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38 vs自動兵器 そのいち

 盾に仕込まれた銃口を大きく揺らし、弾幕を張ってくるグリーズ。

 しかし、弾幕といっても適当にばら撒いているわけじゃない。俺たちの本体を狙いつつ、逃げ道を塞ぐようにもばら撒かれている。


「がああああ!」


「がふッ……!」


 一番最初に狙われたのは、グリーズから一番離れた位置にいた二人の騎士。次に俺とポーラ、アレスと次々と銃弾が飛んでくる。


「きゃああああ!」


 俺はポーラを背中に庇い、ポーラへの直撃コースを取った銃弾を硬鞭と自分の体で時に弾き、時に受け止める。


 銃弾を処理しながら最初に狙われた二人をちらりと見やる。二人とも仰向けに吹き飛んでおり、全身に複数の銃弾を食らって鎧に何箇所か穴が開いていた。


 二人のうちの一人はピクリとも動かないので、もう死んでいるみたいだ。

 もう一人は痛みにもがいているが……まあ胸に何個か風穴空いてるし、時間の問題だろうな。


 ……まったく、開幕でこれとかちょっと情けなさ過ぎるぞ。どうせならもっーちょっと役立ってから死んでくれればいいのに。


 それにしても流石はグリーズ、狙いは正確だし容赦がない。それに加えポーラを狙えば俺が庇うということを速攻で学習したらしく、俺を無視して上手くポーラを狙ってくる。


 ええい、おかげで服がどんどんボロボロに……! っていうかアレスは何やってるんだ! 飛び道具の処理頼んだのに!


「くっそぉ……!」


「ひえええええ! 怖い! でも凄い! でもやっぱ怖い!」


 飛び道具の処理を頼んだはずのアレスは地面に剣を突き刺し、アーノルドとヘンリーたちを庇うように魔力で障壁を張っていた。


 グリーズの銃撃を受け、ヘンリーは器用にも怖がって悲鳴を上げながらも喜んでいる様子。

 なんかあいつはほっといてもいいような気がしてきた。いやまあ、元から見捨てるつもりだったけどさあ。


 ていうかアレス、障壁張れたのかよ! ああもう失敗したなあ! 知ってりゃ初めからポーラ抱えてアレスのそばに走ってたのに!


 こんなことになるのなら「そのうち二人っきりの時にでも見せて貰えばいいや」とか考えずに、さっさとアレスの実力を見せてもらうべきだったな。

 面倒なことはとりあえず後回しにするのは俺の悪い癖だ、直さないとなあ。

 いや、反省は後でしよう。とりあえず今はグリーズをなんとかしないと。


 しかし、動こうにもポーラ庇ってる現状じゃ動けないし、どうしたもんか。遠距離攻撃で機銃を破壊しようにも盾が邪魔でそれは無理だし。

 ポーラ狙いの銃弾を弾きながら、自分が次にどう動くべきかを考えるが、いい案が浮かんでこない。


 ……まあいい。グリーズの弾も無限じゃないんだ。

 このまま弾切れになるまで耐えれば俺が自由に動けるようになって、それで終わりだ。


 もしくはグリーズが射線をこちらから外し、アレスたちへ集中しだしたら……いや、それはポーラに何があるかわからないからやめておこう。

 俺の本気のスピードならいけるとは思うけど、それでも万が一という可能性があるんだ。念には念を入れておいて損はあるまい。


 ……まあ、あいにくとグリーズのやつに俺を射線から外す気はなさそうなんだけどさ。

 ああ、最初にアーノルドたちを庇ったのはミスだったな。おかげで警戒されまくっててやりにくいったらありゃしない。

 ふふっ、これじゃ俺もアレスの事を悪く言えないな。


「どうしようね、これ」


 八方ふさがりな現状につい愚痴を漏らしてしまうが、銃弾を弾く音に紛れて誰にも聞かれることはなかった。


 それにしてもアイツ、ロケットランチャー使う素振りをまったく見せねえな。爆発で洞窟が崩れるとかそういうの気にしてるのかね? まあ、こっちにとってはありがたいんだけどさ。


 とりあえずポーラ一人なら割と余裕を持って庇えるし、このまま耐えて弾切れを狙いつつ、背中のロケットランチャーを構えるようなら何か適当な遠距離攻撃でもして破壊すると。


 とりあえずこの作戦で行くか。問題はアレスがどこまで耐えてくれるかってことだが……。


 障壁を張って銃撃を耐えているアレスへと目を向けると、そこにはしかめっ面をし、ひび割れた障壁越しにグリーズを睨んでいるアレスの姿があった。


 なんか障壁にヒビ入ってるんですけど。めっちゃヤバげなんですけど! やっべえマジどうしよう! アレスってばピンチっぽいんですけど!


