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特別ではなかった・・・

何気ない日常、何気ない朝、そんな日に限って日常は簡単に崩れ去る・・・

これはとある学園に通う一人の生徒の世にも不思議な物語である。

全世界から様々な人間を集めて教育する機関【紀見天学園きみあまがくえん】そこは多種多様な人材を集めて世界情勢の役に立てるように教育する世界最高峰の教育機関である。

朝の誰もいない通学路を欠伸をしながら歩く彼の名は【二階堂にかいどう 未華みか】、この紀見天学園の‘高等部特別教育学部こうとうぶとくべつきょういくがくぶ’に通う二年生である。


(はぁ、めんどくさい)


ため息をつきながら教室に着くと決められている自分の机に行き荷物を机の端に置き座る彼は自分の容姿にひどく悩んでいた。美しく輝く黒い長髪は見るものを虜にするほど眩く、腕や足は細く非常に女性らしい身体つきをしている、外見は女にしかみえないが男である。女にしか見えないのでファンクラブが存在していて紀見天学園のほとんどの生徒が加入しているほどである、恐るべき規模である。


「よう!どうしたんだ未華?」


いまから寝ようとする未華に声をかける単発の頭の悪そうな彼の名は【片緒かたお 流河るか】同じく二年生の男であり未華の幼馴染でもある。未華は流河の顔を覗き込むように見上げると流河の頭に見慣れない生物が未華の目に映る。


「あれ?・・・流河、それっ・・・・・」


未華が指をその生物に向けようとするといつの間にか薄暗い空間に立っていた。未華は突然のことで混乱していた。周りには何もなく自分がなぜ立てているのかもわからないほど混乱していたが未華は一つの結論を思い浮かべる。


(なんだこれ?・・・あ、もしかして)


未華は最近読みだした異世界転生系の展開に似ていた為もしかしたら自分がそれに巻き込まれたのではないのか?と考えた。


(まぁ、最近はやってたしそういうのが来たのかって考えよう)


「まぁ、慌てないのはいいことですよ?」


そう言って未華の前に突然現れたのは金色に輝く髪をなびかせ、白く輝く羽を背にはやした女性だった。


「貴女は選ばれました、故に選択してください新たに世界に行くうえで貴女が求める力を!!!」


女性は脈絡なくそう言って未華に指を向けると笑顔で未華の反応を待った。未華は突然のことでよくわかっていなかったがとりあえず浮かんだ疑問を女性に聞いた。


「・・・・それって制限あるの?」


「はい、もちろん行き過ぎた力は不可になってしまいますが、そうなった場合その力の下位互換もしくは制限付きになります。例えば以前‘水分を操る力’と言った方には‘自分の触れた範囲の水を操る力’となりました。」


「ふーん」


きちんと説明してくれる女性の話を聞いた未華はその場に座り込み少し考える。

しばらくしてようやく決まったのか未華は立ち上がり女性に自分の答えを言う


「なら、‘トイレに行かなくてもよくなる’力でよろしく」


「・・・・・え?」


女性は初めて困惑した顔をした。


「そ、そんな力でいいんですか?!!」


「え、な、なに?」


「あ、いえなんでもありません」


(この人よくわからないですね・・・)


よくわからない力を願った未華に困惑していた女性だったが咳払いをして笑顔に戻すと未華に手を差し伸べる。


「まぁいいでしょう、それでは新たなる世界で第二の人生に祝福があらんことを・・・」


そういって女性は光の玉となって消えると目も開けられないほどの閃光が未華を包み込み未華はしばらく目が開けられなかった。少ししてようやく目が開けられるようになりあたりを見回すと広大な草原にいた。


「あぁ~~~、これからどうしよう・・・・」


未華は草原に倒れこみこれからどうするかを考えるがいい案が一向に出てこなかった。天気が良く草原で寝転がっていると睡魔に襲われる、いつの間にか眠ってしまっていたのか辺りは薄暗くなり始めていて夕方になっていた。未華は目の前にある森に入ってみることにした、夜が近いこともあって薄暗い森は不気味な雰囲気があったが未華は気にせず森の中に足を踏み入れる。薄暗い森をただ淡々と歩いていくと木の小屋が見えた、未華はノックをしてみるが反応がなくそっと扉を開けると埃がたまっていることに気づいた。ある程度生活できるものが置いてあるだけで人がいた痕跡がないため未華はいろいろと物色することにした。しばらく小屋の中を見て回っているとテーブルに手紙があることに気づく。


「これは、なんだ?」


未華は手紙を開けて読んでみた


‘転移おめでとうございます!この世界は貴女にとって第二の人生とでも思ってください。貴女が望んだ力‘贈物のギフト’はきっと貴女を助けてくれるでしょう。貴女はこの世界で好きに生きてください貴女の生き方が幸せになることを願っています。天使長【ルベル・ベル・М(ミカエル)・アルフィシア】より。’


