表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

予選会場は孤島?

ここは樹海、無数の無識怪物が蔓延り日々喰うか喰われるかの争いが絶えないこの森の木陰で未華は吐いていた。


「うぅええぇぇぇ・・おろろろろろろろ・・・・」


「・・未華とか言ったっけ?・・・あんた大丈夫かい?」


レブロが心配そうな表情をして吐いている未華に声をかける。


「こ、これが大丈・・うぷっ・・・」


未華はしばらく吐いていた。しばらくして未華の吐き気が収まると未華はすっきりした表情で木陰から出てくると先ほどまでいたはずのレブロがいなくなっていた。


「あれ?さっきのは・・・ん?」


未華は木に括り付けてある紙に目が行くとその紙を木の枝からほどき手紙を読む。手紙には汚い文字でいろいろ書かれていたがそもそも文字が読めない未華には何が書いてあるのかがわからなかった。


「くそっまた世界共通語かよ・・・これがあの女神だったらおそらく日本語にしてくれるのに・・」


未華は手紙をきれいにたたみ自身の懐にしまい込むと改めて自分の今の状況を確認した。


「まずここにある石を見つけるのが目的なわけだがそもそも俺はどんな石を持てばいいのかわからんしな~それにここが安全な・・・」


「ぐるるる」


「ですよね~」


未華は腕組をしながら考えていると突然後ろから現れた生物を見ながら冷や汗を垂らす。生物は未華の体の3・4倍はありその姿は狼に類似していた。未華はその生物から背を向けて全速力で走った、道はとても険しく足場などはデコボコしていてまともに走れるような道ではなかったが未華は頑張って走った排便をギリギリまで我慢するくらいの気持ちで走った。しばらく走りさすがに未華の持久力は無限ではないため未華は生物が追ってきてないことを祈り足を止める。


「ハァハァハァハァ・・・・こ、ここまでくれば・・・・」


未華は後ろを振り返ると先ほどの生物はいなくなっていた。


「あぁぁ~~~!!つっかれたぁーーー!!」


未華はついてきていないとわかると腰を下ろしてその場に座り込んだ


「だいたいもう~!なんだよ!何の石を持ってくればいいんだよ!!?・・・・・もうこれでいいだろ・・・」


未華は文句を言いながらその辺にあった赤黒い石を掴みその石を懐にしまうと突然どこからともなく声が聞こえる。


『報告~報告~現在予選一次通過者が上限の60名に達しましたのでこれで一次予選を終わります』


そう聞こえると未華の目の前に白い鷹のような生き物が現れると未華の服を掴み空高く飛び上がった。


「え?ちょっっ!!」


鷹は未華の服を掴んだまま雲の上まで行くとそこからグルスカルであろう街めがけてゆっくりと降下していく、グルスカルの未華が先ほどまでいた受付会場に着くと鷹は未華の服を放してどこかに飛んでいくと未華はその場に座り込んだ。


「はぁぁ、ったく」


「未華様ーーーー!!!!」


未華が頭をかいていると不意に聞きなれた声が未華の耳に入る、未華は声の方を向くとそこにはラキャとムールがいた。ラキャは満面の笑みを浮かべて未華に近づくムールはすごく疲れたような顔をしてラキャの後ろについていた。


「未華様!ご無事だったのですね!?まぁあまり心配はしておりませんでしたが」


「ラキャ殿すごく慌ててたのにどの口が・・・」


「ア゛!!?」


「なんでもないっス!」


ラキャとムールのやり取りを見て未華は少し息を吐くと立ち上がる。


「それで、予選ってどうなったの?なんか一次とか聞こえたけど・・・・」


「あ、はい!私たちは無事‘レンズ鉱石’をとれたので無事一時は通過しました。未華様はもちろんとれたのですよね!」


「いや俺は取れてないぞ?しいて言うならこの変な石見つけたくらいで・・・」


未華はそう言って先ほど懐にしまった赤黒い石を取り出して二人に見せる。


「う~ん・・・・これ何の石ですかね~?ムールわかりますか?」


「相変わらず虫以外はある程度しか知らないっスね!これは‘燐灰石りんかいせき’という石ですよ!」


「・・・珍しいやつなのか?」


「いえ、一般的に知られていてどこにでもある石っすから珍しくはないですね・・・まぁあそこにはめったに見かけないものですからあそこでは珍しいに入るかもですが・・・」


「なるほどねぇ~、まぁラキャそういうことだからどうやら俺は予選落ちみたいだ・・・」


「うっ、ってことは私だけで優勝しないといけないんですか・・・・」


三人が話していると広場に先ほどの厳つい男が現れる。


「よく聞け!!」


男は大声を出すと周りにいた者はその男に注目する。


「我が名は【ギバゼリエ・ベルクリンス】である!一次及び二次試験の試験官だ!よろしくな!!」


「ほら始まったぞ」


未華はギバゼリエと名乗った男を見ながらラキャに耳打ちする。


「あ、ちなみにあそこで燐灰石を拾った者は本戦の特別枠をかけた大会査定を行うのでこの場を出たらラブロがいるのできちんと説明を受けるように!二次試験は二日後、この場所で説明した後試験に臨んでもらう!各員準備を怠らないように以上解散!!」


