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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
50/181

命の価値

記念投稿のため本日二話目です。ご注意下さい。

グロ表現があります。

嫌いな人は死体関係の話が出てきたらしばらくスキップをお願いします。

記念すべき50話で初めてのグロとは思いませんでした。

「なんでそう思ったニャ?」

「いろいろと理由はありますが、一番大きい理由は先ほどのゴブリンナイトを一刀のもとに切り伏せたことですね。1対1ならボブゴブリンに勝てるくらいの実力では無理でしょう。」

「まあ、そうだニャ。」


 理由は他にもある。無駄に高いストーキング能力だったり、マップ上で背後から接近してきたゴブリンの反応がすぐに消えたこと、今回のゴブリンとの戦闘においてもかなりの余裕をもって戦っているように見えた。


「この程度の敵なら協力しなくても一人で殲滅できたのでは?」

「それは君も一緒のはずだニャ。」

「いえいえ、買い被りです。」


 ダートと魔石を回収しながら答える。

 アイテムボックスを使えば簡単に殲滅できただろうが、それ抜きならなかなか面倒くさいことになっていたはずだ。


「とりあえず、脱出するかニャ。」

「残りはいいんですか?あと半分くらいはいるはずですが。」

「冒険者は自己責任だから別にいいニャ。この辺りにはあまり冒険者は来ないし、メインの道付近なら下の階層へ向かう冒険者がいるはずニャ。ゴブリン50匹にボブゴブリン程度ならけがはしても死人はよほどでないはずニャ。」


 確かにこのくらい外れたところに来るのは物好きな冒険者くらいだろう。私とか、ストーカーとか、あのパーティとか。


「そういえばあのパーティどうしますか?」

「たぶん死んでると思うけど一応見に行くかニャ。宝箱もあるしニャ。」


 二人でモンスターハウスのあった部屋に向かう。


「そういえば自己紹介がまだだったニャ。ヒナニャ。6級の剣士だニャ。」

「タイチです。8級のシーフです。」

「あれだけの魔法を使うのに魔法使いじゃないのかニャ。職業詐欺だニャ。」

「魔法はあくまで補助ですから。」


 職業は微妙なんだよな。一応シーフなんだが魔法も使うし、杖も使うし、アイテムボックスで圧死もさせるし。何でも屋といった感じだ。もちろんそんな職業は無いが。


「ところでヒナさんはどうして私をつけていたんですか?」

「ヒナでいいニャ。やっぱり気づいていたかニャ。なんか戦い方に違和感があったから、もしかしたらと思っていたニャ。」


 しまったな。見ないように、見せないようにと意識しすぎて逆に不自然になったか。


「列で待っていたら面白いことをする奴がいるなと思ってニャ。最近行き詰っていたし、興味があったからつけてみたニャ。」

(やっぱり本命だったね。)

(そうだな。)

「それで何か収穫はありましたか?」

「とっても面白いものを見つけたニャ。」


 ヒナの目がキラキラと輝いている。あっ、これは猫がおもちゃを見つけたときの目だ。なにか厄介ごとに巻き込まれそうな雰囲気だな。ここから出たら自然にフェードアウトする方向で行こう。


「あー、やっぱり死んでるニャ。」


 モンスターハウスの部屋にはずたずたにされた3人の固まった遺体と少し離れたところに1人の遺体があった。1人の遺体の方は残っている装備からしてあの話していた冒険者だろう。

 まあ、腸などの内臓がはみ出していたり、血の海だったりして凄惨な光景ではあるのだが思ったよりもショックが少ない。そうか、新鮮な遺体はそんなに匂わないんだなと言うのが正直な感想だ。


 死体で思い出すのは前の世界の夏の日だ。独居老人の家。出てこない老人。裏庭から見えた体中がウジにまみれたぐちゃぐちゃの何か。ガラス一面の黒い物体は張りついたハエの大群だった。

 そして何よりもあの匂い、人が腐った匂い。警察の事情聴取で半日くらい経ったのに鼻にずっと残って食事も食べられなかった。警察官に鼻うがいを教えてもらって何とか匂いが和らいだ。

 服はすべて捨てた。

 一緒に行った同僚は翌日に辞表を提出した。


 あの時に比べればどおってことない。この死体よりパニック映画などで殺された人の方が見た目はもっと気持ち悪い。まあ仮想と現実の違いはあるが。


「意外と冷静だニャ。」

「ああ、死体を見るのは初めてじゃないですから。」

「そうかニャ。」


 ヒナはそれ以上何も聞かなかった。

 その時、遺体が装備ごと消えた。血だまりなども消え、後にはギルド証のみが残っている。


「迷宮は遺体も装備もなんでも飲み込むニャ。ギルド証はなにか特殊な処理がしてあるらしくて、これだけが残るニャ。」

「何でもと言うことは食料なども床に置いたら飲み込まれると言うことですか?」

「いや、捨てられたりして所有者がいないものや、死んだ人が持っていたものだけニャ。」


 ヒナがギルド証を拾いながら答える。やはり迷宮は不思議な空間だ。もし迷宮の秘密を解明するならその辺りにヒントがありそうだな。


「ギルド証を遺族にでも渡すんですか?」

「違うニャ。ギルドに持っていくと報酬がもらえるニャ。」


 そっちでしたか。


「それにもし自分が死んだときは誰かにこうして欲しいと思うからニャ。」


 一瞬でも金かよって思ってごめん、ヒナ。


「それじゃあお待ちかねの宝箱だニャ。タイチはシーフだから開錠できるのかニャ?」

「一応。罠も復活していないみたいだし試してみます。ヒナは周囲の警戒をよろしく。」


 カバンからピッキングツールを取り出し作業に取り掛かる。そこまで複雑な構造もしていないし大丈夫だろう。

 予想通り6分程度で鍵は開いた。


「じゃあ、早速開けてみるニャ。」

「ちょっと待って下さい。開けるときの罠もあるかもしれないから。」

(ルージュ、よろしく。)

(りょーかーい。)


 ルージュに万が一罠が発動したら、最速で土魔法を使って防御と私自身の跳ね飛ばしをお願いする。アンさんの訓練時からの約束事項だ。

 外観良し、軽く叩いていき音の変化調べる。よし大丈夫。少し隙間を開けても罠が発動しそうな様子は見えないし、隙間からのぞいても罠は見当たらない。大事を取ってその隙間に板を差し込み1メートルほど離れたところから、てこの原理を利用して宝箱を開ける。特に罠は発動しなかった。


「そこまで慎重にする奴は初めて見たニャ。」


 ヒナが若干あきれ顔で私を見る。


「罠があるかもしれないのに油断する方が馬鹿みたいでしょ。」

「まあニャ。」


 宝箱の中にはフラスコのようなガラス製の瓶に青色の液体が入っていた。


「マナポーションニャ。」

「MPを回復するポーション?」

「そうだニャ。魔法使いの必需品で大体、大銀貨2、3枚と言ったところニャ。」


 あの冒険者たちは日本で言えば2,30万のために命を失ったのか。少なくとも私は命と同じ価値をこのマナポーションに見出すことは出来ないな。


「とりあえずタイチに預けておくニャ。魔法を使うなら万が一の時に必要ニャ。」

「ヒナはいいんですか?」

「ゴブリンナイトの魔石ももらったし、ギルド証もあるから別にいいニャ。それじゃあそろそろ脱出するニャ。」


 2人で残りの50匹とボブゴブリンに遭遇しないように気を付けながら迷宮を脱出した。

鼻うがいは風邪をひきにくくする効果もあるらしいですよ。

実際の検証データまでは知りませんが。

読んでいただきありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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