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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第一章:イーリスの街にて
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魔法の実験

 体内の魔力が分かるようになって3日が過ぎた。

 やはり座禅の体勢が私にとっては一番魔力を感じることが出来るらしく、ルージュに魔法を使ってもらいながら流れを感じたり、その応用として自分で動かしたり、手や足に集中したりと言った訓練を行った。

 今では普通の状態でも意識すれば魔力を把握することが出来るようになった。

 アンさんに報告したが特に新しいアドバイスや訓練方法の提示はなかった。何か思惑があるのだろう。


「体内の魔力もだいぶわかるようになったから、いよいよ魔法の訓練をしようと思う。」

(がんばってー。アドバイスいる?)

「いやっ、ルージュの方法は感覚的すぎて私にはわからないからいいかな。」

(ちぇっ、ざんねーん。)


 私はルージュさんみたいに天才肌ではないのですよ。


 とりあえずアンさんにもらったヒントを思い出す。

 国によって使える魔法が違う。これが何を表しているかだな。

 スキルとしてはこの世界で共通の「土魔法」だということはわかっている。それ以外の要素があるということだよな。


 あとはルージュが使っている土魔法。魔法を詠唱しているわけでもないし、特に魔方陣のようなものを書いているわけでも思い描いているわけでもない。

 ルージュのなんとなくこうなれーっていう命令が魔法になっている。


 簡単にまとめてみるか。


 ・詠唱不要

 ・魔方陣不要

 ・魔法は各国によってばらばら

 ・スキルは同じ

 ・思ったものが魔法になる


 こんなところか。そういえば一般的には魔法の習得ってどうやっているんだろう。アンさんに聞いてみるか。



「魔法の習得ですか。一般的には魔法学校に通うことで習得します。各国によって対応は違いますが、魔法関連のスキルを持っている人は無償で入れる国が多いですね。魔法使いは有用ですから。」

「アンさんも魔法学校に行ったのですか?」

「いえ、私は先輩の冒険者に教えてもらいました。才能も有りませんでしたので。」

「後から覚えることが出来るんですか!?」

「出来ますよ。スキルなんて努力次第で何とでもなります。」


 あぁ、アンさん基準の努力か。並大抵のことじゃなさそうだ。一般的には無理と思われているんだろうな。


「ありがとうございました。とても参考になりました。」

「いえいえ、どういたしまして。その教えてもらった先輩の居場所がわかればタイチを指導してもらいたかったんですがね。」


 アンさんにそこまで言われる先輩冒険者か。どんな人なんだろうな。



「ということでわかったことを追加してみよう。」

(えっと、魔法の習得は基本的に魔法学校、スキルが無くても努力次第で覚えられる、だよね。)

「まあ努力の方は気にしない方向にしよう。アンさんだし。」

(そうだねー。)


 学校か、地球でもいろいろあったな。特に大学は高校までとは違い、いろいろな地方から人が集まるので同じ内容でも覚え方が違ったりして飲み会で盛り上がったな。元素記号とか年号とか。

 なかでも一番盛り上がったのがABCの数え歌だ。一般的に思い浮かべるのはキラキラ星のメロディのものだと思うが、ある地方から来た人はラップ調の覚え歌だった。しかも途中に「カモンッ!!」とか入っていたし。嘘かと思ったら本当でしばらくの間グループで流行した。


 もしかして魔法でも同じことが起こっているんじゃないのか。

 各国の学校によって教える内容が違うから使える魔法が違う。

 このスキルではどんなことが出来るのかを研究するのではなく、このスキルレベルではこの魔法が使えると教えるから、その魔法を習得することのみ勉強する。

 その魔法についての研究、最適化は進むが新しい発想が生まれにくい教育だ。

 本当にそのような教育になっているかはわからないが、アンさんのヒントを考えると可能性としてはある。


「ルージュ、ちょっと実験してみるから気づいたことがあったら教えて。」

(りょーかーい。)


 ルージュの言っていた、こうなれって命令すると魔法が使える、という言葉を考えると、ルージュはこうなって欲しいという結果のイメージしかしていない。ならばそれだけで出来るはずだ。


 手に魔力を集め、地面に手を置き地面がへこんだ結果をイメージし、「へこめっ。」と魔力を放出する。

 縦横1メートル、深さ20センチ程度、地面が陥没した。


「うわっ、本当にこれだけで使えた。」

(これでタイチも魔法使いだね。)


 ルージュ、他意はないとわかっているんだが、地球ではあまり言わない方がいい言葉だぞ。

 まあ、それはいいといて早速検証に入ろう。


 使用したMPは5。案外少ないと見るべきか、アイテムボックス5回分だから大きいと見るか微妙なところだ。

 陥没した地面が戻ってくるようなことは今のところないから、魔法が終わってもその結果は残ると言う事か。

 次は壁でも作ってみるか。


 前回と同様に地面に手を置き、土壁をイメージし、「出ろっ」と魔力を放出する。

 結構なスピードで土壁が手の下から出てきて手を弾いた。


「痛っ。」

(大丈夫?)

