表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第四章:テンタクルの街より
149/181

休日の薬作り

 ぐつぐつぐつぐつ。


 目の前の大鍋には濃緑色の液体が刺激臭を発しながら煮たっている。布でマスクをして軽減しているはずなのにまったく意味をなしていない。街の外へ行くぞと言われて嫌な予感がしたので安物の服に着替えておいて良かった。この匂いは取れないと思うので処分しよう。


「それで次はロックスコーピオンの毒を毒草に対して2対1の割合になるように入れる。」

「はい。」


 瓶に詰めておいたロックスコーピオンの毒を鍋に投入していく、投入した途端鼻をつく更なる刺激臭がむわっと立ちのぼり、液体の色がより黒々と変わっていく。焦げ付かないように木の棒でゆっくりとかき混ぜていくが目から涙が止まらない。絶対に空気中にも毒の成分が入っているだろ!


「よく出来るな。」

「ロンソさんがやらしているんじゃないですか!」


 さも自分は関係ないと言わんばかりの発言にさすがにちょっといらっとした。


「リクエスト通りの薬を作るには必要なんだよ。毒耐性と麻痺耐性もあるし大丈夫だろ、たぶん。」

「そのたぶんってなんですか?果てしなく不安になってきましたよ!」


 中級ポーションと中級MPポーションを作り、MPが切れたので回復するまでどうしようかと考え、狩りに使える毒が出来ないかロンソさんに聞いてみた。うちのもぐもぐコンビのお腹を満足させるために狩りの効率化をしたいと思っていたし、溜まりすぎてきた毒系の素材を何とか出来ないかと思っていたからだ。

 毒系の素材を取り出して見せるとロンソさんは急に生き生きした表情になり、ついて来いと言って連れてこられたのが街の外の街道からもだいぶ外れたこの場所だった。

 そして現在に至る。


「それにしてもロンソさんってポーションとかを作るより毒薬や睡眠薬を作る方が好きですよね。なんでですか?」

「そんなのあたりまえだろ。毎日毎日同じ物ばっかり作っていればそりゃあ飽きるぜ。必要だとはわかるけど同じような素材しか入って来ないし。」


 つまりルーチンワークが嫌だということか。床で寝ていたり、どこかに出かけてしばらく帰って来なかったりとけっこう自由にしていたような気がするが。


「そういえばロンソさんは調薬を誰に習ったんですか?解毒薬関係は本に作り方が書いてあったりしますけど毒薬関係はほとんどないですよね。」

「まあ危険だからな。特定の誰に習ったってわけではないな。しいて言うなら森に習ったってところか。」

「森、ですか?」


 あれかな、定番の世界樹とかがあってその樹に宿った精霊に教えてもらうとかそういう事か。世界樹か。あるなら見てみたいな。


「ああ、エルフは森の民だからな。狩りをするときには毒をよく使うぞ。子供のころに森で野草を食べてそれが毒草で寝込むなんてよくあるしな。」

「えっ?」

「うるしの木に登って全身に発疹が出たりな。果物を採ろうとして木から落ちたり、すべては森が教えてくれるんだ。」


 なんとなく自分の中にあったエルフのイメージが崩れていく。ロンソさんやノノと接しているうちに一般に考えられている高潔で美しく、弓の腕前は名人級でリュートを奏でその演奏は心に響くといったイメージは必ずしも正しくないとはわかっていた。ノノは弓が下手だったし。

 しかしロンソさんの話の通りだとしたらどこのアマゾンの原住民だと言った感じだ。というか危険なことくらいは教えてあげなよ。


「おい、タイチ。なんか失礼なことを考えてないか?」

「いえ、何にも。」


 まだ少数の意見だ。いつかエルフの里に行って真相を確かめよう。

 刺激臭のする鍋をかき混ぜながら秘かに決意した。





「これで完成だ。」


 苦行を続けること3時間、念願の薬が完成した。途中で赤黒く変化したり、粘性が強くなってきてどぷっどぷっというようなヘドロの泡のようになりながらも完成してみたら無色透明のちょっと粘り気のある液体になりました。とても水のりっぽいです。しかも無臭。


