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武装大会予選開幕

宿屋に戻った未華たちはソファに座っていた。

未華は宿屋に着くと眠ってしまっているカヤをベットにゆっくりとおろした後に毛布をやさしくかけてあげる。

穏やかに寝息を立てて寝ているカヤは年相応にとてもかわいらしかった。


「さて・・・ラキャ・・・・」


「はい、なんですか?」


未華はラキャの目を見ながら真面目な顔をした。


「お前の・・・その体のことなんだが・・・」


「・・・・」


ラキャは顔を赤らめて伏せてしまった。未華が気まずそうにしているとラキャが口を開いた。


「未華様・・・わかりました、見てください!」


ラキャはそう言ってきていた上着を脱ぎシャツだけになる。未華は改めてラキャの体を見た、それは奇妙な光景だった。ラキャの体には所々黒い穴のようなものが開いていたのだ、未華が黙っている見ているとラキャは自分のことを語りだした。


「わたしの一族は奇怪麗蟲を育成することが遥か昔からの役目なのです。奇怪麗蟲を絶滅させない事、ですが奇怪麗蟲にも凶暴な個体や意思疎通が難しい個体など一筋縄ではいきません、万が一奇怪麗蟲が外部の者を傷つけてはいけないように扱いに長けていたわたしの血統を含む三つの血統は体に穴をあけることによってその管理を完全なものにしました。そして虫の飼育や管理を可能とする‘アルフレイス’という術式を組みこのような体になりました。」


ラキャはそう言うと脱いだ服を着なおす。


(・・・・・きっっっっっっまず!!!!)


未華は顔を伏せてラキャのほうを見ないようにした。


(なんだよその重そうでそうでないような話!!?話の切り口に困るだろうが!もっと軽く言え!!)


未華は冷や汗を滝のごとく大量に出していた。


「未華様・・・・やはり私は気持ちが悪いですか?・・・」


ラキャは不安そうな顔をして未華を見ていた、ラキャにとって自分の体は目を背けたくなるほど嫌いなのだ、その理由は過去に自分の体を理由に迫害を受けていたのである。別に迫害を受けたのはラキャだけではないのだが子供の脳みそではそこまで考えるだけの頭がなく自分たちの村が焼かれ襲われたときにラキャは一人になったのである。

ラキャは不安そうに下を向くと未華はラキャのほうを向きラキャの頭を優しくなでる。


「・・・・これでも俺は平等に接することを信条にしているんだ、体とか種族とかは関係ない。お前はお前だ、安心しろ・・・」


未華に頭をなでられて俯きながらも顔を赤らめて涙を流すラキャ


(あ、今俺最高に気持ち悪いセリフはいたな・・・・)


未華は一気に顔を赤くしてラキャから手を放した、ラキャは少し寂しそうに未華を見たが未華はラキャに背を向ける。


「さっさと寝るぞ!明日は受付済ますんだろ!」


「・・・・・はい!!」


ラキャは涙を拭いて満面の笑みで返事をするとカヤが寝ている布団に入りカヤを抱きしめて寝むった。未華は顔を赤くして恥ずかしさのあまり寝付けていなかった。


(・・・・くそっ!眠れん!!)


そして夜が更ける。

次の日、結局未華は一睡もできずに朝を迎えた。


(・・・くそっ!眠い!!)


「うーん!未華様!気持ちのいい朝ですね!!」


ラキャが起きると未華のほうを向き笑顔で言うが未華は眼にひどい隈を付けていた。


「うぅ~~~」


ラキャの声に反応したのかカヤも目を覚ますとカヤは寝ぼけたまま未華のもとに行くと未華の背に乗りかかった。


「・・・・カヤ・・・重い・・・・」


「う~~~」


未華が小さくつぶやくがカヤはまだ眠いのかそのまま眠ってしまった。


「未華様!ご飯を食べましょう!そうすれば元気も出ますよ!!」


ラキャはそう言って未華の手を取ると食堂に向かった。


「前々から思っていたがなんで宿屋に食堂があるんだ?」


「?何を言っているんですか?宿屋に食堂は当たり前ですよ?」


未華は眠いのを我慢してパンを口に運ぶ、カヤも同様に頭を前後に揺らしてとても眠そうにしていた。ラキャはカヤの口にご飯を運んで食べさせてあげる、カヤは眠いが口元にくるいい匂いをさせた物体を口に入れて食べていた。


「器用に食べるな・・・」


未華はそう言ってカヤの口元が汚れているのに気が付くと持っていたハンカチを出してカヤの口周りを拭いてあげる。


「未華様、今日は大会参加の登録と説明会に行きましょう。」


朝食を食べ終わったラキャが未華に言うと未華は眠い目をこすって了承した。

朝食を食べ終わり未華たちは武装大会に出るべく受付に行っていた。受付会場に行くと色々な種族が会場に集まっていた。


「おやおや~~~?そこにいるのはラキャ殿ではないですかぁ~~」


不意に後ろから声がすると未華たちは後ろを振り向くと頭の悪そうな顔をした女性がいた。


「ラキャ、知り合いか?」


「え、えぇ・・・・いや、知りません・・・・」


未華はラキャを見るとラキャは未華から顔をそらした。


「おぉっとと!これはこれは!吾輩は【ムール・アルカンドラ】と申します!以後お見知りおきを~」


ムールはそう言って未華に手を差し伸べる、未華はその手をとると腕に激痛が走る。未華は急いで自分の腕を見ると無数の針で刺されたかのような跡ができそこから血が噴き出していた。


