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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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急行

新たにブックマークいただきました。

ありがとうございます。

 迷宮へ向かう道を少し外れ、人気のない場所へ向かう。


(ルージュ、クロスバイクに。)

(りょーかーい。)


 ルージュが光に包まれ、クロスバイクに変身する。急いでその場を離れ、迷宮へそのまま向かう。


(話は聞いていたよね。)

(まあね。たぶん前のサイクリングの事も考えると4時間くらいじゃない?)

(おそらくね、でも6時間っていうのも先生が書類を見て算出した時間だからもしかしたらもっと短いかもしれないしね。急ぐよ。)

(おー。)


 迷宮の入り口には数人しか並んでいなかった。たぶん同じパーティの仲間たちだろう。さすがにこの時間から入ろうとする冒険者はあまりいないか。

 後ろに並ぶが普段なら気にならないようなこの数分がとても気になる。兵士に審査を早くしてくれと言いたくなるが、その行為自体が余計な時間をかけることになりそうなのでじっと待つ。


(タイチ、焦っても仕方がないよ。)

(うん、わかってはいるんだけどね。)


 助かる可能性がだんだんと減っているような気がしてどうしても焦ってしまう。


(はい、深呼吸、深呼吸。)


 すーはー、すーはー・・・。よし、多少は落ち着いた。焦りはミスを生むからな。わかってはいるんだがなかなか難しい。


(落ち着いたみたいだね。そろそろ呼ばれそうだよ。)


 ギルドカードを取り出し準備する。残り時間は5時間45分だ。




(この時間で良かったね。あんまり人がいないや。)

(そうだな。でも人がいない分、魔物に遭遇する確率が高くなっているけどね。)


 やはり夜の探索はあまり人気が無いのか昼に比べて明らかに冒険者の数が少ない。それでも0ではないので、おそらく魔物の取り合いが面倒なパーティがこの時間に探索していると言う事だろう。


「どけっ!!」


 土魔法でダートを作り出し、飛ばして邪魔なゴブリンたちを倒す。もちろん解体などしないのでそのまま放置だ。また変な噂が立つかもしれないが緊急事態だ。仕方がない。

 今の平均時速は60キロ。この世界に来てからギア比を変えていないのでケイデンスを上げて速度を維持しているが今後のためにもギア比を考える時期なのかもしれない。この依頼が終わったらルージュと相談しよう。

 現在のケイデンスは180回転/分。ここまでの速度となると風が吹かない迷宮と言っても空気抵抗がすごい。なるべく上半身を倒し、空気抵抗を低減させる。

 長時間走るときはこのような少しの疲労がだんだんと蓄積していってしまうので気を付けなければ。


(そういえば、タイチご飯食べてないね。)

(しまったな、仕方がない。低階層のうちに食べておくか。)


 スピードを少し落とし、アイテムボックスから以前買った串焼き肉を取り出す。振動に注意しながらかぶりつく。うん、さすがに冷めているがジューシーで美味しい。なんで魔物の肉ってこんなに美味しいんだろうな。不思議だ。

 食べ終えた串をアイテムボックスにしまい、パンを取り出す。さすがにもそもそして食べにくい。ご飯があればいいのに。仕方が無いのでボトルの水で流し込む。


 最後にリンゴを丸かじりしながら走る。しゃくしゃくと食べているとマップの前方に冒険者と魔物の反応が見える。冒険者がゴブリンと戦っているみたいだが、後方から別のゴブリン2匹が近づいてきていることに気が付いているのか?気づいていなかったらまずいが逆に変なところで声をかけて今戦っているゴブリンに不覚を取ってもまずいし、倒したら横取りになりそうな気もするし・・・。

 よし、通りすがりに注意とゴブリンの気を引くことだけして立ち去ろう。


 リンゴの芯を持ち、狙いを定める。倒すような速度は出せなくても当てるくらいは出来る。背後から近づこうとしているゴブリンの頭をめがけてリンゴの芯を投擲する。

 ドッという鈍い音とともにリンゴの芯がゴブリンの背中に当たる。うーんやっぱりダートじゃないと狙い通りのところに当てるのは難しいな。


「ギャギャ、ギャギャギャー」

「やはりゴブリン語はわからないな。怒っているのはわかるけど。」

(僕もー。)


