第15話・私のバーカ!!!!
そして、おそるおそる、私はラルフの家の馬車の外を見た。
『まずは昼食だ』
そう言うのは、私にとってはうざったるいオーラが全開のラルフだった。
その視線の先には…
『カレー…?』
何故か本場である海外から来たらしい、カレーの専門店があった。
勿論、超絶高級な。
『さぁ』
と、手を引かれるが、いや、払えねぇし!高えだろここ!!と、心の中の不良が叫んでいた。
だって、ガラスの窓越しに見えた、店内の壁に書いてあったカレーの値段が時価だったのだ。
いや回転しない方の寿司屋かよここ。
こんな高いカレーを食べるだなんて、少しの間は愛する猫に、好物である高級な魚を与えられそうにはなかった。
少しばかり心の中でうんざりしながらも、私は店内に入っていった。
『さぁ、レイ嬢
好きなだけナンとそれに合うカレーを食べると良い
なに、金など気にすることは無い
今日は全て俺が払う』
席に座るなり彼が放ったその言葉に、私は硬直した。
いや待て、これは一文ずつ脳内で整理しよう。
さぁ、レイ嬢は、置いておくとして、次ね。
好きなだけナンを…?
うーん、これといってナンは好きでも嫌いでもない部類なのだけれど…
そこで、ふと、先程の最悪でしかない馬車の中での会話を思い出した。
『レイ嬢、レイ嬢の好物はなんなんだ?』
『ナンですわ』
ヤバい…適当にあしらったせいだ…
私は先程の雑すぎた行為に悔しさを思い知らされた。
なんで私はそこで本当の好物を言わなかったのよ…!
金払ってもらえるならはなから大好物の…えーと…そう、それこそお寿司頼んだわよ!!
と、心の中で叫んだ辺りでふと、我に返った。
金払ってもらう
え?ラルフに金払ってもらう?
この、平凡な悪役令嬢の私が?
それって…つまり…
目立ってしまうわ!!(今更)
そして更には、上流階級であるラルフにそんじゃそこらの令嬢がお昼を払わせたともなれば、私の家に対しての彼の家からの言葉の重みは一層強くなる。
そう、例えば
『俺と結婚してくれないか?』
などと言われた日には元から断れないものが、更に断れなくなってしまうのである。
こっのばかやろう!!!
私のバーカ!!!!!!!!!!
思わず脳内で私は発狂した。
『どうかしたのか?』
そんな事もつゆしらず、彼は私の顔を至近距離からいつの間にやら覗き込んでいた。
『あ、あまりにも美味しそうで迷ってしまいましたの…!』
私はこの苦し紛れの言葉を後々に後悔することになるとは、思ってもいないのだった…
今晩は、十六夜零です
この度、なんと、ついに…!
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今後も心の中ではやりたい放題のレイとその周りの人々を、宜しくお願い致します




