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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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初めてのボス

昨日は記念投稿で2話投稿しています。

ご注意ください。

ブックマークしてくれた方ありがとうございます。

「おぉー、これは楽だニャ。」


 ヒナをルージュの荷台に乗せて迷宮を進む。

 昨日の検証の結果、この迷宮を自転車で走っても特に危険が無いことがわかった。罠についてはルージュと一緒に警戒すれば確実に発見できるし、魔物も土魔法で倒せる。

 自転車で迷宮を走るという物珍しさについては、マジックバックを買えない冒険者が小さな荷車を使っているのを見たことがあるし、街中ではたまにバイシクルを見かけるからそのうち皆見慣れるだろう。


 しかし重要なのはそこでは無い。今、私は少女マンガで昔よく見たように二人乗りをしているのだ。これが街中だったりデートだったりするならば嬉しいシチュエーションではあるのだが、あいにくここは迷宮だ。ヒナは革の鎧を着ているしスカートではなくパンツ(もちろんズボンの意味)だ。普通に荷台にまたがっているし、ヒナの胸が背中に当たってやわらかーいというようなドキドキは起こり得ない。非常に残念だが。


「そういえば、ちょっと危ないかもしれない情報があるニャ。」

「なに?またモンスターハウスに引っかかったやつがいて魔物が大量発生しているとか?」

「そうじゃないニャ。昨日6階層以降で魔物の死骸が魔石もとらずに放置されているのが大量に発見されたニャ。昨日1日で冒険者に発見されただけでも広範囲にわたってニャ。もしかしたら新種でも発生したのかもしれないとうわさになっているニャ。ギルドはまだ被害が出ていないから調査する気は無さそうだけどニャ。」

「・・・。ソレハシンパイデスネ。」

「タイチ、なんか焦っているけどどうかしたかニャ?」

「いや、なんでもないよ。」


(ねぇ、僕たちのことだよね。)

(十中八九そうだな。)

(名乗り出ないの?)

(それはやめておこう。)


 別に他の冒険者の邪魔をしたわけでもないし、危険もないわけだから大丈夫だよな。なんか名乗り出て、むやみに注目されるのも危険だし。発見した冒険者は戦いもせずに魔石が手に入るんだからむやみに騒ぎ立てなくてもいいのに。

 よし、次からはメインのルートに近い場所の魔物は倒さずに回避する方針にしよう。迷宮サイクリングは訓練にもなるし、ルージュのストレス発散にもなるからやめるのはもったいない。


「追い越しまーす。」


 前を進んでいる冒険者がたまにいるので声をかけながら追い抜いていく。魔物だと思われて攻撃されてもたまらないからな。後ろから突然自転車に抜かされるとびっくりするのは地球でもこちらでも一緒だ。自転車の利点はこの静音性でもあるのだがそれがデメリットにもなりうるといういい例だ。

 追い抜かれた冒険者のパーティが驚いた顔をしているような気がするが、自転車自体に慣れていないだけだと思いたい。まあそのうち物珍しさも減るだろう。しばらくはヒナとこの迷宮を攻略するから何度もすれ違ったりするだろうし。罠と魔物に気を付ければこんなに走りやすいのだ。そのうち真似する冒険者も出てくるに違いない。


「そういえば、やっぱり10階層のボスについては教えてくれないの?」

「お楽しみニャ。」

「うーん、事前情報があった方が安全だと思うんだけどね。」

「まあ、タイチなら大丈夫ニャ。」


 やっぱり駄目か。何度か聞いてみたのだが、いつもお楽しみと言う事で教えてもらえない。まあ、本当に知りたければギルドで情報を集めればいいのだが、せっかくヒナがお楽しみと言っているのだ。それを無視するのも人情味がない。本当に危険があるならさすがに教えてくれるだろう。


「よし、着いたニャ。やっぱりバイシクルは速いニャ。私も買おうかニャ?」


 3時間くらいで10階層の入り口の階段前まで着いた。1,2階層は冒険者が多いため歩いたのでちょっと遅くなったが、それでもこの早さは異常だろう。シティサイクルモードのルージュでこれなのだからクロスバイクモードならもっと早くなるはずだ。


