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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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コボルト

新たにブックマーク頂きました。

ありがとうございます。

「じゃあ今日から6階層以降を探索する予定だけど6階層から出てくる魔物ってコボルトでいいんだよね。」

「そうだニャ。6から9階層についてはコボルトかゴブリンが出てくるニャ。」


 コボルトと言うのはイメージ的には狼男の小っちゃいバージョンだ。狼男と言うとものすごく強そうなイメージがするのだが実際にはゴブリンよりは強いけれどやはりザコ魔物扱いらしい。まあ本とヒナに聞いただけの情報なのでイメージでしかないのだが。


「確か集団戦闘が得意でナイフを持っているから接近戦は注意が必要だったっけ。」

「そうだニャ。どちらかと言えばウルフ系の魔物と戦い方が似ているニャ。ナイフは持って帰れば多少のお金になるニャ。逆に毛皮はあまり人気が無いニャ。」

「なんで、人気が無いの?」

「この暑い時期に毛皮なんて着ないし、装備に皮を使うならもっと頑丈な魔物を使うニャ。」

「しょせんはザコってこと?」

「そうだニャ。」


 やはり初心者迷宮の低階層に出てくる魔物は不人気魔物が多いみたいだな。まあここでLvアップしてもっと効率がいいところまで行くための準備段階ってことだろう。


 あっ、罠発見。


「ヒナ、ちょっと罠発動させてくる。」

「わかったニャ。」


 土魔法で土壁を作り、ダートを投げて罠を発動。あっ、ここは矢だったっけ。まあいいか回収しておこう。


「昨日からタイチは何やってるニャ?ボス戦の切り札って言ってたけどニャ。」

「うーん、まだ数が集まってないし使えるかどうかも確証がないから成功したら教えるよ。」

「わかったニャ。楽しみにしているニャ。」

「まあ、そうしておいて。そろそろ6階層だ。」


 6階層への階段を二人で降りる。今までに比べると冒険者の数が明らかに少ない。ゴブリンとコボルトの間には大きな差があると言うことか?

 そのためだろうか、降りた部屋の右隣の部屋に魔物の反応がある。数は3匹。コボルト2匹にゴブリン1匹だ。


「すぐ右の部屋にコボルトとゴブリンがいるみたいだね。数は合計3匹。」

「ゴブリンとコボルトが一緒にいるなんて珍しいニャ。」

「普通は無いの?」

「基本的にはそれぞれの種族で固まるニャ。まあ、まれにないことも無いニャ。」


 まあ、一応注意しながら戦ってみますか。


「とりあえず一度戦ってみるよ。まずはダートの実験からだな。」

「わかったニャ。後ろで見てるニャ。」


 ヒナは物わかりが良くて助かる。実験にも付き合ってくれるし。


「よいしょっと。」


 敵に気付かれる前にダートを投擲し、ゴブリンの目を貫く。ゴブリンはそのまま倒れた。すぐにコボルトがこちらを振り返り走ってくる。あっ、狼男じゃない。何というか二足歩行する中型犬だ。もちろん体は人間のような骨格をしているので普通に走ってくる。違和感が半端ない。手には刃渡り15センチほどのナイフを持っている。

 あっ、すごいな。直進じゃなくて弧を描いて一度に襲いかかれるように工夫しているな。ここら辺がゴブリンと違うところか。そう考えるとゴブリンって本当にザコなんだな。


 左右から迫ってくるコボルトに対して、片方は目を狙い、片方は心臓を狙ってダートを投擲する。特に防がれるようなことも無くあっけなく両方ともにダートが突き刺さる。そしてそのまま2匹とも動かなくなってしまった。

 あれっ?


