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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第一章:イーリスの街にて
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はじめでおわり

やっと異世界に行きました。

 ということでやってきました異世界。周りを見渡せば、ほらっ異世界情緒のあるものが・・・って全くないし。ただの草原の中の道の上だし、周りには何もない。道は片方は山へ、もう一方は森へ続いている。


 暖かいし、風が程よく吹いているから気持ちいい。寝転がって一休みしたいところだ。しかし魔王のいるファンタジーな世界。油断すれば直ぐに死んでしまうだろう。


「とりあえず、現状を確認してみよう。ステータス!」


 目の前にパソコンのウインドウのようなものが現れる。


「おぉ、本当に異世界なんだな。どっかの田舎かと思ったのに。」


 ちょっと感動しながら詳細を見ていく。


~ステータス~


 名前:タイチ 

 年齢:15

 職業:-

 称号:-


 Lv:1

 HP:70/70  MP:80/80

 攻撃力:80    防御力:85

 魔力:80     賢さ:180

 素早さ:100   器用さ:130

 運:15


 ―スキル―

 「アイテムボックス Lv1」「マップ Lv1」「知識 Lv1」


 ――

 耐久:100/100

 土魔法 Lv1

 DP:0/0


 すごいな、もし地球でこのシステムがあったらもっと暮らしが豊かになったのではないか。能力が数値で表示され、才能もわかる。適性のある職業にもつける。

 いや、可能性がわかるからこそ選択肢が狭まるのか。才能無くても楽しいことってあるしな。一長一短か。


 とりあえずステータスを見てみたが基準がわからない。知識でわかるかと思ったが各項目の意味は分かるが平均値といった知識はないらしい。

 まあ、Lv1だからしかたがないか。

 全体的に見て体力系が弱くて、思考系が強いといったところか。運が異常に低いが運だけは他と基準が違うと思いたい。同基準でこれだけ低ければ、ここにきてすぐ魔物と遭遇とかもあり得るはずだし。

 スキルも先輩さんおすすめの才能が表示されている。レベルがあるとは知らなかったが。


 ここまでは不安もあるが、納得できる。でも「耐久」「土魔法」「DP」ってなんだ。

 いや、「土魔法」は知識から理解できる。土属性の魔法を扱えるスキルだ。しかし選択した覚えがない。

「耐久」「DP」については知識の中に情報さえない。「耐久」は数値の表記方法からなんらかの耐久値だと思われるが対象がわからないし、「DP」についてはなんなのかさえ不明だ。

 仕切りがあるから通常ではないだろうし・・・、もしかして前の世界の才能か。特殊な方法で異世界に来たから引き継がれたのか?


「とりあえず、わからない部分は経過を見てみよう。さて、どっちへ行くかな。」


 山か森か。あっ、マップなら現在地がわかるのか?

「マップ」と意識してみると自分の周囲の状況が上空から見た感じで目の前に表示される。自分中心に円形になっており表記されている森との距離を考えると半径300mくらいが認識範囲か。もっと広い範囲を見えないか試してみたが無理のようだ。

 森の名前は「イーリス南部の森」。ここから見て北方向にその森があるからこの森を抜ければ「イーリス」という場所には行けそうだ。

 とりあえず目標は「森」を抜けて町に着くこと。町に着けば身の振り方も決まるだろう。

 相棒のクロスバイクにまたがり、森へと漕ぎ出した。


 1時間ほど周りの景色を見たり、人に会わないかと注意していたが景色は変わり映えしないし、人にも会わない。

 発見と言えば「マップ」に今まで表示された範囲を記録できる機能があるのがわかったくらいだ。今だと最初の地点から森の中20キロくらいが記録されている。

 それにしても広大な森だ。先が見えないのがきつい。

 森の中にあるにしては道のでこぼこが少ないから、もっと頻繁に人の往来があるのかと思ったがそんなこともないらしい。


 さて、ここで問題です。走っている途中で重大な事実に気が付きましたがそれはなんでしょう?