「迷宮を走るなら罠と魔物に注意してね。」

「そうだニャ―。タイチくらい索敵と罠察知が出来る冒険者ならいいけど、実力のない冒険者が使ったら普通に罠とかにかかりそうだニャ。」

「まあ、ヒナなら大丈夫じゃない?」

「遠距離攻撃の手段があんまりないから現実的ではないニャ。やっぱり無しニャ。」


 残念だ。仲間が増えるかなと思ったのだが。

 確かに遠距離から攻撃できる手段が無いと魔物と遭遇したらいちいち降りて戦わないといけないから今回のような高速走行は無理だ。道中は土魔法で魔物を処理していったし。もちろん自転車仲間は無理に増やすものではないし、危険のない場所で使ってもらった方がバイシクルも長持ちするだろうから仕方がないな。


「じゃあそろそろ行くかニャ。」

「ヒナはどうする?戦う?」

「今回は見ておくニャ。」

「じゃあ、ちょっと気合を入れますか。」

「うーん、気合を入れるほどの事じゃないと思うニャ。」


 なにかヒナが小さな声で呟いていたが、階段を降りる音にまぎれて聞き取れなかった。階段を降りきるといかにもこの奥にボスがいますよー、とでも言うような4メートルほどの大きな扉が目の前にそびえたっていた。

 ゴブリンのような魔物と人が戦っている様子や幾何学的な模様の彫刻がされており、非常に繊細で見事だ。でもこの扉を開けるのは力が要りそうだ。そうか、この扉を開けられないものは挑戦する資格が無いと言う事か。


「すごいね、なんか正にボス部屋って感じだ。」

(楽しみだね、タイチ。)

「まあ、これから何度も見ることになるんだからほどほどにするといいニャ。」


 そういえばそうだな。これから11階層以下を攻略するためには毎回ここを通らなくてはいけないし、毎回ボスと戦う必要があるんだよな。そう考えるとちょっと面倒だが、この素晴らしい彫刻を見られたことで迷宮に潜ってよかったと十分に言える。20階層と30階層の彫刻も楽しみだ。

 腕まくりしながら扉に近づく。あまり力には自信はないが初心者用の迷宮なら私の力でも開けることは出来るだろう。この扉の奥にはきっとミノタウロスとかがいて死闘を繰り広げるのだ。

 いくぞっと気合を入れ扉に触れた途端、扉がゴゴゴゴという音とともに開いていった。


「自動かよ!!」

「なに言ってるニャ。当たり前ニャ。」

「扉の重さも開けられない冒険者を選別する役目とかは?」

「そんなものは無いニャ。」


 うわー、気合を入れたのが馬鹿みたいだ。しかも腕まくりまでしてるし。魔物とか罠については調べたがこんなことまでは調べきれなかったな。

 まあ、いいや。本番はこれから先のボス戦だ。扉が少しずつ開き、だんだんとボスの姿が見えてくる。

 んっ?


「ねぇ、ヒナ。ボスってコレ?」

「そうニャ。だからお楽しみって言ったニャ。」


 ああ、コレか。確かにヒナがお楽しみって言うわけだ。

 そこにいたのはゴブリンナイトとボブゴブリンが一匹ずつと10匹のゴブリンだった。

 そっかー、そうだよな。初心者用迷宮の最初のボスが強いわけないんだよな。昨日の夜から自分より大きい相手の場合とか、ダートが通用しない場合などいろいろ想定して準備しておいたんだけどな。扉の前で腕まくりして気合も入れたんだけどな・・・。


 お前たちじゃないんだよ!!


 しばらくの間、ボス部屋にはダートの飛ぶヒュンヒュンという音とゴブリンたちの悲鳴のみが響き渡った。

初心者用迷宮にミノタウロスとか出たら攻略不可能ですよね。

というか初心者用迷宮じゃなくなりますもんね。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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