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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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ヒナとの訓練

昨日、40000PV記念で二話投稿しています。ご注意ください。

また200P記念で活動報告にあの2人の短編を投稿しています。

本編には全く関係ありませんので気になる方だけどうぞ。

(準備はいい?)

「ああ。」

「いいニャ。」

(それじゃあ、はじめ!!)


 ヒナが即座に打ちかかってくる。想定通りだ。ヒナの性格からして待つなんてことはするはずがない。初撃で最速の攻撃をして勝負を決めるはずだ。ヒナの頭部を狙った打ち下ろしを杖で軌道をそらし、そのまま側頭部を狙う。しかしヒナは木剣が弾かれた段階で横に跳んでおり、杖の攻撃範囲から既に逃れていた。


「読まれていたニャ。」

「まあこれだけ一緒に戦っていればね。それよりもそらしてすぐにカウンターを放ったのにそれだけ離れられるってどういう身体能力してるの?」

「タイチならそらすかもしれないって思っていたニャ。」

「こっちも読まれていたってことか。」


 ヒナの口角が上がり、にやりとした笑みが浮かぶ。確認は出来ないが自分も同じ顔をしているんだろう。ここ最近ずっと一緒に戦っていたのだから相手の手札も思考もある程度わかる。そのうえで相手を倒す方法を探しながら戦うことが楽しみで仕方がない。


「じゃあ次はこっちから行くよ!!」


 間合いに気を付けながらみぞおちを狙い突きを放つ。単純な実力で考えればヒナに勝てる可能性は低い。たとえば剣と剣で戦った場合あっさりと負けるだろう。勝つ可能性を考えれば武器の差で実力を埋めるしかない。

 上体を崩さないようにみぞおち、肩、顔を狙い連続で突きを放っていく。狙いが甘いものは避けられ、当たりそうなものだけ剣で弾かれる。だがそれでいい。今、決定的な一打を与える必要はない。この間合いは私の間合い、ヒナの攻撃は届かない。このこう着状態を破るとしたら・・・。


「ハッ!!」


 ヒナが私の突きを思い切り横に弾き、その威力に思わず上体が崩れて隙が生まれる。ほんの少しの遅れだがそれを見逃すようなヒナではない。お返しとばかりにみぞおちを狙った突きが放たれる。ちっ、予想より速い!!

 弾かれた勢いも利用して横方向へ体をひねって避けようとしたが完全には避けられず、服の上を木剣が走っていく感触がする。あと数センチずれていれば大ダメージだがこの程度なら我慢できる。そして今がチャンスだ。

 弾かれた杖を戻しつつすねを狙って杖を薙ぐ。ひたすらに上半身のみを狙っていたのはこの一撃のためだ。意識を上に集中したところでの下半身に対する攻撃。一瞬判断が遅れるはず。

 その渾身の一撃をヒナがあっさりとジャンプしてかわす。だがそれも予想の範囲内だ。空中に上がった今なら動けないはず。払った杖を切り返し1番避けにくい胴体を狙えば・・・。


「もらっ・・・。」


 その瞬間、猛烈な嫌な予感に従い攻撃を中止し、斜め前に跳び転がりながら距離をとる。素早く起き上がり元の方向を向くと振り下ろした剣を左手に持ちながらこちらを見ているヒナと目が合った。


「えっと何したの?」

「空中脳天唐竹割ニャ。」

「いやその技名じゃなくて当たってたら死ぬでしょ、それ!!」

「あっ・・・、まあ当たらなかったから大丈夫ニャ。」

「大丈夫じゃないって。」


 背後で聞いたビュン!!という鋭い音と今のヒナの剣の位置を考えると木剣だと言っても頭蓋骨が陥没するくらいの威力はあったはずだ。回復魔法やポーションがあるとはいえ一撃死は蘇生できないんだ。アンさんと違ってヒナの場合はうっかり殺しちゃったとかありそうで怖い。


(訓練は死なない程度にね。)

「本当にそうだよ。」

「大丈夫ニャ。今までの動きでタイチの実力は大体わかったニャ。」

「余裕だね。」

「まあニャ。ちょっと本気で行くニャ。」


 言うが早いかヒナが突っ込んでくる。今までのスピードよりも明らかに速い。ギアが1段か2段違う感じだ。本気で行くというのは嘘じゃない。

 杖の中心付近を握り防御特化の体勢を取る。今の私の速度では普通に受けてはヒナの速さに追いつけそうもない。ヒナの剣が嵐のごとく上、下、横と縦横無尽に振ってくる。その突き、払い、斬り。そのすべてを杖で防ごうとしたが無理だとすぐ判断し、かろうじて致命傷になりそうな場所だけを守り、体をかすめる程度の攻撃は数十、このままいけば青あざだらけになりそうだ。

