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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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ウルフリベンジ

昨日は評価と1ヶ月記念で二話投稿しています。

ご注意下さい。

 シティサイクル仕様のルージュに乗ること7分、だいぶ中心街から離れたところに、木の下に猫がいる看板の宿があった。ここが永遠の木陰亭のようだ。

 こぢんまりとした、良い言い方をすればアットホームな感じで、この世界の宿にしては珍しく一階を食堂として宿泊客以外が使うようなことはしていないらしい。規模からいって部屋数は8部屋くらいか。

 泊まれるのかどうかちょっと不安に思いながら扉をくぐった。


「いらっしゃいませ!!永遠の木陰亭にようこそですよ。」


 犬人族の少女が元気いっぱいに迎えてくれた。黒いしっぽがぶんぶんと振られている。


「すみません、宿泊したいのですが部屋は空いていますか。」

「はい、今は2部屋空いているのですよ。1階に1部屋、2階に1部屋ですよ。料金は同じですがどちらがよろしいですか?」


 ルージュのことを考えると1階の方が楽だな。


「それでは1階をお願いします。料金はおいくらですか?」

「1日2食付きで大銅貨6枚ですよ。1週間、1か月、半年、1年の料金もあるのですよ。長期の方が割引が利くのですよ。」

「それではとりあえず1か月お願いします。」

「料金は銀貨17枚ですよ。大銀貨は使いづらいのであまり使わないでほしいのですよ。」

「わかりました。」


 財布から銀貨17枚を取り出し払う。この子、結構ちゃっかりしてるな。


「そういえば1年の料金があると言う事は長期いらっしゃる方もいるのですね。」

「そうなのですよ、うちの場合3人がもう1年以上泊まっているのですよ。うちの父さんの料理がおいしいからかもしれないのですよ。」


 その話題の父さんが後ろの扉から出てきて少女の頭をぼかっと叩く。


「痛いのですよ・・・。」

「モカ、お客様のことをむやみに話してはダメと何度も言っているでしょう。」

「はいですよ・・・。」

「お客様が嫌がることをしてモカは嬉しいのかい?」

「嬉しくないのですよ・・・。」

「じゃあ、どうしたらいいかわかるかな?」

「皆に謝ってくるですよ。」


 言うが早いかモカという少女は階段を駆け上っていってしまった。


「すみませんでした。私が質問してしまったばかりに。」

「いえいえ、お客様に非はありません。こちらこそお見苦しいところをお見せしてすみませんでした。改めまして、永遠の木陰亭の店主のマタリといいます。先ほどの子は娘のモカです。ようこそいらっしゃいました。」

「ご丁寧にどうも。9級の冒険者のタイチです。1か月よろしくお願いいたします。」

「こちらこそお願いします。ところでタイチさんはこの宿のことをどこで知ったのでしょうか?ほとんど知られていないと思うのですが。」

「イーリスからここまで来るまでの2番目の村の宿の女将さんにお薦めされました。」

「へえ、彼女がですか。」


 マタリさんが興味深げに私を見る。なんだ、何かあるのか?


「そうでしたか、それでは宿の説明に移らせてもらいますね。」


 宿の説明は簡単なもので朝と夕方の食事の時間、食堂の説明、水浴びの方法、門限などについてだった。従業員はこの二人だけだという。


「何かわからない点はございますか?」

「えっと、全く関係はないのですが、マタリさんもモカちゃんも犬人族なのになぜ看板が猫なんですか?」

「猫がかわいいからです。」

「えっ、それだけですか?」

「さあ、どうでしょう。」


 マタリさんは楽し気に笑った。


「それでタイチさんのお仲間はこちらに泊まるのでしょうか?」

「えっと、一人ですけれどなぜですか?」

「迷宮に単独で潜れるのは一番簡単な迷宮でも8級からです。6級以上の冒険者が同行すれば誰でも入れますが。」

「そうなんですか、知りませんでした。情報ありがとうございます。」

「いえいえ、どういたしまして。」


 しまったな、ジンさん達の情報を集める前にとりあえずギルドのランクを8級に上げなければ。

 一応この街での予定は事前に決めていた。迷宮を探索に来た冒険者を装いつつ、情報を探るつもりだった。だからまず迷宮に潜りつつ知り合った冒険者に話を聞くつもりだったのだ。

