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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第一章:イーリスの街にて
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本当の報酬

1500PV達成記念投稿です。

本日二話目なので、注意して下さい。

「なぜ、とお聞きしても?」

「儂はこの現場の頭だ。帰るのは2週間後と決まっておるわい。」


 確かに他の人はケイルさんより10歳以上は下の人ばかりに見える。一番若い人は今の私と同じぐらいだと思われるので50歳近く離れていそうだ。


「しかし手紙には帰ってきてほしいと書いてあったのではないのですか?」

「確かにそうじゃが儂がおらんでも何も変わらん。現場を放り出していくほどのことではないわい。」

「でも・・・。」

「この話は終わりじゃ、昼飯にするぞ。」


 周りの職人たちに聞こえるように昼の合図をすると、「おう」という返事と共に皆がログハウスへ入っていく。


「ついでだ、お前も食べていけ。」


 そう言い残しケイルさんもログハウスへ向かっていった。振り返りはしなかった。



 ログハウスに入ると一番若い職人の男の子が、配膳をしていた。見張りを除いた合計9人分を一人で用意しているため大変そうだ。

 食事をただでもらうのも気が引けるので配膳を手伝うことにした。


「配膳、手伝うよ。」

「いいのか、じゃあ頼む。」


 二人で配膳を行い、各々が勝手に食事をとっていく。彼が食事をとるのは皆の食事が終わってからだそうだ。完全に体育会系な感じだな。

 配膳を手伝っている私も自然とそのようになった。


 皆の食事が終わり休憩時間に入ったので、二人で食事をとる。


「助かった。」

「いや、こちらこそ食事をごちそうになるから。」


 彼の名前はカイというらしい。あまり話すのは得意ではなさそうな感じだ。


「カイはいつからきこりをやっているの?」

「まだきこり見習いだ。」

「じゃあ、きこり見習いはいつから?」

「これで5か月になる。」


 基本的に二人の会話は私が質問してカイが端的に答えてくれる感じで続いた。

 この周辺の地理について、出てくる魔物について、きこりの仕事についていろいろと答えてくれた。話すのは得意ではなさそうだが、嫌がっている様子はなく特に仕事については熱心に話してくれた。もちろん彼の基準的にはだが。

