レーザーの利用方法
昨日は記念投稿で二話投稿しています。
ご注意下さい。
そして今日も二話投稿予定です。ブックマーク、評価ありがとうございます。嬉しいです。
ゴブリンを魔石は結局、銀貨1枚とちょっとにしかならなかった。一匹当たり500円くらいか。弱いから仕方ないが手間のわりに見返りが少ないな。
ゴブリンの体を切り裂いて魔石取らないといけないし。
私の場合は討伐の履歴が付くから無駄ではないけれど、討伐メインにやっている人にとっては邪魔者以外の何物でもないだろうな。
ギルドをでて宿へと向かう。
ジンさん達のことを除けば目下一番の課題は光魔法の強化だ。回復魔法も覚えたいし、レーザーの利用方法も考えないとな。
土魔法は使い勝手がいいし、ルージュに乗るときは常に使っているから自然にレベルが上がっていくが、光魔法はこのままだと全然レベルが上がらないだろうからな。
しかもライトだとたぶん経験値の入りが悪い。土魔法もMP消費の激しい魔法を使っている方がレベルが上がりやすかったからだ。
何かないかなーと思案しながら通りを眺めていく。迷宮都市だけあって武器や防具を扱っている店が多い。道具屋にさえなぜか置いてあるからな。
店頭にはやはり見栄えがいいからだろうか武器に様々な彫刻が彫られた豪華な武器が飾られている。ああやってうちの店はこんな良い商品を置いていますよとアピールするんだな。
彫刻、彫刻か。もしかしたら面白いことが出来るかもしれないな。
道具屋に寄り、20センチ四方の鉄板を買う。今日の稼ぎの半分が飛んだが気にしない。
さあ、早速宿に帰って実験だ。
永遠の木陰亭に帰り、モカに夕食をお願いして食べたらすぐに部屋に戻った。集中したいので部屋には入らないようにお願いしておいたが変な想像はされないよな。
早速鉄板を取り出し実験開始だ。普通は料理に使うものだが実験の礎になってくれ。
考えたのはレーザー彫刻だ。レーザー切断まで出来ればもっと面白いと思うが、あいにくそれを可能にするガスなどない。出来るのはレーザー彫刻までだろう。
原理としては簡単だ。普通なら反射してきた大量のレーザーを集光レンズで一点にまとめその焦点の場所に物を置くことで焦点の場所にあるものを焼くのだ。金属の場合は溶ける。イメージ的には太陽の光を虫眼鏡で集めて黒い紙を燃やすののすごい版だ。
この溶けた金属をガスで吹き飛ばせば切断可能だがそのガスが無いし、それを可能に出来そうな風魔法も習得していない。
魔法はイメージだ。レーザーについては大学でも勉強したので思い入れもある。なんとか使い道を見出したい。
目を閉じて考える。レーザーを放出し、それをレンズで一点に集めるイメージ。
・・・。
・・・。
・・・。
無理だ。レーザーは直進するものと言うイメージが強すぎて何もなしに途中で曲がることがイメージできない。
途中にガラスのレンズでも置けばイメージが沸くだろうか?しかしそのガラスのレンズをいちいち動かすのも大変だから結局無理だな。
うーん、いい案だと思ったんだけどな。レーザーの発振部分は自分の魔法で出来るのだから集光部分さえ何とかできれば同じ原理で出来るはずなんだけどな。
(なんか煮詰まってるね、タイチ。)
(ああ、レーザーの有効利用法を考えていてね、レーザーの数を増やしてそれをある一点で集中すれば金属加工できるかと思ったんだけど、直進するレーザーを屈折させて一点にまとめる集光レンズがうまく再現できなくて。)
(そもそも途中で曲げずに最初から斜めにすればいいんじゃない?)
(えっ?)
(えっ?)
あれっ、そういうことか?別に前世の装置をそのまま再現しなくても集光レンズ以後のレーザーを再現すればいいのか!!
(すごいよ、ルージュ。というか私の考えが凝り固まっていただけか。)
(えっ、あぁ、まあ喜んでくれてよかったよ。)
そうとわかれば早速実験だ。
金属を加工するのだからレーザーは可視光ではなく人体には見えない紫外線領域のレーザーだ。
反射などして自分自身の目に入ったりすると大変なので自分の前に土魔法を使って厚さ5センチほどの土壁をつくり、その向かいに鉄板を置く。
その土壁の向こう側からその鉄板のところで焦点が合うようにイメージしてレーザーを発動する。
ジジジッという音が聞こえる。そのままレーザーを想像した絵の通りに動かすイメージで発動を続ける。
鍋を焦がした時のようなにおいがする。
魔法を終えると慌てて窓を開け放した。
(しまったな。匂いのことまで考えていなかった。)
(うん、怒られないといいね。)
取りあえず窓から匂いが逃げていくように毛布を使って空気を循環させておいた。少しはましになるだろう。
それで結果はっと。
よし、うまくいったようだ。鉄板にはこの宿の目印である木の下の猫がちゃんと刻まれている。
まあちょっと絵が下手なのはご愛敬だ。
規則的な構造とかはうまく書けるのに絵だと下手になるのはなんでなんだろうな。
あっ、そうだ。この鉄板をモカちゃんに貢いでこの匂いの失敗を謝るのはどうだろうか?
何となくうまくいきそうな気がする。そうと決まれば早速行動だ。
8時過ぎになるとモカちゃんたち親子は奥の私室に引っ込んでしまうので呼び出しのベルを鳴らす。
チーンと言う音が受付に響く。
「はいはーい、今行くですよ。」
モカちゃんが奥の扉から出てくる。
「どうしたのですか、タイチさん?」
「すみませんでした!!」
やはり悪いのは私なので日本人らしく90度のお辞儀をする。
「えっと、突然謝られても訳が分からないのですよ。理由を教えて欲しいのですよ。」
「とりあえず、私の部屋に来てくれますか?」
モカちゃんを連れ立って部屋の中に入る。この世界で初めて女性を自分の部屋に、っていってもオーナーの娘さんだが。
「うわっ、なんか焦げ臭いのですよ。」
「はい、ちょっと実験していたらこんなことになってしまいまして。」
モカちゃんが鼻をクンクンさせながら部屋の中を嗅いで回る。あっ、犬っぽいな。
「部屋の中で火を使ったりするのはなるべくやめて欲しいのですよ。火事になったら大変なのですよ。」
「はい、重々承知しています。」
年下の女の子に常識を諭され、さすがにへこむ。
「まあ次から気を付けてくれればいいのですよ。」
「あれっ、何か買い取りとかになったりはしないんですか?」
「タイチさんが宿から出ていくときにひどければお願いするかもですが借りている今なら別にいいのですよ。」
あれっ、なんかこの対応慣れているような気がする。
「もしかしてこういうことは日常茶飯事ですか?」
「えっと、2週間に一度くらいは2階の誰かしらがやらかすので慣れっこなのですよ。」
2階の住人は思ったよりフリーダムな人が多いらしいな。宿の迷惑を考えないという意味で。
「それでお詫びと言っては何ですがこれをお納めください。」
レーザー彫刻した鉄板を渡す。
「おぉー、すごいのですよ。うちの看板なのですよ。ありがとうなのですよ。お父さんに見せてくるですよ。」
言うが早いか部屋から飛び出して私室の方へ入っていった。
「なんとかなって良かった。」
(まあ、この焦げ臭い部屋で寝るのはタイチだけどね。)
そういえばそうだな。よし、今日はMPを枯渇させてそのまま気絶することにしよう。
保護メガネが欲しいところですね。
読んでいただいてありがとうございます。