「ちなみに効果はどんな感じですか?」

「おう、普通の奴なら一刺しすれば3日は動けないぞ。しかも複合毒だから解毒薬も効きにくいし普通のヒーラーじゃあ解毒できない自慢の一品だ。ババアなら何とかなるかもな。狩りに使ったら必ず火を通せよ。そうすれば毒が抜ける。くれぐれも生で食べるなよ。」


 作っているときにそんな予感はしていたけどとんでもない物を作ってしまった。レシピも覚えたので再現も可能だし今回作った量にしても結構な量だ。元の素材量から考えるとだいぶ減ったけれど。

 使うときは必ず誰かがいるときにしよう。間違って自分に刺してしまった時は致命的だ。


「なんていう名前なんですか?」

「いや、俺の独自配合だから名前は無いぞ。何でもいいんじゃないか?エルフの毒薬とかでもいいぞ。」

「はあ。なにか考えておきます。」′


 なんだろうエルフって神聖なイメージだったはずなんだけどな。

 とりあえず後で迷宮に行って効果を確かめてこよう。余裕のない局面で急に使うには不安が残る。


「じゃあ帰るか。」

「はい。」


 危険物質Xを瓶に詰めてしっかりとふたをしてアイテムボックスに収納する。いくつかダートの針部分につけて使う用意もしておいた。自分を刺さないようにすごく気を使った。


 街へ帰る道中、あることに気がついた。


「あの、ロンソさん。魔物が私たちから逃げていくんですが私たちって街に入れますかね?」

「さあなあ、この薬を作ったのは何十年ぶりだしな。あの時は森の中だったし。最悪森でしばらく暮らせば大丈夫だろう。」

「嫌ですよ。」


 グリーンラビットが逃げるのはいつも通りだがグリーンスライムまで逃げるなんてことは初めてだ。私たちは鼻が馬鹿になってしまっているがかなり臭いんじゃなかろうか。


「とりあえずきれいにしますよ。クリーン!」


 念入りにきれいになるようにイメージしてクリーンを使う。いつもより5割増しでMPを消費した。せっかく回復したMPがだいぶ減ってしまった。MP回復の時間を潰すために教えてもらったはずなのにほとんど意味が無かったな。

 結局無事に街には入ることができ、MP回復を待つためと実験を兼ねて迷宮へ行ってみた。フィールドディアに使ったところ一瞬で体を硬直させ、そのままの横倒しに倒れピクリとも動かなくなった。死んではいないようだったので木の上に吊るしておき、どこまで効くのか確かめるために10階層のポイズンスネークヘッドに投擲してみた。

 結果、ポイズンスネークヘッドも同様に動かなくなりました。あとしっぽの警戒音を鳴らす前に動けなくしてしまうとポイズンスネークが出てこないことも発見した。まあそれはどうでもいいか。


「すごいね。」

「ああ、恐ろしいな。」


 ルージュに人化してもらった意味が全くなかった。しっかり素材をはぎ取ったがまた毒が増えた。この迷宮を攻略する限り増え続けそうだ。

 帰りがてら先ほどのフィールドディアも確認してみたが大体3時間程度経っているのに全く変化が無かった。持続性も桁違いのようだ。さすがに3日も待つわけにはいかないので殺して解体した。解体した素材は他の物と紛れないようにマジックバッグに入れておいた。しっかり熱を入れないと駄目なのでローストではなくステーキか煮物系の料理にしよう。


 よし、今日のお礼にロンソさんに料理を作って持って行こう。鹿肉と蛇肉料理がメインだ。喜んでくれるといいな。

毒槍とかで殺した獲物を食べて大丈夫なのか昔疑問に思っていました。

実際はその部分を捨てたり、食べる部分を限定したりしているようです。

読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