「・・・・貴女?なんで貴女?なんで‘方’のほうじゃないんだ?なんで‘貴女’?」


未華は手紙が二枚あることに気づくと二枚目にも目を通す。


‘この世界には魔物もいれば魔王もいますが別にほっといても大丈夫です。それと‘レーティ’と唱えると自分のステイタスがわかります、これは人に見られることはありませんが貴女が許可すると他人も見ることが可能です。それと貴女の他にも転移者が多数存在しているので理解しておくように、これでチュートリアルを終わります。’


「・・・・‘レーティ’」


未華は手を前に出し唱えると自分のステータスが映し出される。そこには‘名前’‘レベル’‘力’など様々なことが書かれていた。そして与えられた力は‘贈物のギフト’という欄に載っていた、未華に与えられた力の名は‘食事魔変換しょくじまへんかん’その詳細は‘自分の食べた栄養以外のを魔力に変換する’と書かれていた。未華は再びレーティと唱えてステータスを閉じる、小屋には食べ物と寝床があったので野宿することはなかった。

次の日、未華は水と食料を部屋にあったカバンに詰めるとちょっとした朝食をとり机に置いてあった地図をみた。地図には近くに街があることを示してあったのでその街に向かうことにした。道のりはさほど険しくなく約2時間ほど森を彷徨っていると森を抜けることができた。

森を抜けると街の門が見えると未華は地図を確認する。


(あそこが‘エルヴァイス’という街なのだろうか?)


未華が持っていた地図には地名や道が大雑把にしか書かれていなかった為未華は確証が持てなかったがそこに行くしかなかったので門の目の前まで来た。未華は街の門の前まで来るとどうしたらいいかわからなかった、大声で呼びかければいいのか何か開けるための手順や呪文的なものがいるのかと色々と考えたが五メートルはあるであろう巨大な門を前にお手上げ状態だった、未華はどうしようかと考えているとそ突然後ろから声をかけられる。


「よう!お前さんどうしたんだ?」


貧相な格好をした見知らぬ男に未華は声をかけられたが未華はそれを無視する。


「おいおい!無視はひどいんじゃぁ・・・」


男が未華の肩に手を乗せようとしたときその男は腕だけ残して姿を消した、未華は男が突然消えたことで周囲を警戒する。


(いったいなにが?!!)


未華は門を背に周囲を見渡すが特にこれといった変化は見られなかった。だが先ほど自分の居た位置には男の腕と血だまりができていた。


「おいおい、どうしたんだい?ひどい汗じゃないか?」


未華は突然の声に辺りをを見渡すが誰もいない、すると先ほどの腕から何かが現れる。

見た目は人に近く違いは角と羽が生えていて掌で収まるくらいの大きさだった。


「まったく、こんなところで魔力が切れるとは思わなかったぜ」


小さな小人は未華の目の前まで来ると名乗り始めた。


「おれっちは‘エンブリムス’っていう種族の‘エムス’ってんだよろしくな!」


エムスはそう言って未華の頭に乗る。


「え、いやあの・・・・・」


「ん?なんだよ嬢ちゃんもしかしてこの世界初めてか?」


「あ、まぁそうなんだ」


(・・・・・・嬢ちゃん?)


エムスの言葉に少し引っかかったが未華はエムスにこの世界について教えてもらおうと思いエムスをつまみ自分の掌に乗せる。


「う~ん、そうだなぁ~~まず嬢ちゃんは魔法使えるのかい?」


「・・・使えない」


「なら基礎魔法からだな~」


エムスは未華に森に行くように言うと門から離れてきた道を戻る。

しばらくして初めに自分がいた草原につく。


「いいかい嬢ちゃん・・・」


「その前に嬢ちゃんはやめてくれ、俺は二階堂未華だ。呼び方は未華でいい」


「おっと失礼、んじゃぁミカ!君に魔法を教えるよ」


エムスは自分の口に手を突っ込むと小さな卵を取り出した。エムスはその卵を未華に渡すと未華の目の前で卵が割れる、中身は無く殻の破片も塵になって消える。


「・・・・なにこれ?」


「こいつは面白いな、魔力が全くないとは・・・もしくは使い切ったのか?」


エムスは笑いながら未華の周りを飛び回る。


「きちんとした説明を求める」


「あぁ?えぇ~~~っと、その卵は所謂そいつの特性や素質を教えてくれる卵でな~。ほんとは持った者の半身を生成する為のもんなんだがそれには魔力がいるのさその生物は一般的には【フィフィル】と呼ばれているんだが・・・・」


未華は自分の掌を見るが生き物などいなかった。


「魔力が無かったりすると生まれずにただ割れるだけなんだよ~、まぁ素質とかにも左右されるから生まれないってことはほとんどあり得ないんだよ。確立としては0.1%くらいかな?」