 ケイルさんについて聞いてみると


「おやっさんは皆の親代わりだ。」


 ケイルさんは孤児や職がない人に、きこりとして働けるように指導してくれているらしい。実際この現場で働いている職人も元孤児の人が何人もおり、カイも孤児だったらしい。


「街では仕事なんて見つからなかった。おやっさんがいなければ、多分死んでいたか罪を犯していた。ここは魔物が出るけど、おやっさんがいるからここの方がいい。」


 めずらしく長くカイがしゃべった。



 休憩が終わり再び伐採に行くとのことだったので、ついて行ってもいいか確認して、同行した。

 危ないのでカイと一緒に仕事をしながら他の人の仕事を見ることになった。


 今の時期だと「下刈り」「つる切り」「除伐」「枝打ち」「間伐」が主な仕事らしい。


「下刈り」はその名の通り苗木の成長を妨げる雑草などを刈る作業だ。私とカイが今やっている作業もこの作業だ。


 他の職人の人が今日やっているのは「枝打ち」だ。枯れ枝やある程度の高さまでの枝を切り落とすことで節が無くなり、よい木材になるそうだ。

 皆がするすると木に登り、枝を落としていく光景は圧巻だ。

 きこりと聞いて木を切り倒すイメージしかなかったが、よい木材にするために様々な工夫がされていることがわかった。

 そのことを伝えるとカイはうれしそうに笑った。



 夕食もごちそうになりいよいよ寝る時間になった。見張りはどうするのかと思っていたら二人体制で交代しながら行うらしい。

 私はどうすればいいのか確認すると「子供は寝ておくもんだ。」との教えらしい。20歳になるまではおやっさんにとっては子供扱いの様だ。


 寝るように言われたがなかなか寝付けなかった。確かに依頼は手紙を渡すことだけだったからこれ以上は依頼の範疇ではない。

 しかし必死に依頼をしようとしていたサーラちゃんの顔が頭をよぎる。


「眠れないのか?」

「ごめん、ちょっと考え事がまとまらなくて。」


 隣で寝ていたカイに気付かれてしまったらしい。話してみろと言われたのでケイルさんとサーラちゃんの依頼について相談してみた。


「なら、明日の朝、食事の時にもう一度話してみるといい。」


 そういうとカイは布団をかぶり直し、寝たようだ。そうだな、最後にもう一度話してみよう。



 朝起きて見張りだった2人を除いた8人分の食事をカイと用意し、各々が食事に入ったのを見てケイルさんに話しかけた。


「ケイルさん、やはり帰りませんか?」

「もうその話は終わったじゃろ。仕事を投げ出していくほどのことじゃないわい。」

「でも、サーラちゃんが自分のおこずかいをすべて使って依頼したんですよ。ケイルさんに帰ってきて一緒に祝ってほしいって。」

「くどいぞ、お前も冒険者ならわかっておるじゃろう。自分のすべき仕事をこなすことの大切さを。」


 確かにそうだ。仕事をこなすからこそお金がもらえ、そして家族を養うことが出来る。

 でもこの仕事を受けたのはただ手紙を届けるためではない。


「わかりました。ではこのお金をケイルさんにお渡しします。」


 大銅貨1枚を取り出し、ケイルさんの前に置く。


「なんじゃ、この金は?」

「このお金は私がこの依頼でもらえる報酬です。もちろんこれはサーラちゃんが用意したお金ではありません。ギルドへ戻れば依頼の条件は達成しているので報酬を受け取れるでしょう。しかし私はあなたを連れて帰れないこの状況でお金を受け取ることはしたくありません。」

「なんじゃと。」

「私はサーラちゃんの話を聞いて、彼女の心を、彼女の想いをあなたに届けたいと思ったからこの依頼を受けました。それが出来なかった私にサーラちゃんのお金を受け取る資格はないのです。だからあなたにお金を渡しておきます。そのお金と共に、想いを伝えることが出来なくてごめんと言っていたとサーラちゃんに伝えてください。私はサーラちゃんに合わせる顔がありませんから。」

「ぬぅ。」


「おやっさん、負けだよ。負け。そこまで言われちゃ帰るしかねぇだろ。」


 周りの職人たちが次々にはやし立てる。


「そうそう、一番帰りたいのおやっさんのくせに。」

「夜寝るときにサーラちゃんの手紙とか絵とか毎日見てるもんな。」

「酒はいると孫自慢ばっかだし。最近は次生まれてくる子の心配ばっかだったじゃねえか。」

「てめえら・・・」


「おやっさんがいなくても、何とかなる。」


 カイがはっきりと伝える。周りの職人たちも皆頷いている。


「「「だから帰れ。」」」

「わかったよ。こんだけ言われりゃ、帰るしかねえだろ。」


 ケイルさんは怒っていたが、とても嬉しそうで、そして目から何かが流れていた。



「それじゃあ、行ってくる。6日後には帰るつもりだからしっかり仕事してろよ。いい加減な仕事しやがったら、ただじゃあおかねえぞ。」


 職人たちとあいさつをしてここに別れを告げる。すぐに帰るとのことだったので同行することにしたのだ。


「じゃあね、カイ。いろいろ勉強になったし楽しかったよ。」

「またな。」


 相変わらず口下手だったが気持ちは伝わってきた。二人で拳をぶつけ合い別れた。



 ケイルさんは健脚であったが、休憩を含めて街に着くまで7時間ほどかかった。アイテムボックスに3日分の食料と水を入れていたので二人で帰っても余裕があった。

 道中、スライムに2度ほど襲われたがケイルさんが斧で一閃し撃破していた。全く出る幕も無かった。やはり異世界人は強いみたいだ。もっと修行しなくては。


 街に行きギルドへ報告に向かうとそこでサーラちゃんが待っていた。


「おかえりなさい、おじいちゃん」

「ああ、ただいま。サーラ。」


 私への挨拶がなかったことに若干のショックを受けながら窓口のキナさんに依頼完了の報告を行う。


「お疲れニャ。タイチ。これが報酬ニャ。」


 銅貨8枚が渡される。あれっ、依頼は大銅貨1枚じゃなかったっけ。


「ギルドが依頼料から2割もらうから、冒険者がもらえる報酬は残りの8割ニャ。」


 私の様子に気づいたのか補足説明をしてくれる。

 まあ、いいか。お金が欲しくてした依頼でもないし。街の外へ出ることも出来たし、カイとも知り合えたし。


「お兄ちゃん、ありがとう。おじいちゃん連れてきてくれて。」

「儂からも礼を言う。今はお前が来てくれてよかったと思う。」

「どういたしまして、皆でお祝いしておいで。」

「はーい、じゃあ行くよ、おじいちゃん。」


 サーラちゃんがケイルさんの手を引っ張ってギルドの外へ出ていく。この光景を見れたことが今回の依頼の報酬かもしれないなと思った。

個人的にカイ君は好きなキャラです。再登場はわかりませんが。

よんでいただいてありがとうございます。

ブックマーク頂きました。ありがとうございます。

始めました報告、待ってます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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