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予選がすぐに終わりそうです。

一つの部屋に三人はいた。


「さてっと、まずは自己紹介かな?僕は【レドマ・Uウル・ワークライド】気軽にレドマって呼んでくれ」


「あぁ、よろしくレドマ。俺は二階堂未華だ、未華でいいよろしく」


未華とレドマは互いに握手をするとレドマはスルマの肩に手を置き未華に紹介する。


「こいつはスルマ・ハートレティア、‘騎士団治療士見習い’だすっとろいしドジを踏むけど仲良くしてやってほしい」


「・・・・まぁわかった、それよりも聞きたいことがあるんだが・・・」


「師匠!すっとろいは余計です!!」


スルマは頬を膨らませてレドマに文句を言うがレドマはそれを聞き流す。


「それで聞きたいことって?」


「いや、この世界のこととこの状況のことを聞きたいんだが・・・・」


「うん?君は大会参加者じゃないのか?」


「?大会?」


「あぁ、王都グルスカルの年四回のお祭りの一つの武装大会の特別予選の試験中だ」


「・・・・あの、悪いんだが内容を教えてもらってもいいか?」


「う~んまぁいいか・・試験内容はこの孤島で四日間のうちに6人になるように戦うことだよ」


未華は説明を聞いてなんとも言えないような表情をした。


(えぇ~バトルロワイヤル的なものかよ、ってか二度目の転移じゃなかったんだな・・・)


「まぁ判定は身体のどこかにあるこの‘スカルヒート’っていう紋章に一定のダメージを与えると強制的に会場に転送されるようになってるんだ」


レドマは説明しながら左手のドクロマークの入れ墨を見せる。レドマの説明で何となく状況を理解した未華は虚空を見つめる


(これもう無理だな~完全に情報のアドバンテージがない、それに残り何人いるかもわからん・・・・四日か・・・意外と長いな)


「あれ?でももう三日目ですからあと9人くらいじゃないんですか?」


「まぁそうだな」


「えっ?」


二人の会話に未華は耳を疑った


(ってことはあと一日で三人が退場すれば大丈夫ってことか?・・・いやそれよりあの変な空間に俺は三日も閉じ込められてたのか?!うそだろ!!?)


未華は自分があの白く何もない空間に3日も拘束されていた事実に驚きを隠せなかった。


「・・・あれ?四日目を過ぎたらどうなるんだ?」


未華は不意に思ったことをレドマに聞いてみた


「四日目を過ぎると最後まで残った人数で戦って総合順位をつけるんだそしてその中の上位6名が本戦の特別枠で出られるってところかな・・」


(ってことはこのまま時間が過ぎればある意味大丈夫ってことか・・・・)


未華たちが話していると突然外で爆音が響き渡る。何事かと未華たちが窓を除くと三人の男が一人の女性から逃げている最中だった。


「あったっったく!面倒なのに目をつけられた!!」


「あ~あ~あいつガチギレじゃんか」


「なんで二人はそんな余裕なんだよ!!!?」


三人は話しながら女性から放たれる‘何か’をよけながら森の中をかけていたが三人は見えない壁に行く手を阻まれる。


「いった!なんだこれ!?」


「あ、オワタWW」


「笑ってる場合か!!」


「あっははははははは!!!逃げてもムダよぉ~」


「ほらもうきた~」


女性は三人の男たちを追い詰めると手を前にかざす。


「ふふふっ、もう逃げ場はないわよ~」


「うん、よしっ!メルシィ!頼んだ!」


「いけるいける!お前ならできる!!絶対いける!!」


「いけるか!!!」


二人の男はメルシィと呼んだ一人の少年の肩をたたく、メルシィと呼ばれた少年はそんな二人に怒りながら懐からナイフを取り出すと女性に向かって投げつけるが女性はそのナイフを手に持っていた何かで当たる前に弾く、弾かれたナイフはその辺の木々に刺さる。


「効くわけないでしょう?そんなナイフ~」


「メルシィ!何してる!?」


「ちゃんと当てろよメルシィ!」


「だから無理だって言っただろうが!耳ついてんのかこのボケども!!」


三人が言い合いながら何とか女性の攻撃を避けているところを未華たちは静かに見ていた。


「・・・・助けたほうがいいのか?」


「・・・・・どうだろうな」


未華とレドマが呟きながら窓から離れるといつの間にかスルマがいなくなっていた。嫌な予感がした未華とレドマが再度窓から外を見るとスルマが外で何かを叫んでいた。


「そこのあなたたち!女の子相手に三人とは卑怯ですよ!」


スルマは何を勘違いしているのか追い詰められている三人に指さして胸を張って言うが三人からしたら意味が分からなかった


「いや逆逆!どう見てもあっちが悪役だろ!!?」


「お前目玉ついてんのか!?」


「助けにきたんじゃないの!?」


三者三様にスルマに文句を言うがスルマはそれを無視して話を進める。


「いや!あなた達はきっと悪いひtあいたぁ!!?」


スルマの後頭部に衝撃が走りスルマは頭を押さえて後ろを振り向くとそこには怒りの形相をしたレドマとあきれた表情をした未華がいた。


「お師匠痛いです!」


「痛いじゃないよ、ったくまたわけわからんこと言って厄介ごとに首を突っ込む・・・」


「だって~」


「だってじゃない!!!」


レドマがスルマを怒っていると女性がレドマに目に見えない何かを投げるがそれはレドマの目の前で制止する。女性は一瞬驚くがすぐに冷静になると未華たちの方を向き警戒する。


