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死亡フラグ

 マユに、

 薫からの新しい情報を話した。

「Cさんが毒を入れたかもしれないのね」

「うん。カオルは、そう思っている。俺が、徳田は人殺しじゃないと、断言したからね。コレで解決だな。徳田が少量の農薬をソースにいれるようCに言った。自殺願望があったCは皆を自殺の道連れにした。徳田は自分が指示したのだから、自分が殺したと、言ったんだ」

「……そう、ね」

「真犯人が分かって、すっきりした」

 聖は、これで終わったと、思っていた。

 しかしマユは、何か考えている様子。


「ねえ、被害者達が、どういう人たちだったのか、もう少し知りたいわ」

「まだ、気になる事があるの?」

「……ちょっとね」

「分かった」

 A:男35才。職業不詳、とあったが、知人の居酒屋でアルバイトをしていた。高校中退後フリーター、

結婚歴無し。

      

 B:男32才。輸入雑貨卸業。買い付けに海外に行くことが多い。離婚歴有り。

仕事は順調国産の高級車を所有している。

今回使った車は、キャンプに使うために、SNSで個人から借りた。

盗難車と知らなかったと可能性が高い。

C:女39才。 中学の途中から不登校。母親とふたり暮らし。いわゆる引きこもり。働いた事は無い。

D:女38才。7年前に離婚し、生活保護を受けていた。ごく最近、看護助手として働き始めた。

が、仕事は休みがちだったという。

E:女8才。 Dの子。小学2年。ほとんど通学していない。


「SNSで知り会い、初対面だったのよね。AとBはオンラインゲーム仲間、7月27日朝、Bが出会い系サイトでキャンプに一緒に行く女性を募集した」

「そうだよ。男達の目的は若い女の子だった」

「若い子が来たら、どうするつもりだったと、セイは思う?」

「レイプして動画撮って売るとか。なんらかの犯罪行為。徳田の携帯電話を奪って、無理矢理、ログハウスへ案内させている。押し込み強盗、だろ。だからさ、同レベルの犯罪行為」


「徳田さんの話から、AとBは、相当の悪人だと思われる、よね。……でもね、『死人に口なし』だと、ふと思ったの。だって前科はないし、ちゃんと働いてた。そんな人たちが、いきなり押し込み強盗、するかしら?」

「……徳田の話に嘘が混じっていると?」

「自分の手で毒を入れていないのに、嘘を付いた。嘘は1つとは限らない」

「……何が、嘘くさいと思うの?」

「……今事実と思われている事が現実に起きたと、想像してみましょう」

①A、BはSNSで呼びかけた。(若い女が目的)

②C、D(E連れで)が参加。

③A、Bは、メンツを見て、バーベキューから焼きそばにランチメニューを落とし、

早々に終わらせようと相談する

④キャンプ現場到着時は、楽しげな様子。

⑤雨が降り始める。

⑥河原に、犬を連れた徳田が来る。A、Bは、徳田を脅し、ログハウスに押し入る。

⑦激しい雨。A、Bは徳田、C、Dに、焼きそばを作れと命令。

⑧徳田は、A、Bに気付かれぬように、農薬がある事をCに教えた。少量入れるように指示する。

⑨自殺願望のあったCは致死量の農薬を入れた。(A、Bに気付かれぬように)

⑩徳田以外の5人が焼きそばを食べ、死んだ。


「小さなログハウス、なんでしょう? 台所と食堂は、仕切られているの?」

「いいや」

 十畳のスペースに台所と、食卓があった。


「それが気になるの。楽しいガヤガヤした雰囲気なら、こっそり徳田さんとCさんが話もできるでしょうけど……今の想定ではA、Bが場を支配していた。コソコソ話が出来る状況では無かった」

「……たしかに、そうかも。外は土砂降り。この部屋より狭い空間に6人居たんだ。ささやき声でも聞こえる」

 A、Bが、徳田が命の危険を感じるほど

 凶暴な態度であったなら

 ログハウスの中は緊迫した状態で

 誰も、勝手に喋ることなど出来なかったのではないか。


「徳田の話と、実際は違うと、思うの?」

「A、Bは、ラインで、奢るランクを焼きそばに落として、早めに解散にしようと、相談している。……軽い調子でね。この事実がね、引っかかるの。キャンプの企画が、犯罪行為じゃ無い、ただ若くて綺麗な女の子が来たらラッキー、だったかも。だとしたら、後の行動が、過激すぎる……たとえばね、」

⑥ 河原に犬を連れた徳田が来る。

A、Bは徳田に話しかける。雨が激しくなってくる。

  A、Bは、外で焼きそばを作れないと、途方に暮れる。そして徳田に雨宿りを願う。

徳田は、子どもも居るので渋々、承諾する。

⑦ ログハウスに到着。雨は激しくなる

⑧ Cが徳田にキッチンを借りて焼きそばを作る。(DはE の相手をしていた)

徳田は、キッチンの片隅に置いてある農薬について何か話す(コレには触らないように、とか)


「Cの無理心中なら、こっちの方が実行可能なのよ」

「なごやかに世間話していたなら、犬の話のついでに、安楽死→農薬、と喋っても、無理が無い状況だ

。実際犬を安楽死させたんだから」


「でしょう? だからね、やっぱり徳田さんの話は変なのよ。『脅されて恐怖から、自分が毒を入れた』って、作り話かも知れないわ」

「でもさ、もし、ログハウスの中で和やかな雰囲気だったなら、Cが勝手に農薬入れたと徳田が知らなかったら……皆が苦しみだしたとき、相当驚いて、通報するだろう?」

「そうなのよ。偽装工作の理由が無い。だからね、とても不可解なの」

 マユは、事件について新たな情報はないかと、聞く。

 聖は、ネットで検索する。

 すると

 オカルトチックな話が出てきた。


(イケメンオジサンだったけど、パスした。『行き先は死の谷です、明日君は水死体になれるかも』ダサいジョーク、ひいた)

 女子高生のツイッターが拡散されていた。

 キャンプの誘いに応じ、待ち合わせ場所まで行ったらしい。

 だが、最初にBにこう言われ

 気味が悪いので、行かなかった。

 (ゾワッ。予言してるじゃん)

 (リアル死亡フラグ。怖)

 

「セイ、この女子高生、自撮り写真、すっごく可愛いね」

「修正を差し引いても、まあ普通に可愛いかも。若い可愛い子が来てくれたのに、なんでつまんない事言っちゃったのかな?」


「笑えないジョークよね」

「普通、嫌がられるだろ」

「そうよね……ねえ、同じ言葉をCとDにも言ったのかしら?」

「え?」

  

「ジョークじゃないかも」




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