告しに来ました。」


時計を見るともう夜の十一時だ。異世界にいても向こうの時間は分かるらしい。

さすがに学校もあるので、帰らなければいけない。


「確かに空絵さん十一時だしそろそろ戻らないと。」


「えぇそうですね。では、ハセリ様次の時に。」


「うん。ありがとね〜。あ、そうだレアト君にはこれあげる。」


そう言って投げ渡されたのは先程りあが持っていた携帯と同じモノだ。


「それ持ってたら一人でもこっち来れるし明日の同じ時間ぐらいにまたおいで〜。とりあえず僕とりあとアリスの連絡先は入れておいたから、ついた時はアリスに連絡してね。」


「あ、はい、分かりました。あのー」


「あ、何するかは明日のお楽しみ。ほら!早く帰らないとー。」


「帰りますよ、結城レアト君。」


そう言われて俺は空絵りあと帰路に着いた。


***


こっちの世界に戻るとさっきまでの出来事が嘘かのように静かだ。

これが空絵りあにとって日常なのかと思うと少しゾッとする。


「あのー空絵さんはいつからこんなことを??」


「いつからなんてどうでもいいでしょう??とりあえず私の事はりあで大丈夫です。フェリシダットではりあと呼ばれているので。」


「じゃありあさんって呼びます。俺の事は好きなようにどうぞ。」


「それではレアト君と呼ばさせていただきます。」


まさかの名前呼びで驚いた。


「りあさんは家はどこなんですか??」


「隣駅なのですぐですよ。」


「俺も隣駅です!!」


そんなたわいもない会話をしていて驚いたの

は、りあさんとは家が近所という事と一人暮らしをしているという事だった。

家族の事は聞かない方いいと思ったので何も聞かなかった。


「それでは私はこっちなのでまた明日、学校で。」


「うん、また学校で。」


しおん以外と家まで一緒に帰ったのは初だし、今日だけで空絵りあとはとても親しくなった気がする。


明日から俺の日常はおそらく変わっていくのだろう。

そう考えながら俺は眠りについた。


***


「レアト!!起きなさい〜朝やで〜、しおん君玄関いるよ〜。」


今日も母の関西弁で目が覚める。

時計を見るといつも通り八時、いつも通り着替えコンタクトレンズをつけ、朝飯を食べずに家をでる。

もちろん歯は磨いている。


「おはよう!!レアト!空絵さんとは仲良くなれたか?!」


いつもとは違うしおんの第一声。

空絵りあと親しくなったという事を改めて実感した。


「しおん、この話はまた今度ゆっくりするよ。」


「なんかめっちゃテンション高いな!まぁ楽しみにしとくわ!」


別にそこまでテンションが高いわけでもないが、と思いながらもいつも通りの会話を続け学校へ向かっている時、


「おはようございます。レアト君。」


一際異彩なオーラを放つ空絵りあがそう俺に声をかけ早々とした足取りで抜かしていった。


「なんかめっちゃ絆深まってるやん。ほんまに何があったんや、めっちゃ気になるぞ。」


「だからまた今度話すって。」


「ちゃんとその時間作るからな!!」


満面の笑みで俺を見つめるしおんを横目に俺は空絵りあの後ろ姿を見ていた。



同じクラスで席は斜め前という事もあり、俺の頭は空絵りあの事でいっぱいだ。

やはり別の事を考えていると時間はすぐに過ぎていく。


気づけば昼の時間だ。

弁当を出してしおんのとこへ向かおうとしていると、


「レアト君、一緒に昼ご飯食べましょう。」


こう言って空絵りあが俺を引き止めた。

周りの生徒の目は驚きの目だ。


「あ、うん、分かったけどここじゃあれだし屋上いこう。」


俺はしおんに上手く誤魔化して連絡し、彼女と屋上へ向かった。


二人で昼飯だなんてまるでカップルのする事だな、と思いながら二人で昨日と同じベンチに座り弁当を食べ始める。


「今日もフェリシダットに行くんでしょう?」


「なんかハセリ様に呼ばれたから、何するかは聞かされてないけど。」


「多分だけど、レアト君がフェリスを目指すって言う話だからその訓練が始まると思います。少し気を引き締めた方がいいかと。」


「分かった、覚悟して行くよ。」


あまりフェリスというモノに興味はなかったが、何故か俺の闘争心は燃えていた。


「訓練って具体的に何をするの?」


「一人付きっきりで教えてくれるフェリスがいるのでその人によりますね。まぁ基本的なことは変わりませんが。」

 

