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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第一章:イーリスの街にて
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レベルアップ

昨日、1500PV記念で二話投稿しています。

ご注意下さい。

 ギルドから帰る途中、ピコンッというパソコンのメールが届いたような音が聞こえた。

 何の音だろうといぶかしんでいると


(ねぇ、僕の声が聞こえる?)


 と子供のような高い声が聞こえてきた。慌てて周囲を見回すが誰もいない。街の外へ出た疲れが影響して幻聴が聞こえたのかとそのまま無視してペダルを回す。


(ねぇ、聞こえているんでしょ?)


 やはり幻聴ではなかった。止まって周りを見回してみたがやはり誰もいない。もしかしてこれがファンタジーの定番の妖精とか精霊というものか?


「聞こえています。あなたは誰ですか?」

(よかった、聞こえていないのかと思ったよ。僕が誰かって?僕は君の相棒だよ。)


 からかうように、楽しむように弾んだ声で返される。相棒か。相棒で思い出すのはこのクロスバイクのルージュだが、自転車がしゃべるわけが無いし。


(わからないの?ずっと一緒にいたのに。)


 だんだんと悲しそうな声色になっていく。子供を悲しませているみたいで胸が痛い。


「もしかして、ルージュなのか?」

(そうだよっ、僕の名前はルージュ。タイチと一心同体の相棒だよ。)


 そうか、やっぱり相棒と言ったらルージュしかいないよな、納得、納得・・・じゃないし。


「ど、ど、どうやって話しているの?というかなんで意思があるの?」

(落ち着いてよ、ほら深呼吸、深呼吸。)


 すーはー、すーはー。よし、とりあえず落ち着いた気がする。


「それで、どうして?」

(レベルアップして「念話」のスキルが取れたからだよ。意思自体はもっと昔からあって、話してみたかったんだ。やっと願いがかなったよ。)

「昔っていつから?」

(うーん、何となく記憶があるのは川の近くで転んで痛かったことが最初かな。)


 川の近く、川の近く・・・。5年くらい前だ。堤防を走っていたらタヌキが飛び出してきて避けようとして転んだのだ。あの時は痛かったなー。堤防から転げ落ちたり、車にひかれたりしなくて良かった。


「だいぶ昔だね。」

(そうだね、たぶんタイチが大切にしてくれたから意思が宿ったんだと思う。ありがとね、タイチ。)

「そっか、ルージュが喜んでくれたなら良かったよ。」


 付喪神みたいなものか。前の世界は現実主義かと思ったが、気が付かないだけで案外ファンタジーのようだ。


「あっ、そういえばレベルアップって言ってたけれど何のこと?」

(うーん、説明が難しいからとりあえずステータスを見て。)


 名前:タイチ

 年齢:15

 職業:冒険者

 称号:-


 Lv:1

 HP:123/123  MP:120/128

 攻撃力:103     防御力:96

 魔力:107      賢さ:245

 素早さ:147     器用さ:168

 運:15


 ―スキル―

「アイテムボックス Lv3」「マップ Lv1」「知識 Lv1」「投擲 Lv4」「開錠 Lv3」「罠察知 Lv3」


 ルージュ Lv2


 耐久 102/110  DP:1001/1001


「土魔法 Lv2」「念話 Lv1」


「ルージュの名前が増えてる。」

(そうだよ、タイチが正しく認識できていなかったから表示されなかったんだね。)


 ということは訳のわからなかった「耐久」「土魔法」「DP」についてはルージュのスキルということか。


「それじゃあ、ルー・・・」

(あの・・・タイチ、大丈夫?)

「大丈夫って何が?」

(僕の声って「念話」だからタイチにしか聞こえていないよ。ちょっと周りを見てみて。)


 首をひねって見回すと数人の子供連れの女性達が私を見ながらひそひそと話しあっていた。


「もっと早く言えー。逃げるぞ、ルージュ。」

(りょーかーい。)


 小さな声で叫ぶと、その視線から逃げるようにペダルを全力で回した。



 不審者を見る目つきから逃げ、一日ぶりに家に帰ってきた。長く感じたが思ったよりも短いな。


「おかえりなさい、タイチ。」

「ただ今戻りました、メイド長。」

(ただいまー。)

「あらっ、子供の声が聞こえた気が・・・。でも子どもなんていないし、嫌ねェ、年かしら。」


 ルージュを無言でじっと見る。


(アンさんには「念話」してないよ。だってタイチと今話してるし。)


 なんとなくルージュがぶんぶんと首を振っているような気がした。本当に何者なんだアンさん。


「今日は時間も中途半端だから訓練はなしにして、持って行ったものの整理をお願いするわ。」

「はい、お貸しいただきありがとうございました。」


 実際には借りた野営道具一式や槍はほとんど使わなかったのだが、それは今回がたまたま運が良かっただけで、もし何かあったとしたらとても役立っていたはずだ。


 アンさんと別れ、倉庫へ向かう。借りたものを返却しながらアイテムボックスの訓練だけでもしておこう。


(それにしてもアンさんって面白い人だね。)

「すごい人だとは思うよ。」


 アンさん関係で下手なことは言わない。ジンさんの二の舞はまっぴらごめんだ。


「そういえば「耐久」、「土魔法」、「DP」ってルージュのスキルなんだよな。」

(そうだよ。正しくは二人のでもあるけれど。)

「どういう意味?」

(まあ「耐久」については僕の消耗具合だから別として、「土魔法」はタイチも使えるよ。さっき言ったでしょ、一心同体って。)

「それじゃあ、ルージュもアイテムボックスとかを使えるのか?」

(うーん、使えると言えば使えるけれど、アイテムボックスは、結局タイチのアイテムボックスに入るからあんまりメリットは無いね。)


 それぞれが使えるというわけではなく、スキルを共有する感じか。


(あと僕はMPがないからタイチのMPを使うんだよ。)

「本当に一心同体なんだな。」

(そうだよ。)


 二人で話しながら荷物を片付けていく。借りたものの整理はおおよそ終わったな。


「ちなみに「土魔法」ってどうやって使うのかルージュはわかるか?」

(うーん、僕の場合はなんとなくって感じかな。こうなって欲しいとイメージするとそうなる感じ。)

「とってもアバウトだね。」

(でも効果はあるよ。走りやすかったでしょ。)


 そういうことか。土の道なのに走りやすかった理由は、ルージュが道を平らにしてくれていたからか。フォレストウルフから逃げられたのもルージュの助けのおかげでもあったんだ。


「ありがとう、助かったよ。」

(お礼にまた整備してね。)


 ルージュにとって整備は、猫にとっての毛づくろい、人間にとってのマッサージのようなもので気持ちいいらしい。

 日頃の感謝も含めてより一層整備に力を入れよう。


(最後に「DP」の説明かな。これは僕のとっておきだよ。タイチの欲しいものが手に入るスキルなんだ。)

読んでいただきありがとうございます。

自転車始めました報告があるとよりうれしいです。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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