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37 追加注文

「ねえねえアレス、この先にある遺跡ってガルム関係ある?」


 遺跡目指して進行中の俺たちだったが、ふとその遺跡について気になったので、隣を歩くアレスのそばにより、こっそりと小声で聞いてみる。

 アレスが何も言わなかったからガルムは関係ないとは思うけど、なんだかんだで気になってきたのだ。


「いや、それがわからないんだ」


 俺の質問に対し、少し困ったように眉をひそめながらアレスが答える。

 どういうことだろう。アレスはこの依頼を受けたんじゃなかったの?


「どゆこと?」


 首をかしげながらアレスへ詳しい事情を聞いてみると、どうやら未来のアレスは土竜を倒したはいいものの、その戦闘の余波で遺跡への道が崩れてしまったらしい。それでこの遺跡について詳しいことは知らないのだとか。


 …………これは、もしかするとワンチャンあるか? アレスの話を聞く限りだと、レヴィアの封印場所は最後まで不明だったらしいし……。うん、少しは期待してもよさそうだ。しちゃっていいよね?


「……ティアには悪いけど、あまり期待しない方がいいと思うよ? 僕がここの遺跡について詳しく知らないってだけで、ここの遺跡に関しては後日改めて調査が入ったらしいし」


 期待感から少し浮かれている俺に対し、アレスが申し訳なさそうな表情をしながら追加の情報をくれた。

 ……まあ、人生そんなに甘くはないよね。ていうか、いくらなんでも俺のすぐそばに封印されるわけはないか。はぁ。


 落ち込む俺の肩をアレスがぽんぽんと叩いて慰めてくれる。

 おい馬鹿、急に優しくするなよ。俺ってばそういうのに弱いんだからさ。ちょっと涙が出てきちゃうじゃないか。






「……うわぁ、なんかいかにもボス戦って感じ」


 そのままときおり飛び出してくる魔物を退治しながら少し歩くと、洞窟がドーム状になっている大広間のような場所に出た。RPGだったら間違いなくボスが待ち構えていそうな場所だ。

 どうせだったらさっきの土竜とはここで戦いたかったかも。


「うーん、確かになんか出てきそうな雰囲気ねー。でもアタシの魔法には反応ないし、何か出てくる前にさっさと行っちゃいましょ」


 探知範囲を広げたのか、それとも精度を上げたのか。ポーラが杖を高く掲げながら、そう口を開いた。


 なーんだ、何もいないのか。残念。未来のアレスと戦ったとかいう、普通サイズの土竜が出てくるのかとちょっと期待してたんだけどな。


 ……まあ、さっきの変わった土竜の後に普通の土竜と戦ってもつまらないか。


「目的地の遺跡はもうすぐだ! 遺跡に到着したら安全確保後に休憩時間を取るからそれまで気張れよ!」


 アーノルドがこちらへと振り返りながら声を上げる。遺跡がガルムのものだったら防衛機構とかあるし逆に危ないような気もするが、危険なのは魔物がいつ飛び出してくるかわからないここも一緒か。

 まあ、一度遺跡についてからより安全そうな方を選ぶってしたほうがよさそうだな。


「へへっ、歩きっぱなしで地味に疲れてきたからありがてえぜ」


「ロクに戦ってねえクセに寝言ほざいてんじゃねーよ。土竜倒した上に元気に歩いてるティアちゃん見習えよ」


「あの土竜を一人で倒したんだろ? あの娘まじやべえよな。あんな可愛いのに。アレス様の女じゃなきゃ声かけてたんだけどな……。あーあ、俺もあんな可愛い彼女欲しいなあ」


 アーノルドの台詞を聞いて気が抜けたのか、それまで黙って俺たちの後ろを歩いていた二人の騎士がボソボソと雑談を開始しだした。

 ふふふ、まだ任務中だってのに気を抜くのはいただけないな。でも俺を可愛いと褒めてくれたので今回は見逃してやろうじゃないか。


 でもちょっと、そのだな。俺がアレスのその、女だとかさ、ちょっと恥ずかしい事は言わないでくれるかな!?