「・・・・俺くじ運悪すぎない?」


未華は自分の才能のなさに少しだけがっかりするがまぁそんなもんだろうと割り切ることにした。


「まぁ気を落とすなよ、それよりフィフィルが生まれないんじゃ話にならねぇ。当面は魔力を体に宿すことだな」


「え?魔力って宿るのか?」


「あったりめぇだろう!まぁそれには‘エルフの里’に入らなきゃいけねぇがな」


「・・・・・めんどくさそうだな」


「まぁさっきの門がエルフの里の入り口だけどな」


「おぉい!!ここまでの道のり完全に無駄だろうが!!」


エムスは笑いながら言っているが未華にとっては無駄に歩いただけなので少しだけエムスに殺意を覚えたが頑張って耐える。

それから何時間たっただろう未華とエムスはまた門の前に来ていた。


「そういえば初めにあったときなんであんなわけわからん登場したんだ?」


「あ?あぁ~まぁそのうちわかるよ、っとそれより」


エムスは門の前に立ち大声で叫ぶ


「我が名は【エムス・Eエンブリムス・クアドライミ】!門を開けよ!!」


門は土煙をあげながら勢いよく沈んでいくと未華の目の前には綺麗で穏やかな街並みが現れた。


「さっ!行くぞミカ!」


エムスに言われるがまま未華はエムスについていくと一人の男の子が未華の前に走ってきた。


「あ、あの!これ!」


「?」


男の子はそう言って自分の髪につけていた髪飾りを未華の前に差し出した、未華はそれを取ろうとしたところでエムスが口を開く


「おっと‘クラムス’!悪いが‘それ’は駄目だぜ?」


エムスがそういうとクラムスと呼ばれた男の子は頬を膨らませて渋々髪飾りを自分の髪に着けてその場を後にした。


「おいミカ」


「?どうしたエムス?」


「これからあんな感じで色々来ると思うがフィフィルを手に入れるまでは全部無視しろよ?」


「?なんでだ?」


「エルフには昔からのしきたりで生まれたときに必ず髪飾りが与えられるんだ、それは自分の命の次に大切なもので婚姻の証みたいなものなんだよ。それを受け取っちまったらお前婚姻の契約を結ぶことになるからな、フフッほら周りを見てみろ」


そういわれた未華はあたりを見渡すと周りのエルフは次は自分が!と言わんばかりに未華を見ていた。


「因みに男は赤で女は青、契約完了した者は緑色の髪飾りだからな」


「ふ~ん、因みに今どこにっ向かってんの?」


「あの巨大な木が見えるな?あそこの近くにある屋敷だよ知り合いが住んでる」


未華から見た木は大きくてファンタジーなどでよく見かける世界樹のようにおおきかった。

門から歩くこと2時間いろんなエルフに婚姻を迫られたがすべて無視して世界樹の根元にある豪華な屋敷ついた。


「ようやくついた」


「・・・・・だな」


二人は屋敷の扉の前にいた。


「お~い!‘ネティアル’!!ちょっとここ開けて話を聞いてくれ!」


エムスがそういうと屋敷の扉は静かに開くと一人の女性が現れた。


「これはこれはエムス様、今回はどのようなご用件でしょうか?」


「よう‘ミリシィア’、ネティアルは?」


「お嬢様はお出かけです中でお待ちしますか?」


「そうさせてもらうかな?未華も遠慮するなよ?」


ミリシィアと呼ばれた女性は二人を招き入れると大広間に案内した。そこには暖炉にソファー、トラのような動物の敷物に大きなテーブルがあった。エムスと未華はテーブルに座るとミリシィアがお菓子と紅茶を二人の前に出すと二人はそれをゆっくりと飲みながらお菓子を食べる。

紅茶を飲みながらお菓子を食べる未華は気品が漂っていて上層貴族のようであった、本人はそんな気は一切ないのだが周りから見ると近寄りがたい雰囲気を出していた。そんな未華をじっくりと嘗め回すように見るミリシィアに気づいた未華はミスティアの目がとても怖く感じた。

未華たちが待つこと1時間後屋敷の扉が開き誰かが入ってくる。


「たっだいま~~~~!!!!」


「おかえりなさいませネティアル様、お客様がお見えです。」


「はぁ!きゃ~~く~~~?!!」


「大広間にてお待ちさせております故身支度ができましたらおいでになってください」


ネティアルと呼ばれた女性は渋々自分の部屋に入ると豪華な衣装を身にまとい身支度を済ませて大広間に行き、勢いよく扉を開ける。


「我が名は!【ネティアル・ルーミリシアン】である!よく来たな客人よ!」


扉を開けて盛大に名乗ったネティアルは自信満々な顔で未華たちを見た、エムスは笑いながら手を叩いていたが未華は若干引いていた。ネティアルは後ろにいたメイドに抱き着き泣き始めた。


「う~~~、なぜじゃぁ~~~~マティ~~~~!ワシ決まっとったよな?な?」


「大滑りでございますお嬢様」


マティと呼ばれたメイドも冷ややかな目でネティアルを見ていた。ネティアルは目に涙を浮かべたと思うと盛大に泣き出してしまった。


「うわ~~~~~ん」


ネティアルが泣き出してしまい未華はなんだか居心地が悪くなった。


「・・・おい、エムス!どうすんだこれ?」


「まぁネティアルは一度泣き出すと止まらないからな、少し様子を見ようぜ」


未華はエムスに耳打ちするとエムスは未華に待つように提案した、未華はそれを承諾すると二人はネティアルが泣き止むのをひたすら待つことにした。

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