「うっ、っっっっ!!?」


未華は血が出ている腕を抑えるとムールのほうを向くとムールは笑顔で笑っていた。


「おおっとぉ~~~~!これはいけな~い!!血が止まらず吹き出ているではありませんか~~!!!」


ムールはその場にいたもの全員に聞こえるくらい大声を出した。


「でもでもそんな時こそ~これっ!!」


ムールは懐から手のひらに収まるほど小さい瓶を取り出す。


「こんな傷にはこの‘アルカンドラ産’の‘修復薬リヴァイブ・ポーショナー’がおすすめ!!この薬を飲ませると~~~~」


ムールは小瓶を開けて腕を抑えている未華に無理矢理飲ませる。


「ちょっおまっっ!」


「いいからいいからはいはいゴクゴク行きましょう~」


未華はムールの持っていた修復薬を飲み干すと体を赤くさせると先ほどまで腕から出ていた血が止まり傷跡が綺麗になくなっていた。


「おぉ~~!」


「っってて」


「どうでっすか皆さま~~!!!この通り飲むだけであら不思議!傷口が消えたではないですか~~!」


ムールは両手を上げて周りに宣伝しだした。


「この修復薬いまなら特別価格でなんと1400レドスで~す!!ほしい方は私のほうまで~」


「ねぇちゃん!それ10本くれ!」


「俺は20本だ!」


「はいまいど~まいど~~!」


ムールのもとに何人もの男たちが群がり修復薬を買い上げていく、未華は腕の痛みがひかずその場に座り込んでいたがムールはそれを無視して修復薬を売り込んでいく。未華は腕の痛みが引くとラキャのほうを向く


「おいラキャ、アイツは何なんだ?」


「・・・彼女は‘リオムスクラ’という種族の亜人種です。」


「リオムスクラ?」


「わかりやすく言うと人とゴブリンのハーフです。」


「・・・ゴブリン?」


「まぁ地域によっては‘アークゴブリン’という呼び方もしますが・・・」


「・・・・ゴブリンにも種類があるのか?」


「はい、ゴブリンは先ほど言ったゴブリン、アークゴブリンのほかに‘マジュルゴブリン’‘リーミットゴブリン’あとは・・‘フロムグゴブリン’ですかね・・・」


「色々いるな・・・・」


未華はゴブリンの種類が思ったより多かったことに驚いていた。


「あぁただ‘スパムルゴブリン’は無識怪物になります」


「そうなのか?」


「なにを話されてるのですか?」


「うわぁぁ!!?」


未華の目の前に突然ムールの顔が現れると未華は驚きのあまり後ろにのけぞる。


「オーバーなリアクションですね~」


「ムール、そこまでにしないと餌にしますよ?」


ラキャは冷ややかな目をムールに向けながら言うと口から青色の物体を吐き出そうとする。


「うあぁ!ちょっっタンマタンマ!」


ムールは急いで未華から離れる、ムールが離れたことを確認するとラキャは吐き出そうとしたものを飲み込む


「まったく、いつまでそれを飼ってるんスカ!」


「いつまでもです、一族の責務ですから」


ラキャはそう言って落ちていた受付用紙を二枚拾うと空いているテーブルに座り紙に記入する。未華はラキャの隣に座ると未華の隣にムールが座った。


「なんでお前がこっちに座る?」


「いいじゃないですか!それに吾輩あの青いのが苦手で・・・」


「青いのって・・・どうせ奇怪麗蟲だろう?」


「そんの中でも最悪の種類なんですよ・・・・」


「・・・・・そうか・・・・」


未華は会話を切り上げてラキャの方を向くともう書き終わったのかラキャは未華の方を見ていた。


「・・・書き終わったの?」


「はい、未華様の分も書き終わりました。」


「俺の分も?」


未華はラキャから自分の分の大会用紙をもらうと確認する。


(・・・・なんて書いてあるんだ?)


未華はこの世界の文字が読めなかった。そもそも未華はこの世界での文字を知らないので‘文字が読めない’というのは当たり前だ


「さっぱりわからん・・・」


「おや?未華殿は文字が読めないので?」


「あ、あぁ・・・・ムールは読めるのか?」


「そりゃぁ世界共通語ですから読めなくはないですが・・・しかし今どき文字が読めないとは珍しいですね」


「あっ、あぁそうだな・・・」


未華は頬に汗を垂らしながらムールから顔をそらすとそらした先にラキャの顔が目の前に現れた。


「うわっ!」


「未華様、よろしければ私が・・・・」


ラキャが言いかけると鐘の音が鳴り響く、音が止むと厳つい男と小柄な少年が現れる。


「うむ、今日集まったのはこれだけか・・・」


「まぁこんだけならかえって楽だけどね・・・」


「ではこれより武装大会の説明に入る!よく聞いておけ!」


男はそう言うとその場にいた者全員に聞こえるような大声で話し出した。


「お前たちにはまず武装大会本戦に参加するための石を取ってきてもらう!」


「あんたたちが最後の組で14組目だよ・・・ほかの組はもう取りに行ってるからあと19個しか残ってないから急いだほうがいいよ?」


皆が男の方を向き静かに男の言うことを聞く


(え?・・・・・そんな面倒なことしないとだめなのか?)


