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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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決着と秘密

少しずつブックマークが増えています。

読んでくださっているのがわかってすごくうれしいです。

ありがとうございます。

 振り下ろされる剣、まだ動けないヒナ。このままではヒナが死んでしまう。

 ジェネラルに防がれたダートから全力で土魔法を放つ。イメージするのはカルビン。地球上でもっとも硬いと言われ、その硬さはダイヤモンドの3倍と言われる。原子一個分のカルビンのシートを突き破るために象一頭分が必要と言うむちゃくちゃな物体。本当は絶対に壊れないとかイメージできればいいのだがそれは無理だから自分の出来る想像で1番のものを強烈にイメージする。


「檻!!」


 ジェネラルが土の檻で囲まれ、剣がその檻で防がれたのが見えた。それと同時にとてつもない気持ち悪さとともに意識が薄くなっていくのを感じる。ここで気絶するわけにはいかない!!

 ダートを太ももに突き刺し、意識を覚醒させる。カバンに入っているMPポーションを急いで取り出し飲み干す。気持ちは悪いが気絶は回避できそうだ。


「グルアアアァー!!」


 ガンガンとジェネラルが檻を壊そうと剣を叩きつけているが今のところ壊れそうな様子はない。ちょっとほっとしたがその代わりに今になって太ももの痛みがひどくなってきた。アイテムボックスからポーションを取り出し傷口に振りかける。すべて振りかけ終わったころには傷口はふさがっていた。いつ見ても不思議な光景だ。


「ヒナ、大丈夫?」

「助かったニャ。まさか地面を割るとは思わなかったニャ。私もまだまだだニャ。」

「いや、あれだけ近接戦闘が出来るのはすごいと思うよ。今度教えて欲しいくらいだ。」

「じゃあ今度、ギルドの宿へ泊るようになったら訓練の時間を作るかニャ。」

「そうだね、お願いするよ。」

「それじゃあ、こいつを殺すかニャ。」

「ああ、そうだね。」


 暴れているが檻を壊せないジェネラルを見ながらMPポーションを何本か飲みMPを回復させる。そして杖を取り出す。


「槍モード」


 杖の先端から魔力の槍が出来る。ヒナに正面からジェネラルの気を引いてもらいながら横から側頭部へ槍を突き刺す。抵抗なく突き刺さった槍がジェネラルの命を奪う。ドサッと言う音とともに私たちを散々苦しめた強敵達をすべて倒すことに成功した。


「相変わらず面白い武器ニャ。」

「まあ、MPの消費が激しいから長時間は使えないけどね。」

「それはそうと、この檻はどうやって作ったニャ。ジェネラルの攻撃も弾いていたけど。」

「ああ、ダートにつけたスライムの糸を通じて全魔力を使って私が想像できる最硬の檻を作ったんだ。危うく気絶するところだったけどね。」

「何はともあれ助かったニャ。とりあえず魔石とかを回収するニャ。剣もかなりの業物みたいだしニャ。」

「そうだね。」


 ゴブリンナイトから魔石と剣を、ゴブリンメイジから魔石と杖を回収する。ナイトとメイジの剣と杖も一般的なものでは無い様だ。ヒナがジェネラルの剣を持ちながらしげしげと見ている。ちなみにゴブリンジェネラル自体はこの檻を壊さないと解体できないのでアイテムボックスに回収して後で処理することにした。


「どうかした?」

「うん、あれだけ雑に扱われたのに刃こぼれも無いいい剣ニャ。おそらく総ミスリルの剣だと思うニャ。」

「ヒナは使えそう?」

「若干今の剣よりは長いけど、重さは同じくらいだから使えると思うニャ。」

「じゃあその剣はヒナが使うといいよ。」

「でも2人で倒したから、それはまずいニャ。」

「私が剣を持っていても仕方がないし、お金がそこまで欲しいわけでもない。まあそれでヒナの攻撃力が上がれば攻略が楽になるしね。」

「うーん・・・、わかったニャ。ありがたく使わせてもらうニャ。」

「でも鞘が無いからそれは注文しないとね。」

「知り合いに頼んでみるニャ。」


 それにしても本当に疲れた。命の危機を感じるなんて久しぶりだ。これが本当の迷宮か。今までの戦闘がぬるく感じるな。実験とか言っていたのが馬鹿みたいだ。まあその実験のおかげで助かったのも事実だが、一歩間違えればこちらが死んでいただろう。


