ヒナからの手がかり
50000PV達成記念で本日二話目です。
ご注意下さい。
初級迷宮のゴブリン種異常繁殖事件
1年前頃、初級迷宮の16階層においてゴブリン種の異常繁殖が発生する。ゴブリンナイト、ゴブリンメイジを中心とする1000匹以上の魔物が発生したと思われる。規律の取れた行動をしていたとの情報があるためジェネラル以上の上位種が存在していたと思われるが討伐などの情報は無い。一般の迷宮の魔物が階層を越えて移動しないのに比べ、この異常発生したゴブリンたちは階層を移動。浅い階層を探索していた冒険者などに被害が拡大する。
発生翌日、報告を受けたギルドの緊急依頼によって4級以上のパーティ6組による共同の殲滅作戦を実行。約1か月をかけ迷宮の安全を確認。規制を解除し一般の冒険者による探索を再開する。
冒険者の死者46名、負傷者数不明、行方不明者60名の過去に類を見ない大惨事となった。またこの死者数についてはギルドカードが回収された数であり、行方不明者の大半は冒険者に同行した一般人である。
「とまあこれが一般的に知られている事件の概要ニャ。」
「なるほど。」
打ち上げの翌日、約束通り1年前の事件についてヒナから話を聞くことにした。あまり他の人に聞かれるのはまずいので私の部屋で話している。
「で、ここからが私が実際に体験した話ニャ。」
ヒナが机の上のお茶を一口飲んでから続ける。
「その日はパーティの仲間と共に25階層まで探索した翌日で地上へ帰る途中だったニャ。15階層への階段を上ろうとした時に背後からゴブリンナイトの群れが襲ってきたニャ。倒しても倒しても波のように押し寄せてきて、ついにはパーティの仲間も怪我をしてしまってもう殺されると思ったニャ。」
(どうやって切り抜けたの?)
「切り抜けたと言うよりは助けてもらったニャ。もう駄目かと思った時にちょうど合流した3人の冒険者がしんがりを務めてくれたニャ。高そうな服を着たけが人を1人連れていて実質戦っていたのは2人だけだったけど死体の山を築いていたニャ。」
「へえ、どんな人だった?」
「丸坊主の剣士と長身の槍使いニャ。女の冒険者は杖を持っていたから魔法使いかヒーラーだと思うニャ。」
(タイチ!!)
「そうだな。」
おそらくジンさん達だろう。丸坊主にした冒険者なんていままでジンさん以外には見たことが無いし他の2人の特徴も一致している。連れていたけが人はおそらく護衛対象の貴族だろう。
「知り合いなのかニャ?」
「ああ、命の恩人の冒険者だと思う。」
「そうかニャ。私も脱出した後、その冒険者達を探したんだけど見つからなかったニャ。今も行方不明のはずニャ。貴族も行方不明になって大々的に捜索も行われたけどその3人らしきギルドカードは見つかっていないニャ。あの3人がゴブリンナイトに殺されるとは思えないから、混乱に紛れてしまっただけだとは思っているニャ。」
ヒナに生きていることを教えてあげたいと思うが、巻き込むわけにもいかない。ヒナは里に帰るらしいしこれから先は危険が付きまとう。
「まあそんな感じで助けられてなんとか仲間と一緒に迷宮を脱出できたニャ。ただその時の怪我が原因でパーティの仲間が・・・。」
(ひょっとして死んじゃったの?)