ギバゼリエはそう言って姿を消しすと参加者は次々と帰っていった。


「未華様!これで未華様も参加ですね!」


「・・・・まじか・・・・」


「なんというか未華殿は運が良いっすね・・・」


ラキャは嬉しそうにしているが未華は持っている燐灰石を地面にたたきつけたくなった。

会場を出ると目の前に机と先ほどのラブロと呼ばれた少年がいた、未華は燐灰石を持ったままラブロに近づくと机の上にその石を置く


「・・・へぇ~間に合ったんだ?おねぇちゃん運が良いね!」


ラブロは未華が置いた燐灰石を持ち上げて念入りに何かを探す。


「・・・・何してんだ?」


「紋章探してんの・・・っとあった」


ラブロは燐灰石を横にあった箱に入れると一枚の紙を取り出し何かを書き始めた。


「ほい、これ持ってて」


未華はラブロから一枚の紙を貰うとその紙を見る、紙には何も書かれておらず未華はラブロの方を見るとラブロは満面の笑みで未華を見ていた。


「それじゃぁおねぇちゃん、本戦特別枠争奪戦頑張ってね!」


「・・・・は?」


未華が何か言う前に未華の持っていた紙が大きくなり未華を包み込む


「ちょっ、まっ・・・」


未華は紙に包み込めれると白紙だった紙に未華の顔が描かれると未華は姿を消した。


(え!?まじか!!?)


未華は声を出そうとするが声は出ず動くこともできなくなっていた。紙は元の大きさに戻ると葉っぱが落ちるようにひらひらとゆっくり地面に落ちていく、ラブロはその紙を拾い上げると一つのファイルを取り出してその中に拾い上げた紙をしまう。


(これで26人で終わりだな・・・)


ラブロは机と椅子を片付けるとファイルをもってその場を離れた。そしてまた一人になったラキャはものすごく荒れていた。

しばらくしてラブロは孤島に来ていた、ラブロは孤島のいたるところにファイルに入っていた紙を二枚取り出して島のいたるところにばらまく、ラブロはファイルの中の紙をすべて島に撒き終わるとその島から姿を消した。

未華が紙に閉じ込められてからかなりの時間が経過する。未華はまだ紙に入れられたままだった、未華は何とか脱出しようともがくがどうすることもできなかった。未華は考えるだけ考えていたがそもそもこの世界に来て日が浅い未華に何かできるはずもなく考えても無駄なのである。


「あれ?なんでしょうこれは?」


一人の女性が一枚の紙を手に取る、裏側だったのか何も書かれていないと思いその紙を裏返すとそこには未華の人相が描かれていた。


「えぇぇ!?もしかしてまだこの状態だったんですか!?」


女性は驚きながらも未華が描かれた紙を地面に置くと背負っていた杖を紙の前にかざし女性の胸元から一匹のリスのような生き物が現れる。


「リブルス!お願いします!」


「りゅ~!」


リブルスと呼ばれた生き物は杖の先端に乗り背中から鳥の翼のようなものを出すとその翼から白色の粉のようなものを地面に置かれた紙に降りかける、すると紙は白く輝きだしその紙から未華がはじき出される。


「うおっとと!!?・・・え?なに?どうなった?!」


未華は突然目の前に広大な海を背後に杖を構える女性が現れて混乱していた。


(あれ?もしかしてまた異世界転移か?二度目?・・・)


未華はまた違う世界に飛ばされたかと考えていると女性が暗い表情をしながら少し引き気味に未華に話しかける。


「あ、あのぉ~、あなたはいったいどなたなのでしょうか?・・・・」


「え?あ、あぁ・・・」


未華は女性に話しかけられて少し焦るがすぐに冷静になると女性に自己紹介をする。


「俺は二階堂未華だ・・突然だがよろしくな・・・」


未華は自己紹介をすると同時に右手を出して握手を求めると女性は暗い表情から一瞬にして満面の笑みに変わると差し出された未華の手を両手で握る。


「未華さんですね!わたしはスルマ・・【スルマ・ハートレティア】ともうします!よろしくお願いします!」


「スルマさんですね、よろしくお願いします」


未華とスルマはお互いに笑顔で握手をしていると突然リブルスが未華の頭に飛び乗る。


「・・・・え?ナニコレ?」


「あわわっリブルスダメですよ~、ほらっ!こっちおいで・・・」


未華は突然頭に乗ってきた生き物に驚くがスルマはリブルスを未華から引き離そうとする。


「リブルス!ほらこっち来て!ほら早く!」


「ちょっ、待って待って!髪!髪が!いたたたたたたたた!!!」


スルマはリブルスを引っ張るがリブルスは未華の髪を掴み離されまいと必死に抵抗する、スルマは何とかリブルスを引き離したいがリブルスの髪を持つ力が純粋に強くて中々離さないのでスルマの引っ張る力も次第に強くなる。そしてそのしわ寄せが未華の頭皮に蓄積される。