あまりビビってもおそらく何も変わらないので楽観的に行くべきだと俺は思った。


「なんかアニメみたいでカッコいいかも。」


「レアト君ってアニメとかは見るんですか??」


「一応しおんが見てるから、ちょっとはね。」


彼女がアニメという単語に乗ってきたのは驚いたが、おそらくハセリ様にお話するためだろう。


「おすすめのアニメとかないですか???」


「それだとしおんが色々見てるからな〜、今度話してみたらいいと思うよ。やっぱりハセリ様に話すために見てるの??」


「ハセリ様は色々気になるらしいので、私も色々なジャンルのモノを勉強しています。」


彼女のハセリ様への忠誠心と言ったら凄いものだ。ここまで誰かのためになれる人なんてそうそういないだろう。


気がつくと予鈴がなった。


「戻りましょうか。とりあえず今日は頑張ってください。」


「うん、ありがとう。」


そう言って俺らは教室に戻った。


***


放課後になり、俺は一人でフェリシダットに行く準備をしていた。


一応の腹ごしらえに着替え。

訓練と言われると汗をかくだろうから着替えは必要だろう。


少し早いが出発した。早いに越した事はない。


稲荷大社の鳥居の目の前に到着し、俺は息を整える。

そして、一人でフェリシダットに飛び込んだ。


少しこのワープするような感覚には慣れない。まだ二回目だし、時間が経てば慣れて行く気はする。


前は分からなかったが、感覚的に三秒ほどでフェリシダットに到着した。

昨日と同じ光景で少し安心する。


「えっとー確か着いたらアリスさんに連絡してと。」


連絡しようとしたところ部屋のドアが開いた。


「お!ちょっと早いね!お疲れ様レアト!」


たまたまハセリ様がいた。

ハセリ様は基本的にフェリシダットにいるらしく、他の人はいたりいなかったり結構自由な場所らしい。



「分かってると思うけど、今日からフェリスになる為に訓練してもらうから!!どうせりあから聞いてるんでしょ??」


「まぁ訓練だというのは聞かされてます。」


「だよね!早速やろっか!」


「え、もしかしてハセリ様が僕に教えてくれるんですか?」


「あ、違うよー。レアト君は僕じゃなくて別の人!あと特別に君はハセリさんでいいよ!」


「わかりましたハセリさん。じゃあ誰が僕を?」


「めっちゃすぐ慣れるじゃん。凄いね!

とりあえず訓練室あるからそこ行くよ!」


訓練室は結構すぐに着いた。

中に入ると何か肌で感じる空気があった。


「お?なんか感じてるね〜、それが簡単にいうと魔力だよ!フェリシダットは訓練室にしか魔力がないからね!」


「え、でも昨日外にでた時は何も感じなかった気がするんですけど。」


「あーそれは多分魔力抑制素材の服着てたからだと思うよ。とりあえずもうすぐ君の師匠が来るから!待ってて!じゃ頑張って〜。」


ハセリさんは結構放任主義だろう。

こんな初めてのところにひとりぼっちにするなんてちょっと悲しい気持ちになる。


五分ぐらい待ってるとドアから声が聞こえた。


「おーぃ結城レアト君ーここにいるかーい!?」


「あ、います!!」


若々しく優しい声に安心した。

ドアが開くとハセリさんとはまた違う綺麗な銀色の髪色をした20歳ぐらいの青年がいた。


「あ、どうも!僕の名前はヌエボ エスパラール!君がフェリスになるために僕が色々教える予定でいます!」


「お願いします。」


「じゃあ早速外行こっか!」


「ここでやらないんですか?」


「まぁいいからいいから!行くよ!あ、あと君の事はレアトと呼ぶからよろしく。俺の事はみんなエボって呼ぶからそれでいいよ〜。」


そう言われて俺は訓練室を後にした、


「訓練室の魔力はどうだった?」


「これが魔力なんだなぐらいにしか感じませんでした。」


「まぁそうだろうね。今からレアトには本当の魔力を体験してもらう。今日のトレーニングはそれに慣れるだけ。楽勝さ!」


案外楽勝そうだなと思い少し気が楽になった。


「はい!頑張ります!」


「さぁ着いたぞ!俺はまぁ付いてるだけだから今日はレアト次第!話す事はない!外に出ろ!」


「わかりました。」


気が楽になっているのはたしかだが、少し怖いので気合いを入れて俺は外に出た。


***


外に出ると昨日の風景が広がっていた。俺はそれに少し安心すると同時に絶望した。


体の中が今にも爆発しそうな勢いで悲鳴を上げている。

(痛い!あまりにも痛すぎる)

