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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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夜のお仕事

ブックマークと評価を頂きました。

ありがとうございます。

ストックがなく記念投稿出来ませんがとても嬉しいです。

「おかえりなさいですよ。ヒナお姉ちゃん、タイチさん。」

「ただいまニャ、モカ。」

「ただいま、モカちゃん。」

「いつもどおりご飯の準備は出来てるから、いつでもどうぞですよ。」

「それじゃあ、しばらく後で行くね。ヒナはどうする?」

「私は今日はちょっとゆっくりするニャ。1時間くらい後で行くから今日は一人で食べるニャ。」

「了解。じゃあまた明日ね。」

「お休みニャ。タイチ。」


 ヒナが手としっぽをふりふりしながら2階へ上がっていく。探索は非常に順調だ。11階層のマップも今日ですべて埋まったし、予定より半月ほど早く19階層まで行けるかもしれない。


(今日もお疲れー。)

(そうだね、ルージュも二人乗り大丈夫だった?)

(うん、僕の耐荷重は120キロだからまだまだ余裕だよ。)

(じゃあ先に汚れだけでも落としちゃおうか。)


「クリーン。」


 私とルージュの体が光に包まれ汚れが落ちていく。返り血とか土も落ちるし、汗もきれいになるから水浴びしなくてもいいのだ。てっきり消毒用の魔法かと思ったが汚れを落とすのがこの魔法の本分らしい。紫外線消毒のすごいバージョンだと考えている。


(相変わらず便利だねー。でも後で整備はしてね。)

(消費MPが多いのが難点だけどね。整備はいつも通りするよ。)

(やったー。)


 ルージュの気持ちもわかる。綺麗になっているということはわかるんだがやっぱりお風呂に入りたいし。

 それはそれとしてクリーンはなぜか私が使うとへたな回復魔法より消費MPが多いんだよな。これをもっと効率よく使えればワクコのダートを使えるんだが。この魔法もおいおい研究していかないと。

 冒険者用の装備を外し、普段着に着替える。ルージュに二人乗りでかなり走ったので、お腹もすいているためすぐに食堂に降り夕食を食べた。


「タイチさん、今日も部屋に行きますからよろしくお願いしますですよ。」

「わかったよ、モカちゃん。」


 夕食を食べ終え、モカちゃんと約束をして部屋に戻る。部屋で今日、連携の訓練のために使ったワクコ製のダートの手入れをしていると、モカちゃんが両手を後ろに回しながら顔を赤らめて入ってくる。


「いらっしゃい、モカちゃん。」

「お邪魔しますのですよ。」

「今日も、いつも通りでいいのかな?」

「はい、よろしくお願いしますのですよ。」


 モカちゃんはそう言うと手を前に出し、布を大事そうに解いていく。しゅるりと言う音とともにその布は床に広がった。

 その布から現れたのは大量のナイフとスプーンとフォークであった。


「今日はちょっと多いのですよ。でもでもその分だけ明日のお弁当は豪華にしますからお願いしますのですよ。」

「いいよいいよ。こっちも訓練にもなるから。それにマタリさんのお弁当美味しいしね。」

「お父さんのご飯は迷宮都市で一番だと思うのですよ。」

「うん、確かにそうかもしれないね。」


 最近、宿の備品に看板の絵を描いてほしいというモカちゃんのお願いのため、夜にモカちゃんが描いてほしい備品を私の部屋に持ってくるようになった。

 私としてはレーザーの訓練にもなるので二つ返事で引き受けたのだが、マタリさんが無料ではさすがに申し訳ないと言う事でヒナと私の二人分のお弁当を作ってもらうことで決着がついた。

 私的にはとても得な取引だ。


「じゃあ外の小屋借りるね。」

「はい、お願いしますですよ。」


 レーザー加工するにあたってどうしても匂いが気になるので庭にある物置小屋を整理してそこを使えるようにしてもらった。下手に外で使用して誰かに反射したレーザーが当たったりしたら大変なことになるからな。


(タイチも物好きと言うかお人よしと言うか?)

(んっ、何が?)