「ここから遥か南西に位置する場所にある鉱石を取ってきてもらう!指定された石を取って戻ってくることができれば本戦への出場を許可する!ふっせいぜい死なないように頑張れよ!ラブロ!」


「はいはいわかってますよ~〈両隣の出入り口(ハイ・ロード)〉」


ラブロと呼ばれた小柄な少年は持っていた人形を前に出し両腕で持つとその人形の口から黒い塊が出てくる。


「頼むよ【ハイス】」


ラブロがハイスと呼んだ黒い塊に言うと黒い塊は人一人分ぐらいの大きさにまで膨らみいきなり参加者と思われる人を飲み込むように覆いその人物をその場から消す。その後も次々に黒い塊は人を飲み込み消していく


「おいラキャ?あれなんだよ、みんな平然としてるけど・・・」


「あぁ、あれはf・・・・」


ラキャが未華に説明する前にラキャが黒い塊に飲み込まれると黒い塊はどこかに行く


(・・・・・えぇ~~~~・・・ってか流れ的に普通次俺じゃない?・・・・)


「み、未華殿・・・」


「うん?」


未華は呼ばれた方を向くとムールが黒い塊に半分くらい飲み込まれていた。


「おぉーい!!?大丈夫か!!?」


「あ、あの吾輩実は参k・・・・」


ムールは言い切る前に黒い塊にの飲み込まれる。しばらくして会場には未華だけになると黒い塊は未華の目の前に漂っていた。一向に飲み込まれないことに未華は疑問しか浮かばなかった。


(・・・はよ飲み込めや!!!これどうせあれだろ!転送的な奴だろ!テレポーテーション的な奴なんだろ!?)


「あれ?どうしたハイス?なんで転送しない?」


ラブロが黒い塊に話しかけると黒い塊はラブロの持っていた人形に入り込むと人形はラブロの後ろに隠れる。


「どうしたんだよハイス!?こんなこと今まで無かったろ!?」


「う~むラブロ、こうなっては仕方ないレブロを呼べ彼女に運んでもらう」


「えぇ~っくっそ~~」


ラブロは不満そうな顔をしながら懐から笛を取り出して口にくわえ思い切り笛を吹く、笛は高い音を出して響き渡ると空から何かが降ってくると地面と衝突してその場に小さいクレーターができる。降ってきたものは大きく150㎝はあるであろう体躯をしており見た目はアルマジロによく似た見た目をしていて未華はその生物を見て何ともかわいらしく思えた。


「ラブロ!ゼリエ!いきなり呼ぶんじゃないよ!こっちだって準備があるんだから!」


その生物が男たち二人の方を見ながら怒っているかと思うと途端に未華の方を向く


「それでこの子は?今回で最後なんだろ?なんで一人残ってるのさ・・・」


「あぁ実はラブロのフィフィルの調子が悪くてな、一人だけだからお前の力で目的地にまで彼女を運んでほしいんだ」


「あら、珍しいわね?」


「はぁ、ってかねぇさんいつまでその姿でいるつもりだよ!」


「ふん!これから運ぶんだから別に構わないでしょうに?」


「まぁとりあえず頼んだぞレブロ?」


レブロと呼ばれた生き物は未華の方にゆっくり近づくと未華の顔を覗き見る。


「ふ~ん、まぁいいわ・・・〈瞬間縮小化ロー・コンパクト〉・・・・」


レブロは口から泡を出し未華にその泡をかけると未華は泡に包まれて小さくなるとレブロは小さくなった未華を手荷物と腰につけていたポーチに未華を押し込める。


「レブロ、頼んだぞ!」


「はいはいわかりましたよっと」


レブロはそう言って丸くなるとグルスカル郊外に向けて転がりだす。


「・・・・大丈夫かなねぇさん・・」


「まぁ大丈夫だろ、その辺の奴より場数を踏んでいるんだ奇怪麗蟲が出ない限り大丈夫だろ」


「まぁねぇさんは虫苦手だからな~」


「だが奇怪麗蟲なんて早々出るもんじゃないからまず大丈夫だろ、ラブロ行くぞやることはまだまだあるんだ」


「はいはい」


二人は未華とレブロを見送るとどこかへ消えていく


(ぐっ、うわっぷっっ!)


未華の入ったポーチは激しく揺れ未華は幾度か吐きそうになりながらも吐かないように手で口を抑えながら何とか吐かないように我慢していた。未華がこの激しい揺れから解放されるのは約二時間後のことである。

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