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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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閑話:お試し探索

いよいよ99話です。

本当にありがとうございます。

 初級迷宮を踏破して3日。タイチと里へ戻ることになったのであと20日ほどは余裕があるニャ。まあルージュの速さならもっと早く着けるとは思うが不測の事態があるかもしれないニャ。しかしぽっかりと時間が空いてしまったニャ。何をしようかニャ。


「タイチは手紙が来るまでの間、何か予定があるのかニャ?」

「いや、特にはないな。魔板を補充するためにスライム狩りには1日は行く予定だけど。」

(僕も特に思いつかないなー。)


 タイチ達も予定なしかニャ。それならちょっとお試ししてみようかニャ。


「じゃあ一度中級迷宮に行ってみないかニャ。初級迷宮とはだいぶ違うらしいニャ。」


 私も話には聞いているが実際に入るのは初めてニャ。今後も冒険者として成長していくためには迷宮に入ることは欠かせないニャ。魔物との戦闘にしても宝箱などにしてもニャ。


(いいね。行こうよ。)

「いやいや、情報収集もせずに行くのは無謀だよ。せめて1日くらいは情報を集めたい。」


 相変わらずタイチは慎重だニャ。それがいいところだとは思うが、強いんだからもう少し自信を持ってもいいと思うニャ。


「大丈夫ニャ。私が集めた情報では魔物の強さは初級迷宮とあまり変わらないニャ。罠もそこまでではないという話ニャ。」

「本格的に探索するわけではないんだよね。」

「そんなわけないニャ。」

「じゃあ、だらだらしても仕方ないから行こうか。」

(おー!!)


 3人で中級迷宮へ向かう。近づくにつれて初級迷宮との違いが明らかになっていく。


「こっちは屋台とか出ていないんだね。」

「まあ初級迷宮とは入る人数が違うニャ。それにここに入るのはある程度の実力者ばかりニャ。事前準備を怠るような奴はあんまりいないニャ。」

(あー、確かにそうかもね。)


 逆に言えば必要なものがあれば店まで買いに行かなければならないということニャ。まあそんな冒険者は本当に・・・。


「あっ、やべえ。マジックバッグ宿に忘れてきた。」

「お前馬鹿かよ。素手で探索するつもりか?」

「わりぃ。ちょっと宿に戻るわ。」

「おう、入り口で待ってるから早く来いよ。」


 同じ方向へ進んでいた冒険者の1人が横を通り過ぎ走り去っていく。


「・・・」

「・・・」


 気まずい沈黙が流れる。ちょっとあの冒険者を叩きのめしてこようかニャ。縮地を使えば気づかれないかもしれないニャ。ベルトから鞘を外そうとしたところでタイチに止められる。


「ヒナ、その鞘を戻そうか?」

「どうしたニャ、タイチ。何のことかわからないニャ。」

「そう言いながら力を入れない。まあ人それぞれってことだね。」

「そうだニャ。」


 タイミングが悪いニャ。

 初級迷宮のように順番待ちをすることなく迷宮に入る。階段を下り、1階層についたところで見えた光景に私もタイチも唖然とする。やはり情報として知っていてもびっくりするニャ。


「なんで太陽があるんだ?」

(というか外に飛ばされたんじゃない?)

「いや、罠が発動したような気配はなかったはずだ。」

(でも見た感じ原っぱだし、遠くに森もあるし迷宮の中とは思えないよ。)


 事前に情報を知っていたのですぐに理解できたが、確かにこの光景は外に飛ばされたかと思うかもしれないニャ。


「いや、ここが中級迷宮の1階層ニャ。」

(どういうこと?)

「そういう迷宮ってことニャ。ちなみに10階層ごとに気候が変わるらしいニャ。」

「どういうことだ。地下に太陽を作る。魔術式による疑似的なものか?でも・・・」


 あぁー、タイチがまた思考モードに入ったニャ。たぶん本人は気が付いていないと思うけどよく聞くと小さい声でぶつぶつ思っていることをしゃべっているニャ。

 こうなるとタイチはしばらく戻ってこないからルージュと話でもしていようかニャ。


「どうニャ。びっくりしたかニャ。」

(うん、びっくりした。でも初級迷宮よりも面白そうだね。)