「・・・はぁ、面倒だ・・・・・【ボボル】!出てこい!」


顔を抑えてため息をつくレドマは右手を前に出して名前を叫ぶ、するとレドマの右手の甲に模様が浮かび上がるとそこからカマキリのような生き物が現れる。


「ボボル!アームドレティア!」


レドマがそういうとボボルと呼ばれた生き物はレドマの首筋にいくと姿形を変え、レドマの首筋から巨大な四本のカマキリの腕のようなものが生える。


「これ首痛くなるんだけど・・・」


レドマが頭をかきながら呟くと首の鎌は徐々に小さくなっていく、レドマの首についている鎌が手の平サイズにまで小さくなったかと思うと女性の周りの木々が一瞬で切り刻まれると鎌のサイズは元の大きさに戻っていた。女性は不敵な笑みを浮かべていたが女性は自分の頬が少し切れていたことに気づき頬に流れる血を自分の手で押さえる。


「ふふっ中々面白いじゃない・・・ふふふっっあっはっはっはっ!!!」


女性は笑いながらレドマとの距離を詰めて手に持っていた何かで切りかかる。レドマは首の鎌の腕一つでその攻撃をしのぐと残りの鎌で切りかかるが女性は後ろに飛びレドマの攻撃を難なく避ける。


「・・・空気の凝固・・・・かな?」


「・・・・ふふっ・・・」


女性は一旦レドマから距離をとると舌なめずりをする。


「ふふふっ、どうかしらねっ・・と・・・!」


「隙だらけだよ!」


メルシィと呼ばれた少年が女性にいくつものナイフを投げるが女性は二、三本かわしたあと少年の方に手を向けると飛んできたナイフを空中で止める。


「う~んこれじゃぁ厳しいわね~」


女性はそう言って森の中に入っていった。


「逃げたね・・・」


「やったなメルシィ!」


「できるって思ってたぞメルシィ!」


「・・・・お前ら~~~~!!!!!」


少年は握り拳を作るが何とかこらえると未華たちの方に近づくと拍手を求める。


「ったく・・・すみません助かりました。僕は【アルドマス・メルシィリスタ】と申します。」


「僕はレドマ・Uウル・ワークライドそしてこっちが・・」


「二階堂未華だ」


「・・・・スルマ・ハートレティアです・・・・」


レドマは差し出された手を取り握手をする、握手が終わるとアルドマスは後ろにいた男たちを未華たちに紹介する。


「あとは、えっとこっちの二人は・・・・」


「はいはーい!俺っちは【マードル・リゼリクショット】だぜ!」


「【ワリシアット・マイン・オーレシアン】、よろしく!」


異様にテンションの高い二人の自己紹介が終わるとアルドマスはため息をつく


「はぁ・・・まったく、役に立たない奴らですよ・・・・」


「っというかメルシィリスタってもしかしてあの?」


スルマが何かに気づくとアルドマスは自分の家系について話そうとする。


「あ、はい僕の・・・・」


「そう!何といってもこいつは王族メルシィリスタ家の者なんだぜ!!」


「どうだえらいだろう!!」


アルドマスの言葉を切って胸を張りながら自信満々に言うマードルとワリシアットに頭を抱えるアルドマス、二人が言うメルシィリスタ家というのは王都グルスカルに存在する名家の一つでとても有名な血筋の一つなのである。


「・・なんでお前たちが偉そうにしているんだ?・・・二人ともちょっと正座しろ!」


なぜかテンションが最高潮に達している二人を止めるアルドマス、貴族や王族に対して勝手なイメージを持っていた未華はアルドマスたちの様子を見てなんだか申し訳なくなった。


(異世界の貴族とかって傲慢で最低なイメージばっかだけどなんか頑張ってんだな・・・・)


未華はそう思いながら正座をさせられてアルドマスに怒られているマードルとワリシアットを見ていた。

しばらくしてアルドマスの説教が終わったのか三人は未華たちに近づく、マードルとワリシアットは足が痺れているのか生まれたての小鹿のように足を小刻みに動かしながらゆっくりとこちらに近づく


