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生まれてすぐに喋れる人、すぐに箸を持てる人なんて居ません。みんな最初は『上手くいかないもの』なんです。だからこのお話が面白くなくても私は落ち込みません。(自己暗示)でももし、生まれてすぐに何かできた!って人がいたらコメント下さい。作品に対する意見もよろしくお願いしますm(_ _)m
「ここはどこだ...確か、仕事の帰りの電車に乗っていたはずだが...」
目が醒めると見知らぬ路地裏にいた。
空は暗く曇り、しとしとと降り注ぐ雨粒が身体を濡らす。腕時計の時間は19時を少し過ぎた頃だった。
頭が、痛い。自分の名前は...小林十六茶。今年で45歳になるということは思い出せた。しかし、今なぜ自分がこの場所にいるのかは思い出せない。周りを見渡してみると、居酒屋、焼き鳥屋、スナック・・・どうやら飲屋街のようだ。
「記憶が飛んでるついでに一杯ひっかけて行くか」
独り言をつぶやいて居酒屋『魚座』に入った。
「いらっしゃっい」
小さな店の中、カウンターで鶏を捌きながら大将がそう言った。看板の『魚座』とは何だったのか。他に客はいないようで、貸切だった。ツイてるぜ。
「お客さん、すごい汚れてるね。大丈夫かい?」
そう大将に言われて気がつく。スーツが泥だらけだった。そして、何か臭うと思ったら靴に犬の糞と思しきものがついている。....ツイてる...ぜ?
「なんとか大丈夫...おしぼりをもらえるかな?」平静を装って答えた。ある程度の汚れを落とした後、
「とりあえず、焼酎と焼き鳥を頼む」と注文をした。
大将はアイヨ!っといい返事を返して一升瓶に入った焼酎と焼き鳥を持ってきた。
そうだ、ここがどこか聞いとくか。そう思い、大将に尋ねた。
「実は道に迷っててな。ここはどこなんだ?」
「なんだお客さん、道に迷ってたのかい。ここは青山町だよ」
「青山町...青山町っていうと、重根町の隣かい?」
「ああ、そうだよ」
どうやら家がある重根町の隣町らしい。
「ツイてるぜ!!」
おっと、心の声が漏れた。大将が目を丸くしている。誤魔化そうと思って腕時計の時間をみるともう21時。時間が経つのは早い。つい最近小学校を卒業したばかりな気がするわけである。30年以上前のことなんだけどな。
「そろそろ会計頼むよ」
「720円になります」
「おお、思ったより安い。えーと、財布財布...」
ここで時間が止まる。正確には、止まったわけではなく、俺の精神が研ぎ澄まされて頭が冴え渡った。
財布が...ねえ...
さて、ここで読者のあなたに人生で大切な2つのことをお教えしよう。1つ目はよく考えること。今めちゃくちゃ頭を使っている。どうやって切り抜けるか...。
そして2つ目。とにかく行動すること!こんな感じにな。
「わりい!」そう言い残して出口に向かって脱兎の如く駆ける。小林十六茶45歳、絶賛人生謳歌中...。土地勘はないがとにかく、走る。10分ほど走り、疲れて立ち止まる。追いかけては来ていない。歳を考えずに走らものではない。激しい息切れで堪らず膝をつく。
「しかたない、歩いて帰るか」
続きあります。
そのうち投稿します。