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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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ゴブリンライダー

 人間とは慣れる生き物だと言ったのは誰だったかな。誰だかは思い出せないがもっともな言葉だと思う。ヒナと一緒の部屋に泊まるようになって最初は悶々としていたが次第に慣れて、5日目の今では普通に過ごせるようになった。まあ、ルージュがいるってことも大きいが。

 探索は非常に順調だ。昨日は24階層のマップを埋めることが出来た。やはり地上を行き帰りする時間が無い分、探索時間に余裕があるのが良い。乗る時間が減ったのでルージュの機嫌が若干悪かったが魔法で攻撃していいと伝えたら何とか溜飲をさげてくれた。魔物も基本的にはメイジ1匹とナイト3匹くらいかメイジ1匹とボブゴブリン3匹くらいの集団なので最初にメイジを投擲で倒してしまえば特に注意することも無く進むことが出来る。むしろ探索後のヒナとの訓練の方が大変だ。


「じゃあ、行くニャ。」


 ヒナが20階層の扉に触れ、扉が開いていく。毎朝恒例といった感のある20階層のボス戦へ挑む。フォーメーションはいつも通りルージュが近づいてきたゴブリンたちを文字通り足止めし、ヒナがナイトの相手を、私がダートでメイジを倒す。これが一番早くて効率が良い。魔石の回収時間も含めて10分程度で終わるので朝の軽い運動って感じだ。


「今日は25階層だけど、明日と明後日は26階層以下に行く?」

「うーん、迷っているニャ。タイチとルージュのおかげで予想よりもかなり早く探索で出来ているニャ。25階層まででしばらくLv上げしてもいいかなと思っているニャ。」

「あぁ、そういえば26階層以下ってゴブリンライダーが出るもんね。」

「そうなんだニャ。」


 ヒナが思案顔をしている。ゴブリンライダーはメイズウルフと言う狼の魔物に乗ったゴブリンだ。ゴブリンライダー自身はゴブリンナイトくらいの強さでありあまり問題は無いのだが、乗っているメイズウルフがやっかいなのだ。毒の爪を持っており、ゴブリンライダーを倒しても消えないし、攻撃をくらうといったん逃げてこちらが違う魔物と戦闘を開始すると背後から挟撃しようとする。むしろゴブリンより頭が良さそうな魔物だ。

 26階層から29階層の攻略としては、解毒薬を十分に用意したうえで最短コースを通ってさっさと30階層のボスへ行くというのが定石になっているのだ。


「とりあえず今日一日25階層を探索して、階段を見つけたらちょっと26階層へ行ってみて戦って、その感触次第で決めようか。ヒナも戦ったことが無いでしょ。」

「そうだニャ。」

(じゃあ、しゅっぱーつ。)


 ルージュを担いで21階層への階段を降りて行った。





 25階層の探索も順調に進み、階段を発見したのでいったん降りてみることにした。15分程度代わり映えのしない通路を進んでいるとマップ上の赤い点が3つ後方からこちらに近づいてくるのがわかった。


「後方からゴブリンライダー3匹。まあまあな速度で追ってくるから気づかれてるっぽいね。」

「わかったニャ。でもタイチより先に魔物が気づくなんて初めてじゃないかニャ?」

「そういえばそうかな。鼻がいいのかもしれないね。」

(狼だしね。)

「とりあえず1匹は逃すようにしよう。どのくらいのダメージを与えたら逃げるのかと言う事の確認と逃げた後の行動パターンの確認をしたい。まあそんな余裕が無さそうだったら倒す感じで。」

「了解ニャ。」

(僕は?)

「とりあえず毒の爪をくらいそうになったら土魔法で防御をお願い。」

(りょーかーい。)


 しばらく待っていると角を曲がってこちらに向かってくるゴブリンライダーが現れた。てっきり鞍か何かをつけているものだとばかり思っていたのだが素のメイズウルフに乗っている。よくあれで落ちないものだ。

 ゴブリンライダーがランスのような円すい形の槍を持ちこちらに向かってくる。ふむ、メイズウルフもスピードですれ違いながらあれで突き刺して攻撃するわけか。ルージュに乗りながらの戦い方の参考になりそうだがわざわざ攻撃を受ける必要もないしさっさと倒すか。

 手に持ったダートをライダーに向かって投げる。さすがにこのスピードでしかもメイズウルフに乗っていて上下動が激しいから目をピンポイントで狙うのは無理だ。狙いは胴体と顔だ。最初から1匹に着き2本と言う対応をするのはこの迷宮で初めてかな?さすが26階層。


