お宅訪問
昨日は記念投稿で二話投稿しています。
ご注意下さい。
いつか24時間連続投稿とか面白いものをしてみたいものです。
ギルドへ戻ると職員が走り回っていた。
「初心者用迷宮の2階層で大量のゴブリン及びボブゴブリンを確認。調査及び討伐依頼を出します。6級以上で受けられる方いらっしゃいませんか?」
もう情報が伝わっているのか。依頼については数人の強そうな冒険者が向かっていったのでおそらく大丈夫だろう。
そのままギルドの受付へ向かう。
「ミアおばさん。お疲れニャ。魔石の買い取りをお願いするニャ。」
「ああ、あんた無事だったのかい。今日は迷宮に行くって言っていたから心配していたんだよ。」
「さっきのゴブリンの大量発生のせいニャ?」
「そうだよ、おそらくはモンスターハウスの罠にかかった馬鹿がいたんだろうけど1年前くらいの時みたいに異常繁殖の可能性も捨てきれないからね。」
1年前くらいの異常繁殖?これがジンさん達が巻き込まれた厄介ごとか?
「モンスターハウスにかかった馬鹿な冒険者ならこいつらニャ。」
ヒナが4枚のギルド証を取り出し、カウンターの上に置く。
「あんた、現場にいたのかい?」
「違うニャ。私は宝箱は放置したニャ。後から入ってきたそいつらが罠に引っかかったニャ。おかげでタイチと一緒にゴブリン50匹とゴブリンナイト1匹と戦う羽目になったニャ。」
「じゃあ、もうほとんどは倒しているわけだね。」
「たぶん、そうニャ。」
「とりあえず、調査と討伐はこのまま依頼を出しておくべきだね。二人とも奥で話を聞かせてもらうよ。」
ミアさんに連れられて奥の部屋へ入っていく。そこでギルドの男性職員1人を加え、4人でことの経緯を話していく。主に質問するのはミアさんで男性職員は記録をとっているようだ。
ヒナが正直に私をストーキングしたことを伝えてミアさんにあきれられていた。
後日、今回の調査と矛盾点が見つからなければ討伐の報奨金がもらえるそうだ。もらえるものはもらっておく主義なのでそのまま了承した。
話し合いが終わり、ゴブリンの魔石112個を売却した。数に多少驚かれたが、それはなぜもっと下の階層に行かないのかというあきれのこもった驚きだった。出来る人はいるが、下の階層の方が効率がいいらしいのでする人はいないようだ。あくまでゴブリンはザコあつかいだ。
そのまま掲示板を見に行ってルージュと走れるような依頼がほとんどないことに(主にルージュが)がっかりしながら、そのまま宿に帰ろうとした。
「ちょっと待つニャ。」
タイチ はにげだした! しかし、まわりこまれてしまった!
自然にフェードアウト作戦は失敗したようだ。
「なんですか、ヒナ。」
「ちょっと相談があるからついてきてほしいニャ。」
「お断りします!!」
「なんで速攻断るニャ。話ぐらい聞いてほしいニャ。」
「だってヒナと話した感じから厄介ごとの匂いしかしないし。」
モンスターハウスの発生を知らせてくれたり、討伐を協力してくれた恩はあるが、ストーキングされたし、ヒナの態度を考えると面倒なことに巻き込まれかねない。ジンさん達の件が片付くまでなるべくトラブルは避けたい。
「どうしてもかニャ?」
「どうしてもです。」
「はぁ、仕方ないニャ。10か月前の事件について詳しく教えるニャ。」
ギクリとした。なんとか表情には出していないつもりだが確証が持てない。
「何のことですか?」
「タイチ意外とわかりやすいニャ。まぶたがピクピク動くニャ。」
(そうそう、それ癖だよね。)
(ルージュ、うるさい。)
「さっきミアおばさんが10か月前の事件の話をしたとき、タイチの表情が一瞬変わったニャ。すぐに戻したみたいだけど私にはわかるニャ。」
あの一瞬の表情の変化を読んだのか。厄介な特技だな。
しかしこのまま別れるのもまずい状況だ。下手にごまかしてヒナがこの事件に興味を持ってしまえばヒナに危険が及ぶかもしれないし、それに合わせて芋づる的に私の情報が洩れるかもしれない。まあ、妥協して考えれば努力もせずに情報源が見つかったのだ。これを利用しない手はない。
「わかりました。こっちもいろいろと事情があってね。とりあえず協力できるかどうかは事情を聞いてからでもいいですか?」
「それでいいニャ。それと年も近いし口調を崩してほしいニャ。」
「わかった。努力する。」
「じゃあとりあえず話をするために私の宿へ行くニャ。」
「そこら辺の店じゃダメなのか?」
「お金がもったいないニャ。」
「さいですか。」
ヒナの後について歩いていく。なんとなく2人とも言葉少なだ。
(そういえば、タイチ初めて女の子の部屋に行くんじゃない?)
