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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第一章:イーリスの街にて
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訓練開始!!2段階目

1000PV達成しました。

新たにブックマークも頂きました。ありがとうございます。

と言うわけで記念投稿します。本日二話目です。

「ランニングについてはコースの追加ですね。この家の庭を一周してください。的を5個用意しますから毎周ダートで当てていってください。もちろん走りながらですよ。」


 距離は100メートルぐらい延びるだけだから大丈夫だ。ダートの的も5メートルくらいの距離らしいので大丈夫だと思う。最近は部屋でも時間があれば訓練しているし。


「もう一つは開錠の訓練です。簡単なものから少しずつやっていきましょう。」

「はい、よろしくお願いします。」


 今日もさっそくランニングの訓練だ。最初のころは自己流で走っていたが、今はアンさんのフォームを真似している。

 アンさんのフォームは体の上下をあまりせず、頭の位置がほとんど変わらない。

 始めのころは違和感が大きかったが、試してみたところ長時間走るにつれて違いが分かってきた。上下動しないので膝への負担が少なく、以前は走った後に食事する気がなくなるような感じだったのが、普通に飲み食べできるようになった。内臓へのダメージが少ないのかもしれない。


 この走り方に変えてから頭の位置が動かないので周囲を把握しやすくなった。一点に集中せず違和感のある場所があったら見るようにすることで、目印を発見する確率が上がった。

 この一週間の訓練の成果だ。


 一周で8個の目印を見つけ、家の庭へ入る。アイテムボックスから5つセットのダートを取り出しそのまま決められたコースを走る。

 的まであと6メートル・・・、ここだっ、と足を踏みしめダートを投げようとした。


「へっ?」


 踏みしめた地面が崩壊し、そのまま1メートルくらい落下する。下はやわらかい土になっていたため怪我はしていないが泥だらけだ。


「なに呆けているのですか、早く走らないと目印の位置を変えてしまいますよ。」


 アンさんが穴の上からあきれたような顔で私を見ている。


「いや、なんですか。これ。」

「落とし穴です。」

「それは分かっていますけれど。」

「それ以上でもそれ以下でもないですよ。早く穴から出て走りなさい。」


 釈然としないながらもアンさんの指示に従い走り始める。コースをちゃんと見てみると、ところどころに明らかに落とし穴がありそうな痕跡がある。

 次の目印の手前にあった落とし穴がありそうな場所を回避しながらダートを投擲する。よし、命中した。この距離なら外すことはないな、と油断したのがいけなかった。


「あっ」


 自分の足が透明な糸のようなものを引っ張ったことに気付いた。木の上から丸太がお寺の鐘つき棒のように飛んでくる。

 とっさに腕をだし直撃を避ける。丸太の先頭には布がまかれているためあまりダメージは無かったが、勢いのまま吹き飛ばされ地面を転がる。


「いってー・・・へっ、うわっ。」


 吹き飛ばされた先には先ほど回避した落とし穴があった。まずい、と思う間もなくそのまま落とし穴に落ちる。


「何やっているのですか。遊んでいてはランニングが終わりませんよ。」


 アンさんが残念な子を見るような目で上から眺めている。そうだな。アンさんの新しい訓練が、ただ走りながら的に当てるだけで終わるわけがない。


「そのとおりですね、すぐに終わらせます。」


 半ばやけになりながら、意地で返事をする。アンさんの挑戦受けて立とうではないか。


「はい、いってらっしゃい。あと1本目の矢を当てていませんから、目印を一つ変更しますからね。」


 そういえばそうでしたね。


 罠に注意しながら庭を進む。罠に注意しすぎるとスピードが落ち目印を変えられてしまうし、ダートを外す可能性がある。かといってダートを当てることに集中すると罠にかかってしまう。バランスが非常に難しい。

 罠も踏むと小石が四方八方から飛んでくるものや、土が巻き上がり周りが見えなくなるもの、水がかけられるものとバリエーションが豊かだ。


 今朝までは無かったはずなのにいつの間に作ったのだろうか、と疑問に思いながら一周を終えた。目印の3個変更を告げられた。


 2周目を走る。目印は変更されていたが結局9個まで見つけた。最近調子がいい。

 庭のコースに戻り、再びアイテムボックスからダートセットを取り出しながら走る。

 先ほど自分がかかった罠については位置を把握しているので、注意しながら走る。一本目の投げるベストポイントには落とし穴があるからジャンプして回避し、すぐに投擲しようとする。


