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背中
いつからだろうか?
知ってはいた
知ってはいたが
小さくなった
「なんだ?」
父の言葉に
首をふる
呆れ顔にて
首をふる
背中が小さい
そんな父を
呆れ顔にて
心を読ませず
読みたくない
父の想いを
知りたくない
父は丸く小さく
椅子に座って
テレビを見ている
ただ見ているだけ
なのにどこか
やるせない
背中の語る
がんばれよ!
無言のエールが
何故かもどかしい
何故だか
懺悔する
理由はない
理由はないが
父の背中に
胸が詰まる
詰まる理由は……
わからない……ことにしてくれ