 別にまだ俺とアレスはそういう関係じゃないしね!


 ああ、突っ込みたい。振り返ってそこらへんを激しく突っ込みたいんだが、それをすると人の会話を盗み聞きしてわざわざ突っ込みいれに来る嫌な奴みたいになりそうだし言えない……。ぐぬぬ。


 周囲を警戒しつつ大広間の中央辺りに差し掛かったとき、俺の目が洞窟奥側にある広間の出口で動くものを捉えた。

 あれは……まさか。いや、あの姿を俺が見間違えるはずがない。ちょっと待て、これは不味い!


「向こうから敵が来る! 逃げて!」


 俺が叫ぶと同時、洞窟の奥からそいつがこちらへ向かってガシャガシャと大きな足音を鳴らしながら猛スピードで駆けてきた。

 人間の三倍はあろうかという巨大な体躯に、丸っこいデザインをした白銀の全身鎧を纏ったその姿。見間違えるはずがない、あれは――。


「なああ!?」


「チッ」


 急な敵襲に驚き、動けないアーノルドたちに舌打ちをする。

 驚いてないでさっさと逃げろ! あいつはさっきの土竜なんかよりもっと厄介だってのに!


 奴がその体躯に見合う巨大な剣を構えながらこちらへ向かって飛び掛ってくるので、こちらも剣を抜き、戦闘モードを起動しながら前方へ向かって飛び出す。


 狙われていたアーノルドを左手で横に突き飛ばし、ジャンプしながら放たれた奴の上段斬りに合わせるように右手の剣で斬り上げを放ち、その一撃を相殺する。


「わあああああ!?」


「ひいいい!」


 剣と剣がぶつかり合う甲高い音が洞窟に響き渡り、その衝撃でアーノルドの両隣を固めていた騎士たちが悲鳴を上げながら後ずさる。


「アレス、武器!」


「わ、わかった!」


 こいつ相手には剣よりも硬鞭の方が効くので、預けていた武器を渡してもらおうとアレスへ叫ぶ。


 急いでいたのでかなり適当な叫びになってしまったが、アレスは一発で理解してくれたようだ。素早く腰に下げていた袋を広げ、その中に手を突っ込んで預けていた硬鞭を引っ張り出す。


「ありがと」


 横入りした俺に一撃を防がれた奴が軽くバックステップをし距離を取り、その首を軽く動かしながら俺たち全員を観察してくる。

 俺はその隙に駆け寄ってきたアレスから硬鞭を受け取り、剣を軽くチェックして無事かを確認した後に素早く鞘に仕舞い込む。


「ティア! あれは何!?」


 ポーラが慌てた様子で俺へと質問を飛ばしてきたので、俺は相手を警戒しつつ片手で硬鞭を構えながらそれに答える。

 おっと、識別信号切っとかないとな。この状況で俺一人狙われないのは不自然だし。


「ガルム帝国の無人兵器だよ。昔、文献で読んだことがある。名前は確か……グリーズだったかな」


 文献云々は嘘だ。知ってるどころか実際に肩を並べて戦ってました、はい。


 信頼と安心のガルム製対魔法装甲に身を包んだ頼れる前衛で、前衛として以外にも特攻という名の体を張った罠解除に仲間の肉壁、新しい武器の試し撃ち相手といっぱいお世話になりました。


「これがグリーズですか! ガルム帝国の主力ゴーレ……じゃなくて、無人兵器ですね! いやあ、まさかこうして動いている姿を見られるとは!」


 ヘンリーが嬉しそうに追加の説明をする。命を狙われてるってのにずいぶんと余裕なことで。

 はしゃぐヘンリーに軽く呆れながら、グリーズについての情報を思い出す。


 グリーズの戦闘能力は無人兵器の中ではかなり高い方で、ヘンリーさんの言った通りエースを名乗れる程度には強い。俺ほどじゃないけどかなり強い。

 巨体というだけあって、パワーだけなら相当のものだ。この俺に匹敵するぐらいあるし。


 メイン武装は右手の剣と左腕の楕円形の盾、そして盾に仕込まれた機銃。それに加えオプションとして背中にその他もろもろいろんな武器やら装置やらを背負って戦場を駆ける万能ナイトである。