「違うニャ。冒険者をやめて結婚することになったニャ。その2人はもともと両想いだったからいい機会になったみたいニャ。今は港湾都市で暮らしているはずニャ。」
「それでヒナは1人になったんだ。」
「そうニャ。それ以降はタイチも知っての通り、1人でLv上げをしながら迷宮探索をしていたニャ。」
(なんか大変だったんだねー。)
「ありがとう、ヒナ。参考になったよ。」
「どういたしましてニャ。」
空になっていたヒナのコップにお茶を注ぐ。ヒナは香りを楽しんだ後、冷ましながら少しずつ口に含んでいった。匂いが好きで買った紅茶だから気に入ってもらえると嬉しい。それなりの値段もしたし。
ヒナの話からジンさん達がその騒動に巻き込まれたのは確実になった。しかも怪我をしていた貴族らしき人を連れていたことを考えるとなにがしかの理由でその貴族をかくまっている可能性が高い。予想はしていたけれど貴族が相手か。厄介だな。
そしてもう1つわかった厄介なことが、ヒナが探したのにジンさん達の足取りがわからないということだ。決してヒナの情報収集能力は低いわけではない。私よりも長い期間この街に住んでいるし、しかも事件の直後に探している。それでも見つからないと言う事は、今更情報を探ったとしても新しい情報は出ない可能性が非常に高い。
手がかりと言えばその巻き込まれる原因となっただろう貴族を調べるしかないが、貴族をむやみに探れば目立つし手痛いしっぺ返しを食らいそうだ。八方ふさがりだな。
「ふう、ごちそうさまニャ。それで今後タイチはどうするつもりニャ。」
空になったカップを置いてヒナが尋ねてくる。
「うーん、やりたいことはあるんだけど方法が見つからないって感じだから、とりあえずは旅をしながらいろいろな街を巡ってみるつもり。」
(僕も満足だしね。)
「そうだね。しばらくはこの街にいるつもりだけど、ワクコからネロさんの研究への協力依頼の返事がそろそろくるはずだからそれが来たらこの街を出ようかと思う。」
「もしタイチに具体的な予定がないなら私と一緒に猫人族の里へ行かないかニャ。お礼もしたいし、建物とかもこの辺りとは一風変わっているから見ごたえがあると思うニャ。」
(おもしろそう。いいんじゃない。)
「そうだね、それじゃあ一緒に行こうかな。」
「やったニャ。これで歩かなくて済むニャ。」
「それが狙いか。」
ジンさん達の手がかりがなかったことは仕方がない。目立たない程度にこれから残りの時間探ってみようかと思うがおそらく見つからないだろう。まあもともとすぐに手がかりが見つかるとは考えていなかったし、私より実力も経験もある3人だ。邪魔にならない程度に探して、いざという時に手助けできるだけの力をつけることを優先しよう。
ヒナとのパーティがしばらく続くことを嬉しく思いながら、猫人族の里の話を聞いていくのだった。
~ステータス~
名前:タイチ
年齢:16
職業:冒険者
称号:アンの後継者
Lv:37
HP:2231/2231 MP:2561/2578
攻撃力:1422 防御力:1399
魔力:1701 賢さ:1688
素早さ:1622 器用さ:1842
運:195
―スキル―
「アイテムボックス Lv6」「マップ Lv3」「知識 Lv3」「投擲 Lv8」「開錠 Lv6」「罠察知 Lv7」「罠作成 Lv4」「罠解除 Lv5」「魔力操作 Lv6」「杖術 Lv6」「気配察知 Lv4」「採取 Lv5」「毒耐性 Lv4」「睡眠耐性 Lv4」「麻痺耐性 Lv3」「混乱耐性 Lv3」「魅了耐性 Lv4」「石化耐性 Lv3」「恐怖耐性 Lv5」「調薬 Lv2」
―装備―
主武器:ワクコのダート 副武器:アンの杖、謎の錫杖
頭部:なし 外着:冒険者の服
腕部:謎の腕当て 胴体:謎の胸当て
腰部:謎の帯 足部:謎のすね当て
靴:謎のブーツ その他:謎のゴーグル
ルージュ Lv9
耐久 340/350 DP:20455/24122
「土魔法 Lv5」「念話 Lv4」「変形」「光魔法 Lv3」
手掛かりが見つかって次の街へっていうのが王道なんでしょうが作者の根性がひねくれているためそんなことにはなりませんでした。すみません。
読んでくださってありがとうございます。




