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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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はじめての宝箱

なんとブックマークが増えて総合評価が100ポイント超えました。

ありがとうございます。

と言うわけで今日も記念投稿で二話投稿します。

二話目はおそらく18時くらいに投稿予定です。

(やはりペースが落ちるな。)

(仕方がないよ。変なものを見られるよりはいいでしょ。)


 確かにアイテムボックスを見られてその話を広げられるとまずいことになるかもしれない。アイテムボックスが便利すぎてそれを利用した戦術を多くとってきたので他の方法も考えないといけないな。

 ダートと杖を使った戦術を考えながら進む。


「おぉー、宝箱発見。」


 思わず声がでる。迷宮の初宝箱だ。


(どうする、開ける?)

(うーん、すごく迷うな。)


 部屋の中央の台座の上にぽつんと置かれた宝箱だ。ここには罠がありますよと言っているようなものだ。

 その証拠にマップを見るとこの部屋の壁の向こうに空間があって魔物が100匹以上ひしめいているのがわかる。いわゆるモンスターハウスという罠だろう。

 モンスターハウスはアンさんに特に注意するように伝えられた罠だ。訓練はさすがに出来なかったが話だけは聞いた。宝箱などの開錠に失敗すると周りの壁が開いてモンスターが飛び出してくるのだ。


(この階層の宝箱の開錠を失敗するとは思えないけれど万が一があるからな。)

(えー、せっかくの宝箱だよ。)

(ほかにフォローが出来るような仲間がいればいいんだが一人でこの数はきついって。)

(ざんねーん。あっ、そうだ。ストーカーさん呼べばいいじゃん。)

(いや、普通に考えて呼ばれても来ないでしょ。)


 ルージュと話しながらマップで魔物を調べていく。ほとんどが普通のゴブリンなのだが少しだけ大きい点が二つある。

 もしかしてと調べてみるとゴブリンナイトとボブゴブリンがいるみたいだ。


<ゴブリンナイト>

 剣士の能力を持ったゴブリン。普通のゴブリンに比べ良い装備をしていることが多く通常のゴブリンを指揮する能力がある。

 個体クラス:8級  集団クラス:6級

 肉はゴブリン同様うまくなく、食べられたものではない。


<ボブゴブリン>

 ゴブリンの上位種族。ゴブリンとは違い黄土色の体をしている。体格はゴブリンよりも一回り大きく簡単な罠を見破るなど多少知能が高い。

 個体クラス:8級  集団クラス:6級

 肉は10時間程度香草とともに煮込めば臭みが取れるため食べられないことも無い。


 久しぶりに知識さんに出てもらった。相変わらずの謎の料理情報も載っている。しかしこの階層では初めて見る魔物だ。モンスターハウスはこの階層に出てこない魔物も出てくるのかもしれないな。

 ゴブリンナイトの能力がまずいな。今までのゴブリンはただ単にこちらに向かって直線的に走ってくるだけだったが指揮能力があると言う事はある程度の戦術もとってくるのだろう。100匹の戦術に基づいて動くゴブリンか。なりふり構わなければ何とかなるかもしれないがリスクが大きすぎるな。


(よし、ルージュ、宝箱は諦めよう。)

(そっかー。)


 ルージュがとても残念そうにしている。気持ちはすごくわかるんだよ。でもこれはリスクが高すぎる。それに2階層の宝箱なんていいものが入っているわけがない。

 自分自身に言い聞かせながら先へ進む。


 しばらくしてストーカーさん以外の冒険者とすれ違いそうな感じだ。数は4人。曲がり角を曲がれば見えるだろう。


(ルージュ一応警戒を。)

(りょーかーい。)


 曲がり角を曲がった先には男3人、女1人のパーティが歩いていた。


「こんにちは。」

「よぉ。」


 軽く挨拶をしながらお互いに様子を見る。武器を持っている手に力が入っているところを見るとあちらも警戒しているようだ。


「こっから先は行き止まりだぜ、罠もあるし行ってもしゃあねえと思うぞ。」

「ありがとうございます。2階層のすべての部屋を回ろうと思っていますので一応行ってみますね。」

「てめぇ、俺の話が嘘だって思ってやがるのか?」


 なんでそうとらえる。話していた男の冒険者の態度が急変したので実は奥の部屋に何かあるのかと思ったが他の冒険者の態度を見ると何もなさそうだ。


「違います、違います。迷宮に潜り始めなので迷宮の感じをつかむためにも罠とかを調べたりしているんです。」

「そういう事かよ。そういうことは早く言えよ、ガキが。」


 うわー、めちゃくちゃ態度悪いな、この冒険者。仲間も止めないから同じような感じなんだろう。イーリスのギルドでもこんな冒険者いなかったぞ。まあ、あそこのギルドではほとんど図書室にいたからあまり他の冒険者と会ったこと自体がないけれど。


「それでは行ってきます。ここをこのまま直進した部屋に宝箱がありますが、モンスターハウスのトラップがありますから開けない方がいいですよ。」

「ああ、わかった。」


 注意せずに開けられてそれに巻き込まれるのはごめんだ。

 少しの距離を離したまますれ違う。こういう冒険者もいるんだと勉強になったと思おう。

 先に進むと確かに落とし穴の罠があり、その先の部屋も何もない部屋だった。ゴブリンの死体が放置されているので先ほどの冒険者パーティが捨てていったのだろう。

 部屋を歩いていると目の前でそのゴブリンの遺体が消えていく。

 話には聞いていたが本当に消えるんだな。矢や槍も消えるしダンジョン内は不思議空間だ。冒険者の遺体も消えてしまうらしいからな。まるでダンジョンが食べてしまったみたいに。自分で自分の想像に寒気を感じながら元の道を戻り始めた。