 背中にリンゴの芯を当てられたゴブリンが声をあげながらこちらに向かって棍棒をぶんぶんと振り威嚇している。奥の冒険者たちも気づいたみたいだし大丈夫そうだな。

 よしそれじゃあ逃げるか。


「背後のゴブリンに気を付けてー。」


 こちらに向かって来ようとするゴブリンの直前でバニーホップをして空を飛びながら、すれ違った冒険者たちに注意をうながす。冒険者は唖然とした表情でこちらを見ていたがゴブリンもこっちを見ていたので不覚を取ることは無いだろう。出来ることはしたし、あとはあのパーティ次第だ。

 ガシャと言う音とともに地面に降り立つ。膝をクッションに使ってルージュにかかる衝撃が分散するように注意する。


(ルージュ、行けるね?)

(うん、大丈夫。)


 残り14階層、タイムリミットまであと4時間45分だ。




 敵を土魔法で倒し、時間のロスを減らしながら走ったおかげで10階層へ向かう階段まで2時間弱で着くことが出来た。このペースを保てれば4時間くらいで19階層まで行くことが出来そうだ。


(あれ、タイチ。10階層の扉の前に冒険者がたまっていない?)

(本当だ。2パーティくらいいるね。どうしたんだろう。)


 とりあえず近くにいる男性の冒険者に聞いてみるか。


「すみません、どうかしたんですか?」

「どうかも何もこの扉が一向に開かなくてな。もう2時間以上待ってるんだ。」

「何かあったんですか?」

「どうせこの先のボス部屋で休憩してるパーティがいるんだろうよ。この扉はボス部屋に人がいると開かない仕様だからな。」

「でも確か、ボス部屋での休憩はマナー違反でギルドの罰金もあるはずでは?」

「ああ、そうだよ。しかしそれをみんなが守るとは限らないんだ。坊主はちゃんと守れよ。それじゃあな、俺たちは今日は帰る。これ以上は時間の無駄だしな。酒でも飲んでまた明日ってな。」

「情報ありがとうございました。」


 その冒険者がこちらを振り返らないまま、手をひらひらさせて去っていった。気にするなってことだろう。

 しかしまずいな。確かにマップで見るとこの先のボス部屋に4人の人間と思われる反応がある。たまに動いているので怪我などで動けないわけではなさそうだ。

 こんなところで時間を無駄にしたくない。人の命がかかっているんだ。


「たしか、タイチだったよな。」

「えっ、あぁヨルムか。」


 声をかけられ振り返った先には初めて迷宮を潜るときに注意してくれた赤の守護剣のリーダーのヨルムがいた。


「こんなに早くこの階層まで来るなんてタイチは案外実力があるんだな。忠告はあまり聞いていないようだが。」

「えっ、なんでですか。ちゃんと忠告通り皮の胸当ては買いましたよ。」

「はぁ、まあいいや。単独でここまで来れる実力がある奴に言うべきことじゃないかもしれないしな。」


 あれ、なんか呆れられてしまった。ヨルムにあったときに忠告ありがとうと言うためにせっかく皮の胸当てを買ったのに。若干違和感があるから嫌だけど着けてるのになんか損した気分だ。


「まあそれはそれとして、ヨルムたちはどのくらい待ってるの?」

「大体1時間くらいだな。あと30分くらい待って開かなければ俺達も帰るつもりだ。ボス部屋で寝られたら一晩中開かない可能性もあるからな。」


 そうか、そういう可能性もあるのか。しばらく待てばいいかと思っていたが駄目だな。何とかして強行突破しないと。


「扉は力づくじゃあ開かないんだよね。」

「ああ、3級冒険者の一撃でもピクリともしないらしいぜ。」


 そうすると正攻法では無理だな。まだ検証さえしていないが可能性に賭けてみよう。


「ヨルム、折り入って相談があるんだ。」

投げ捨てられた林檎の芯は迷宮がおいしくいただきました。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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