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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第四章:テンタクルの街より
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閑話:ノノのレベルアップ

 タイチが朝の訓練を終えて食堂にやってくる。よし、なんだか悪い気もするけどお願いしてみよう。


「おはよう、タイチ。」

「ああ、おはよう。ノノも今日は休み?」

「そうなんだけど、そうじゃないって言うか・・・」


 ああ、なんとなく言いにくいわね。自分のことながらじれったいわ。タイチはこちらを見て待ってくれている。よし、ちゃんと言おう。


「えっと、Lv上げを手伝ってほしいの。」


 しばらくして珍しくヒナが早く起きてきたので食事をしながら相談に乗ってくれることになった。


「で、どうしてそう思ったの?」


 ヒナはまだちょっとぼんやりしているみたいだ。目の焦点が合っていないような感じがする。食事が来たら戻るから気にしない方向で行こう。


「強くなりたいからって言うのも理由なんだけど、一番は安全マージンを取りたいっていう事よ。モンスターハウスの罠にかかったやつのとばっちりを受けたこともあるし。」

「ノノもあるんだ。」

「タイチもあったの?」

「ああ、ヒナとパーティを組むきっかけになったのもそれだしね。」


 危機を乗り切った男女がパーティを組み、そしてお互いを想うようになっていくのね。王道だわ。


「仲間はいいのかニャ?」


 モカが食事を運んできたのでばっちりと目を覚ましたヒナがこちらにパスタを巻いたフォークを向けながら聞いてくる。お行儀が悪いわよ!

 確かにパーティ全員のLvを上げるのが一番安全だ。しかし時間もないし、それに・・・。


「努力しているところをあんまり見せたくないじゃない。」


 ぼそっとつぶやいたのだが、しっかり聞かれていたようだ。


「ふーん、特定の誰かに見せたくないのかニャ?」


 ヒナがニヤニヤした顔で聞いてくる。ムカつくわね。なぜかチャムの顔が浮かんで、顔が熱くなったので顔を横にぶんぶんと振る。


「違うわよ!私は天才だけど、努力もする天才なの。でも仲間にその姿は見せないのよ。天才だから!」


 2人がなにか微笑ましいものを見ているような目でこちらを見ている。


「やめなさいよ、その目!!」

「あー、ノノの希望はわかった。Lv上げに付き合うよ。休みで時間があるときだけだけど。」

「そうだニャ。じゃあタイチ、さっそくあそこへ行くかニャ。」

「そうだね。」


 ヒナとタイチが目を合わせ、にんまりと笑う。嫌な予感が走る。ちょっと早まったかもしれない。





「キャアアアー」


 速い、速い。何この移動速度。バイシクルってこんなに速いものなの?景色がビュンビ

 ュンと流れていくわ。


「ノノ、うるさいニャ。」


 私を乗せてくれているヒナの声が風に混ざって変な風に聞こえる。


「だって速すぎよ!あっ、コボルトが正面から。止まりなさいよ!」

「大丈夫ニャ。」

「止まりなさいってばー!!」


 ヒナがタイチの後についてそのまま突っ込んでいく。このままだとぶつかるっと思った時、コボルト達は吹き飛ばされ、通り道が出来た。


「ヒナ、10階層をクリアしたら一旦休憩しよう。」

「了解ニャ。」

「なに普通に話してるのよー!!」


 速度は全く落ちないまま私の悲鳴だけが迷宮にむなしく響き渡った。





「うー、ひどい目にあった。」


 あれから10階層のボスを文字通りヒナが瞬殺して、ちょっと休憩をした後この20階層まで連れてこられたのだ。今は休憩を兼ねてタイチの作った料理を食べている。むぐむぐ、美味しいわね、この肉。


「それにしても休憩を抜けば3時間ってどういうことよ。」

「まあ、Lvアップしたからね。」

「道中の魔物もそのまま倒していたし。」

「Lvアップしたしニャ。」

「10階層のボスも瞬殺だったし。」

「「Lvアップし・・」」

「なんでもかんでもLvアップで済むと思うんじゃないわよ!!」


 叫んだ私を2人がやれやれといった感じで見る。私?私がおかしいの?