 ちなみに目の前の固体はロケットランチャーと思わしきデカい筒を背負っていたり。お前よりにもよってそれ背負ってくるとか鬼畜にも程があるだろ。マジやばいんですけど。


 何がやばいかって俺はともかくポーラがやばい。近くで庇っても爆発やら衝撃波で大ダメージ受けちゃうから、発射直後に潰すか撃たせないようにしなきゃ。


「ガルムの兵器だと……! 強さはどのぐらいかわかるか!? 勝てるのか!?」


 俺に突き飛ばされたアーノルドが起き上がりながらグリーズの能力について必死に聞いてくる。

 まあそうだな、俺なら勝てる。多分アレスでも本気出せば勝てる……と思う。


 まあ、ただ壊すだけなら普通にいけるんだけど、今回は守りながらの戦いだからねえ。正直けっこう厳しい。


「おおお、それにしてもなんと美しい! まさかこの目で実際に動いているところを見られるとは!」


 グリーズの姿にヘンリーさんはえらく感動した様子だ。だから命の危機だっての本当にわかってるのかねこいつは。


 まあ、そうやってガルムを讃えられるのはあまり悪い気はしないし、余裕があれば庇ってあげたいんだが……今回はポーラ最優先だから守ってやれそうにないわ。すまんね。


 だってアイツ本気で強いからなあ。搭載されてる人工知能もかなり優秀だし。

 さっきの一撃で俺の脅威度は計られちゃっただろうから、次からは俺は無視して一人でも多く殺すように動いてくるのは間違いない。


 というかもう動いてるし。なんか盾をこっちに向けてきてるし。

 すまんな、一般騎士諸君。俺はポーラを傷一つなく守り抜かないといかんから、お前らまでは守ってやれないんだ。


「アレス、私はポーラを守るからアイツが弾切れになるまで動けない。悪いけど、飛び道具の処理を頼めるかな?」


 アーノルドの質問を無視し、ポーラを背中に庇いつつ硬鞭を構える。


 ……さて、頑張って防がないとな。何の弾頭を使っているかは解らないけど、帝都に配置されている奴ではないんだし、まさかゴム弾ということはあるまい。一発でも当たればポーラは即死だと思っていいだろう。


「くっ! みんな、バラバラに逃げろ! 飛び道具だ! ……はあぁ!」


 アレスもこの騎士たち全員を守るのは無理だとはわかっているのだろう。悔しそうな表情をしながら騎士たちへ叫び……そして、叫び声とともに赤いオーラを纏った。


 へえ、これがアレスの本気か! 射撃武器さえ壊してくれればこっちのもんだ、頼んだぞ!


「こ、これは……!」


 アレスの指示に従い逃げ出そうとしていた騎士たちが、赤いオーラを纏ったアレスを見て動きを止めた。

 なんだかすっごく驚いた表情をしている。アレスの家に伝わる奥義だとは聞いていたけど、そんなに凄いのか、あれ。


「イ、イリアス……!」


 望遠とした表情で騎士の一人が呟く。へえ、あれはそんな名前なんだ。

 まあ驚くのはいいけどさ……動き止めたら確実に死んじゃうよ? いいの? できればお前達にはポーラのデコイとして長持ちしてもらいたかったんだけど。


「何をしている! 逃げろ!」


 動きを止めた騎士たちへアレスが叫び、それを受けて騎士たちが動こうとした瞬間。グリーズの構えた盾、その裏側に仕込まれた機銃が火を噴いた。

二週目にボスが追加されるのはお約束

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