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4-3

激戦が終了し、先輩はそれを編集部に叩きつけにいった。

これで事実上の解散、チーム有栖は安寧の日常に戻る事になる。

結局、シナリオライター問題は何も解決してない気がするが、今ある達成感の前にはどうでもよかった。

しかし、本日映研は思わぬ進展を迎える事になる。


放課後。

そろそろ部活に行こうかと思っていると、安藤が立っていた。

「…なんだよ」

俺が聞くと、安藤は原稿用紙を突き出した。

これは…まさか。

「お前…まさか書いてきたのか?」

「あーそうだよ!テメーどうせシナリオライターいなくて困ってんだろ?だったら俺がやってやるよ」

俺は、ガバッと安藤を抱きしめた。

「げ!何すんだ!?」

「心の友よ〜!」

意外な事に、安藤が再度加わる事になってくれたのだ。ようやく映画撮影の目処がたった。


安藤と一緒に部室へ向かう。なんだかこの道も久しぶりである。しかも安藤も一緒で照れくさい。

「お前…なんかきもいな…」

安藤は照れているんだな。

乳繰りあいながら部室に行くと、白百合が扉の前にいた。

扉から部室を覗きながら、なんだか入りづらそうにしている。

「よう白百合女史!」

俺が気さくに声かけると、彼女はバツ悪そうな顔をした。

「…あー…先輩の件、なかなか行けなくてごめんねー。いやー調子悪くてさー」

大丈夫だ!はじめから期待して無かったから。

「っていうか早く部室入れよ」

白百合はハッとする。

「そうそう!そんなことよりみてよ!」

白百合が頭をグイグイ引っ張ると部室の中が見えた。

ソファーに誰かが座っている。

3年生の校章にスカートから女子生徒と判断できる。行儀悪くソファーの上であぐらかいてる女子らしさの欠片もない女だが…。

「あんな人いたかしら?」

「見たことない人だな」

安藤と白百合はわからないようだが、俺はピンときた。あまりにもこざっぱりしてるから違和感あるが…。

「あれ有栖先輩だ…」

「え!?マジで!?」

2人が驚く。とりあえず部室に入る。

「何やってんすか先輩」

スマホをいじる手をとめ、俺に向き直った。この人ちゃんとすれば美人なのね…と今更気づく。

「市川先生にここのことを聞いたの、奉仕部OGとして見学に来ようかって」

「いや、あんたがいた頃は映研部室じゃなかったでしょ」

「いいのよ細かいことは」

先輩はあのあと、編集部に原稿を叩きつけにいったらしいが、編集長から激怒され、結果全ボツ。女子高生芥川賞の狙いは諦めざるをえなくなったらしい。

「当面執筆活動は取りやめだから、学校にきたってわけ。進路は決まってるけど、出席日数もやばいしね」

実にマイペースで先輩らしいと思った。

「私の知らないところでそんなことが…」

「あんたは途中でバックレたからね」

指摘されておほほと誤魔化す。

「ところでその人は?」

と安藤を指さす。

「今日から映研にカムバックした安藤邦彦、俺とタメ」

「はじめまして有栖先輩、噂はかねがね…」

安藤が挨拶をする。有栖先輩のことはちょっとした有名人らしい。

「多分悪評ね。それ多分全部本当よ…」

安藤の顔がひきつる。顔を背けると、俺にしか聞きえない声でつぶいやた。

(噂通りの人だ…)

なんとなく、その言葉でどんな評判かわかった気がする。

「つまり、私は4人目という事ね」

「え…?」

いっせいに驚く。

「今日から私がこの映研のシナリオライターとなる有栖花都、3年生よ。進路はもう決まってるから気にしなくていいわ」

全員が驚くなか、安藤が食いついた。

「ちょっと待ってください!シナリオは俺が書く事になったんですよ!?なぁ一哲!」

俺は安藤のシナリオと先輩のシナリオを天秤にかけた。

解答は一瞬で決まった。

「よろしくお願いします先輩!」

「こちらこそどうぞよろしく」

「おい!一哲てめえ!」

こうして、映研はメンバーが4人になった。

しかし、現時点で具体的にどんなものを撮るのかまったく決まっていなかった。

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