 自分の体感では10分、実際には1分も経っていないだろうがヒナがバックステップして距離をとった。


「タイチ、すごいニャ。これだけやっても致命傷を受けていない人は久しぶりニャ。」

「それはどうも・・・。」


 ふぅーと一息つきながら答える。すごいのはヒナだ。ヒナの攻撃はただ速いだけではない。流れが滑らかなのだ。だから隙が少ないし、無理な力を使うことも無いので長時間の戦闘が可能なのだろう。


「でも、これで最後ニャ。」


 ヒナが上段に構える。初めて見る構えだ。隙はあるのだが打ち込んだ瞬間に斬られるイメージしかない。私よりも小さいはずのヒナが大きく見える。その場から剣がここまで届いてしまいそうだ。

 プレッシャーに押し負けそうになりながらも覚悟を決める。先制攻撃しては負ける。勝てるとしたら攻撃を避けるか受け流してカウンターを狙うしかない。

 ヒナと目が合う。その瞬間ヒナがこちらへ踏み出し上段から木剣を振り下ろす。


「ハッ!!」


 今までにないくらい速いが軌道は予想通り。これなら杖で一撃耐えた後にそのまま反撃できる!!

 杖と木剣が打ち合う衝撃に耐えようとした時、予想外のことが起こった。


「えっ!?」


 思わず間抜けな声が出る。杖が斬られた。

 比喩表現でもなんでもなく木剣でこちらの木の杖を折るのではなく斬った。

 本当に規格外だよ、ヒナ。

 そのまま振り下ろされる木剣が体に当たるのをスローモーションのように見ながら自分の骨が折れる音を聞いた。


(はい、ヒナの勝ちー。)


 ルージュののんきな声を聞きながら即座にヒールを発動させ骨折を治す。ゆっくりに見えた時間があったから覚悟と準備がすぐに出来た。でも痛いものは痛い。脂汗が流れる。

 痛みをまぎらわすように大きく深呼吸を繰り返す。ふぅー・・・。痛みはあまり変わらないが声に出さないくらいには落ち着いた。


「あー、タイチ。ごめんニャ。」

「いや、急所じゃなかったから別にいいよ。」


 アンさんの訓練でこれくらいの怪我は何回もあった。回復魔法が覚えた分、すぐに治療出来るから今回の方がましだ。アンさんがポーションを作り終えるまで痛みに耐えながら行動する訓練とか二度とやりたくない。


「実は私は手加減が苦手ニャ。」

「うん、何となくわかってた。」

「なっ、どうしてニャ?」

(うーん、見てれば誰でもわかると思うよ。)

「そうなのかニャ。特に同じくらいの実力があると本気になってしまうニャ。だから訓練で相手をしてくれたのは師匠だけニャ。」

「へえ、ヒナの師匠ってどんな人?」

「とても強い冒険者だニャ。2年間くらい教えてもらったけど一撃も与えられなかったニャ。いつか師匠に再会したら一撃与えるのが私の目標ニャ。」

(そんなに強いんだ。)

「タイチも強いニャ。強いと言うよりも生き残ろうとする意志が強いって感じるニャ。」

「こっちの師匠もかなりハードでね。」

(そうだね。ヒナは真剣に半殺しって感じだけどアンさんの場合は笑いながら半殺しって感じだよね。)

「ルージュ、真実だとしても言わなくてもいいことってあると思うんだ。」

「なんかすごそうな師匠だニャ。」


 ヒナの驚いたような、呆れたような顔を見ながら床に落ちた杖を拾いその切断面を見る。断面はそこまできれいではないが、やはり折れたというよりも斬ったという断面だ。


「どうやって杖を斬ったの?」

「うまく説明できないけど、絶対に斬るって思って斬ると斬れるニャ。師匠は「剣気」って言ってたニャ。」


 剣気か。使える人は少なさそうだがそういうものがあると考えて今後戦わないといけないな。


「じゃあ第二戦始める?」

「えっ、いいのかニャ?」

「えっ、このくらいでやめるつもりなの?」


 私の反応にヒナが驚いた顔をして、しばらくして笑いだす。なんだ?笑われるようなことを言った覚えはないぞ。


「わかったニャ。タイチの気が済むまで付き合うニャ。」

「よろしくお願いします。」

(じゃあいいね。第二回戦、はじめ!!)


 その後、訓練を続けたが一方的にヒナが打ち込んで私が防いだり、避けたり、くらったりする展開が続いた。少しずつ試合時間が長くなったので成長しているんだと思いたい。MPが尽きたのでそれを機に訓練を終えた。

 試合結果は0勝9敗。有効打を一撃も与えられずに終わった。とても悔しい。基礎から見直さなければ。

主人公は最強ってわけではありません。

まあ本来は旅が目的でしたし。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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