 いや、落ち着け。落ち着くんだ俺。障壁が割れるにはまだ時間がちょっとあるから、さっさと対処法を考えるんだ。


 ええと、まず俺はポーラ守らなきゃいけないからここ動けないだろ。そしてアレスもアーノルドたちを守らなきゃいけないから動けない。

 そしてポーラもアーノルドたちも自力じゃ弾幕に対処不能だから……。


 くそぅ、駄目だ、思いつかん。俺一人なら本当に余裕なんだが、ポーラを庇っているので下手に動けないのがキツい。グリーズも俺を動かさないようにしつこくポーラ狙ってるし、マジどうしよう。


 頭を回転させるもなかなかいい案が思いつかずに困っていた俺だったが、ふと一つの案がひらめいた。


 あ、そうだ。念のため切っておいた識別信号をもう一度ONにしてやればいいんじゃないかね? そうすりゃグリーズは俺が味方だと判断して、俺とポーラに向けての銃撃は止むはずだ。


 ただ、問題は俺の発信する識別信号が通るかどうかだな。俺は封印された存在な訳だし、もしかしたら俺の識別信号が通らない可能性もある。というか通らない可能性のほうが大きいと思う。


 仮に信号が通っても、その場合はグリーズが急に俺を狙わなくなるという不自然な行動を取るので変な目で見られかねない危険性もあるが……まあ、もしバレちゃったらその場合はアレスとポーラ以外のメンバーを皆殺しにしちゃえばいいだけの話だし別にいいか。


 とりあえず試してみる価値はあるだろう。識別信号をONにするだけだからすぐできるし、うまくいってポーラを庇う必要がなくなりゃこっちのもんだ。よし、やってみよう!


 俺が作戦を固め、いざ実行しようとした瞬間。俺の目の前に薄い青色の障壁が張られた。グリーズの銃弾が障壁に当たり、次々に弾かれる。

 これはまさか、ポーラが……?


「ごめんティア、庇ってくれてありがとうね。おかげで落ち着いたわ」


 ポーラが落ち着いた声で俺へと語りかけてくる。

 その手に握る杖の先端にある結晶が青く輝いていることから察するに、この障壁はポーラが張ったものらしい。


 おいおいマジかよ、ポーラまでグリーズの銃撃を弾ける障壁張れるのかよ。仮にもガルムの主力兵器の攻撃だぞ?


 ……いや、よく見ると障壁に徐々にヒビが入ってきている。やはり完全に防ぐのは無理そうだ。

 でも、ヒビの入り具合を見るに、これならかなり長時間は持つはず! ポーラの補助はすげえな!


 ていうか、本当に事前に知っておきたかったな。アレスとポーラが二人ともグリーズの銃撃を弾ける障壁が張れるって事を事前に知ってりゃこんな苦戦することなかったのに。

 ……いや、未来で戦ったかもしれないアレスはともかく、少なくともポーラに関しては実際に試してみるまで防げる保障なんてないし無理か。


 まあいい、とりあえずこれで道は開けた! ポーラの安全さえ確保されりゃこっちのもんよ!


「ポーラ、ナイス! これで動ける!」


 ポーラへ礼を言うと同時、俺は大きく右へ跳び、障壁を迂回してグリーズへ向けて一気に駆ける。

 よくも今まで好き勝手やってくれたな! 今度はこっちのターンだ。スクラップにしてやるよ!


 これまで散々銃撃を弾いていた俺の姿を見ていたグリーズは接近する俺を見て一度銃撃を止め、盾を体の前に構えて防御体勢を取る。

 それと同時に右手の剣を高く持ち上げ、俺目掛けて一気に振り下ろしてきた。


「くっ!」


 俺は急ブレーキをかけると同時に硬鞭を頭の上に構え、グリーズの上段斬りを受け止める。

 くぅ……! 流石というべきか、かなりの衝撃だ。

 ていうか、やっぱ頑丈だなあの剣。なんとなく刃こぼれ狙えるかなーと思って受け止めてみたんだが、全く刃が欠けていない。


「アレスッ!」


 攻撃を受け止めると同時にアレスの名を叫ぶ。

 グリーズの銃撃は止んだ、つまりお荷物を守る必要は無くなったわけだ。やってやれ!


「ハアアアア!」


 赤い光を全身に纏ったアレスが叫びながら猛スピードで突っ込んできたかと思うと、その勢いのままグリーズの右足めがけ上段斬りを放った。


「グッ! 流石に硬いね!」


 アレスの悔しそうな声が聞こえる。どうやら有効打を与えることはできなかったらしい。

 しかし、そのアレスの一撃を受けたことでグリーズの体勢が崩れ、俺に振り下ろしていた剣にかかる力が弱まる。


「ナイス!」


 俺はアレスへの感謝の言葉を口にし、軽く後ろに跳んでその場を離脱する。


「ティア! トドメを!」


 そして、俺が離脱するのと同時にアレスがグリーズの右足を左手で殴りつけ、その体勢を大きく崩させた。

 グリーズはなんとか転倒するのだけは避したようだが、地面に片膝をつき頭を垂れるその姿は隙だらけだ。


 うおお、ナイスアシスト! もうアレスってば最高! 愛してる!


 俺は地面に着地すると同時に、すかさず前方へと勢いよく踏み込んで硬鞭を袈裟懸けに振り下ろして体勢を崩したグリーズの頭部を叩き潰そうとする。

 こいつでフィニッシュだ! ティアちゃん大勝利ぃ!


 硬鞭がグリーズの頭部に直撃し、装甲が軽く凹んだかと思った瞬間――。


「げっ!?」


 その衝撃に耐え切れなかったのだろう。俺の握る硬鞭が中ほどからへし折れ、折れた先端があらぬ方向へ飛んでいく。

 あらやだ、酷使しすぎちゃった系!? ていうかこれってピンチじゃない!?

うおお、何とか日付越えるまでには間に合った!

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