 その時だった。


「逃げるニャ。ゴブリンの大群が向かってくるニャ。」


 ストーカーさんと初対面した。しかし言っている内容が穏やかではない。


「もしかしてモンスターハウスの罠を発動させたのか?」

「私がするわけないニャ。冒険者4人組の奴らが部屋に入ってしばらくしたら大群が出てきたニャ。」


 あいつらか。せっかく忠告したのになんでそういう頭悪いことしかしないんだ。

 マップで確認すると確かに数十匹の反応がこちらに向かってやってくる。時間的余裕はあと数十秒と言ったところだろう。

 仕方がない。迎え撃つしかないな。奥は行き止まりだしこの危機を乗り越えるには突破するしかない。


「とりあえず一時協力するニャ。私は剣士ニャ。さっきちょっと見たボブゴブリン程度なら1対1なら倒せるけれどあの数のゴブリンは厳しいニャ。」

「私はシーフだ。一応土魔法が使える。広範囲を倒せるような威力のある魔法は使えないけれど。」

「うわー、やっぱりメンバー的に厳しいニャ。入り口の時みたいに地面をへこませたり出来ないかニャ?」

「迷宮内は無理っぽいんですよ。」

「万事休すニャ。」


 二人で奥の方へ逃げながら作戦を練る。ゴブリンたちは一直線にこちらへ向かって来ているようだ。迷いが無いな、指揮されている影響か?

 実際アイテムボックスを利用してならこの危機を突破する自信はある。しかしこのストーカーさんを信用することはできない。別の手を使うしかないな。


「私に作戦があります。」


 さあ、この危機を脱するためにちょっと頑張りますか。


 全力で土魔法を使い準備を整えてしばらくしたころにゴブリン一行がやってきた。数は50くらい。約半分がこちらに来たようだ。ゴブリンナイトの姿も見える。

 ゴブリンがこちらの姿を見つけ突撃してくる。良かった。ゴブリンナイトの指揮があったとしても基本戦術は突撃のようだ。

 ゴブリンがいい場所にまで来たところでダートを投擲する。ダートが床の黄色いタイルに突き刺さった瞬間、罠が発動し落とし穴に10匹程度のゴブリンが落ちていく。落とし穴の中は基本的に槍かとがった岩があるので落ちたやつは無視でいいだろう。


 ダートを1本失ってしまったが仕方がないことだ。なぜか魔物がトラップを踏んでも発動しないからな。


 ゴブリンナイトが怒ったのか剣を振り上げ突撃命令をさらに出したようだ。ゴブリンが今まで以上に必死の形相で突っ込んでくる。それを壁の上からダートで1匹ずつ殺していく。投げれば当たる状況だがしっかり狙わないと一撃で死なないのだ。

 最初はスピードに乗ってこちらに向かっていたゴブリンたちだが次第にひしめき合ってスピードが落ちてきた。ひどい奴だとぶつかって転んで後ろから来た奴に踏まれている奴もいる。あれは死んだかな?

 こうなっている原因は私が作った壁のせいだ。古くから城を守るために使われていた技術で、道幅をだんだんと狭くしていくのだ。そうすると走ってきた集団はだんだんと詰まり速度が遅くなるのでダートの的となる。よく考えられているよな。日本の城。


「そろそろゴブリンがやってきます。」

「わかってるニャ。」


 さすがにそれだけですべてを排除することなど出来ないのでダートから逃れたゴブリンについてはストーカーさんに対処をお願いしている。別に後ろに守るものがあるわけではないので危なくなったら後退してもらう予定だ。

 ストーカーさんの様子をうかがうとほとんどのゴブリンを一刀のもと切り伏せている。ぅゎストーカーさんっょぃ、って感じだ。ストーカーさんは幼女ではないがな。

 馬鹿なことを考えながらもダートで次々とゴブリンを殺していく。うーん本格的に広範囲殲滅用の手段を考えた方がいいかもしれないな。


 そうこうしているうちにほぼすべての敵を殲滅し、残っているのはゴブリンナイトとその横にいるゴブリン2匹のみとなった。

 ゴブリンナイトが剣をこちらに真っすぐに向ける。


「決闘を申し込まれたみたいニャ。」


 魔物なのに決闘なのか。なんだろう腐ってもナイトということか?ゴブリンだし腐ってないけど。


「受けるんですか?」

「剣士として決闘を申し込まれたら受けないわけにはいかないニャ。」


 ストーカーさんがゴブリンナイトのもとへ向かう。私もその後についていく。


(なんか手に汗握る展開だね。)

(そうだね、でもストーカーさん強いから瞬殺する気もする。)


 完全に観客気分だ。ゴブリンたちも横に離れていった。んっ、なんで後ろじゃなくて横なんだ?

 ゴブリンナイトが剣を構えた状態から振り上げストーカーさんに振り下ろそうとする。ストーカーさんは受ける体勢だが横からゴブリンたちが突っ込んでくる。

 ですよね。

 ダートを2本投擲し邪魔をしようとしたゴブリンを殺す。私がストーカーさんの方を見たころにはすでにゴブリンナイトの頭と胴体がさようならをしていた。


「お疲れ様でした。」

「助太刀助かったニャ。」

「いや、必要なかったですよね。」


 ストーカーさんがにやりと笑った。

宝箱の話と言うよりもモンスターハウスの話になってしまいました。

読んでくださり、ブックマーク、評価、レビューしてくださりありがとうございます。

まさか3日連続で記念投稿するとは思いませんでした。次の記念投稿は200ポイントか20000アクセスか評価の予定なので流石にしばらくは毎日1話投稿が続きそうです。

今後ともよろしくお願いいたします。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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