「あぁ、なんとか。」


 目の前には縦横1メートル、厚さ20センチくらいの土壁が出来ていた。

 陥没させた時も手の真下からしていたが、へこんだだけだから気が付かなかったな。

 消費したMPは5。前と同じだ。形もこの壁を陥没部分にそのまま入れればぴったりはまりそうだ。


 土壁はいろいろと用途がありそうだが、このままだと危なくて使えないので1メートル先に土壁を作るイメージで、「出ろっ」と魔力を放出する。

 1メートル先に一回り小さい土壁ができる。

 消費したMPは同じく5だ。距離を離して発動すると魔力が減衰するみたいだな。


 先ほどより少し多めに魔力を集め、1メートル先に発動する。

 大体最初と同じくらいの壁が出来た。消費MPは7だ。魔力を集めれば集めるほど大きなことが出来ると言う事か。


 逆に少なくするとどうなるんだ?

 ほんの少しの魔力で発動してみる。

 縦横5センチほどの小さいブロックのような壁が出来た。消費MPは0。

 あれっ、確かに魔力を放出したはずなのに消費しないのか?それとも実際には消費しているが数値が動かないほど少ないと言う事か?

 検証のために同様のブロックの壁を80個程度作ったところでMPが1消費された。

 どうも、消費魔力があまりに少ないと表示されないみたいだな。まあ人間を数値化しているんだから仕方がないことか。


 最後に土の弾だ。10メートルほど先の地面に狙いをつけて、土の弾が飛んでいくイメージをし、「行けっ」と魔力を放出する。

 直径10センチほどの土の弾が地面に向かって飛んで行った。着弾すると地面がえぐれ土埃が舞ったのでまあまあの威力があるようだ。

 消費したMPは5だ。しかし思った以上に土の弾の大きさが小さかったな。やはり距離によって減衰するのか?しかし発動したのは近くだからそれはないはずだし。

 もう一度実験をしてみる。今度は弾丸をイメージし20メートル先を目標に発動する。

 先のとがった流線型の同じくらいの大きさの石の弾が、20メートル先まで飛んでいく。特に速さが変わったようなこともない。

 距離で変わらないと言う事は、飛ばすことに魔力を使っていると言う事か。


 とりあえず一度実験をやめて、ルージュと考えを突き合わせるか。


「実験で分かったことをまとめてみよう。」

(それじゃあ、タイチからどうぞ。)

「まずは私が基本的に魔法を使おうと無意識に集めるMPは5みたいだ。」

(強くしたいときはより多く、弱くしたときはより少なくすればいいね。)

「次に魔法はイメージによって発動する。ルージュを見ると何も言わなくても使えると思うけれど、イメージに結び付きやすい言葉を言った方が使いやすいかな。」

(僕の場合はしゃべられないだけだけどね。)


 それもそうか、逆にルージュだけ特別という可能性もあるな。また実験してみよう。


「魔法の発動は近ければ近いほど効率がいい。離れると魔力が減衰するみたいだ。」

(なんか、電線の抵抗によって消費してしまう電気みたいだね。)


 確かに空気の抵抗によって魔力が拡散してしまっている可能性があるか。これも要検証だな。


「そして使用したMPによって扱える土の量が決まっているみたいだが、そのほかの動作、例えば飛ばすなどが入るとその分魔力を消費するから土の量が減るみたいだな。」

(そうだねー。そういえばさっきから手に魔力を集めてばっかりだったけれど足とかじゃ使えないの?)

「あっ、それは実験してなかったな。」


 ルージュの助言をもとに足に魔力を集め、土壁を発動してみる。

 手で発動した時より一回り小さいが土壁が出来た。


「出来るみたいだな。一回り小さいのは手の方がイメージしやすいからなのか、体の部位によって抵抗のようなものがあるからなのか、これも検証だな。」

(なんとなくイメージな気がするけれどね。)


 私自身もなんとなくそう思う。だって地球の映画の魔法使いってほとんど手に杖を持って魔法を使っていたからそのイメージが大きいんだ。


「とりあえず、今日の実験はこのくらいかな。あまりやりすぎると午後の訓練に差し支えるし。特にアイテムボックスのLv上げは重要だしね。」

(じゃあ、今から防壁の内側を周回しようよ。たまには仕事以外で走りたいなー。)

「そうだね、協力してくれたルージュさんの希望にこたえますか。」

(やったー。)


 まだ昼間で4時間近くあるし、60km以上は走れるだろう。それじゃあ行くか。


「タイチ、ちょっと待ちなさい。」


 瞬間、寒気が全身を襲う。いやな汗が背中をつたう。振り向きたくないという体と振り向かないといけないという理性がせめぎあっているがなんとか理性が勝ち、ゆっくりと振り返る。

 そこには静かに笑うアンさんが佇んでいた。


「何を言われるかタイチならわかっていますよね。」

「はい、すみませんでした!!庭は元通り直しておきます。」


 お客さんに対してとんでもないミスをした時のごとく腰から90度にまげて頭を下げる。土下座しないのはアンさんが嫌うからだ。


「わかっているならいいです。魔法も習得できたようですしね。」


 アンさんは箒を手に携え屋敷へ戻っていった。

 危なかった。一歩間違えればあの箒で地面とキスさせられるところだった。


(タイチー、早く片付けて走り行こう。)


 ちょっと待って。完璧に直してから行くから。

検証とか実験って地味な作業が多いですがだんだん楽しくなってきませんか?

よんでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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