「グギャア!!」


 あっ、落ちた。ダートが胸と額に突き刺さったライダーが悲鳴を残し地面に転がる。ってうわぁー。


(あーあ。)

「タイチ、えぐいニャ。」


 いや、これは私のせいじゃないでしょ。まさかライダーとメイズウルフがロープのようなもので結ばれていて落ちたライダーが西部劇のようにそのまま地面を引きすられるなんて思わないし、ていうか止まれよメイズウルフ。しばらくしてロープが切れたがライダーが動く気配が無い。マップ上の赤い点も消えているから死んだんだろうがどっちが原因で死んだんだろう?

 あまりの結果に見とれてしまい、接近する前にライダーすべてに攻撃するはずだったが2匹がそのまま突っ込んでくる。


「ヒナ、メイズウルフ単体の処理をお願い。残りは何とかする。」

「わかったニャ。」


 遠距離からライダーを倒したために危険認定をされたのか私に集中して向かってくる敵を見ながら指示を出す。ゴブリンライダー2匹は縦一列になって向かってくる。1匹目をかわしたとしても2匹目で仕留めると言うことか。メイズウルフ単体はちょっと迂回しながら狙ってきている。ヒナなら十分に対処可能だろう。


 杖を構え静かに待つ。メイズウルフのハッハッハッという息遣いが妙に大きく聞こえる。ライダーの目に殺気が宿る。動かない私など簡単に串刺しに出来ると思っているのだろう。だがそれは勘違いだ!!


「ルージュ!!」

(あいあいさー。)


 ルージュが土魔法で私の真下に土壁を作る。そしてその土壁に乗る形で私の体が持ち上げられる。思った以上のスピードだったので少し驚いたがルージュの魔法だからか体勢を崩すことは無かった。

 そしてライダー君、よそ見運転は事故の元だよ。


「キャイン!」


 こちらを目で追ったライダーとメイズウルフが土壁を避けきれずに正面からぶつかる。続けて2匹目も1匹目に追突するような形でぶつかる。玉突き事故だな。

 こんなチャンスをみすみす逃す必要も無いので土壁の上から槍モードでライダー2匹とメイズウルフ1匹を突き殺す。メイズウルフ1匹は検証用に生かしておいた。


「終わったかニャ?」

「ああ、あとは検証用のメイズウルフ1匹だけ。」


 ヒナも問題なく終わったようだ。ヒナの向こうに首を斬られたメイズウルフが横たわっている。そのうちヒナの二つ名がつくとしたら「首狩り」とかになりそうだ。


「じゃあ検証するか。」

「どうやるニャ?」

「うーん、とりあえず杖で打ちのめすかな。ヒナだと一撃死しちゃうし。」

「褒められると照れるニャ。」

(褒められてないと思うよ。)

「そうなのかニャ?」

「ノーコメントで。」


 首を振りながら起き上がりこちらを見ていたメイズウルフに近づいていく。


「グルルルル。」


 体を低くし警戒をしているようだ。大丈夫、大丈夫。ただ打ちのめすだけだから。はやくかかっておいで。

 いつでも杖をふるえるように近づいていったが、あと一歩で攻撃できるという場所で体をひるがえし逃げて行ってしまった。


「特に攻撃をしてないけど逃げたね。」

「まあ、ちょうどいいニャ。この後の経過を見るニャ。」

(じゃあ次行ってみよー。)


 しばらく26階層を進み他の魔物と戦ったがメイズウルフは戻ってこなかった。情報が間違っているのかもしれない。ギルドでもう一度詳しく聞いてみよう。

 26階層の探索をやめ、25階層に戻りマップを完成させたので帰ることにした。


「で、どうするヒナ?」

「うーん、倒せないことは無いけど逃げられるかもしれないことを考えるとLv上げには向かないニャ。」

「じゃあ今回はとりあえず25階層まででLv上げかな。」

「そうだニャ。」


 でもいくらマップがあるから他の冒険者に比べて魔物を見つけやすいと言っても大体1時間に2,3回会えればいいくらいなんだよな。しかも4匹くらいだし。何か効率のいい方法が無いものか?

 21階層の階段を上り20階層の部屋を通ってギルドの宿を目指す。

 あれっ、もしかして効率よく戦えるんじゃないか?

なんかタイトル詐欺みたいな気がします。

ゴブリンと狼なら狼の方が強いでしょうしね。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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