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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第四章:テンタクルの街より
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魔の11階層

 11階層が魔の階層と呼ばれる理由はいくつかある。この付近には無い砂漠という特殊な環境。まあ砂漠と言ってもサラサラな砂の鳥取砂丘のような砂漠ではなく岩がゴロゴロしている不毛の大地って感じの場所だが。そして砂漠特有の日中は暑く、夜は寒いと言う気温変化が体力を奪う。そう10階層までと違って昼夜があるのだ。

 そして生息している魔物も特殊なものが多い。毒を持っている魔物もおり、サンドゴーレムなどの見つけにくい魔物も多い。一般的な動物っぼい魔物といえば目の前をのそのそと歩いているラクダのような魔物だけらしい。食用として使えるのもこのツインキャメルだけなのだが・・・。


<ツインキャメル>

 砂漠に生息するラクダ型の魔物。頭が二つあり広い範囲を警戒することが出来る。背中のこぶに水分をためることが出来るためテイムされて砂漠で行商に使われることがある。

 個体クラス 7級  集団クラス 6級

 肉質は良く、牛に近い。ステーキからすき焼きまでお好きにどうぞ。


「まさかこぶじゃなくて頭がツインだとはなー。」

(びっくりだね。)

「でも美味しいらしいニャ。狩っておくかニャ。」

「そうだね、腕試しも兼ねてやっておくか。」


 とはいったもののどう倒そうか迷う。今まで頭が2つある魔物とは戦ったことがない。どちらが体の制御をしているんだろう。というより分担しているのか?いや、それだと制御が余計に難しい。どっちかがメインでもう一方がサブと考えるのがいいか。


「うーん、研究のしがいがありそうな生き物だな。」

「あっ、これは長いかも知れないニャ。とりあえず私が行くニャ。」

(いってらっしゃーい。)


 ツインキャメルについて考えていたうちにヒナがツインキャメルに接近し片方の首をはね飛ばす。首が落ちると同時に血が吹き上がり、膝をがくんとつくとそのまま胴体を横倒しにした。マップで確認すると既に死んでいるようだ。片方の首はついたままなのに死んでしまうということは体の制御など重要な部分を担当している首があってもう一方はサブという構造の可能性が高いということだ。検証は必要そうだが。


(どう?)

「まあしばらくは分かれても大丈夫だと思うニャ。」

「・・了解。じゃあ探索を始めますか。」

(はーい。)

「じゃあ水分補給だけはしっかりするようにね。」

「わかってるニャ。」

「ルージュも注意してあげて。」

(りょーかーい)


 私とヒナの格好は現在怪しいことこの上ない。長袖のサイクルジャージと足首まであるレーシングパンツに帽子とマスクをして、目だけが外から見える状態だ。砂漠は紫外線がきつくて将来シミになっちゃうからという理由ではない。単純に日焼けは体力を奪う。そして日焼けだけを気にすると汗がうまく蒸発せずに熱が体の内にこもってしまい最悪の場合熱中症にかかってしまう。そうなったら終わりだ。

 その点DPで交換したこのサイクルジャージとレーシングパンツはUVカット98%、通気性抜群といううたい文句の商品だ。さらにさらさらしているので汗がべとつかない。砂漠を走るうえでは必須の装備だろう。


 そういえばプロのロードレーサーはこのレーシングパンツを何も履かない状態で履くそうだ。つまりパンツさえ履いていないらしい。まあ実際に見たことがあるわけではないので本当かはわからないが。

 日よけ用の帽子やマスクは一昔前まではあまりなかった印象なのだが女性の自転車乗りが増えていくにしたがってバリエーションが豊富になった。恐るべし、女性の美への意識というか商魂たくましいというべきか。