 いきなり情報を探ったのでは目立つ可能性があるし、貴族が関わった事件なら記憶に残っている可能性が高いからな。

 あとは自分自身のレベルアップだ。ジンさん達が巻き込まれてしかも現状を打破できないと考えると今の私では必ず足手まといになる。少なくとも自分の身は自分で守れるようにしなければ。アンさんからも迷宮で修行することは許可済みだ。


 8級に上がるためには魔物を討伐すればいいはずだから明日ギルドへ行って討伐依頼を確認してみるか。

 とりあえず今日は時間が中途半端だから修業をして早めに寝るかな。




「というわけで街の外へ出たわけだけど。」

(誰に話してるのタイチ?)


 翌朝、ギルドで8級に上がれる魔物の討伐依頼を確認したところフィールドウルフ5体の討伐をお薦めされた。本来であれば7級の依頼だが、常時のため誰でも受けられる。普通のスライムなどでも級は上がるが時間がかかるらしい。

 ウルフ系の魔物にはこちらへ来て早々に襲われるという苦い思い出があるからな。

 今の私が以前の私と同じだと思ったら後悔するぜ。種類は違うけどね。


 ルージュに乗って依頼書に記載のあった通り東方向へ進む。むろん道などないので土魔法を強めに使って道を作っている。後ろを見るとタイヤ一本分の道が出来ているので追跡が楽に出来てしまうな。


(タイチ)

「ああ、居るね。7匹かな。」

(そうだねー。今はウサギを捕食中だね。)


 相手に気づかれないように少しづつ近づく。幸いこちらが風下なので匂いで気づかれることは余りないだろう。

 ダートの射程範囲になったため腰に下げたダートホルダーからダートを取り出し投擲する。


「ちっ、1本外れた。」


 1本は狙い通り眉間に刺さり一撃で殺したようだが、もう1本は急に頭を下げたため首をかすめただけだ。

 こちらに気づいた群れが食事を中止し私に向かってくる。


「近づくまでにどれだけ倒せるかな?」


 次々とダートを投擲していく。こちらに直進してくるので狙いがつけやすい。こちらに来るまでに3頭仕留め、残りは3頭だ。


(囲んで、収納。)


 3頭が走っていた地面が消えそのまま2メートルほど落下する。キャインという声は聞こえたがまだまだ元気そうだ。

 元気とはいえ出てくることは出来なさそうなので実験をしてみることにした。


「ルージュ、シティサイクルに変形して。」

(りょーかーい。)


 それでは検証を開始しますか。


 フィールドウルフに対してレーザーを発動する。

 体に当てただけでは悲鳴さえあげないのでほとんどダメージはなさそうだ。次は目か。

 目に当てると嫌なのか激しく動いて狙いが定まらない。そもそもこいつの場合、嗅覚が発達しているだろうからもし目が見えなくなっても襲ってきそうだな。


 結果としては現状ではレーザーは攻撃には使えない。非常に残念な結果だが、何か他の使い道を考えよう。


「どうもレーザーは現状あまり攻撃にはならなさそうだよ。」

(そっかー。薙ぎ払え、ドーン!!みたいなのは無理なのか。ざんねーん。)


 まあ、ぶっつけ本番で使って意味がなかった時の危険性を考えると今日実験できたことは良かったかもな。


 じゃあ、実験につきあってもらったフィールドウルフさん達、ありがとうございました。そしてさようなら。


 アイテムボックスから先ほど収納した地面を取り出し圧殺した。


 ダートを回収しつつフィールドウルフの死骸をアイテムボックスへ収納していく。ダート自体は武器屋で売っているがワクコの作ってくれたダートのように性能がいいとは限らないからだ。

 圧殺したフィールドウルフはぺちゃんこで口と肛門からグロテスクなものが飛び出していたので本体のみを回収した。今度は何か対策を考えよう。


 ギルドへ行き、無事に8級へ昇格することが出来た。ぺちゃんこになった3匹について不思議がられたが解体がしやすいと歓迎された。

 さあ、これで迷宮に入る資格は手にいれた。明日から本格的に活動開始と行きますか。

レーザー無双はどうもできなさそうです。

読んでくださりありがとうございました。

これを書いている時点でブックマークが20件を超えました。ありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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