「そうだニャ。でも気候が変わるから装備を変えたり準備が大変らしいニャ。初級迷宮みたいに魔物の種類も限定されていないらしいニャ。」

(へー、じゃあマジックバックは必須だね。)

「そうだニャ。あとこの迷宮から採取の依頼も増えるニャ。この迷宮でしか取れない果物や薬に使う各種薬草などが生えているらしいニャ。」

(本当に普通の森とかみたいなんだね。)

「まあ、そういうことニャ。そろそろかニャ。」


 タイチがあごに当てていた手を放したからそろそろ話しかけても大丈夫ニャ。


「よし、とりあえず探索してみよう。最初は慎重に進むよ。」

「わかったニャ。じゃあ先導は任せるニャ。」

(はーい。)


 タイチがルージュを引きながら進み始める。上る階段は遠くからでも見つけられるので帰りは楽そうだニャ。


「それでまずはどっちに行くニャ。」

「とりあえずは東方向かな。端から順番に埋めていこう。マップもLvが上がったから範囲も広がったし。」

「ますます便利になるニャ。」

「だから家電みたいに・・・、まあいいや。」


 カデンって何だろうニャ?





「うーん、弱いね。」

「そうだニャ。まあ街の外にいるスライムやフィールドウルフとほとんど同じくらいの強さニャ。」

「これなら階層を制限して、初級迷宮をクリアしていない冒険者を入れてもいいような気がするけどね。」

「まあ調子に乗って潜りすぎて死ぬ冒険者が多くて禁止されたらしいニャ。」

(へー、そんな理由があったんだ。)


 まあミアおばさんの受け売りニャ。そんな昔のことを知っているのは年のいった人だけニャ。口には出せないけどニャ。


「おー!!」

「何ニャ?」


 タイチが急に立ち止まり声を上げたので何事かと思ったら、地面に生えた草の葉や茎を観察している。この辺りにたくさん生えているごく普通の草だ。


「毒草にしびれ草、睡眠草まである。ヒナ、悪いけどしばらくこの森で採取してもいい?」

「別にいいけど何に使うニャ?」

「ダートに塗るのもあるけど、耐性系のスキルを上げるためにアンさんから定期的に食べるように言われてるんだ。最近ダート用に使いすぎて在庫が少なくなってたんだよね。」

「そうかニャ。自由にしていいニャ。」


 すごく嬉しそうな顔をしながら毒草とかを採取しているけど、言っていることがやばいニャ。タイチの師匠もなかなかの人物ニャ。


「あっ、そうだ。ちょっと待ってね。」

「何ニャ。」


 タイチがマジックバッグからひし形の網目になっているロープの塊を取り出し木に結わえていく。しばらくするとハンモックが出来上がった。


「ヒナはやることがなければこれで寝てていいよ。索敵はルージュがしてくれるし。」

「そうかニャ。それじゃあ私は寝るニャ。ルージュ頼むニャ。」

(まかされたー。)


 バランスを取りながらハンモックに寝転がり目を閉じる。さわやかな風が吹きそれに合わせてハンモックがゆらゆらと揺れる。木に遮られ眩しくもなく、タイチが毒草などを採取するざくざくという音だけが規則的に響く。

 絶好のお昼寝スポットニャ。これなら・・・。


「・・・きて、・・ナ、ヒナ、そろそろ起きて。」

「うんっ・・、おはようニャ。」

(おはよー。)

「おはよう、とは言ってももう昼だけどね。そろそろご飯にしよう。」


 よく見ると少し離れたところにスープが作ってあり、マタリの弁当も用意されている。


「ありがとうニャ。」

「どういたしまして。こっちこそありがとう。かなり在庫が補充できたよ。」

(うん、タイチが通った後はぺんぺん草も残っていない。)

「何ニャ、ぺんぺん草って。なにかの薬草かニャ?」

「あー、まあ気にしなくていいよ。」


 ちょっと気になるが、まあ今は昼御飯ニャ。スープが冷めないうちにいただくニャ。


 昼を食べて午後からも1階層を探索し続け、階段も発見したが初級迷宮よりも広く探索に時間がかかりそうニャ。魔物の強さも確認できたしいい探索だったニャ。



 さて、明日にでも自分用のハンモックを買いに行くニャ。

地の文にニャをつけるか迷って最初は無しにしたんですが気に食わなかったのでつけてしまいました。

ニャ多めです。

読んでくださってありがとうございます

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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