 ごつごつの岩がゴロゴロしている砂漠をマウンテンバイクで走っていく。大きい岩は避けるとして中くらいの石はサドルから立って膝で衝撃を吸収させながら乗り越えていく。

 土魔法を使うのが手っ取り早いし安全であることはわかっている。ヒナとルージュはそうしているだろう。しかしせっかくの砂漠を走る機会だ。こんなチャンスを逃す手は無い。

 この階層の砂漠は固い地面の場所と砂の多い地面の場所が入り乱れている。だから自転車の漕ぎ方も地面に合わせて変えなければいけない。


 一般的にロードバイクやクロスバイクのタイヤの空気圧は高い。その高い空気圧のおかげで地面との接地面を少なくすることが出来て抵抗を少なくすることで高速走行を可能にしている。その接地面は指先一本分くらいのものだ。

 逆にマウンテンバイクの空気圧はそこまで高くない。タイヤが地面をしっかりつかむことでどんな悪路も走行できるようにしているからだ。

 だからペダルの踏み方自体も全然違う。ロードバイクなどは円を描くように(まあ私の場合は逆三角形だが)くるくると回すのに比べ、マウンテンバイクは踏み込むイメージだ。柔らかく力を逃してしまう地面を踏みつけ無理やりにでも先へ進んでいく。

 ロードバイクが限りなく地面と離れた自転車であるとするならばマウンテンバイクは限りなく地面と一体化した自転車だ。


 砂漠を進んでいく。ジンさんを探すことを忘れたわけではない。マップで常に確認はしている。でも違うのだ。自転車に乗って知らない場所、新しい地形、見たことのない景色を走るとき私の中から何と言っていいのかわからないが、わくわくが体を埋め尽くし溢れ出てくるのだ。そうすると次第に体が自転車と一体になって自分の足で地面を蹴っているような感覚になり、余計な雑念が消えていき、ただ風を切る感触、地面を踏む音、金属のこすれる振動などだけを感じるようになる。

 それがたまらなく楽しいのだ。


 マップに赤い点がたまに出てきて近づいて来るが、いつの間にか消えていく。邪魔だなと思った瞬間に消えていくので何かしら魔法で殺しているような気がするがまあ別にいいや。この楽しい時間を満喫できるのであればMPなんてそのうち回復するのだから。


 こまめに水分を補給し、迷宮焼きをたまに食べながら悪路を進んでいく。砂漠を走るのがこんなに楽しいとは思わなかった。同じような景色が続き次第に飽きてしまうと思っていた。でも違う。ここは天然のアトラクションだ。こんな楽しい場所飽きるはずが無い。

 大きな岩をわざと登り、高さ3メートルほどからジャンプする

 ひざ、ひじ、体の関節すべてを使って衝撃を吸収しながら着地する。やばい、楽しい。

 次は何が出来るだろう。


 しかし楽しい時間は長くは続かないものだ。マップに白い点がうつり込む。この速さはルージュのはずだ。そう思うと同時に今まであった一体感が消えていく。少し残念に思うが別に自転車に乗ることがつまらなくなったわけではないし仕方がない。


(タイチ、僕たちは10階層への入り口に先に行ってお弁当食べてるね。)

「ああ、了解。」

(なんかちょっと機嫌が悪い?)

「いや、別に大丈夫だよ。」


 いかんな。自分では気にしていないつもりだったがルージュにはわかってしまうか。


(もしかしてまたトリップしてた?)

「なに?トリップって。」

(まあ気づいてないならいいや。)


 そう言い残してルージュは向こうに意識を持って行ってしまったようだ。なんだトリップって。トリップって言うと麻薬とかであへあへしているイメージだが私もそんな感じになるのか。あれか、マタタビの時のヒナ状態なのか?嫌だぞ、そんなの。

 叩いてもルージュは戻ってこないので早く合流してどういう事か聞かねば。謎の焦燥にかられペダルを一層力強く踏みこんだ。

自転車で砂浜とかを走ってみるといつもと違った感覚でおもしろいですよ。

砂とかを巻き込むからちょっと整備が面倒ですが。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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