(たぶんこんな風に宿独自の模様をつけようとすれば、特注になるからかなりの金額を取られるはずだよ。それを無償でやってあげるんだから。)

(無償ってわけじゃないよ。昼の弁当代がタダだし。おいしい食事に勝る報酬はあんまりないと思うよ。)

(うーん、僕にはわからないね。)

(ルージュも食べられたらいいのにね。)

(ちょっと興味はあるんだけどね。この体じゃあね。)


 まあ、自転車が食事をするシーンなんてどこのB級ホラー映画だって感じだしな。


(別にこの体に不満があるわけじゃないけど、自分で動けないことをもどかしく思う事もあるからね。)

(でもルージュの体のおかげですごく助かってるけどね。一緒に旅も出来るし。)

(そうだよね。まあ旅って言ってもまだまだ2つ目の街だけどね。)

(確かに。)


 小屋に入り、すでに作ってある土壁を一応不具合が無いか確認し、固定台にナイフやフォークを置いて固定していく。一度にすべては並べられないので何十回かしないといけないな。

 土壁の奥に入り、看板の絵をしっかりイメージした後レーザーを発動する。ここ数日間看板の絵ばかりレーザーで描いていたので結構うまく描けるようになってきた。今回のナイフやフォークは描く場所が狭いのでだいぶ小さな絵になるのだが、レーザー彫刻の強みは微細で精密な加工だ。集光性に優れているのでその焦点のみを融解、蒸発させることが出来、しかも加工点が小さいため熱による影響が出にくい。さらに非接触であるため歪みやひび割れが発生するリスクも少ないのだ。まあ、もともとある歪みとかは仕方がないが。


 もらったナイフなどを彫刻しては取り換え、それを何度も繰り返していく。24回ほどでほぼすべての彫刻を終えることが出来た。消費したMPは8割程度。やはり本数が多いと大変だ。


(終わったー?)

(ああ、あと2本で終わり。)

(相変わらずこういう時のタイチは話しかけても全く反応しないよね。)

(あれっ、なんかあった?)

(うーん、誰かの気配がしたから呼んだんだけど反応しなかったんだよ。まあその誰かも特に中に入ってくるような様子は無かったからなんか庭に用事があったのかもね。)

(そっか、ごめんね。)

(いいよ、緊急の場合は光魔法使うからね。)

(ほどほどでお願いします。)


 誰かがいたのか。全く気が付かなかった。ルージュがいるときはまだいいが、離れているときは注意しないとこれが原因で敵の接近に気が付かずに死んだりしたら目も当てられないな。

 とりあえず最後の2本を終わらせますか。

 固定台に最後のフォークとスプーンをセットし土壁に隠れる。レーザーを発動しようかと言うときにちょっと思いついてしまった。

 これ、どのくらいまで細かく加工できるんだ?

 気になる。1回気になったら試さずにはいられない。もし失敗してもフォークとスプーンを買い取ればいいだろう。

 イメージする、センチでもミリでもない、マイクロの加工を。レーザー加工の真骨頂を。

 レーザーを発動。集中だ、出来るはずだ・・・。

 ふぅ、レーザーの発動が終わった。なにか生暖かい液体が口の中に入ってくる。


(うわっ、タイチ鼻から血が出てる。)

「うわっ本当だ。口の中で鉄の味がする。」


 アイテムボックスから出した水で口をゆすぎ、小鼻を手で押さえる。集中しすぎて鼻血が出るなんていつぶりだろう。とりあえずしばらくは抑えたままだな。

 それで結果はどんなもんだろう?

 固定してあるフォークとスプーンを見る。特に何かが彫刻されているようには見えない。失敗したか?


(何してたのタイチ?)

(いや、どのくらい微細な加工が出来るか調べようと思ってやってみたんだけど、失敗したのかもしれない。)

(ふーん、ちょっと見せて。)


 どこに目があるのかいまいちわからないのでとりあえず近くに持っていく。


(へぇ、本当にちっちゃく彫刻できるんだね、ほらそこの柄の部分にあるやつでしょ。)

(あれ、本当?)


 柄の部分をしっかり見てみると遠目には白い点にしか見えないものがある。大きさ的には0.3ミリメートルくらいのものだ。近くでよく見てみると確かに宿の看板の絵のようなものが描かれている気がする。顕微鏡が欲しいな。


(よし、実験は成功だな。)

(でも体には悪そうだね。)


 そうだな、お試しでやってみただけだし急に難易度を上げすぎたのが原因だろうから少しずつ微細加工も練習していこう。

 とりあえずは鼻血を止めるために考える人のポーズで10分くらい待機だ。

レーザーで加工される様子は見ているととても面白いです。

最近では個人でも買えるみたいですよ。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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