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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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踏破の影響

本日から18時前後の投稿です。

今後ともよろしくお願いいたします。

 翌日の午前はネロさんと鉄の魔剣に関する意見交換をして、午後はギルドで昨日の精算をしてからロンソさんのところでMPポーションを作りながら調薬の手伝いをした。ネロさんとの意見交換では私の仮説と魔板を実際に見てかなり興味をひかれたようだが、やはり1回限りの使いきりというのが研究目標とは合わなかったようだ。ただ刺激にはなったようで、鉄以外の安価な材料や合金についても考えると言っていたので、新しい切り口になればいいと思う。ワクコからの手紙はおそらく1か月後くらいになってしまうのでそれまでに出来ることはしておきたいようだ。


 ギルドの会計は金貨2枚と大銀貨2枚だった。何かの間違いかと思ったが正しいらしい。2日周回しただけで2人で日本円にして220万円くらい稼げるのか。リターンが大きいな。あまり目立つのも嫌なのですぐにアイテムボックスにしまった。


 休みの最終日はルージュと7から9階層で迷宮サイクリングをして過ごした。一応これ以上変な噂が広がらないように他の冒険者が近くにいる時は魔物と遭遇しても倒さずに跳んだり、トリックで避けたりしておいた。自転車のスキルがあったら多分上がっていると思う。サイクリングの途中でコボルトに挟撃されて苦戦していた冒険者がいたので、土魔法で石つぶてを作って飛ばし、コボルトの足の腱を切って助けたりした。無論、見つからないようにこっそりと行ったのでこれ以上変な噂にはならないはずだ。


「そういえば、今回はどうする?ボスを周回してLvアップするか、それとも29階層までのマップを完成させてしまうか?」

「そうだニャ。計画より1か月以上早いからLv上げでいいかなと思うニャ。」

(じゃあ、周回と訓練だね。タイチ、死なないようにね。)

「いや、それはヒナに言ってよ。」

「私に言っても無駄ニャ。」

「そこも断言しない!!」


 今後の予定を話し合っていると、ドーンという腹に響く音とともに迷宮が地震のように揺れた。初めてのことなので即座に警戒態勢をとる。


(何、これ!?)

「ああ、大丈夫ニャ。誰かがボスを倒しただけニャ。」

「ボスって30階層の?」

「そうニャ。仕方がないニャ。タイチ、計画変更するニャ。今回は29階層までの探索に切り替えニャ。」

(どうして?)

「これから10日くらいはもらえる経験値が少なくなるし、ボスが再出現するまでの時間も延びるニャ。そんな時に周回しても効率が悪いニャ。」

「そういえば最下層のボスを倒すと迷宮が弱体化するんだっけ。」

「そうニャ。魔物も弱くなるし、罠もいま設置されているものが発動したら弱体化している期間は復活しないニャ。」

「じゃあ今のうちに探索を進めた方が効率良さそうだね。」

「そういう事ニャ。」


 その後魔物と戦いながら進んだが、確かにスピードが8割くらいになっているように感じる。防御力については最近は19階層までの魔物を1撃で倒せるようになってしまったし、敵の攻撃は受けないので比較のしようがない。

 弱体化を若干実感しながら進み、19階層のギルドの宿にいつもより少し早く着いた。

 慣れたもので普通に1部屋を借りて休憩することにした。夕食には早すぎるし中途半端な時間だ。ルージュの整備をしながらベッドでだらだらしているヒナを見る。もう動く気はなさそうだ。


「そういえば今回ボスを倒したパーティも帰りに泊まる予定らしいけど帰ってきたら話でも聞く?」

「別にいいニャ。しばらくは最下層のボス部屋に入れないし、何かあったらギルドで情報が手に入るニャ。」

「それもそうか。じゃあご飯になったら起こすから寝てもいいよ。」

「わかったニャ。お休みニャ。」


 しばらくしてヒナの規則的な寝息が聞こえてくる。ヒナを起こさないように静かに整備を続けた。




 26階層以降の探索を始めて3日目、今は28階層の探索をしているがゴブリンライダーも弱体化しておりヒナも私もあまり緊張感がない。これまで見つけた罠はすべて解除してあるのでだんだんと安全な場所が増えている。


「そういえばちょっと疑問に思ったんだけど、最下層のボスを倒すと他の探索している人から恨まれない?」

「なんでニャ?」

「だって強くなるために迷宮に入る人からしたら経験値が減るのは大迷惑じゃない?」

(確かにね。)