「へっ」


 間抜けな声を出しながら再び落とし穴に落ちる。おかしい、一周目はここに落とし穴なんかなかったはずだ。


「敵はいつでも同じ場所に罠を張るとは限りませんよ。」


 アンさんがちょっと得意げにしながら見下ろしている。そうですよね、自分の作戦がはまった時って嬉しいですもんね。

 文句も言わず穴を出て、すかさずダートを投げ的に当てる。そしてアンさんを見ずに走り出す。


 やはりあの人は規格外だ。自分が一周している間に目印の位置を変えて、さらに罠の配置も変えるなんて不可能ではないのか。

 いや、これが魔法の力なのか。先輩さんに見せてもらったスキル一覧にはそんな魔法は無かったような気がする。まあ、あのリスト自体がすべてではない可能性もあるしな。


 再び罠に注意しながら走る。一周目は参考にならないので不自然な点があったら回避して進む。

 何度か罠にかかりながらも一か所以外は的を外さずに走りきった。


 十周走りきったところで訓練は終了した。目印はすべて見つけることが出来たが、結局罠にはまらずすべての的を当てることは出来なかった。

 だってアンさんがだんだんと罠の難易度を上げていくんだもん。

 最初は見ればわかるくらいの罠が多かったのに、引っかからなくなってきたらちゃんと観察しないとわからないくらいに罠がバージョンアップした。

 今、私の姿は泥だらけだ。外を走っているときにすれ違う人の視線がきつかった。



 いったん水浴びして着替えた後、次の開錠訓練に移った。

 今日は簡単なものということで宝箱に南京錠がついたものを開ける訓練だ。


「この道具を使ってもらいます。」


 アンさんが皮を折りたたんだものを机の上に置く。その皮のつつみを開いていくとよくわからない道具も含めて60近くの道具が収められていた。

 ゲームなどでおなじみのピッキングツールだ。ただ、見たことのあるものは一部だけでほとんどは見たことがなく、使い方もわからないようなものもたくさんある。


「ではまず見本を見せます。」


 アンさんが鍵穴に道具を差し込み、様子を探ったと思ったら、すぐにいくつかの道具を次々と穴に差し込んでいく。最後にL字型の道具を差し入れそれをひねると、カチャ、という音と共に鍵が外れた。


「おぉ、アンさんすごいです。」

「メイド長です。」


 思わず名前が出てしまった。だって開錠するのに10秒ほどしかかかっていない。

 中学校の頃、ゲームの影響で出来たら格好いいかもと思い、針金や安全ピンを使って開ける練習をしていたのは知られたくない黒歴史だ。もちろん鍵は開かなかった。


「それでメイド長、詳しく説明をお願いします。」

「なんでそんなに乗り気なんですか?まあやる気があるのはいいことです。まずこの道具で内部の構造を把握します。次にこれらの道具を使いその構造に合うように溝を埋めていきます。最後にこの道具を使ってひねれば鍵が開きます。」


 なんか20年ぶりくらいに目標がかなうってテンションが上がるな。フフッ、これで弾薬が補充できる。


「このタイプの鍵は構造が比較的簡単ですので、道具を正しく使えば誰でも開けられるようになります。」


 アンさんに促され訓練を開始する。

 道具を使って溝を確認し、そこを埋めるように合う道具を差し込んでいく。慎重に間違えないように続け、最後のひねる道具を差し込みまわしてみると、カチャ、という音と共に鍵が外れた。かかった時間は8分くらいだ。


「出来ました。出来ましたよ、アンさん。」

「だからメイド長です。なぜこの訓練だけそんなにテンションが高いのですか?でもセンスはあるようですね。」


 一発で開いたことにかなりテンションが上昇する。センスがあるって、だって溝の確認作業は飽きるほど練習したし。道具は安全ピンだったけれど。


 何度か錠を変えて訓練を続ける。小さい溝を見逃したりして開かなかった時もあったが比較的苦労なく開錠できる。訓練を続けながら疑問に思ったことを聞いてみた。


「そういえば、鍵を破壊すれば開けられるんじゃないですか?」

「確かに壊せば開きますが、破壊と連動して発動する罠もありますし、破壊すると内部の宝が壊れる構造になっているものもあります。特に迷宮で成功したいならこの技能は必須です。」


 ドリルとかで壊してしまえば手間なく簡単と思ったが無理か。

 そんな感じで手ごたえを感じながら初回の開錠訓練を終えた。

ピッキングのまねをして本当に開いてしまったことがあります。他人の鍵を開けるのは犯罪になってしまう可能性があるのでやめましょう。

読んでいただきありがとうございます。

感想などいただけるとありがたいです。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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