「まあそれは置いておいて、この階層でLvアップをしようと思うけど、ノノって広範囲に攻撃できる魔法ってある?」

「威力が高いやつ?それともMP消費が少ないやつ?」

「結構戦うからMP消費が少ないやつかな。」

「じゃあストームを使うわ。そこまで威力は無いけどこの階層位なら多少のダメージと足止めには使える便利な魔法よ。」

 もっと威力の高いテンペストもあるけど私の今のMPじゃあ数回使ったらMP切れになっちゃうしね。


「よし、じゃあ戦闘に入ったらすぐにストームを使って。その後は・・・まあおいおい考えていこう。」

「というか何をするつもりなのよ?」

「ボス周回ニャ。」


 言われた言葉の意味が分からず思わずぽかんとする。


「えっ?」

「食事も終わったことだし早速いくニャ。」

「えっ?」

「ノノ頑張って。」

「ええー!!」


 覚悟も出来ていないまま無情にもボス部屋の扉が開いていく。


「ほら、ノノ。魔法ニャ。」

「えっ、あ、うん。ストーム!」


 目の前から暴風が吹き荒れ、風の刃が先頭にいるゴブリンを倒し、ゴブリンナイトやメイジに傷をつけていく。


「面白い魔法だね。避けるのが難しそうだ。」


 タイチが感心したようにつぶやいたのでちょっと嬉しくなり落ち着いてくる。


「もうすぐ終わるわよ。次はどうしたらいい?」

「うーん、ちょっと見ているニャ。」


 ストームの効果が終わると同時にそう言い残してヒナはゴブリンナイトへと向かって

 行った。


「危ないわよ!!」


 確かにスピードは速い。でも真正面から突っ込んだら囲まれるしメイジの魔法の餌食になってしまう。何考えてるの!

 私の心配通りゴブリンナイトがヒナを取り囲んで剣を振り上げ、メイジの杖からは今にも魔法が発動しそうになっている。


「えっ!?」


 私が状況を理解できたのはそこまでだった。ヒナを取り囲もうとしていたゴブリンナイト達の首が宙を飛び、魔法を放とうとしていたはずのゴブリンメイジが何かに貫かれて倒れた。


「なに、これ?」

「相変わらずヒナは強いね。それじゃあノノ、素材を回収しに行こうか?」


 訳がわからないままタイチに促されて魔石をはぎ取りに行く。自分の倒したゴブリンからはぎ取ろうとしたが時間がもったいないからとナイトとメイジの魔石と剣と杖だけを回収して21階層へ降り、そしてまた20階層へと戻ってきた。


「10分後くらいにまた再出現するから同じように倒しに行くよ。」

「ああ、周回ってそういう事ね。こんなLv上げもあるのね。」

「たぶんほとんどの人はやってないニャ。」


 まあそうね。そんな話は聞いたことが無いし。確かに気づいてみれば効率的ね。ボスを早く安全に倒せることが前提だけど。


「それで待つ10分の間だけど。」

「ノノの特訓ニャ。」

「えっ、休憩じゃないの?」

「そんな訳ないニャ。Lvが上がっても技術が伴わなければ強くはなれないニャ。私とタイチが交代でノノに打ち込むから避けるニャ。敵に接近された場合の訓練ニャ。」

「怪我してもポーションもあるし、ヒールも使えるから安心して。」

「安心してじゃないわよー!!」


 20階層のボス部屋前の広場に私の悲鳴が響き渡った。

 それから6時間、ひたすら打ち込まれて時間になったらストームを唱えて魔石を回収し、そしてまた打ち込まれると言う地獄の時間が続いた。おそらく20周以上したと思うが覚えていない。

 覚えているのはヒナの見えもしない剣を勘に従って致命傷だけ避けたことと、速度は私に合わせたのかそれほどでもないのに、段々と追いつめられて避けられなくなっていくタイチの杖をなんとかかわしていったことだけだ。


 いつの間にか気を失って、起きた時には自分の部屋のベッドの上だった。

 ステータスを確認する。Lvは今日だけで3上がり、スキルに「短刀術」が増えていた。

 強くなるという当初の目的は達成できた。でも。


「あの2人は絶対におかしいわ。」


 残念ながら私に同意してくれる人はここにはいなかった。

ネットのゲームなどで強い人にくっつくと経験値が下がるのはデフォルトなんでしょうか。

実際は強い人に連れて行ってもらわないと危ないと思うんですがね。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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