 ふと思いついた疑問にヒナは笑って答える。


「それは無いニャ。ゴブリンからもらえる経験値はもともと少ないから減ってもあまり変わりがないニャ。むしろ弱体化によって安全に早く倒せるから逆に感謝されるニャ。」

「へー、そういうものなんだ。」

「そういうものニャ。」


 28階層のマップも8割がた埋まり、今日のノルマももうすぐ終わりだ。明日29階層の探索が終わったら残りの3日は何をしようかな?再出現時間は延びているけれど周回しながらヒナと訓練するかそれとも早めに切り上げて休みを長くするかどちらがいいだろうな。


「ねぇ、ヒナ・・・」

「タイチ、宝箱ニャ。」


 私の相談はヒナの一言によって遮られた。考え事をしながら罠を注意していたから発見が遅れたが、この通路の先の部屋に通路から見える形で宝箱が設置されている。罠があるとしか考えられない。


「ちょっと待ってね、罠を調べてみるか・・・」

「タイチ、いいニャ。私でもわかったニャ。」

(うわー、これはまたすごいね。)


 部屋の天井から飛び出すトゲトゲ。ここに来て初のつり天井の罠か。時間式とスイッチ式のどちらだろうな。まあこの罠ならなんとかなるか。


「じゃあちょっと開錠してくるね。」

「大丈夫かニャ?」

「まあなんとかなると思う。一応準備はするし。」


 罠に注意しながら部屋に入っていき、宝箱の前に立つ。5割くらいのMPを使い、周囲に土魔法で柱を作っておく。まあこれはあくまで軽い保険だ。本当の保険のために迷宮の槍にスライムの糸をつけたものを取り出しておく。失敗したときは床を抜きながら逃げれば大丈夫だろう。

 宝箱を開錠しながらヒナとの出会いを思い出す。そういえばストーカーさんとか呼んでいたよな。まだ1か月も経過していないはずだがずいぶんと昔に感じる。あの時も開錠したよな。あの時の宝箱に比べれば複雑だがまだまだこの程度なら・・・。

 いかんな、何事も集中しないと。先程までのだらだらした雰囲気に流されてしまったようだ。気を引き締めなおす。鍵の内部を探り、自分の頭の中で組み立てながらそれに合う道具を差し込んでいく。首の裏をつつっと汗が流れていく。30分ほどかけて間違いがないと確信し道具をひねると、カチッという音とともに鍵が開いた。

 ただここで油断して罠にはまっても仕方ないので、いつも通り慎重に確認しながら、宝箱を離れたところから開ける。よし、大丈夫そうだ。


「ヒナ、ルージュ。もういいよ。」

「お疲れニャ。」

(お疲れー。)


 ヒナがルージュを引いてこちらにやって来る。


(それで何があったの?)

「これだよ、ヒナは何かわかる?」


 宝箱に入っていた緑色の腕輪を取り出して見せる。


「たぶん何かしらの効果がある腕輪だと思うけど詳しくはわからないニャ。」

「じゃあギルドで鑑定してもらうまでお預けだね。」

(えー、装備してみようよ。)

「呪われたらどうするの?」

(タイチ、いろんな耐性があるからいいじゃん。漢鑑定しようよ。)

「なんニャ?その男?鑑定って。」

「ああ、安全かわかっていない装備を付けてみて、実体験で効果を確認する方法。」

「ルージュ、鬼ニャ。」


 だだをこねるルージュを無視してアイテムボックスに収納しておく。あと4日の辛抱なんだから我慢してくれ。

 その後28、29階層の探索を無事に終え、残りの3日は結局周回しながらヒナと訓練することにした。再出現までの時間が1時間になったので経験値的にはあんまりだったがヒナと長時間訓練することで、Lv以外の部分のレベルアップが出来た。決して無駄ではない。


 ギルドへ帰り、腕輪を鑑定してもらうと「耐毒の腕輪」だとわかった。毒の効果をある程度打ち消してくれるらしい。私は毒耐性があるのでヒナにあげたのだが、その時に可哀そうな人を見る目で見られたような気がする。たぶん気のせいだ。

呪い耐性とかがあったら漢鑑定できるかもしれませんね。

しかし普通はやらないと思いますが。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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