頑張るぞ
高校に入学して2週間周りで続々と仲良しグループができているなか、私は自分の席でうさぎの筆箱をいじっている。対して面白くもない話を一生懸命話す男子とわざとらしく笑う女子の声が流れてきて体が強ばる。耳をすましてよく聞いたけど何が楽しいのかさっぱりわからない。緊張した顔でいると斜め前の席に座っている子が喋りかけてくれた。仲のいい子が休みらしい。「高校って急に勉強が難しくなるね〜」彼女は私に質問した。だから答えないとと思って絞り出す「そんなことないと思うけど」彼女の顔をちらっと見る。困っていた。沈黙が続き彼女はさっきの男女グループに消えてった。自分らしく居ればいいなんてよく言ったものだなと思った。自分らしくいればいるほど惨めじゃないか。本来なら息抜きになるはずの休み時間がこんなにも苦しいものになるなんて小学生の頃の私には検討もつかなかっただろう。右から3列目のこの席がこんなにも端っこに感じるなんて、悲しい、悔しい。そんなネガティブなことをぐるぐると回しているうちに、授業開始1分前の音楽が鳴る。チャイムでもなくてゴージャスな感じの音楽。騒いでいた周りの人達も急いで席に戻るかと思ったけど彼のつまらない話はまだ終わらない。「ばりゴイゴイスーって思った」男は多分オチのつもりでお笑い芸人のギャグをかますが、女達はクスリともしなかった。彼らにとっては最悪の空気が私には美味しくてたまらない。チャイムと共に先生が来て彼らは怒られた。10分減った授業はすぐに終わってもう下校の時間だ。
やっと学校が終わったのに、また明日のことを考えてしまってしんどくなる。私が通っている学科は国際科で3年間クラス替えがない。つまりアイツらと3年を共にしないといけないのだ。頭を悩ませているとバイトに行く時間になった。
自動ドアをくぐってすぐにロッカーへ向かう。青と白の制服を着て、夕方なのにおはようございますとババアに吐く。こいつがとにかく嫌いなのだ。仕事の説明は下手だし何より臭い。コンビニのパートを何年か続けているだけでとにかく偉そうなのだ。レジに立つと早速客が来たのでいらっしゃいませと言ってやる。客は走ってトイレに逃げた。絶対なんか買えよなんて思っていると、何やらババアが喚いている。「前陳をしろ!!暇なんだろ!!」うるさい。そんなに周りが見えていて、物を考えられるなら加齢臭を何とかしろなんて思いつつ、そんなこと言うわけに行かないので、大人しく奥に行った商品を前に寄せる。これを5時間。10時まで。トイレの掃除なんかをしているうちにもう上がる時間になっていた。全速力でロッカーに向かって服を着替えて、おじいちゃんの接客をしているババアを横目に駐輪場に行く。やっと終わった。私の大事な5時間は4500円になった。
続きは気長に待ってください。講評して頂けたら幸いです。