「しばらく休憩しよう。奥の探索は食事をしてから続けよう。」

「わかったニャ。」


 ルージュのところへ向かう。


(おかえりー。)

(ああ、なんとか生きて帰ってこれたよ。)

(本当に危なかったね。僕も何かしたかったんだけど、ごめんね。)

(いいよ、ルージュがちゃんとすぐに変形してくれたから戦えたんだし。)

(でも、僕自身が動けたらもっとサポート出来るのに。)

(そうかもね。)


 ルージュを引き連れヒナのところへ戻る。またジェネラルとかが居たら今度はルージュに乗ってヒナと2人で逃げよう。いまのところマップには魔物の反応はないが。


「タイチ、そのバイシクルはなんニャ?」

「んっ、どういう事?」

「今日持ってきたバイシクルと違うニャ。」

「あっ。」

(あっ。)


 しまった。あまりに疲れていてルージュを変形させたのを忘れていた。マジックバックから出したわけではないことは見られているから・・・


「いやだなあ、今日はこのバイシクルだったよ。」

「そんなはずないニャ。あとタイチ、ものすごく動揺しているニャ。」

(あー、これは無理そうだね。)


 まあそうですよね。誤魔化せるわけないですよね。


「それに、もう一人いるニャ。誰もいないはずなのにそこにいるように感じるニャ。いつもタイチといると感情がぶれると思ったけど勘違いじゃないニャ。」

「ふぅ。」

(ルージュ、念話の範囲にヒナも入れるよ。)

(りょーかーい。)


 まだ短い期間だが一緒に過ごした限りヒナが私に害があることをするとは思えない。これがいい機会だったのかもしれないな。ルージュのサドルに手を置き話し始める。


「ヒナ、私の相棒のルージュです。」

「どういうこ・・・。」

(こんにちは。話すのは初めてだね。僕の名前はルージュって言うんだ。)

「えっ、誰ニャ?・・・。もしかしてこのバイシクルなのかニャ?」

(大当たりー。)


 ヒナが驚きすぎて口を開けたままルージュを見ている。ヒナくらいの美少女のそんな表情を見る機会なんてそうそうないだろうから希少な体験なのかもしれない。うーん、これは復帰に少し時間がかかるかもしれないから強制的に戻すか。

 アイテムボックスから迷宮焼きを取り出し、甘い方を開いたヒナの口に放り込む。あっ、そのまま普通に食べ始めた。鳥の雛みたいだ。つづけて2個そのまま放り込んで、次に塩気がある方を放り込む。


「うわっ、何するニャ。タイチ。」

「いや、ヒナこそ何してるんだよ。」

「食べ物をもらったら食べるのが普通ニャ。」

(うーん、言ってることは正しいけど状況がおかしいね。)

「そうだね、まあヒナの予想通りこのバイシクルは意思を持っていて話すこともできる。私の相棒でルージュって言うんだ。まあ私の秘密だね。」

(よろしくー。)

「あぁ、よろしくニャ。まさかそんなことがあるとはさすがに思っていなかったから驚いたニャ。」


 ヒナがとっさに手を出し握手をしようとしたが、その手がどうしたものかとさまよっている。まあルージュには手は無いからな。とりあえずサドルに手を置くことに決めたみたいでサドルをなでている。


「ルージュは変形出来る特殊なバイシクルなんだ。」

(すごいでしょー。)

「すごいニャ。というかこの声はタイチにも聞こえているんだニャ?なんというか頭に響く感じがして違和感があるニャ。」

「ああ、念話というスキルだよ。今はレベルが上がって複数人に対して話しかけることが出来るようになったんだ。上限はわからないけどね。」


 最初は1人に対してしか話せなかった念話だが、レベルが上がることで2人以上に話しかけることが出来るようになった。とはいっても秘密を知っているのはアンさんだけなので実際には2人までしか同時に話しかけたことは無い。上限が気になるところだ。


「落ち着いた?そろそろおなかも減ってきたし食事をとりながらちょっと話そうか。」

「わかったニャ。私は迷宮焼きなら甘い方がいいニャ。」

「了解。」


 すぐに元に戻ったヒナの態度に苦笑しながらアイテムボックスから食べ物を取り出していった。

カルビンはファンタジーのような素材ですがあるらしいですよ。

しかも変形させると磁性半導体になったりエネルギーを蓄えられたりと言う夢の素材です。

まあ量産はまだ出来ないみたいでシュミレーション上のものですが。

読んでくださりありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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