(あれっ、そういえばそうなのか?だけどワクコの工房とかに行ってたぞ。)
(工房はノーカンでしょ。言ってみれば職場だし。)
(そうなのか?なんかそう考えるとちょっと緊張するな。)
ちょっと行動はアレだがヒナは間違いなく美人だ。通った鼻筋、切れ長の目、体は剣士だからか筋肉質だが男性とは違い、しなやかな筋肉だ。そのうえ胸もDくらいあるし、お尻もプリッとしている。元の世界で道を歩いていれば振り返る人が続出するであろうというくらいの美少女だ。
私は前の世界から考えても恋愛経験というものがほとんどない。学生の頃は幼馴染といつも遊んでというか面倒を見ていてそれが楽しかったので特に恋愛に対して興味が無かったし、大学で1年ほど彼女と付き合ったがなんとなく別れてしまった。就職してからは仕事に忙殺されそんな暇は無かった。
あれっ、今までなんとも思わなかったけれど、そっち方面すごく悲しい人生送っていないか?いや、一時期だけでも彼女がいたから恵まれている方だよな、うん。
なんとなく自分を励ましながらついていくと、どうやら目的の宿に到着したようだ。
木の下に猫がいる看板。
うわぁ、見たことあるなぁ。具体的に言うと今朝見たくらい見たことあるよ。
ヒナは止まることなくそのまま中へ入っていった。
「ただいまニャ。」
「おかえりなさいですよ。ヒナお姉ちゃん。タイチさんもおかえりなさいですよ。」
「ただいまモカちゃん。」
「なんニャ。タイチとモカは知り合いかニャ?」
「ほら、1階に新しく泊まり始めた人なのですよ。今朝の匂いの原因なのですよ。」
「あぁ、だからタイチは焦げ臭かったのかニャ。おかげでつけやすかったニャ。」
よし、部屋に戻ったら換気と掃除をしよう。
「それでモカ、食堂は空いているかニャ?」
「うん、今の時間なら特に何も使ってないですよ。」
「じゃあ、ちょっと借りるニャ。」
どうも女性の部屋を訪問するという希少なイベントはスルーされたみたいだな。いや、全然残念じゃないよ。だってヒナの部屋だし。全然残念じゃないし。
自分の中の何かと戦いながら食堂に入る。いつも自分が座っている席に座り話そうとしたが、ヒナは奥の厨房の方へ入っていくと手慣れた感じでお茶を用意し対面に座った。
「まあ、飲むニャ。」
「ありがとう、ずいぶん手馴れてるね。」
「まあここも4年目だからニャ。」
モカちゃんの言っていた長期滞在者の1人はヒナだったわけだな。ヒナが入れてくれたお茶をすする。ちょっとほっとする味だ。
「それで何か相談があるって話だけれど。」
「そうなんだけれどニャ。」
ヒナはどう言うべきか悩んでいるようで考え込んでいる。
「とりあえずしてほしいことを、結論だけ教えて。」
「わかったニャ。タイチ、私と一緒に3か月以内に初心者用の迷宮を踏破してほしいニャ。」
女性の部屋を訪問するとなると何もないのになぜかドキドキします。
男のさがなのでしょうか。
読んでいただいてありがとうございます。