 5,4,3,2,1・・・ 正解は、水と食料が心もとないでしたー。

 持ち物は、自分が持っていたものしかないし。今あるのは羊かん 2本、携帯食(バランス栄養のやつ) 1箱、バナナの皮 1本分、水 ボトル半分。

 才能とか選ぶ以前にそっちの方が重要なんじゃないですか、先輩さん。飢え死にします。

 あっ、バナナの実は前の世界ですでに食べてしまっているので皮だけしかないがそこらに生えている草よりは十分美味しそうなので食糧扱いだ。出世したね、バナナの皮。


 水については森なので湧水もしくは川がありそうだが、付近に狐が住んでいたりして病気になったら困る。死んでしまうし。お湯を沸かせないっていうのがネックだな。生水を飲むのは最悪の状況になるまでは回避だ。

 リミットは移動することも考えれば1日か。短っ。でもこの1時間、誰にも会っていないことを考えると誰かに会うまで動かないのは愚策だ。捜索願が出ているわけもないし。

 ベストな方法と言えば疲れない範囲でなるべく早くこの森を進むことだけだ。



 ってそう思っていた時期が私にもありました。今は全力でペダルをこいでいる。おそらく時速40kmくらいで逃走中だ。

 なにから逃げているかというと野犬の群れだ。いや正しくはフォレストウルフというらしい。狼やん。


「知識」によると


 <フォレストウルフ>

 森にすむ狼の魔物。集団で暮らし、リーダーの指揮のもと狩りを行う。

 個体クラス 8級 集団クラス 7級

 肉は筋が多くそのまま焼くと美味しくないが、煮込むとそれなりに食べられる。


 知識によると級は10級が最低らしい。自分がどの程度かはわからないが、Lv1が相手にしていい魔物ではないだろう。

 最初に異変に気が付いたのはマップ上に赤い点が増えていったためだ。姿は見えず足音だけが増えていき、そしてずっと並走してくる。

 その赤い点が10を超えたころ、ちらっと姿が見えた。野犬だ、っと言う事で全力逃走開始。

 前の世界でも野犬の群れに山で追われたことはあるが、比較にならない迫力だ。


 とりあえず全力でペダルを踏む。段差を見ながら適切なコースを選んでいく。一歩間違えればその先は死だ。綱渡りのような鬼ごっこが続く。

 ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、という自分ではない息が聞こえる。草を踏み分ける集団の足音が聞こえる。

 これが狩られる獲物の感覚か。日本では感じたことのないいやな感覚だ。判断を誤れば即死、そうでなくても死の危険性が高い。どこまで集中力が続くだろうか。


 しばらくしてマップが森の終わりを表示する。よし、あと少し頑張れば逃げ切れる。体力も何とかもちそうだ。

 森の出口から光があふれている。もう、ゴールしてもいいよね。

 ゴール!

 そんな感じでやっとイーリス南部の森を抜けた。



 森を抜ければもう大丈夫だと思っていた時期が私にもありましたー。そうだよね、フォレストウルフだからって森から出れないわけないよね。

 死の鬼ごっこはまだまだ継続中だ。というかより死に近くなった。

 助かると気が緩んだ後に再度、全力が出るわけがない。体力も限界に近い。


 心臓の音が聞こえる、足がつりそうだ。視界が狭くなり何も考えられなくなっていく。あぁ、これは限界が近いな。ハンガーノックの症状だ。栄養補給せずにここまで無茶をすればこうなるのは当たり前か。

 こちらに来て1日で死亡か。最短記録かも知れないな。手紙に偉そうにこちらで待ってるなんて書いておきながら情けない。


 もう、ほとんど地面しか見えない。走っているのかさえわからない。こんな時でも「マップ」は見えるんだな。赤い点が5メートルくらい後方にいる。

 私の死神は狼でしたってか。笑える。

 もう反撃することもできない。せめて苦しまないように首から噛んでくれればいいな。無理かな。


 死にかたを考えていると「マップ」上に白い点が3つ表示される。まずい、人間かもしれない。普通はいないであろうフォレストウルフをここまで連れてきてしまったのは自分だ。他人に迷惑はかけられない。


「逃げろー!!」


 最後の力をふりしぼり、精一杯の大声を出す。そして体が倒れる衝撃を受けたような気がした後、私は意識を失った。

 私が食べられているうちに3人が逃げられますようにと願いながら。

読んでいただきありがとうございます。

よろしければ感想、誤字指摘などよろしくお願いします。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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