「うぐぐぐぐぐ~!!!!」


「りゅ~~~~!!!」


「痛い痛い痛い痛い!!!!」


その状態がしばらく続きいい加減しつこいので未華がスルマの腕を掴みリブルスから手を離させる。


「っっっしつこい!!!!!」


未華はスルマの手を払い頭に乗っているリブルスを握りしめる、リブルスは未華の握力が予想以上に強かったためすぐにおとなしくなり未華の髪から手を放す。


「ったく、なんなんだこいつは!」


未華は怒りをあらわにしていた、普段未華は温厚でゴリラにウンコを投げられても怒らない未華だがこの時は人を殺せるくらいの殺気を放っていた。未華は握っているリブルスを握りつぶしそうなくらいに拳に殺意がこもる。


「あ、あのちょっと!」


「ア゛?」


スルマに話しかけられた未華はスルマの方を向くとスルマは泣きそうな顔をしていたが未華はスルマの後ろの人影が目に入ると突然人影の方向から刃物が飛んでくる。未華は突然飛んできた刃物を避けようとするが避けきれずに未華の右肩に刃物が突き刺さる。


「うっつぅ・・・」


未華は刃物が突き刺さった肩を抑えながらその場にしゃがみ込む、スルマは未華がしゃがみ込んだ瞬間後ろを振り向きながら腕を前に出すとその腕にリブルスが飛びつく


「リブルス!‘アームドレティア’!!」


スルマが叫ぶとリブルスが自身の体から光を放ちながら姿形を変えていくとリブルスは腕輪に変えありスルマの腕に取り付いた。


「吹っ飛んでください!!‘金剛拳波こんごうけんは’!!」


スルマはリブルスが取り付いた腕で正拳突きを放つとその衝撃は海に大きな津波を起こした。


「・・・に、逃げられましたか・・・・」


スルマが肩を落とし安堵の表情を浮かべるが一瞬にして顔を青くすると未華の方を見ると未華はとても具合が悪そうにしていた、刺された肩は血が流れ青く腫れあがっていた。


「あわわっ!!?は、早く治療しないと!!」


スルマは腰に付けていたポーチから一つの小瓶と種を取り出すと未華の肩に刺さった刃物を一気に抜きその傷口にその種を埋め込み瓶の中の液体を雑にかける。


「あっつぅっいっっ!!?・・・・・・・」


未華はかけられた液体だ予想以上に傷口にしみて意識をなくす。


「あれっ?!未華さん!?未華さ~ん!!?」


スルマは意識がなくなり苦しみながら倒れている未華を揺すりながら声をかけるが未華からの返事はないそれどころか未華の表情はさらに険しくなる、スルマは気絶している未華を片手で持ち上げ肩に担ぐと泣き叫びながら森の中に入っていった。


「うわぁぁぁぁ~~~ん!!!お師匠様~~~~~!!!!」


スルマは走っていると古い小屋が見えると躊躇なくその小屋に入っていく、小屋には一人の青年がいて青年はスルマが小屋に入ってくるのがわかると部屋を出て入口に行き入口にいたスルマに声をかける。


「おかえりスルマ、守備はどうだった?・・・・・ってかなに?それ?」


青年はスルマに話しかけるとすぐにスルマが何かを担いでいるのがわかると説明を求める、スルマは今にも泣きそうな表情で青年を見ると青年は何かを察する。


「お師匠~~、解毒がうまくできないんです~!」


「解毒?」


スルマは担いでいた未華を床におろして寝かせるとスルマは未華の傷口に指をさす、未華の表情はとても苦しそうで未華の傷には先ほどの埋め込まれた種が発芽したのか一つの蕾がついていた。


「う~ん・・・・これは・・・」


青年は蕾に手を添えると片手で懐から小さい紙袋を取り出して紙袋の中の青い粉を蕾にやさしく振りかけると蕾はすぐに開き緑色のきれいな花になると先ほどまで苦しんでいた未華の顔は一気に穏やかになり息も落ち着いていく、青年は未華の表情が落ち着いたのがわかるとスルマの方を向きスルマの頭に拳骨を食らわせる。


「こぉらスルマ!!!!!お前また雑にやりやがったな!!!」


「ご、ごめんなさい~~~」


「はぁ~・・・・もういい、行くぞ!彼女をベットに運ばないと・・・」


スルマは頭を抑え泣きながら青年から離れる、青年はため息をつくと未華を持ち上げスルマについてくるようにいうと階段を上る。スルマは頭を抑えながら青年についていく、青年は空き部屋に着くと未華をベットに寝かせるとスルマの方を向く


「まったくお前はいつまでたっても治療が雑になるな・・・」


「すいません・・・」


青年に言われてスルマはわかりやすく落ち込む

しばらくして未華が目を覚まし起き上がると青年とスルマが目に入る。青年は笑顔だったがスルマは見るからに落ち込んでいて頭に二つほどたんこぶをつけていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