「すみません話を切ってしまって・・・」


「とりあえず一旦小屋に入るか?ほかの敵が来ないとも限らないし・・・」


レドマの提案にアルドマスは頷くと六人は小屋に入っていった。

小屋に入った六人は各々空いていた椅子に座る。


「ところで皆さんは大会参加者なのですか?」


不意にアルドマスが未華たちに聞いた。


「一応僕とスルマ、そして未華さんは一応参加者ですよ・・・おそらくあなた達もそうでしょう?」


「はい、っといっても家のために参加しているだけですが・・・・」


「俺っちたちはその護衛ってわけ」


「そうなんですか・・・まぁとりあえずは時間が過ぎるのを待ちましょうか・・・」


「そうですねできればそれがいいです。」


六人は争わずにゆっくりと時間が過ぎることを選んだ。


「とりあえず今日はもう遅いしもう寝ましょう」


「そうだな、今日は何かと疲れた」


「といっても部屋は二人部屋が三つしかないんだけどな」


「では私と未華さん、残りは誰かと誰かでいいんじゃないですか?」


「そうだな、それがいいだろう」


「・・・・・・えっ?・・・」


誰も異論なく部屋割りが決まるとスルマは未華の襟首をつかみ引きづりながら部屋を出ていく


「えっ!?ちょっちょっとまてぇぇぇぇぇぇ!!!!?」


未華はスルマに引きずられながら部屋に運ばれる


「さぁ!未華さん!ここが私たちの寝るところですよ!」


(いやいやいやいや!!部屋割りおかしいだろ!?・・・・・まさか?!)


「どうしましたか?」


「・・・・・ふぅ・・・・」


未華はため息を吐くと立ち上がりスルマの方を向くと笑顔になる。


「・・・・スルマ・・・・」


「?はい?」


「俺は・・・男だ・・・・」


「・・・・はい?・・・・」


未華の衝撃の告白にスルマは目を点にする


「いやいや何言ってるんですか未華さん、そんなわけ・・・・」


スルマが否定すると未華はスルマの手を掴み自分の胸に押し当てる。


「えっ?あぁ、ふっ大丈夫ですよ未華さん」


(わかってくれたか?)


スルマは未華の手を振りほどき未華の手をやさしく握ると未華に向けて微笑む


「胸ならそのうち大きくなりますから、だから大丈夫です!!」


(違うそうじゃない!!)


思っていたことの180度違うことを言われて未華は頭を抱える。


(ど、どうしたら信じてもらえるんだ?)


「さぁ!そんな冗談言っていないで寝ましょう!明日が終われば予選は終わるんですから!」


(いやそういう問題じゃないんだよ!!)


「わったしいっちば~ん!!」


「あ、ちょっ!?」


「スピーーーーー」


スルマは部屋にあるベットに飛び込むとすぐに寝てしまった。未華は寝ているスルマの顔を覗き込むとスルマはとても気持ちよさそうに眠っているのが分かった。


「はぁ~、まぁいいか」


未華は安心して無防備に眠っているスルマを見ていつか信じてもらえばいいと思うことにした。

部屋にはベットが一つしかなかったため未華はベットの掛け布団を一枚貰い置いてあった椅子に腰かけて眠ることにした。


(そういえば俺はこの世界で何がしたいんだろう・・・・・・それもおいおい決めな・・いと・な・・・)


未華はよっぽど疲れていたのかすぐに眠りにつくことができた。

次の日、どこからか聞こえる鶏の声で目が覚めた未華は自分の体を起こして背伸びをする。


「う~~んっっとぉ・・・・」


未華は目をこすりながら窓を開けると空は曇天で雨が降りだしそうなほど曇っていた。


(・・・・くもってるなぁ・・・・・)


未華は窓を閉めると部屋を出てリビングに行くと誰も起きていないのかリビングは静まり返っていた。


(とりあえず飯だな・・・・)


未華は食堂を探すとキッチンを見つける、キッチンは一畳半しかなかったが広さはさほど気にならなかった。未華は冷蔵庫を漁ると卵のようなものとお米のようなものを見つけると未華は鍋を探し出すと鍋に水を引き先ほど見つけたお米のようなものを入れると蓋を閉めて竈にセットすると火をつけようとするが火のつけ方がわからなかった。未華はマッチやライターといった火を起こすための道具を一切持っていなかったため頭を抱えることとなった、未華は懐からプラミーの入った瓶を取り出すとプラミーを外に出す。


「ファスト」


瓶の外に出たプラミーは未華の目の前で球体になる。


「プラミー・・・・どうしよう・・・・・」


未華は球体になったプラミーに指示を出そうとするがそもそも火のつけ方が思いつかない未華はプラミーに指示を出せなかった。未華が火を起こそうと四苦八苦していると誰かが起きてきたのか未華の肩に突然手を置かれる。


「どうしたんです未華さん?」


「うわっほい!!!」


突然話しかけられた未華は変な声が出る、未華が振り向くとそこにいたのはマードルだった。


「あぁ~びっっくりしたぁ~」


「いやびっくりしすぎでしょう?」


未華は胸を撫でおろしながら安心しているとマードルは竈にセットされているものを見つける。


「あれ?これ‘舞米まいまい’じゃないすか!俺これ好きなんすよ~」


「ま、舞米?」


「はい!俺の故郷の特産物っすよ!」


「あ、じゃぁ作り方わかるのか?」


「作り方?そんなん水につけて一時間くらい待てば自然にできますよ~そんなことも知らないんですか?」


「あ、あぁすまないな・・・・」


「それじゃぁ舞米ができるまでおかずでも作りましょう!」


マードルはそう言って冷蔵庫と棚を物色しだす、未華はその光景をおとなしく見ることにした。

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