理由も分からず俺はその場で倒れ叫ぶしか出来なかった。


声にもならない声が外に響く。

しかも中からだけではない。外からも押し潰されそうな痛みが襲いかかる。

そして、俺の周りには何か魔力的なものが飛び出して暴れている。


「エボ、、さん、これなに、、」


「ハッハッハ!!!予想通りすぎるぞレアト!大丈夫!死にはしない!」


甲高い笑い声と俺の悲鳴が響く中、この痛みの元凶を教えてくれた。


「それは魔力の暴走だ!レアトの中の魔力が外の魔力に作用して暴れているんだ。訓練室はそうならないよう調整されているから、外に出ないとこの体験はできない!!」


「うっ、、痛いです。」


「魔力を操作し、その痛みを無くすことが今日の訓練だ!俺は終わるまで見といてやるから頑張れ!」


「コツを、、、教えて、くだ、さい。」


「そんなものはない!」


最悪だ。フェリスになるとか言ったら、、、

今までに味わったことない痛み。

ただただ叫ぶ時間が一時間ぐらいたった。


それでも痛みは変わらない。

痛すぎる。死んだ方が楽とはこの事だろう。

りあはこれを乗り越えたのかと思うと凄すぎる。


一つ分かったのは俺の中の魔力が暴れているという感覚が分かったぐらいだ。

これを制御しろなんて無理に決まっている。


ハセリさんにフェリスにならないかと言われた時に断っとくできだった。

今更遅いが、、、、、

今はただこの地獄を乗り越えるしかない。



何時間たっただろうか、、、

魔力のことを感覚で分かるようになってからどれくらい経ったかわからない。


まだ俺は感覚を掴めないでもがいている。

おそらく感覚を掴めるまでこの痛みは続くだろう。


もう疲れた、、、


気を失いそうだ。


「エボさん、、、もう無理、、です。」


俺が気を失いそうになると同時に痛みや周りの魔力的なエネルギーが収まった。


そのまま俺は気を失った。


***


目が覚めるとベットの上にいた。


「おう!レアト目が覚めたか!」


「おはようございます。エボさん。僕どうなりましたか??」


「まぁそのまま気を失ったよ。感覚は掴めた??」


「いやまぁ気絶したからなんとも。」


「だよね〜。まぁ簡単にいうとしっかり落ち着いて魔力の動きを理解できたら、あんなに暴走はしないから!でも、レアトのは暴走しすぎだけどね。」



「そうなんですか、、、じゃあ助けてくださいよ。痛すぎたんですから!!」


「まぁあれはあれで面白かったから!!いいかなって!じゃあもう一回行こうか!」


「え、、嫌です。」


「大丈夫だから!行くよ!」


そう言ってまた地獄の場所に戻って行った。


「次は落ち着いて魔力を感じて、まぁ心臓らへんに溜める感じかな!」


アドバイスするなら先にしてよ、と思ったがとりあえず意識してみる事にした。



「フッーーーーーー。」


大きく息を吐く。そして、意識する。


すると、痛みはなく自分の中の魔力が制御できているのを感じ、外からの魔力もあるのが分かるだけで痛みはない。


「いいね!暴走してない!今はその感覚を忘れないでいようか!よし、今日はこれで終わり!帰った帰った!」


「ちょっと急すぎません??まぁ疲れたからいいですけど、、」


「向こうの世界は魔力全くないから、ちょっと気持ち悪いかもね!問題はないから大丈夫だけど、一応教えとく!!次来るのは明後日かな??みんな集まるし、その時に君の自己紹介をしよう!」


「あ、はい、明後日ですね。」


みんなというのは誰のことか分からないが、今はただ疲れたので帰ることにした。


ここから面白くなります!

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