「ねぇ、なんかゴブリンよりも柔らかい気がするんだけど。」

「そうニャ。コボルトはゴブリンよりスピードも速いし、連携もするから確実にゴブリンよりは強いけど、皮膚の固さはゴブリンの方が上ニャ。」

「でもあっさりとダートに当たったけど?」

「だからタイチには9階層までは注意する必要は無いっていったニャ。」


 そういえばそうだったな。てっきりヒナが私を過大評価しているものだとばかり思っていたがこの程度なのか。確かにこのくらいならまず負けることは無いだろう。もちろん油断は禁物だと重々承知しているが。


「それでどうするニャ。この階層は飛ばしてしまうかニャ?」

「いや、マップだけは完成させておきたいからとりあえず全部屋回ろう。Lvアップもしたいし、まあ杖の訓練でもしながら進むさ。」


 魔石とナイフと取り、先へ進んだ。

 3部屋ほど進むとさっそく魔物の反応がある。次はコボルトのみ4匹だ。


「じゃ、ちょっと行ってくる。」

「行ってらっしゃいニャ。」


 杖を持ち4匹に向かって走り出す。普通ならこんな無謀なことはしない。1対4では勝ち目などない。しかしここのコボルトの強さを考えると1対1ではもう訓練にはならない。ただの作業だ。


「ぐるるるるっ!!」


 接近に気付いたコボルトが周囲を囲むように陣形をとる。やはりゴブリンとは違い連携を考えてくる分訓練になりそうだ。

 一番左のコボルト目がけ杖を払う。鼻っ柱を砕いてふっとばし、その反動を利用して右から襲いかかろうとしていたもう一匹の足を払う。コボルトが足をすくわれ頭から地面に落ちる。そのままその頭を踏み抜きながら次の一匹に突きを放つ。首に突きを食らったコボルトはゲボッと言う音とともに後ろに吹き飛ぶ。飛んできた仲間に驚き一瞬動きが止まったコボルトに対して杖を回転させ上段から打ち下ろす。ごきっと言う音とともに頭蓋骨が陥没した。


 うーん、微妙だ。技の再確認程度なら訓練になるのだがアンさんと比べるとハエが止まるような動きだ。杖の機能を使うまでもなく終わってしまったぞ。何か制約をつけて戦うか?片手ずつとか。

 一匹目のコボルトののどを杖で潰して倒しながら考える。

 そうだ、とりあえず狙う個所を決めて戦うのはどうだろうか?たとえば今回は喉だけを狙うとか、頭だけを狙うとか。突き限定とかにしてしまうと技の繋がりの訓練にならないから意味が無いし。そうするかな。

 集団と戦う時は技の強さよりも流れを考えて戦いなさいというのがアンさんの教えだ。流れを切るときは自分が攻撃を受けない位置になった時だけだ。流れを切るタイミングを誤った時にどうなるかは身をもって十分に承知している。

 ナイフを回収し、魔石をはぎ取りながら結論を出す。


「やっぱりタイチはシーフと言うのはおかしい気がするニャ。」

「何となく言わんとすることはわからないでもないけれど基本はシーフだから。」


 自分でも今のところシーフっぽくないとは思っている。違うんだ、この初心者用迷宮では罠の発見、解除とか宝箱の開錠とかシーフっぽいことが出来ていなくて見せ場が無いだけなんだ。ほらっ、スキル的に見ればシーフっぽいはずだ。


「自分で自分を納得させようとしている気がするニャ。」

「なんでわかった?」


 あっ、そういえば「共感」持ちでしたわ。


「これだけ杖が強いとは思わなかったニャ。それにその杖は特注品かニャ?」

「多分ね。杖術を教えてくれた師匠が昔使っていた1本を貸してもらっているんだ。」

「貸してもらっているって、返さなかったらどうなるニャ?」

「・・・」


 その場合のアンさんの姿を想像し、震える。駄目だ、絶対に殺される。いや、殺されないけれど死んだ方がましな特訓が待っているに違いない。最後の1か月の訓練の日々を思い出す。

 ・・・。


「無理です、メイド長。そんなこと人には出来ません。違います、基準が違いますから、あぁー・・・。」

「タイチ!!戻ってくるニャ、タイチ!!」


 気が付くとヒナの綺麗な目がすぐ近くにあって驚く。いつの間にか座り込んでおりヒナが上からのぞき込んでいた。


「すまなかったニャ。そこまで追い詰められるとは思わなかったニャ。」

「ああ、大丈夫。これが普通だったから。」


 なにかヒナから憐みの目で見られたような気がしたが、気づかないふりをして探索を再開した。

トラウマが無い人っているんでしょうか。

大なり小なり苦手意識があるもののような気がします。

読んでくださりありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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