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高鳴り
月を見ながら
クルマを走らす
開けたガラスに入る風
未だ冷たく
春の名残を引き摺って
五月夜空は
朧気で
曖昧な夜空が降り注ぐ
落ち着かない
可笑しな気持ちが
湧き始め
夜空をチラ見し
アクセルを踏む
埃まみれ風吹けば
クルマを目がけ
投げつけて
吹き抜ける音
鳴りやまず
風に遊ばれ
風に笑われ
風に哀れまれ
高鳴る
何故だろうか
高鳴る
明日の俺の
異様な高揚
夜空に
夜風に
朧気に
埃に
明日が高鳴る
何気な一日
何気な今日
それを笑う
高鳴りに
クルマ飛ばして
巣を目指す
今は落ち着け
俺は高鳴りを消す